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2012年8月の記事

『クールの誕生』通信 初日

8月25日(土)

  初日。

  演出助手の相田さんは、とても落ち着いた初日だ、と言っていた。いつも新作ミュージカルをバタバタと開けることの多い私もそう思う。スタッフの各セクションが効率良く、水準の高い仕事をしてくれたお蔭である。
  と言っても、することが何も無い訳ではない。午前中は舞台稽古の続き。午後イチでゲネプロ。駄目出しと修正の後、本番(初日!)である。

  開演時刻を3分ほど押して(遅れて)開幕。D-BOYSのファンの方々がどの様な反応をなさるのか、私は全く予想がつかなかったのだが、笑って欲しい所では笑いが起き、台詞を聞いて欲しい所では集中し、時に拍手や手拍子を頂くことができたので、胸を撫で下ろした。理想的な舞台と客席の関係であった。
  『クールの誕生』では、各劇場の千穐楽を除く毎回、終演後に「残業ミーティング」と称したミニ・トークショーが行われる。登場するキャストは日替わりだが、1発目の今日は柳さん、鈴木さん、加治さんが登場。初日の興奮も冷めやらぬキャストの肉声を聞くことができて、結構新鮮であった。

  これで『クールの誕生』通信はお終いである。ご愛読ありがとうございました。次は『竜馬の妻とその夫と愛人』通信。9月後半から始まる予定です。

  『クールの誕生』
は、大阪公演の後、9月4日から10日まで東京・紀伊国屋ホールで、9月12日から17日まで東京・PARCO劇場で上演されます。それでは劇場で。

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『クールの誕生』通信

8月24日(金)

  午前中は照明合わせ。午後から舞台稽古。

  稽古場では再現できなかった部分、階段など高低のある場所や奥行きの都合で省略されていた個所などを中心に場当たり。
  クールの誕生は、とても見応えのある芝居になっていると思う。ヒューマンなドラマあり、ロマンスあり、笑いと涙の感動巨編である。D-BOYSファンの方はもちろん、D-BOYSの舞台をご覧になったことのない方にも存分に楽しんでいただけるだろう。

  明日は遂に初日。開演は18:00である。ぜひ森ノ宮ピロティホールにご来場ください。その前に場当たり稽古の続きとゲネプロもあるけど。

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『クールの誕生』通信

8月23日(木)

  大阪に来ている。宮ノ森ピロティホールである。

  宮ノ森はJRの大阪環状線で大阪城公園の隣の駅である。先日『王様と私』の千穐楽公演を行ったシアターBRAVA!の、大阪城公園を挟んで反対側、と言う位置関係になる。
  私は初めて訪れる劇場だが、東京の会場である紀伊國屋ホールやPARCO劇場と比べるとやや大きい、公共ホール風の劇場である。

  今日は朝から、搬入、仕込み、照明のフォーカス、サウンド・チェックと進み、19時より道具調べ・照明合わせに入った。
  『クールの誕生』は1セットである。なので、大道具は建て込んでしまえば舞台転換は無い。持ち時間の残りは照明のデザインに使用できる、という事である。

  順調に作業メニューを消化して1日目を終了。明日は朝から照明合わせの続き、そして午後からキャストを迎えて舞台稽古。

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『クールの誕生』通信

8月22日(水)

  稽古場最終日。最後の通し稽古。

  7月23日の稽古開始からひと月、ずいぶん遠くまで来たと思う。あの時は台本も未完成で、大半のキャストとも初対面であった。
  正直に告白するが、あの時点で私は、柳浩太郎さんが交通事故で負った障害の事も具体的には理解できていなかった。柳さんが登場するシーンを始めて稽古した時、それがどの程度のものなのかを知った。そして『クールの誕生』の柳さんの役が、柳さんにとっては今まで経験して来たどの役よりも難易度が高い役なのだということも分かった。

  終わってみれば充実した、そして何よりも楽しいひと月であった。どこまで行けるのか心許なく思った時期もあった。が、今では自信を持って「『クールの誕生』は最高に面白い芝居だ」と言うことができる。

  明日は劇場入りである。私は初訪問となる大阪の森ノ宮ピロティホールである。終日スタッフ・ワークの後、明後日が舞台稽古、そしてその翌日がいよいよ初日である。

  最高の初日を迎えられます様に!

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『クールの誕生』通信

8月21日(火)

  3度目の通し稽古。

  2落ち(におち)、という言い方がある。
  初日の出来が大変素晴らしかった場合、2日目の出来は大抵良くない事を言う、芝居の世界のジンクスである。2日目落ち、とも言うが、昨日の通しが余りにも良い出来だったので、今日は2オチだろう、と予測していたのである。

  話は逸れるが、今日は衣裳付きで通した。
  稽古場で衣裳を着用できるのはとてもありがたい。稽古場が本番の仕様に近付けば近付く程、劇場に入ってからの作業が楽になるからである。それに衣裳が俳優に及ぼす影響は思いの外大きい。衣裳で演技が変わってしまう事すらある。

  話は変わるが、今日は鈴木聡さんが顔を出してくださった。
  『クールの誕生』全体をご覧いただくのは今日が初めてである。演出家としては誰に観てもらうよりも緊張する観客が作者である。作者の意図を読み違えてはいないだろうか。通しの間中、私は芝居よりも鈴木さんの横顔ばかりを気にしていた。
  稽古後、鈴木さんは「密度の濃いコメディに仕上がっている」とおっしゃった。初日も近いのに今更注文を出したところで士気も上がるまい、と判断されたのだろうか。それとも、言葉通りにお気に召していただけたのか。

  ついに明日は稽古場最終日。2落ちだったかどうかは、またの機会に。

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『クールの誕生』通信

8月20日(月)

  2度目の通し稽古。

  初日が出る、という言い方がある。
  開幕した後、及第点の付けられる出来を迎えた時に使うのだが、そんな言い方があるということは、及第点を付けられぬ内に初日を迎えてしまう事が少なくない(そういう時は「なかなか初日が出なくて」という風に使う)、という事の裏返しでもあろう。
  今日の通しは、正に初日が出た様であった。まだ初日前なのに。キャストの皆さんにも、我々スタッフにも、はっきりとした手応えがあったと思う。この手応えを千穐楽まで維持したい。新鮮さを失わずに。

  残すところ稽古場もあと2日。明日は衣裳付きで通す。

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『シラノ』製作発表にご招待

 ミュージカル『シラノの製作発表にご招待だそうである。詳細はこちらからどうぞ。

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『クールの誕生』通信

8月19日(日)

  通さずに小返し。

  大げさになり始めている部分、流れてしまっている箇所、上手く噛み合わない所、などを修正。
  1場、2場辺りをやっている時は良いのだが、稽古が進み3場辺りまで来ると、演じている方も見ている我々も、集中を維持することが段々困難になって来る。3場が盛り沢山なこともあるが、1場や2場をやっていた時には確かにあった前向きな空気は確実に減退している。
  我々が良き演劇人でいられる限度は3時間と言うことなのだろうか?

  稽古の終わりにキャストの何人かが髪を切った。若返った人、昭和っぽくなった人、色々である。

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『クールの誕生』通信

8月18日(土)

  初の通し稽古。

  良い通しだったと思う。稽古で積み重ねて来た事、稽古で発見した事が上手く消化されていた。同時に、通してみて気づく事も少なく無く、そう言う意味でも収穫の多い初通しであった。
  上演時間は2時間10分を超えていた。今後もう少しは縮むだろうが、2時間05分までは短くはならないだろうと思う。思いの外、大作である。

  通しの後、駄目出し。

  「駄目出し」と言っても、駄目な所ばかりをあげつらう訳ではない。良かった部分にもしっかりと言及する。カンパニー全体で良かった部分を共有することも大切だからである。大抵の場合、「良かった」と指摘した部分は、次回は良くなくなってしまうのであるが。

  明日は通さずに、固め。良くなくなってしまいません様に。

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『クールの誕生』通信

8月16日(木)

  稽古前に照明打ち合わせ。

  現代のミュージカルでは、照明CUEの数が300や400に上ることはざらである。が、クールの誕生』はストレート・プレイなので、照明CUEも100行かないだろう。それでも、私が芝居の世界に入った頃に比べればCUEの数は増えているが。
  芝居の世界に入った当時、照明の調光卓はまだアナログで、データを記憶させることはできなかった。なので、CUEを増やそうにも限界があったのである。

  稽古は3場、4場をおさらい。

  これで概ね芝居としての整理はついたと思う。後は流れを良くし、メリハリを出し、全てが新鮮に起こる様にすれば良い。そうなれば、かなり愉快な芝居になるだろう。
  今日はあまり粘らずに、少し早目に稽古を終える。ここ数日、やや長時間の稽古になっていて、キャストにもスタッフにも疲労が溜まり始めている様に感じていたからである。

  明日は最後の稽古OFF。バリウム飲んできます。

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『クールの誕生』通信

8月15日(水)

  稽古前に竜馬の妻とその夫と愛人の舞台美術打ち合わせ。

  三谷幸喜/作『竜馬の妻とその夫と愛人』は、劇団東京ヴォードヴィルショー第55回公演として2000年に初演されたコメディである。2005年に再演され、その時の巡業では遥々ニューヨークまで出向いた(その時のブログはこちら)。そして今回2度目の再演が10月18日から東京・下北沢のザ・スズナリで行われる。
  これまで舞台美術は、初演時にデザインされたものを踏襲して来た。3度目の今回はザ・スズナリだけでの上演と言うこともあって、新しい舞台美術での上演を試みることにした。で、今日はその打ち合わせであった。美術デザイナーは石井強司さんである。
  今回は舞台美術だけでなく、音楽も新しくなる。しかも生演奏である。お楽しみに。

  打ち合わせを終えて『クールの誕生』の稽古場へ。久しぶりに3場を稽古。

  ラストシーンを稽古し、1場、2場に戻って稽古し、それからの3場である。また新たな発見がある。そこら中にある。新たな発見だと思ったらただ忘れていただけだった様な事もある。稽古はだから楽しい。
  『クールの誕生』は日々姿を変えている。どんどん良い芝居になっていると思う。早く通してみたくてうずうずしている。

  稽古後はシラノの打ち合わせへ。

  『シラノ』は2009年5月に初演されたミュージカルである。それがワールド・プレミア(世界初演)であった。作者はレスリー・ブリカッスさん(脚本・作詞)とフランク・ワイルドホーンさん(音楽)。 『ジキルハイド』のコンビによるミュージカル第2作である。
  今回の再演では様々な部分を練り上げて行きたいと考えている。何しろ前回は世界初演であった。あらゆる事が手探り状態だったのである。幸い好評を博して再演の機会を得る事ができたので、この機会により洗練、熟成された舞台にしたいと思う。
  そのための、今日は音楽チームの打ち合わせであった。音楽監督の八幡茂さん、歌唱指導の林アキラさん、指揮の塩田明弘さん、演出助手の小川美也子さんが集まり、建設的に意見交換。

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『クールの誕生』通信

8月14日(火)

  4場、2場をおさらい。その後、衣裳合わせ。

  『クールの誕生』にはサラリーマンと女子事務員と、接待相手の会社の副社長と、キャバレーのホステスと従業員しか出て来ない。衣裳のカテゴリーとしては大変狭い作品である。
  チラシのスチールのキャストたちは、スーツ姿も決まっていて実に格好いい。が、あれはあくまでもチラシである。舞台上のサラリーマンたちはチラシの彼らほどは決まっていない。そもそもチラシのスーツは現代のシルエットである。
  劇中のサラリーマンたちは昭和38年を生きている。しかも常に何かに追われて必死である。そして夏で暑い。全身汗びっしょりの筈である。あんなこともこんなこともする。チラシの様には行く訳がない。

  そんな彼らのスーツ姿をどうぞお楽しみに。

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『クールの誕生』通信

8月13日(月)

  1場、4場、2場をおさらい。

  芝居は順調に仕上がって来ている様にも思えるが、停滞している様にも感じられる。課題を上手に消化しているキャストも、なかなか上手く行かない人もいる。
  そういうことは、どの稽古場でも起こる。『クールの誕生』の稽古も、そういう段階に入って来たと言うことである。
  こういう時期に演出家として迷うのは、しつこく稽古を繰り返した方が良いのか、それとも稽古は早々と終えて時間を与えるべきなのか、と言うことである。大抵の場合、私は後者を選択するのだが。

  今日から稽古場に音響チームが合流し、SE(効果音)を流せる様になった。
  SEと言っても、蝉の声や車の通過音、鳩やカラスの鳴き声や工事現場のノイズ、など日常的な音がほとんどである。が、稽古中に聞こえている音がSEだと思っていたら外来の現実音だったりして、結構混乱。

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『王様と私』千穐楽 そして『クールの誕生』通信

8月12日(日)

  ハロー、ミュージカル! プロジェクト『王様と私』が大阪のシアターBRAVA!で千穐楽を迎えた。ご観劇くださった皆さん、ありがとうございました。そしてキャスト、スタッフ、全ての関係者の皆さん、お疲れ様でした。
  7月3日の東京・五反田を皮切りに、全国18か所を無事に巡り終えることができた。本格的なミュージカルで巡業する、という困難を実現してくださったスタッフの皆さんと、それを支えてくださった各地の受け入れチームの皆さんに、特に謝意を表したい。
  良質なミュージカルを低料金で全国へ、と言う趣旨のハロー、ミュージカル! プロジェクト。この試みがいつまでも続き、ミュージカルを愛する人々に喜びを与え続けられます様に!

  さて。

  大阪からトンボ返りして『クールの誕生』の稽古場へ。1場をさらい、4場を稽古。

  これまではブロック毎に区切って稽古して来たのだが、それらを繋げて通すことに稽古の比重を移している。繋げることで見えて来ることが多々あるからである。それと、スピード・アップも主要課題に浮上して来た。繋げてみることで、冗漫な部分や不必要な時間が炙り出されて来るのである。
  スピードを上げると舞台上の密度は濃密になる。目には見えないかもしれないが、この濃密さが舞台ではモノを言うのである。

  どんどんスピード・アップするもんね。

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『クールの誕生』通信

8月11日(土)

  2場を固める。その後、4場を稽古。

  稽古初期のこのブログで、台本が未完成であることに何度か触れた。その後の進捗については記していなかったが、台本は7月中に脱稿した。なので、それ以降の稽古では「どんな結末が待っているのか」を承知した上で取り組めている。
  台本は、予告通り全部で4場面。4場は、他に比べるとやや短いエピローグである。どんな場面なのかにはここでは触れないで置くが、『クールの誕生』は「とてもいい話」だと私は思う。途中休憩が無いことも以前記した通りである。

  稽古終了後、大阪へ向かう。ハロー、ミュージカル!  プロジェクト『王様と私』が明日、大阪で千穐楽を迎えるからである。
  ところが、大雨の影響で東海道新幹線が大遅延。帰省ラッシュも重なって東京駅は大混乱!

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『クールの誕生』通信

8月10日(金)

  1場に戻っておさらい、固め。

  3場の終わりまで行ってみて、人間関係やキャラクターなど、少し軌道修正した方が良さそうな部分が見えて来た。テンポを出すべき部分、じっくり運ぶべき部分など、メリハリも考えたい。そのあたりを重視して1場をさらう。

  『クールの誕生』の照明デザイナーは佐藤公穂さんである。稽古場に佐藤さんがふらりと現れた。
  佐藤さんとの付き合いはこのカンパニー中の誰よりも長い。佐藤さんは大学の2年後輩で(なので、以下サトチンと呼ばせていただくことにする)、三谷幸喜が劇団「東京サンシャインボーイズ」を立ち上げた時、私は演出で、サトチンは照明デザイナーで参加していた。三谷も私もサトチンも大学時代のことである。
  今ではサトチンも、鈴木聡さんの劇団「ラッパ屋」や福島三郎さんの「丸福ボンバーズ」などから「テニスの王子様」まで、守備範囲のたいへん広い照明デザイナーである。

  芝居作りにはいつも新しい出会いがあり、そして懐かしい再会がある。芝居作りを魅力的な仕事にしている、それも大きな要素であろう。

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『クールの誕生』通信

8月8日(水)

  3場の後半をおさらい。その後、3場を通す。

  まだラフもラフだが、『クールの誕生』の中でどんなことが行われるのか、の見通しはついた。新作を上演する時は、この「見通しをつける」までが大変なのである。
  見通しがついたから物事が簡単に進む様になる、と言うことでもないのだが、全体の物量が把握できると、今後初日を迎えるまでどの程度のペースで進行すれば良いのか、ある程度の計画性が持てる様になる。そうなれば、キャストもスタッフも、無駄に全力を出して無意味に疲弊することが避けられるのである。
  後は、稽古場でまだ試すことができていないことをひとつずつ潰して行けば良い。かき氷とか、フィッシュ&チップスとか、顔とか……。

  明日は稽古OFF。休み明けは1場に戻るつもり。

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『クールの誕生』通信

8月7日(火)

  3場の後半を立ち稽古。

  これで作品の全体像は見えて来た。この後、まだ4場が残っているのだが、4場は全てが終わった後のエピローグである。
  但し、まだ「見えて来た」だけであって「できて来た」訳ではない。初日までの残り時間を使って、見えて来たものをしっかりとした形にして行きたいと思う。

  稽古後は音響打ち合わせ。音響プランナーは、ストレートプレイの時にお世話になっている長野朋美さんである。
  『クールの誕生』は、劇中で何らかの音が聞こえている時間がかなり多い作品になりそうである。街の雑踏であったり、隣近所から聞こえてくる音楽であったり、蝉の鳴き声であったり、聞こえて来る音は様々だが、都会で暮らす人々の日常を描こうとすれば、当然そうなる筈である。
  ある人には騒音かも知れないそれらの音は、別の人には心休まる音なのかも知れない。
 

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『クールの誕生』通信

8月6日(月)

  3場の前半をおさらい。

  キャバレー「COOL」のホステスの1人、吉田美枝子は接待相手、咲坂の超お気に入りであった。美枝子は東京堂物産の社員たちからの信頼も厚い。接待の時に頼りになるからである。演じるのは三鴨絵里子さんである。
  「COOL」にはもう1人、頼りになるヤツがいた。ボーイの北島和也である。まだ二十歳そこそこの若さだが、店内の様子などをさり気なく報告してくれたり、何かと役に立つのである。演じるのは堀井新太さんである。
  『クールの誕生』最後の登場人物は、東京堂物産経理部の女子社員、大久保泉である。泉は今で言えばOLだが、まあ……女子社員である。演じるのは弘中麻紀さんである。

  果たして、彼らは無事契約に漕ぎ着けられるのか?  同期同士の争いはどうなるのか?  秘められた恋の行方は?  そして、明日のブログには何を書けばいいのか?

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『クールの誕生』通信

8月5日(日)

  3場の前半を立ち稽古。

  入社3年目の安達裕人と岡田清には、同期入社の社員がもう1人がいる。総務部勤務の近石守である。総務部は会社の「縁の下の力持ち」である。安達や岡田が属する花形部門とは違い、地味で目立たないセクションである。その悲哀を一身に背負った近石を演じるのは山田悠介さんである。
  矢部課長、森本課長にも同期の社員がいた。「伝説のサラリーマン」と呼ばれる塙(はなわ)徹である。演じるのは柳浩太郎さんであるが、塙がなぜ「伝説」と呼ばれるのかは劇場でご確認いただきたい。

  中堅(弱小?)商社「東京堂物産」のサラリーマンたちは、連日連夜取引先の接待に励んでいる。接待に使うのは、銀座の裏通りにあるキャバレー「COOL」であった。(つづく)

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『クールの誕生』通信

8月4日(土)

  2場をおさらい。その後、3場を読み合わせ。

   『クールの誕生』は群像劇であるが、ストーリーは入社3年目の同期サラリーマン、安達裕人と岡田清の2人を軸に進む。演じるのは三上真史さんと牧田哲也さんである。
  安達と岡田にはそれぞれの上司がいる。安達の上司は課長の森本で、岡田の上司は矢部課長である。この2人も同期入社で、会社と言う組織ではそこらじゅうにライバルがいて常に鎬(しのぎ)を削っている、と言う話になって行くのである。
  森本を演じるのは加治将樹さんで、矢部は鈴木裕樹さんである。

  そして4人の上司が部長の村田伸夫である。
  中堅商社「東京堂物産」の村田部は、現在会社の命運を左右するような大きな取引の大詰めを迎えている。取引相手は咲坂兄弟社の副社長、咲坂幸次郎。村田たちがまとめようとしているのは、来年に控えた東京オリンピックに因んだノベルティ製作に関する契約である。
  村田を演じるのは俵木藤汰さん、咲坂を演じるのは永井秀樹さん。今回のキャストの中ではベテランに属するお2人である。(つづく)

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『クールの誕生』通信

8月2日(木)

  1場を固める。最後に1場を通す。

  1場は、通すと40分くらいの場面である。今日はもう少し掛かっていたが、40分を切れるといいなあ。『クールの誕生』全体では2時間前後になるだろうか。途中休憩は無い。2時間を切れるといいなあ。
  話は変わるが、新作を上演する際は、観客にはできるだけ白紙でご覧いただきたいと思っている。だが、そう決めるとブログに書けることは限られる。内容に触れない良いネタを思いついた日はいいのだが、そうそう良いネタを思いつくものでもない。

  できれば良い落ちのある文章でもありたい、とも思っているのだが。

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『クールの誕生』通信

8月1日(水)

  2場をひと通りあたったので、1場に戻る。

  連日、夏らしい日々が続いている。こう言う季節に「冬」の芝居をやることほど厳しいことはない。
  例えば『ダンス オブ ヴァンパイア』。厳冬のトランシルバニアを舞台にしたミュージカルだが、そうすると、衣裳は確実に冬の装いである。ニットや皮革などが多用され、帽子や襟巻、手袋などの防寒具もふんだんに登場することになる。
  このミュージカルは、なぜか夏に上演されることが多かった。実際の衣裳は、通気性の高い生地を使用するなど暑さ対策が施されてはいるのだが、連日の真夏日である。お察しいただきたい。

  『クールの誕生』は、ありがたいことに真夏の東京が舞台である。なので、襟巻も手袋も登場しない。が、登場人物のほとんどはサラリーマンである。クール・ビズや省エネ・ルック登場以前の物語なので、当然ネクタイ、背広着用である。
  キャストの皆さんには、稽古中はできるだけ背広を着てもらう様にしている。自然にサラリーマンらしく振舞えるためにである。真夏設定なので上着を脱いでいることも少なくないのだが、接待相手の前ではそうも行かない。
  一番律儀に背広を着用してくれているのは鈴木裕樹さんと加治将樹さんであるが、鈴木さんはいつまでも涼しげであるのに、加治さんはあっという間に全身びしょびしょになっている。
  その結果、加治さんはすぐに背広を脱いで稽古着に戻ってしまうことになるのたが……、この違いはどこから来るのだろう?

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『クールの誕生』通信

7月31日(火)

  私的には盛り沢山な1日であった。稽古前に衣裳の打ち合わせ、稽古では2場を立ち、稽古後は音楽の打ち合わせ。

  稽古の前半は昨日稽古した部分をさらい、後半ではその先に進む。最初はキャスト4人だった稽古場も、最後には倍の人数になった。

  衣裳打ち合わせでは、デザイナーの木村猛志さんが昭和30年代の衣服の様々な写真をi Padで見せてくれた。
  木村さんは、いつもこのようにしてイメージを分かり易く伝えてくれるのでありがたい。以前ご一緒した『青猫物語』(2008年)の時はi PadでなくPSPだったのが、時の流れを感じさせる。

  「音楽」と言うものは言葉にすることが難しい。その難しいものを言葉で打ち合わせるのだから、音楽打ち合わせは骨が折れる。
  音楽の川崎晴美さんとの付き合いが30年に及ぶことは以前記したが、川崎さんは、いつも私が発する要領を得ない「言葉」を根気よく、辛抱強く、正確にキャッチしようと全身全霊を傾けて打ち合わせに臨んでくれる。
  そうして出来上がった音楽は、私のイメージを遥かに超えている。過去の共同作業の数々が、そのことを雄弁に語ってくれている。
  コラボレーションが30年続いているのは伊達ではないのである。

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