『王様と私』通信
6月6日(水)
1幕1場の後半、1幕2場、そして3場を稽古。
(6月2日の日記から続く)埠頭でアンナ親子を迎えたのは、シャムの総理大臣クララホムである。
総理大臣(鶴田忍さん)は見るからに横柄で、この先のシャムでの生活が思い遣られた。何よりも、シャムの王室との間で結ばれた契約の条項に大きな隔たりがあることがアンナにとっては問題であった。
アンナの認識では、住まいは「王宮に隣接する場所に建てられたレンガ造りの戸建ての家」の筈であった。が、大臣はそんな話は聞いていないと言う……。
続く2場は、王宮内にある「国王の謁見の間」である。ここで、『王様と私』のもう1人の主人公であるシャムの国王が登場する。演じるのは松平健さんである。
松平さんは、1988年から90年にかけて東宝の製作で上演された『王様と私』でシャム王の役を経験済みである。今回はそれ以来、実に22年振りの王様役復帰と言うことになる。
このシャムの王様と、もう1人の主人公アンナ・レオノーエンズには実在のモデルが存在している。
原作は1944年に出版された小説“Anna and King of Siam”(マーガレット・ランドン著)であるが、これは、19世紀の中頃に、シャムの国王ラーマ4世に請われて、その王子(後のラーマ5世)の教育係に赴任したアンナ・レオノーエンズの実話を基にしている。
20世紀前半の大女優であったガートルード・ローレンスのエージェントが、ガートルードの為の作品を探していてこの小説に巡り合い、そしてそのミュージカル化をロジャース&ハマースタインの2人に依頼したことがミュージカル『王様と私』誕生の経緯なのであった。(つづく)
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