« 2012年3月 | トップページ | 2012年5月 »

2012年4月の記事

第37回菊田一夫演劇賞

4月20日(金)

  東京會館へ。第37回菊田一夫演劇賞の授賞式

  華やかで、活気があって、知った顔に大勢出会えて、授賞式と言う物はそもそもが嬉しいものである。が、今年は例年以上に嬉しい。米倉涼子さん、石丸幹二さん、瀬奈じゅんさんと、苦楽を共にした戦友たちが壇上にずらりと並んでいるのだから。
  そして大賞の三谷幸喜。ご存知の方も多いと思うが、三谷君と私は大学の同級生である。こうしてそれぞれが業界で生き伸び、そして今日の様な席で再会しようとは、学生時代の私は夢にも思わなかった。

  受賞者の皆さん、おめでとうございます。

  菊田賞の後は王様と私の音楽打ち合わせ。

  ニュー・ヴァージョンの『王様と私』を作るにあたって、音楽をどの様に扱うか。音楽監督の八幡茂さんと、そのことについて意見交換。
  八幡さんは今までのヴァージョンも手掛けていらしたので、以前のヴァージョンについても詳しく教えていただいた。何しろ私は、『王様と私』に関しては全くの新人なので。

  その後は江古田へ。舞台総合実習ⅢAの稽古。

  参加者の男女比の関係で、女子はほぼダブルキャスト、男子はシングルである。男子の存在が貴重なのは何処も同じなのだなあ。

| | コメント (0)

学校三昧

4月19日(木)

  昨日からミュージカルアカデミーでの私のクラスが始まった。今日からは日大芸術学部演劇学科の方のクラス「演出実習Ⅱ」がスタート。これは所沢校舎での授業で、現在『ゼブラ』を稽古中の「舞台総合実習ⅢA」は江古田校舎。学校三昧である。

  毎年この季節には多くの新たな出会いがある。多くの新たな出会いは「顔と名前を覚える」と言う苦行を一緒に連れて来る。今季は学校三昧なので、処理しなければならないデータは100名を超える。現在の私には、100名は不可能と同義語である。
  こう言うことが苦にならない方もいらっしゃると思う。そう言う方がつくづく羨ましい。

  『ゼブラ』の稽古は毎日21時に終わるのだが、稽古前や稽古中に夕食をとらないことにしているので、食べるのは稽古後になる。
  さすがに腹ペコなので江古田で食べることになるのだが、私の知っている江古田とは随分と様変わりしているので、どこに行けばよいのかが分からない。学生たちに教わって、少しずつ新しいお店を開拓中。

  学校三昧である。

| | コメント (0)

新しいミュージカル・アカデミー

4月16日(月)

  新しいミュージカル・アカデミーの入学式。

  6年間運営されてきた東宝ミュージカルアカデミーが発展的解消をして設立されたのが、新しいミュージカル・アカデミーである。i Padの新型が「i Pad 3」という名称ではなく、単に「新しいi Pad」と呼ばれることと、なんか似てる。
  それはともかく、 晴れて1期生となったのは35名。明日より、厳しくも温かい講師陣との濃密な1年が始まる。

  1年は短い。1年で身に付くことは高が知れている。
  然りとて1年である。
  1年間、毎日毎日、自分の弱点を自覚してレッスンを重ね、自分の長所を少しずつでも伸ばして行けたら、1年後のあなたは今のあなたとは見違えているだろう。
  ミュージカル俳優のレッスンは生涯続く。今はその第1歩である。

  皆さん、入学おめでとう。

  さて。

  入学式の後は江古田へ。
  舞台総合実習(略して総実)ⅢAの顔合わせ。参加する学生たち(キャストとスタッフ)、そして指導の先生方が集まった。
  まずは上演担当の藤崎先生より先生方のご紹介。学生たちは自己紹介。そして演出家(私です)の挨拶。学生たちを前に、「演劇の面白さ、芝居を作る楽しさを思う存分味わわせる」とか何とか、やや風呂敷を広げて喋る。

  顔合わせの後はスタッフ・ミーティングに参加。
  装置コースの学生たちが、台本の要請と演出家の要求の狭間で四苦八苦している。装置担当の沼田先生が、それを叱咤激励しつつ、プランを少しずつでも具体的な方向に導いてくださっている。
  明日から読み合わせに入る。読み合わせ期間中に、ラフで良いから装置プランが見えて来てくれると嬉しいのだが。

| | コメント (0)

舞台総合実習 そして『ジキル&ハイド』2012千穐楽

4月15日(日)

  日大藝術学部演劇学科には「舞台総合実習」という科目がある。

  演劇、日舞、洋舞、それぞれの舞台総合実習があるのだが、現在私は、その内の演劇の指導を担当している。
  日大藝術学部の江古田校舎には、客席数249、間口8間(けん)の立派な劇場があり(中ホールと呼ばれている)、そこが実習発表の会場となる。演劇の実習では演技コースの学生がキャストを務め、演出コース、装置コース、照明コース、企画制作コースなどの学生がスタッフを担当することになる。

  今年度私が担当するのは「舞台総合実習ⅢA」で、これは3年生を中心にした(4年生も参加している)実習である。
  本番は6月8日(金)、9日(土)、10日(日)の3日間で、土曜日のみ2回公演の4ステージを予定している(詳細は決まり次第ご報告します)。

  この実習で取り上げる作品は『ゼブラ』である。
  『ゼブラ』は、劇団ONEOR8(ワン・オア・エイト=「イチかバチか」ってこと?)が2005年に(今は無き)新宿THEATER/TOPSで初演した作品で、作・演出は田村孝裕さんである。2007年に再演され、更に2009年には、キャストを大幅に入れ替え、舞台空間も拡大され、東宝の製作でシアタークリエでも上演されている。

  私が実習発表を担当するのは2005年以来である。日頃の現場とは色々と勝手が違うが、初心を思い出させてくれると言う点で、私にとっても大切な場所なのである。

  さて。

  2012年の『ジキルハイド』もついに千穐楽。
  ご観劇くださった全ての方に御礼申し上げます。そして、キャスト&スタッフの皆さん、お疲れさまでした。
  いつか、どこかで、また皆さんとお目に掛かれます様に!

| | コメント (0)

最終公演地・名古屋 『ジキル&ハイド』通信

4月14日(土)

  愛知県芸術劇場へ。

  キャパシティ2500の大ホールは、紛れも無く、日本の『ジキルハイド』史上、最大の会場である。梅田芸術劇場のメインホールも空間としてはかなり大きな部類であったが、愛知は梅田を遥かに凌ぐ。客席は5階席まであるのである。
  客席だけではない。舞台空間もどこよりも広大である。但し、アクティング・エリアは日生、梅田、愛知と共通に設定している。

  私は今までこの劇場を訪れる機会が無かった。なので今回が初訪問である。
  訪問前の想像では、空間が無駄に大き過ぎるのではないか、とか、4階席・5階席は遠過ぎるのではないか、或いは、オペラの為に建てられた劇場なのでホールの残響が長過ぎるのではないか、などと危惧していたのだが、全ては杞憂であった。
  この劇場が持つスケール感と華やぎが、『ジキルハイド』のそれらと見事にマッチして、思いもよらぬ相乗効果を挙げてくれるのである。

  サウンド・デザイナーの山本さんとマエストロ・塩田さんは、オーケストラの響きをデザインし直した。ホールの響きの良さと相まって、聞こえてくる音楽のスケールも格段に大きくなっている。塩田さんによれば、上手舞台袖に作られたピット内の条件も、どこよりも良いらしい。
  石丸幹二さんも、ここは自分の声が届いていることが分かるので安心して歌える、とおっしゃっていた。つまり、キャストにとってもスタッフにとっても、ここはストレスの少ない、本来やるべきことだけに集中していれば良い、最良の劇場なのである。

  今日は、2階席(と言う名称だが、通常の劇場でイメージすれば1階席のやや後方、)の最前列、PA卓のすぐ後ろの席から観たのだが、我々が意図したことの全てが見え、全てが聞こえて来た。キャストの歌も演技も今までに無く安定している。
  既に千穐楽目前で、キャストの表現もスタッフ・ワークも、共に成熟して来たことの表れでもあるだろう。大阪後のしばしの休息も効いているかもしれない。
  が、舞台上の環境や諸条件が演じ手にとってすこぶる良いことが最大の要因の様に私には感じられた。

  今日を観ることができて、私は本当に嬉しかった。我々が目指した『ジキルハイド』の理想の形がそこにあったからである。
  と同時に、舞台の難しさを今更の様に痛感した。いつご覧頂いても、今日と同程度のパフォーマンスをご覧いただくことが何故容易ではないのか。その実現のために演劇界が取り組まなければならないことは余りにも多い。

  さて、明日は本当の千穐楽である。
  観ようか止そうか迷っている方、観ないと一生後悔することになりますよ。

| | コメント (1)

『クールの誕生』

  情報解禁されたので(速報はこちら)、告知。

  現在シアターコクーンで『淋しいマグネット』に取り組んでいるD-BOYSの皆さんの次回作である。
  脚本は鈴木聡さんによる書き下ろし。公演は8月25日、26日が大阪/森ノ宮ピロティホール、9月4日~10日が東京/紀伊國屋ホールである。

  お楽しみに。

| | コメント (0)

大阪初日 『ジキル&ハイド』通信

4月6日(金)

  まずお詫び。
  音響機材のトラブルがあり、1幕の前半で、オーケストラとヴォーカルのバランスが崩れ、お聞き苦しい場面が度々あった。今日ご来場くださった皆さん、本当にごめんなさい。

  もうひとつ、残念なお知らせが。
  薬剤師のビセットやダンヴァース邸の執事などを演じている山田展弘さんが、病気のため本日より休演。1日も早く回復されます様に。

  と言う訳で、今日の日記は実に書き難い。が、上記のトラブルを除けば、メリハリもありエネルギッシュな良い初日であった。限られた時間内ではあったが、芝居、ステージング、そしてスタッフ・ワークをブラッシュ・アップした成果が表れている。
  開幕したばかりの大阪公演であるが、明後日(8日)にはもう千穐楽である。関西方面の皆さん、どうぞお見逃しのありません様に。

| | コメント (0)

大阪へ 『ジキル&ハイド』通信

4月5日(木)

  大阪に来ている。

  3月28日に無事東京公演の千秋楽を迎えた『ジキルハイド』。明日より大阪公演が始まる。会場は梅田芸術劇場メインホールである。
  既にスタッフは粗方の作業を終えている。今日は夕方よりサウンドチェック、簡単な場当たり、そして通し稽古であった。

  梅田芸術劇場は、日生劇場と比べると一回り大きい大劇場である。劇場が変わると舞台と客席の関係も変わる。距離感であったり、客席の傾斜角度であったり……、梅芸には日生には無かった新鮮な視点が存在する、と言うことである。
  日生で観慣れている我々には、この違いが実に面白い。舞台上で行われていることは変わらないのに、その印象は随分と異なる。
  学生の頃、良く映画を観ていた時期があったのだが、映画も映画館によってその印象が違ったことを思い出す。映画好きにはそれぞれのお気に入りの映画館があったし、お気に入りのシートがあったものである。

  閑話休題。今日も順調にメニューを消化し、ほぼ予定通りに作業を終了した。東京公演の疲れも取れ、良い仕上がり具合だと思う。

  明日は14時開演。その前に、今日の通し稽古の駄目出し。

| | コメント (0)

発表 第37回(2011年度)菊田一夫演劇賞

4月4日(水)

  今年も菊田一夫演劇賞の受賞者が発表された(こちらから)。

  菊田一夫さんは、戦前・戦後の演劇、映画、放送界に大変大きな足跡を残された劇作家・演出家である。と同時に偉大なプロデューサーでもあり、東宝の演劇担当重役でもあられた。
  今日4月4日は菊田さんの命日である。菊田一夫演劇賞は、毎年この日に発表されている。

  今年度の受賞者の内、3人の方の受賞理由となった作品の中に、私の演出した作品が含まれている。米倉涼子さんの『風と共に去りぬ』、石丸幹二さんの『ジキルハイド』、瀬奈じゅんさんの『三銃士』、そして『ニューヨークに行きたい!!』である。
  特に『風と共に去りぬ』は、菊田さんがその舞台化の実現に命をすり減らす程の情熱を込められた作品のリブートであったので、米倉さんがその作品で選ばれたことは何よりも嬉しい。

  皆さん、ご受賞おめでとうございます。

| | コメント (0)

« 2012年3月 | トップページ | 2012年5月 »