初日 『ジキル&ハイド』通信
3月6日(火)
初日(舞台のダイジェスト映像はこちら)。
朝から各セクションの直し。12時からゲネプロ。フランク・ワイルドホーンさんが登場し、幕間や終了後に幾つかのアドヴァイスをくださる。
一昨日、昨日と、バタバタと進行して来たにもかかわらず、ゲネは悪くない仕上がりであった。が、まだいくつかの大きな問題を抱えている。キャスト、スタッフ双方に駄目を出し、残り時間内に解決すべきことを、優先順位を付けて潰して行く。
16時30分、舞台にて公演成功&安全祈願のお祓い。お祓いの後も、舞台では作業が続き、18時の開場時刻を5分ほど遅らせてしまう。
開幕。18時30分の定刻を5分押す。暗闇から、ヘンリー・ジキルの熱い声が響いて来る。
久々に胃が痛くなる様な、固唾を呑みながらの観劇となったが、終わってみれば、様々な課題が解消され堂々たる初日であった。
カーテン・コール。スタンディング・オペ―ションの最中に、石丸さんに紹介されて私も舞台に上がる。私が登場する時は、いつだって誰かを紹介する為である。今日は勿論、ワイルドホーンさんである。
終演後、緞帳を下ろした舞台で、関係者一同で初日の乾杯。新『ジキル&ハイド』が観客に受け入れられたことがはっきりとして、誰もがとても嬉しそうであった。私は、ただただ「ほっ」としていた。
幾つかの直しをスタッフに依頼し劇場を後にする。そして、ワイルドホーンさん、プロデュース・チームの皆さんと祝杯を挙げる。
ワイルドホーンさん「今日のゲネプロは(英語では「ドレス・リハーサル」)何回目だったの?」
山田「1回目です」
ワイルドホーンさん「1回目!? それで、その日の内に初日!?」
山田「そうです」
ワイルドホーンさん「どうすればそんなことができるの?」
山田「天に祈るしかありません」
私の場合、これはあながち冗談ではない。演出家にできるのは、キャスト&スタッフが最善を尽くすのを見守ることだけなのだから。
ワイルドホーンさん「ブロードウェイではドレス・リハーサルに2週間、その後プレビューに4週間、それでようやく初日だよ」
日本では、4週間後には千秋楽を迎えている。
我々も、劇場入りしてからの持ち時間が1日でも多くあって欲しいと望まないではないが、日本の演劇を取り巻く様々な条件がそれを許さない。ならば、その中でベストを尽くすのが、我々に与えられた使命だろう。
『ジキル&ハイド』通信はこれでお終いである。ご愛読、ありがとうございました。
昨年の秋から続いたオープニング・ラッシュ( 『ニューヨークに行きたい‼』 『ダンス オブ ヴァンパイア』 『ラ・カージュ・オ・フォール』 そして『ジキル&ハイド』 )もひと息ついた。次は『王様と私』通信。が、本格始動は6月。それまでは不定期更新です。
『ジキル&ハイド』は3月28日まで上演中。その後、大阪と名古屋へ旅に出る。それでは劇場で!
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