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2012年3月の記事

『王様と私』舞台美術打ち合わせ

3月10日(土)

  デザイナーの土岐研一さんと王様と私の舞台美術打ち合わせ。

  前回、土岐さんが大変きれいな舞台模型まで仕上げて来てくれたにもかかわらず、演出家は冷酷にもその案を却下した(その経緯はこちら)。その演出家が今回はどんな反応を示すのか、が今日最大のポイントであった。
  土岐さんは、怯むことなく、新しい(そしてもちろんきれいな)舞台模型を持参してくれた。そして場面毎に模型を飾り変えながら、デザインのポイントをプレゼンテーションしてくれた。

  今回の『王様と私』は、北海道、東北から、東海、近畿まで、ツアーで巡ることが条件付けられている。
  つまり、仕込み・撤収に掛けられる時間がタイトであること、トラックの積載量に制約があることがデザインをする上での前提となる。加えて、各地の会場の物理的条件も千差万別と来ている。
  その様々な制約の中で、土岐さんは最高に美しくて機能的なデザインを考えてくれた。今日の演出家は、何ひとつ注文を付けることもなく、ただただ感激している様子であった。

  今度は演出家が、この素敵な舞台美術に負けない中身を考える番である。素敵な『王様と私』にしなければ。

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演出助手・プロデューサー募集/2012

  東宝演劇部の演出助手・プロデューサー募集が告知された(詳細はこちらから)。

  ついこの間、2011年度の募集があったばかりな気もするが、またまた募集である。
  前回までの告知ページには「演劇の仕事を目指す皆さんへ」という題名の拙文が掲載されていたのだが、今季は新たに文章を書き起こした。題名は「芝居づくりを職業にするということ」で、拙文である所は相変わらずである。

  それはともかく、大劇場演劇は今、大きな曲がり角にある(と私は思う)。若く、夢と冒険心に溢れた才能の持ち主に、ひとりでも多く応募いただけることを願っている。

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ロクサーヌがふたり

  来年1月に日生劇場で上演されるミュージカル『シラノ』。ヒロイン、ロクサーヌのキャストが発表された(こちらから)。

  今回、ロクサーヌはダブル・キャストである。新しい『シラノ』が生まれそうな予感。お楽しみに。

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初日 『ジキル&ハイド』通信

3月6日(火)

  初日(舞台のダイジェスト映像はこちら)。

  朝から各セクションの直し。12時からゲネプロ。フランク・ワイルドホーンさんが登場し、幕間や終了後に幾つかのアドヴァイスをくださる。
  一昨日、昨日と、バタバタと進行して来たにもかかわらず、ゲネは悪くない仕上がりであった。が、まだいくつかの大きな問題を抱えている。キャスト、スタッフ双方に駄目を出し、残り時間内に解決すべきことを、優先順位を付けて潰して行く。
  16時30分、舞台にて公演成功&安全祈願のお祓い。お祓いの後も、舞台では作業が続き、18時の開場時刻を5分ほど遅らせてしまう。

  開幕。18時30分の定刻を5分押す。暗闇から、ヘンリー・ジキルの熱い声が響いて来る。
  久々に胃が痛くなる様な、固唾を呑みながらの観劇となったが、終わってみれば、様々な課題が解消され堂々たる初日であった。
  カーテン・コール。スタンディング・オペ―ションの最中に、石丸さんに紹介されて私も舞台に上がる。私が登場する時は、いつだって誰かを紹介する為である。今日は勿論、ワイルドホーンさんである。
  終演後、緞帳を下ろした舞台で、関係者一同で初日の乾杯。新『ジキルハイド』が観客に受け入れられたことがはっきりとして、誰もがとても嬉しそうであった。私は、ただただ「ほっ」としていた。

  幾つかの直しをスタッフに依頼し劇場を後にする。そして、ワイルドホーンさん、プロデュース・チームの皆さんと祝杯を挙げる。

  ワイルドホーンさん「今日のゲネプロは(英語では「ドレス・リハーサル」)何回目だったの?」
  山田「1回目です」
  ワイルドホーンさん「1回目!?  それで、その日の内に初日!?」
  山田「そうです」
  ワイルドホーンさん「どうすればそんなことができるの?」
  山田「天に祈るしかありません」

  私の場合、これはあながち冗談ではない。演出家にできるのは、キャスト&スタッフが最善を尽くすのを見守ることだけなのだから。

  ワイルドホーンさん「ブロードウェイではドレス・リハーサルに2週間、その後プレビューに4週間、それでようやく初日だよ」

  日本では、4週間後には千秋楽を迎えている。
  我々も、劇場入りしてからの持ち時間が1日でも多くあって欲しいと望まないではないが、日本の演劇を取り巻く様々な条件がそれを許さない。ならば、その中でベストを尽くすのが、我々に与えられた使命だろう。

  『ジキルハイド』通信はこれでお終いである。ご愛読、ありがとうございました。

  昨年の秋から続いたオープニング・ラッシュ( 『ニューヨークに行きたい‼』 『ダンス オブ ヴァンパイア』 『ラ・カージュ・オ・フォール』 そして『ジキルハイド』 )もひと息ついた。次は『王様と私』通信。が、本格始動は6月。それまでは不定期更新です。

  『ジキルハイド』は3月28日まで上演中。その後、大阪と名古屋へ旅に出る。それでは劇場で!

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『ジキル&ハイド』通信・ややミニ

3月5日(月)

  舞台稽古2日目。

  朝から道具調べ、照明合わせ、テクニカル・リハーサル、様々な直し作業など。スタッフはスピードを緩めること無く、開幕に向けて走り続けている。
  そして舞台稽古の続き。「事件、事件」が、様々な調整に時間がかかりヒヤヒヤする。

  タイトなスケジュールで無理難題に応えてくださった舞台監督の小林さん、照明の高見さん、音響の山本さん、振付のうーちゃん、他、、全ての関係者に感謝。

  明日は初日。その前にGP。雨あがれ!

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『ジキル&ハイド』通信

3月4日(日)

  舞台稽古1日目。

  午前中はオーケストラのサウンド・チェック。並行して大道具の直しと照明合わせ。
  今回、オーケストラ・ピットは使用しない。オーケストラは舞台の下手(しもて)袖中で演奏する。なので、客席最前列は舞台の目の前である。
  午後から舞台稽古。半日かけて1幕を終える。
  今回の『ジキルハイド』はキャストも一新され、舞台美術もステージングも照明もゼロから作り直した「新作」である。新作は、やはりそれなりに時間がかかる。今日も時間との闘いであった。

  明日は2幕の舞台稽古。だが、その前に終えなければならないスタッフワークがまだまだ残っている。

  音楽のフランク・ワイルドホーンさんが今日、来日されたはず。初日のカーテン・コールでは舞台に上がっていただくことになっているので、お楽しみに。

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『ジキル&ハイド』通信・ミニ

3月3日(土)

  桃のお節句である。

  それはそれとして、今日も終日スタッフワーク。道具調べと照明合わせ、そしてテクニカル・リハーサル。深夜まで。

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『ジキル&ハイド』通信

3月2日(金)

  今日は雨。昨日の搬入が好天に恵まれて良かった。

  昨日に引き続いてスタッフワーク・デー。大道具をはじめ、照明、音響など、各セクションの仕込み作業が続く。楽屋周りでも、衣裳、ヘア・メイクのチームが初日目掛けて着々と準備を進めている。

  『ジキルハイド』のアンサンブル・オーディションを行ったのは、昨年の3月14日、15日であった(その時の日記はこちら)。
  あの震災の3日後で、まだ電力事情が悪く、鉄道ダイヤも不安定な中でのオーディションであったことを思い出す。延期する、と言う選択肢も無い訳ではなかったのだが、決行した。何かをしないではいられなかったのだ。
  続く3月16日の日記(こちら)には、作品名を伏せて「打ち合わせ」のことが記されているが、開催された方の打ち合わせが『ジキルハイド』である。
  今回の舞台美術のイメージは、3月14日のオーディションの最中に思い付いたものである。そのイメージを16日の打ち合わせでfクリエイティブ・チームに披露した。そのイメージが今日、1年近くの時を経て、現実となって姿を現した。

  当時の日記を読み返すと、今こうして仕事に専念できていることすら夢の様である。劇場街に日常が戻っていることに、改めて感謝。

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『ジキル&ハイド』通信

3月1日(木)

  3月である。昨日とは打って変わって、東京は春らしい、暖かな陽気であった。

   『ジキルハイド』は、日生劇場での仕込みが始まった。稽古は無いのでキャストはOFFである。
  日比谷に用事があったので、ついでに劇場にも顔を出す。夕方の早い時刻だったのだが、まだ吊り物と床面の作業中で、セットは建て込まれていなかった。

  日生劇場では、つい先日『ラ・カージュ・オ・フォール』でお世話になったばかりである。そもそも『ジキルハイド』が、2001年から2007年の間に4回も上演されている。その他にも『サウンド・オブ・ミュージック』『ウェディング・シンガー』『シラノ』『メリー・ウィドー』など、この劇場には沢山の良い思い出がある。

  明日も終日スタッフ・ワーク。夕方には舞台美術がその全貌を現すだろう。

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『ジキル&ハイド』通信

2月29日(水)

  東京地方は未明から雪であった。

  もう四半世紀以上も前のことだが、帝劇で『屋根の上のヴァイオリン弾き』を上演中にも雪の激しい1日があった。
  交通機関が乱れ、開演時刻になっても何人かのキャストが着到しなかった。それでも幕は開けられ、不在者には急遽代役が立てられた。芝居が進むにつれ少しずつ人数が増えて行き、代役はいつの間にか本役に戻った。
  懐かしく楽しい思い出のひとつである。

  今日も交通機関に乱れが生じていたが、関係者一同、無事に稽古場に集まった。そして最後の通し稽古が始まった。
  幕開きから、いつにない緊張感とエネルギーに満ちていた。時に激しく、或いは甘美に、丁寧でありながらも荒々しく、劇中で起こることの全てが新鮮であった。
  とても意味のある通し稽古だったと思う。今日稽古場で起こったことは、この先必ずキャストひとりひとりの指針となるだろう。

  通し稽古終了後は最後の駄目出し。そして余韻に浸る間もなく、すぐに撤収作業が始まった。我々の仕事には余韻などあった試しがないが。
  稽古場を出る時には雪は既に止んでいた。冷たい空気が上気した顔を気持ち良く撫でた。

  1月4日の歌稽古から始まった『ジキルハイド』の稽古は、稽古場での全行程を終了した。明日からは日生劇場で仕込み作業が始まる。開幕は3月6日である。

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