『ジキル&ハイド』通信
2月1日(水)
昨日作った「“どん底”の前」、そして「店内」をさらった後、「連れてきて」の後の芝居部分=ジキルがルーシーと出会うシークェンスを作る。その後、「プロローグ~病棟」をさらった後、「どん底」に続く場面=「ジキルの書斎~研究室」を作る。
ある決意を固めたジキルは「どん底」から意気揚々と帰宅する。活力を取り戻したジキルに安堵したアターソンも早々に引き上げる。ジキルは、父親の代からこの家に仕える執事のプールを寝かせると、ひとり研究室へと向かう……。
この一連のシークェンスは『ジキル&ハイド』前半のハイライトである。ここでは、このミュージカル最大のヒット曲「時が来た」が歌われる。そしてその後、ジキルは人類の未来を賭けた実験に乗り出して行く。
ジキルが書斎を出て研究室に到着するまでをどの様に表現するか。この半年、そのことをずっと考え続けて来た。結果的にはこう言う形に落ち着いたのだが、自分では満足の行く形になったと思っている。どんな形になったのかは、どうぞ劇場で。
閑話休題。研究室に入ったジキルは、実験の一切を記録しようと決める。そして、「HJ7」と名付けられた試薬に手を伸ばす。その薬を飲んだジキルの身体に……。
この実験の一連が、「時は来た」に続くナンバー「変身」になっている。「時が来た」は、ストーリーを進行することよりも、その時の主人公の心情を観客に届けることに重きを置いたナンバーである。一方「変身」はナンバーがそのままストーリーになっている。
「時が来た」の様なナンバーでは、その楽曲のスケールと拮抗するエネルギーが演じ手には必要となるが、「変身」の様なナンバーでは、ディテールの細部を丁寧に追って行く精密さや集中力が不可欠である。
「ジキル」と言う役には、その両方が要求される。多くの俳優が「この役を演じたい」と願う理由のひとつはそれなのだろうと思う。
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