« 2012年1月 | トップページ | 2012年3月 »

2012年2月の記事

『ジキル&ハイド』通信

2月28日(火)

  オケ付き通し稽古。

  オケだけではない。今日は衣裳付き、ヘアメイク付きの通し稽古であった。
  少人数で着替えの多くない作品ならともかく、この規模のミュージカルでここまですることは滅多に無い。が、舞台稽古を効率良く進めるために、演出部さん、衣裳さん、ヘアメイクさんたちのご尽力で実現した。今日の為に様々な作業が前倒しで行われ、今日の為に本公演同様の態勢が敷かれたのである。関係各位に心から感謝したい。

  初めてのオケ付き、そして手狭な稽古場で本番同様の着替え、など、今日の稽古では芝居に集中するのが困難であろうことは容易に想像がついた。が、私のそんな予想とは裏腹に、今日の通しは極めて水準の高い、安定した仕上がりであった。
  キャストひとりひとりの成長は勿論、このチーム全体が着実に力を付けていたことに気づかされた1日であった。

  通し後はいつも通り駄目出し。更にその後、カーテン・コールの段取り。テキパキと進めたつもりだが、稽古終了は今日も20時を回っていた。

  明日は稽古場最終日。みんな雪に注意!

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月27日(月)

  オケ合わせ、1日目。

  オーケストラがやって来た。案の定、我々には最早居場所がない。
  それはともかく、5年振りに聞く『ジキルハイド』のオーケストラ・サウンドである。マエストロがタクトを振り下ろし、オーケストラが譜面の最初の音を奏でた瞬間、様々な感情が込み上げて来るのを私は抑えることができなかった。が、照れくさいので何ともない振りをした。
  今日のオケ合わせは、台本順に、音楽の流れているシーン全てを当たって行った。PAのバランスをとることや、歌と演奏のニュアンスや約束事の確認、そして音楽とドラマを融合させることを主眼に、緊張感を保ちながらも和気あいあいと進行した。

  オケ合わせはいつになくハイ・ペースで進んだ。数々の好条件が重なったからであるが、明日までかかると想定されていたメニューを、何と今日1日で終えた。
  これを読んだ業界関係者は、「やれば出来るじゃないか」と早合点しないで頂きたい。上にも記した通り、今回は奇跡的に好条件が幾つも重なっていたために、偶然そうなったのである。やろうと努力してやれることではない。

  と言う訳で、明日はオケ合わせ無し。いきなりオケ付き通し稽古である。
  これは本当にありがたい。通し稽古の後に、色々なことを修正する時間的余地ができた、と言うことなのだから。

  話は変わるが、おけぴ管理人さんの稽古場レポートがUPされている。稽古中の写真満載である(こちらからどうぞ)。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月26日(日)

  今日はやらなければならないことが多いので、午前中から稽古スタート。大抵は13時からなのだが、今日は11時からである。

  やらなければならないこと、その1。通し稽古。

  3回目の通し稽古である。書こうか書くまいか迷ったのだが、書いてしまおう。幕切れの、すっごく良いシーンで、石丸幹二さんが「俺はハイドだ」と言うべき所で「俺はジキルだ」と言ってしまった。
  周囲は、ヘンリー・ジキルだと思っていた人物が突然「ハイド」を名乗るので困惑しなければならないのだが、困惑する気満々で「ハイドだ」の台詞を待っていたら「ジキルだ」が来てしまったので、芝居の困惑と現実の困惑が一緒に来てしまい、超困惑になってしまったのだった。
  あー、すっきりした。

  やらなければならないこと、その2。衣裳パレード。

  衣裳パレードとは、劇中の扮装をして、衣裳やかつら、小道具、アクセサリーなどを場面毎に細かくチェックする作業である。今回は劇場入りしてからの持ち時間がタイトなので、稽古場でやっておけることは全てやっておきたい、と言うことで衣裳部、ヘアメイク部、演出部総がかりでのパレードとなった。
  以前『ザ・ヒットパレード』と言うミュージカルをやった時、キャストの何人かから「衣裳パレードって何ですか?」と質問をされたことがあるのだが、その時のブログはこちら

  やらなければならないこと、その3。照明打ち合わせ。

  衣裳パレードを演出助手の郷田さんに委ね、私は照明デザイナーの高見さん、舞台監督の中村さんと照明打ち合わせ。
  照明は、実際に劇場に入って大道具を飾り、照明機材を吊り込んでみないと何も始まらない。だから、理想は劇場で実際に明かりを出しながら、ああでもない、こうでもないと試行錯誤することであるが、上にも記した通り、劇場入りしてからそんな余裕はない。
  なので、こうして前もってイメージや方法論を摺り合わせておくことが大切になって来る。何しろ2時間30分の作品で、照明Cueは400近い。正に時間との勝負である。

  やらなければならないこと、その4。オーケストラのセッティング。

   明日からは稽古場にオーケストラがやって来る。やって来るにあたっては、そのための場所を確保しなければならない。
  なので、今までキャストやスタッフが我が物顔にしていたエリアを明け渡さなければならないのである。そうして捻出されたスペースに、大小様々な楽器が次々と並べられて行く。

  ピアノでの稽古は今日が最後。稽古ピアノの國井雅美さん、宇賀村直佳さん、今までありがとうございました。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月25日(土)

  稽古場見学会であった。

  応募された方の中から抽選で選ばれた50名の方を稽古場にお招きした。『ジキルハイド』の稽古場は決して狭くは無いのだが、50名をお迎えする様にはレイアウトされていないので、窮屈な思いをされたことと思う。
  ホリプロの平野プロデューサーの挨拶で見学会がスタート。私はその次に登場し、稽古場のことや、これからご覧頂くミュージカル・ナンバーのことなどを喋る。ご覧頂いたのはオール・キャスト(除くヘンリー)による「嘘の仮面」、ヘンリー&エマのデュエット「ありのままの」、そしてルーシーの「あたしは誰」の3曲であった。
  生憎の雨の中をご参加くださった皆さん、ありがとうございました。劇場でお目に掛かる時には、更に進化した『ジキルハイド』をお目に掛けます。

  稽古場見学会の後は、通常通りの稽古。

  幾つかの場面を確認した後、2回目の通し稽古。
  メリハリが付いて更に深まった部分と、手際は良くなったものの新鮮では無くなってしまった部分がある。いつもながら芝居って難しい。とは言え、差し引きすれば、深まった部分の方が格段に多いのだが。
  通しの後はいつもの様に駄目出し。更にその後、いくつかの場面を抜き稽古。今日もあっという間に日が暮れた。

  明日は3回目の通し稽古。その後、衣裳パレード。

| | コメント (3)

『ラストダンス~the musical 越路吹雪~』

  シアタークリエの12月公演ラストダンス~the musical 越路吹雪~が発表になった。

  越路吹雪さんは日本のミュージカル女優の草分けの1人である。宝塚歌劇団の男役スター出身で、シャンソンの歌い手としても一時代を築かれた。
  その越路さんの舞台人生を、越路さんが歌われた数々のヒットソングに乗せて描こう(予定)、と言うのが『ラストダンス~the musical 越路吹雪~』である。

  出演者は発表されている6人だけで、つまりこの6人が劇中に登場する全てのキャラクターを演じることになる(予定)。
  越路さんを演じるのは瀬奈じゅんさんで(予定)、越路さんのマネージャーであり、越路さんが歌われた数々の名曲の詞を書かれた岩谷時子さんを演じるのは斉藤由貴さんである(予定)。

  今年は越路さんの33回忌だそうである。越路さんの舞台同様に、明るく、華やかで、楽しく、そして激しい作品にしたい(予定)。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月23日(木)

  通し稽古。

  最初の読み合わせが1月24日だったから、ほぼひと月で通せる所まで来たことになる。この規模の新作ミュージカルとしては大変順調だ、と言えるだろう。
  もちろん、まだまだ課題は山積している。が、集中を切らさずに、とにかく最後まで辿り着くことができた、という意味で、大変良い「初通し」であった。
  通し稽古の後は駄目出し、その後、更に抜き稽古。山積している課題を貪欲に減らす。

  明日は稽古場最後のOFF。別スタジオではオーケストラのリハーサルが始まる。

  日比谷シャンテでは、今日から『ジキルハイド』パネル展が始まった(詳細はこちら)。お近くにお出かけの際は是非お立ち寄りください。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月22日(水)

  稽古前に『王様と私』の舞台美術打ち合わせ。

  美術デザイナーの土岐研一さんが素晴らしくきれいな舞台模型を作って来てくれた。なのに、もう一案、その模型とは違うコンセプトのデザインを考えてくれる様にリクエストする。演出家って冷酷だなあ。嫌な顔ひとつせずに引き受けてくれた土岐さんに感謝。
  公式ページでは出演者(+1名)のコメント・ムービーがUPされている。ご興味がある方はこちらからどうぞ。

  『ジキルハイド』は昨日の予告通り全幕、全場面を当たる。お陰で今日もタフな1日だったが。
  だが、その甲斐あって、場面場面のクォリティは確実に上がっている。前回までの『ジキルハイド』を愛してくださった方にも、今回が初『ジキルハイド』の方にも、十分に満足していただけるミュージカルになりつつあると思う。

  明日はいよいよ初の通し。この稽古場で過ごすのも、あと1週間である。

  You Tubeの東宝チャンネルで『ジキルハイド』の稽古場風景映像公開中。観劇日まで我慢できない、と言う方はこちらからどうぞ。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月21日(火)

  1幕のラストから2幕のラストまでを整理。

  一昨日(19日)の稽古頭に、「今日と明日はタフな2日間になるだろう」と宣言して稽古に入った。
  タフ(tough)と言う言葉を辞書で引いてみると、「骨の折れる」「難しい」「粘り強い」「不屈の」「乱暴な」「物騒な」と言った文字が並んでいるが、連日、確かにタフな稽古であった。宣言と違っていたのは、それが3日間だったことである(19日の日記を参照)。

  広い稽古場、と言っても、セットを建て込むとキャスト&スタッフの居場所は、もう猫の額ほどしかない。近隣への騒音防止が徹底している建築物なので窓も少なく、澱んだ空気の入れ替えが捗らない。きれいで、使い勝手も考えられている良い稽古場なのだが、稽古が長時間に及ぶと、ちょっと意識が遠ざかりそうになる。

  だが、タフな3日間を過ごしたお陰で作品の完成度は大幅に上がった。が、出突っ張りの石丸さんには過酷な3日間だったろうと想像する。
  「昨夜は9時間寝てしまった」と石丸さんは仰っていたが、今夜はそれ以上寝られるだろう。が、ジキル&ハイド役は幕が開いてからも過酷だから、ま、いいか。

  明日は全幕を当たる予定。最近、予定通りに行かないことが多いけど。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月20日(月)

  昨日整理した1幕前半をさらった後、1幕の後半を細かく当たる。

  1幕は広い稽古場に移動する以前に作ったので、立体的なセットを使用しての立ち稽古は昨日、今日が初めてである。それも稽古に時間が掛かっている理由のひとつ。
  稽古後は、劇中で流れる声の録音。幕開きのアレとか、研究室のアレとか……を録る。それにしても石丸さんは良い声だなあ。

  ところで「チケットぴあ」のニュースのページに『ジキルハイド』の稽古場の様子がUPされている。
  愛想の無いこの日記と違って、稽古場の写真付きのレポートである。キャストたちの背景には、稽古場に組まれた本番用の舞台美術の一部も映っている。ネタバレを厭わない方はこちらからどうぞ。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月19日(日)

  昨日の記事に励ましのコメントをくださった皆さん、ありがとうございました。私は元気です。

  さて。

  ラスト・シーンまで行ったので1幕に戻る。

  今日と明日で1幕、2幕をひと通りさらう、という方針の下に稽古をスタート。まだまだ未完成な部分が多く、それらを放置したままにもできないので、それらのひとつひとつを潰して行く。
  それらは芝居の段取りであったり、音楽的な約束事であったり、位置や動線であったり、ニュアンスやタイミングであったり……、つまり良い芝居にするためのあらゆることである。

  今までで最も遅い時刻まで粘ったのだが、今日は1幕の半分程までしか進まず、今日、明日で1、2幕、と言う野望は脆くも崩れ去った。
  が、多分そうなるのではないか、との予感もあったので、メニューを消化できなかったことでの落胆は無い。それよりも、今日の稽古で達成できたことでの充実度が遥かに勝っている。少なくとも私個人は。

  と言う訳で、今日と明日と明後日で1幕、2幕をひと通りさらう。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月18日(土)

   1時間かけて書いた長文が消えた。

  再び書き直す気力が最早無いので、今日の日記は簡単に。
  今日はラスト・シーンを作る。その後、「事件、事件」を更にブラッシュ・アップ、そして、「事件、事件」の未完部分に手を付ける。

  悲しいなあ……。「ココログ」のバカっ!!

| | コメント (2)

『ジキル&ハイド』通信

2月16日(木)

  「事件、事件」3日目。

  昨日までに作ったものを更にブラッシュ・アップ。充実した、見応えのあるシークェンスになって来たと思う。が、時間切れで最後までステージングできず。残りはまた後日。

  「事件、事件」後は衣裳合わせ。

  『ジキルハイド』は衣裳点数の多いミュージカルである。キャストの人数に比して、ひとりひとりの演じるキャラクターが多いからである。今日もざっくりとした衣裳合わせであったにもかかわらず、結構遅い時刻までがかかってしまった。
  キャスト&スタッフの皆さん、お疲れさまでした。その代わり明日は稽古OFF。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月15日(水)

  今日から広い稽古場に移動した。

  スタッフの皆さんは昨日から1日半かけて、稽古用のセットを搬入し、建て込んでくださった。その一部は本番用でもある。これで高低を利用した立体的なシーンの稽古が格段にやり易くなる。ありがたいことである。

  稽古は昨日に引き続き「事件、事件」。

  今日はアクション・コーディネーターの渥美さんも加わって、あの人があの人たちにあんなことする一連を作る。1幕の幕切れ、そしてここの一連、そしてまだ作っていないがラスト・シーンの「あの人があんなことをする」は、前回までのやり方を一新することにした。「あの人」のキャラクターが新しくなっているからである。
  「事件、事件」では、前回までのヴァージョンでは、人の流れが途切れた一瞬にあの人が現れる様にしていたのだが、今回は人が居ようが居まいがお構いなしである。その分、周りの人々の動線の処理がより複雑になり、観ている分には面白いが、稽古に費やす時間はその分増えている。

  明日は「事件、事件」のまとめ。首尾良く時間内に仕上がります様に!

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月14日(火)

  稽古前に笹本玲奈さんの衣裳合わせ。娼婦であるルーシーとは対照的に、エマの衣裳は貴族らしく端正でエレガント。どれも笹本さんの伸びやかな肢体に良く映える。
  それにしても玲奈ちゃんはウェディング姿が多いなあ。『イーストウィックの魔女たち』『ミー&マイガール』も『ガイズ&ドールズ』も……。

  稽古は、まだ手を着けていなかった2幕1場「ロンドン・モンタージュ」に取り掛かる。
  2幕1場はミュージカルナンバー「事件、事件」がその全てを占めている。10分にも及ぶ『ジキルハイド』最大のミュージカル・シークェンスで、その中で更に9つのシーンに分けられる。
  世紀末のロンドンを恐怖のどん底に叩き込んだ連続殺人事件の裏表が描かれるシークェンスであるが、「モンタージュ」と謳われている以上、単純なエピソードの羅列に終わってしまっては余りにもつまらない。音楽の持つダイナミズムも利用しながら、過剰なくらい情報量の多い、視覚的にも複雑で重層的なシークェンスを作りたい。

  と、口で言うのは容易いが、実現するのは大仕事である。なので、この場面の為だけに3日間を確保した。
  1日目の今日は、ラフで良いのでまず全体像を作ることを目標とした。このデッサンを基にして、2日目の明日はあの人があの人たちをああするシークェンスを作り、その上で3日目は緻密に仕上げて行こう、という作戦である。

  長時間の試行錯誤に付き合ってくださったキャスト&スタッフの皆さん、ありがとうございました。特にうーちゃん、お疲れさまでした。

| | コメント (0)

『ラ・カージュ・オ・フォール』千穐楽 そして『ジキル&ハイド』通信

2月13日(月)

  1月7日に東京・日生劇場で幕を開けた『ラ・カージュ・オ・フォール』が名古屋・愛知県芸術劇場 大ホールで千穐楽を迎えた。

  ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。そしてキャスト&スタッフの皆さん、お疲れさまでした。
  私が初めて『ラ・カージュ・オ・フォール』を観たのは23歳の時である。その時の私に「お前がこれを演出するんだよ」と言っても、きっと信じてくれないだろう。今この時に心から感謝。

  さて。

  『ジキルハイド』は濱田さん&笹本さんの歌稽古から。その後「嘘の仮面」を固め、更にその後、今までに手を付けた2幕をひと通りおさらい。
  稽古後は濱田さんの衣裳合わせ。製作発表の時に、私は「えっちな濱田さんを引き出したい」みたいなことを口走っているのだが、衣裳を着けた濱田さんは本当にセクシー。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月12日(日)

  午前中はミュージカルアカデミーの入試3日目、午後は『ジキルハイド』の稽古場へ。2幕5場と6場を作る。

  2幕5場は「どん底」のルーシーの部屋である。そこへアターソンがジキルからの手紙を届けに来る。手紙を読み、ヘンリーの気持ちに心打たれたルーシーは「新たな生活」を歌う。そこへ……。
  続くミュージカル・ナンバー「対決」の丸々1曲が2幕6場になっている。誰と誰が対決するのかは……もうお分かりだろう。

  石丸さんは昨晩、「理事会で皆にいじめられる夢」を見たのだそうだ。
  昨日の歌稽古で「理事会」の場面を何度も繰り返したからかも、と仰っていたが、夢の中で岡田静さん演じるビーコンズフィールド夫人に、持っている扇で何度も何度も叩かれたらしい。見兼ねた私が「岡田さん、扇使い過ぎです」とダメを出した模様だ。

  今日の夜は良い夢が見られます様に。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月11日(土)

  午前中はミュージカルアカデミーの入試、午後は『ジキルハイド』の稽古場へ。2幕4場「ジキルの研究室」を作る。

  ここは石丸幹二さんと吉野圭吾さんの2人きりのシーンである。なので稽古場もなんだか寂しい。ヘンリー・ジキルから「ある薬品」を受け取って来るように頼まれたアターソンが研究室に戻ってみると……。
  この場面の終わりにはミュージカル・ナンバー「苦悩2」がある。何年か前に『ジキルハイド』のトーク・ショーが行われた時、「1番好きなナンバーは?」と聞かれて、私は「苦悩2」と答えた。楽曲自体は勿論、このナンバーが歌われるシチュエーションも、これを歌う時のジキルの心理も、最高に格好いいと思うのである。

  2幕4場の後は全体で歌稽古。
  ある程度立ち稽古が進み、キャストたちにもどんな心理で歌っているのか、何をしながら歌うのか、と言ったことが浸透して来たので、「ではそれを音楽的にはどう表現するべきなのか」にもう1度立ち帰る稽古である。
  音楽監督の甲斐正人さん渾身の、3時間に及ぶ充実した歌稽古であった。その姿は、あたかもヘンリーの情熱が、エドワードの欲望が乗り移ったかの様であった。

  ところで、『ジキルハイド』公式ページの左下に赤いウィンドウで表示されている『ジキルハイド』2012公式Twetterで、稽古場見学会が開催されることが告知されている。
  2月16日(木)23:59までに東京公演をホリプロオンラインチケットで購入された方が対象であるが、ご応募いただければ幸いである。

| | コメント (0)

ミュージカルアカデミー入試 そして『ジキル&ハイド』通信

2月10日(金)

  一般社団法人映画演劇文化協会が主催する、ミュージカル俳優を目指す若者たちのためのスクール「ミュージカル・アカデミー」。その入試が今日から3日間の日程で行われている。

  私はアカデミーで演技の講師を務めるので、この3日間、演技の試験に立ち合うことになる。1日目の今日も、目をキラキラさせた、若干緊張気味の未来のミュージカル俳優たちに大勢お目に掛かった。
  試験では、演技、歌唱、ダンス、それぞれに課題が与えられ、それらが審査される。経験の有無が問われることは無いのだが(未経験者も大歓迎)、可能性や潜在能力がどうすれば審査する側に伝わるか、そのことは意識しておいた方が良いと思う。

  皆さんが全力を出し切れます様に!

  さて。

  午後は『ジキルハイド』の稽古場へ。アカデミーの入試会場と『ジキルハイド』の稽古場が同じ建物内にあるのが何よりもありがたい。
  今日は2幕の2場、3場をおさらい。それぞれのキャストが前回稽古したことを踏まえて、新しいアイデアを試したり、感情や手順を深化させたりしてくれる。とても建設的な稽古場になっていると思う。
  稽古後は、明日以降に稽古する場面のことでうーちゃんや演出助手の郷田さん、演出部の皆さんと意見交換。稽古スケジュール的にはクライマックスも近い!

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月9日(木)

  稽古場に着くと、まだ時間前だと言うのに大勢のキャストが稽古着に着替えて身体を動かしていた。どうやらヨガ教室が開校されたらしい。講師は岡田静さんである。

  さて。今日はミュージカル・ナンバーの固めデー。
  いつもの様に全体で発声を終えた後、うーちゃんによるフィジカル・ワークショップ。ペアを組んでお互いの身体を入念にほぐし、更に身体を使っての色々な表現にトライ。そしてその後、ミュージカル・ナンバーの固めへ。
  「嘘の仮面」や「同・リプライズ1、2」「連れてきて」「生きている」「あんな人が」など、大勢の登場するナンバーをひと通り当たり、ニュアンスや表現の質などに更に踏み込んで固めて行った。比較的若手が多いと思われる今回のカンパニーであるが、その若手たちにはとても刺激になっただろう。

  稽古場には前回版までのスタッフの何人かが密かに登場。今回版のスタッフに、あんなことやこんなことをこっそり教えてくれる。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月8日(水)

  昨日作った2幕3場の「どん底」をおさらい。その後、「嘘の仮面・リプライズ2」をステージング。

  「嘘の仮面」は劇中で都合3回登場するが、歌われる毎にその雰囲気やニュアンスが異なる。
  同じモチーフが変奏される面白さがそこにはある訳だが、その差異を効果的に生かすために、最初の「嘘の仮面」と「嘘の仮面・リプライズ2」はうーちゃんに作ってもらい、「嘘の仮面・リプライズ1」は私が担当した。
  つまり「嘘の仮面・リプライズ1」は多分に演劇的で、他はより様式化されたステージングがされているのである。

  連日、長時間の稽古が続いていたので、今日はやや早めに稽古を終える。稽古後は、稽古と並行して行われていた大道具の発注に顔を出す。
  そして、別スタジオで稽古中の『ビューティフル・サンデイ』の稽古場を覗く。コーヒーごちそうさまでした。
 

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月7日(火)

  2幕3場「どん底」を作る。

  ここは「その目に」に続く場面である。ここには2つのミュージカル・ナンバーがあり、ひとつはルーシーの歌う「あたしは誰」で、もうひとつは「罪な遊戯(あそび)」である。
  ブロードウェイ版と我々のヴァージョンとでは「あたしは誰」が歌われる場面が異なっている。ブロードウェイ版では「あたしは誰」は1幕の「どん底」で歌われているが、我々のヴァージョンではここで歌われる。我々にライセンスされている台本・スコアとブロードウェイで使用された物とが異なっているのである。

  「あたしは誰」は2分ほどの短いナンバーで、芝居的に演出された場面にしたかったので私が作った。「罪な遊戯」は4分近い大ナンバーで、2幕中盤のハイライトでもある。こちらはうーちゃんにお願いした。
  ミュージカルは、多くの場合はこの様に共同作業で作られる。スーザン・ストローマンやトミー・チューンの様に、自身が優秀な振付家でもある場合はその限りではないが、私の様にそうでない演出家がミュージカルを手掛ける場合は、振付家と、そして俳優との共同作業で場面を作って行くことになる。
  「罪な遊戯」は4時間近くを費やしてステージングされた。大変魅力的なナンバーになったと思う。うーちゃん、ありがとう。

  「罪な遊戯」の後は、1幕の2つのナンバー「連れてきて」と「嘘の仮面・リプライズ1」をおさらい。どんどんミュージカルらしくなって行く。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月6日(月)

  1幕のラストシーンをさらった後、2幕2場「ジキルの研究室」を作る。

  ここには3つのミュージカル・ナンバーがある。エマの歌う「あれは夢」、ジキルの「狂気」、そしてエマとルーシーのナンバー「その目に」である。
  「その目に」は、昨年11月15日に行われた製作発表の時に、濱田めぐみさんと笹本玲奈さんが歌われたナンバーである。その様子(と、石丸幹二さんの「時が来た」)は公式ページでもご覧頂くことができる(こちらからどうぞ)。
  因みに、公式ページの映像で「時が来た」を歌われる石丸さんには立派な髭があるが、それは当時『GOLD』で彫刻家のロダンを演じていたらしたからである。ヘンリー・ジキルは髭無し、である。

  2幕2場の後は1幕をおさらい。
  順調に仕上がっている場面もあれば、遥か忘却の彼方に旅立ってしまった場面もあるが、この段階では致し方ない。当面は2幕のラストまでとにかく進み、全体像を早くキャスト&スタッフに把握して貰うことが先決である。細部の詰めはその後で。

  明日もどんどん先へ進む。明日はいよいよ「罪な遊戯(あそび)」のステージング。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月5日(日)

  稽古前にアクション・コーディネーターの渥美博さんと打ち合わせ。

  渥美さんは日本を代表するアクション・コーディネーター/殺陣師のおひとりである。先月青山劇場でやっていた『ポニー&クライド』のアクションも、今シアタークリエでやっている『ハムレット』のアクションも渥美さんの手になるものである。最近の私の作品では『風と共に去りぬ』のアトランタ炎上シークェンス、そして『三銃士』の大チャンバラも渥美さんである。
  渥美さんは「あの人があの人にああされる場面」の為にやって来た。前回までの『ジキルハイド』でも「あの人をああしていた」のは渥美さんである。初演をご覧になったレスリー・ブリカッスさんご夫妻は、1幕最後のこのシークェンスを大絶賛されていた。

  机上では既に何度も打ち合わせを重ねて来たのだが、今日は稽古場に実寸で舞台を飾った中で、今まで打ち合わせて来たことを最終確認。ひと通り手順が決まった所で1幕のラスト・シーンの稽古に入る。
  前回までとは随分と印象の異なる「あの人があの人にああされる」場面になったと思う。この場面だけでなく、あらゆる部分で新しい『ジキルハイド』になっている。劇場で、実際のセットと照明の中で、早く全てのシーンを見てみたくてウズウズする。

  1ラスを作った後は、その前の場面「ジキルの書斎~ロンドンの通り」からラストまでを繋げてみる。登場人物の様々な思いが交錯してドラマティックでもあり、ミュージカルとしてのダイナミズムや華やかさもあって、やはり良くできたミュージカルなのだと思う。

  稽古後は音響デザイナーの山本浩一さんと打ち合わせ。
  山本さんは日本を代表する音響デザイナーのおひとりである。『ポニー&クライド』も『ハムレット』も『ラ・カージュ・オ・フォール』も富山の『ハロー・ドーリー!』も山本さんである。

  渥美さんも山本さんも超多忙だが、多忙なのにはちゃんと理由があるのである。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月3日(金)

  「生きている」に続く「ジキルの書斎~ロンドンの通り」の場面を作る。その後「生きている」をさらう。

  ヘンリー・ジキルの周囲に様々な変化が現れる。それがジキル本人だけでなく、ジキルの理解者たち、アターソンや婚約者のエマ、エマの父であるダンヴァース卿をも苦しめることになる。この場面には、その4人の胸中を描くナンバー「仕事をするだけ」がある。
  そして、「どん底」で知り合ったルーシーがジキルの家を訪ねて来る。ルーシーが訪れた理由は……。ここにはルーシーのナンバーが2つ、「同情、愛情」と「あんなひとが」がある。ジキルの優しさに触れたルーシーは次第に人間性を取り戻して行く。ここではその様がナンバーになっている。

  これで1幕のほとんどに手を付けた。残るは1シーン。あの人があの人にああされる場面だけである。
  が、明日は稽古はOFF。あの人をああするのは、休み明けまでひとまずお預け。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月2日(木)

  昨日作った「ジキルの書斎~研究室」の場面をさらう。その後、それに続く場面「ロンドンの街」を作る。

  この場面は丸々がミュージカル・ナンバー「生きている」である。ジキル博士の研究室で誕生したエドワード・ハイドが研究室を飛び出し、ロンドンの街を荒々しく闊歩する姿が描かれる。
  余談だが、『ジキルハイド』のExit Musicに使われているのが「生きている」である。
  Exit Music(エグズィット・ミュージック)とは、カーテン・コールが終わった後、場内が明るくなってからオーケストラによって演奏される楽曲のことである。「終曲」とも訳されるが、我々の仲間内では「追い出し音楽」、あるいは単に「追い出し」とも言う。
  何よりも大事なお客様を「追い出す」とは甚だ失礼な符丁だが、どうかご容赦いただきたい。

  閑話休題。エドワード・ハイドが誕生すれば物語の第1章は終わりである。ヘンリー・ジキルが生涯を賭した実験は思いもよらぬ方向へと走り出す。もう誰にも止めることはできないのである。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

2月1日(水)

  昨日作った「“どん底”の前」、そして「店内」をさらった後、「連れてきて」の後の芝居部分=ジキルがルーシーと出会うシークェンスを作る。その後、「プロローグ~病棟」をさらった後、「どん底」に続く場面=「ジキルの書斎~研究室」を作る。
  ある決意を固めたジキルは「どん底」から意気揚々と帰宅する。活力を取り戻したジキルに安堵したアターソンも早々に引き上げる。ジキルは、父親の代からこの家に仕える執事のプールを寝かせると、ひとり研究室へと向かう……。

  この一連のシークェンスは『ジキルハイド』前半のハイライトである。ここでは、このミュージカル最大のヒット曲「時が来た」が歌われる。そしてその後、ジキルは人類の未来を賭けた実験に乗り出して行く。
  ジキルが書斎を出て研究室に到着するまでをどの様に表現するか。この半年、そのことをずっと考え続けて来た。結果的にはこう言う形に落ち着いたのだが、自分では満足の行く形になったと思っている。どんな形になったのかは、どうぞ劇場で。

  閑話休題。研究室に入ったジキルは、実験の一切を記録しようと決める。そして、「HJ7」と名付けられた試薬に手を伸ばす。その薬を飲んだジキルの身体に……。
  この実験の一連が、「時は来た」に続くナンバー「変身」になっている。「時が来た」は、ストーリーを進行することよりも、その時の主人公の心情を観客に届けることに重きを置いたナンバーである。一方「変身」はナンバーがそのままストーリーになっている。
  「時が来た」の様なナンバーでは、その楽曲のスケールと拮抗するエネルギーが演じ手には必要となるが、「変身」の様なナンバーでは、ディテールの細部を丁寧に追って行く精密さや集中力が不可欠である。

  「ジキル」と言う役には、その両方が要求される。多くの俳優が「この役を演じたい」と願う理由のひとつはそれなのだろうと思う。

| | コメント (0)

『ジキル&ハイド』通信

1月31日(火)

  ジキルがルーシーと出会うことになるパブ「どん底」。「どん底」前の通りと、それに続く店内の場面を作る。

  「どん底」は、ロンドンの場末、カムデン・タウンにあると言う設定のパブである。パブを名乗っているが、その実態は娼館である。新薬を完成させるのに必要な実験の許可が得られず失意の底にあるジキルを慰めるために、親友のアターソンがジキルを強引に連れて来るのが「どん底」である。ここでジキルは一筋の光明を見出すことになる。
  ジキルの家があるのはリージェント・パークである。ロンドンの地図を見ると、リージェント・パークとカムデン・タウンが目と鼻の先であることが分かる。ロンドンの高級住宅地のひとつであるリージェント・パークと、ロンドンで一番いかがわしい街であるカムデン・タウンは、まるで「表」と「裏」の様な位置関係で存在しているのである。

  今日はまず「「どん底」前の通り」にあるミュージカル・ナンバー「嘘の仮面・リプライズ1」をステージング。その後「連れてきて」をステージング。更に「どん底」前の芝居部分を当たるが、そこで時間切れ。「連れてきて」後の芝居部分は明日に持ち越し。

  「連れてきて」は、『ジキルハイド』では数少ない陽気な場面なので、稽古場自体も陽気で明るいリラックスした1日であった。明日も「どん底」。そしてジキルはある決意を固める。

| | コメント (1)

« 2012年1月 | トップページ | 2012年3月 »