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2011年12月の記事

『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月28日(水)

  2回目のオケ付き通し稽古。

  私にとっては今までで最も満足度の高い『ラ・カージュ・オ・フォール』であった。
  ミスが無かった訳ではない。が、キャストもオーケストラもスタッフも、カンパニー全体が「どこに向かえばいいか」をしっかりと自覚して、それぞれの持ち場で確実に仕事をした。そのことが私を満足させたのである。『ラ・カージュ・オ・フォール』が前回で「ファイナル」にならくて良かった、と心から思ったオケ付き通し稽古であった。

  これで年内の稽古は全て終了した。『ラ・カージュ・オ・フォール』通信も、年内は今日が最後である。ご愛読くださった皆さん、ありがとうございました。来年は1月4日からお送りする予定。

  どうぞ良いお年をお迎えください。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月27日(火)

  オケ合わせ2日目。そして1回目のオケ付き通し稽古。

  残された2幕後半のオケ合わせを終えた後、通し稽古に突入。オーヴァーチュアからいきなり手拍子が沸き起こる。
  今までスタッフ、キャストが長テーブルを並べていたエリアにオーケストラが鎮座しているので、私の席は一段と舞台に近づいた。真島さん扮するハンブルクのハンナが鞭を振り回すシーンでは命の危険を感じる程である。

  始まってしまえば「あっ」という間の3時間である。オープニングでジョルジュが観客に向かって喋る台詞にある様に、『ラ・カージュ・オ・フォール』は「フィナーレに至るまで、どの場面をとっても極上のシャンパンの味わい」である。退屈な場面や無駄な台詞は一切ない。

  明日は2回目のオケ付き通し稽古。そして、稽古場最終日、仕事納めである。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月26日(月)

  オケ合わせ1日目。

  17名編成のオーケストラである。日本初演時は更に大きな編成だったのだが、現在はキーボード類が飛躍的に発達したので、この人数でも遜色のないサウンドを奏でることができる。それでも、この17名は今日では大変な贅沢だと思う。
  『ラ・カージュ・オ・フォール』には、ブロードウェイ・ミュージカルの最良の部分が隅々にまで詰まっている。脚本、演出、振付、音楽、舞台美術、衣裳、照明……。こうしてオーケストラの演奏する『ラ・カージュ・オ・フォール』のナンバーを改めて聞いてみると、編曲やオーケストレーションに凝らされた工夫やそのためのエネルギーなど、改めてブロードウェイの伝統や人材の層の厚さを思い知らされる。

  今日はオーヴァーチュアから2幕2場のダンドン一家の登場まで、順調にメニューを消化してオケ合わせを終えた。明日は今日の続き。その後、オケ付き通し稽古である。

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『ダンス オブ ヴァンパイア』東京千穐楽

12月24日(土)

  帝国劇場開場100周年記念公演『ダンス オブ ヴァンパイア』千穐楽。

  ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。キャスト&スタッフの皆さん、お疲れ様でした。
  今年は帝劇の100年の中でも特に記憶に残る1年だったと思う。
  本来であれば、今年1年は劇場と劇場を愛する人々を祝福する1年になる筈であった。が、実際は、劇場と劇場で働く者たちの使命を再確認する年になった。

  記念すべき年に、帝劇で4作品を演出する機会をいただいた事は、東宝で27年間芝居作りに携わって来た者として大変光栄なことであった。
  芝居作りは子供を生みだすことと似ていると思う。健やかで逞しく、皆に愛される子になって欲しいと念じて励むのだが、期待通りの子はそう簡単には生まれない。親の心子知らず、である。
  しかし、どんな子が生まれても愛情を尽くして生んだ子に違いはない。大勢に愛されることになった作品もそれ程でもなかった物も、私にとっては掛け替えのない大切な1本1本である。

  今年は、私自身も芝居を作ることを通して力を貰った1年だった。

  身の回りの繁栄が未来永劫続くものだと無邪気に信じていたスカーレット・オハラは、震災前の私たち自身の姿だったろう。その繁栄は南北戦争によって跡形もなく崩れ去る。一面焼け野原となったタラの地に立って「私は負けない」と誓うスカーレットの決意表明が、今年ほど私たちの胸に響いたことは無かっただろうと思う。
  「ひとりは皆のために、皆はひとりのために」という三銃士のモットーに、稽古場に集まる一同が(演じている本人たちでさえ)どれほど元気をもらったか。ダルタニアンの父がダルタニアンに繰り返し語って聞かせた「勇気、誇り、そして分かち合う心が、人生を生きるに値するものにする」と言うメッセージにもまた同様である。
  そして『ニューヨークに行きたい!!』のラスト・シーン。世代や価値観の異なる人々が、それまでのわだかまりを乗り越えて互いの存在を認め合う。そこで歌われる「未来は今、始まる」。未来は「そこ」からこそ始められるべきであろう。

  そして『ダンス オブ ヴァンパイア』である。今年の『ダンス オブ ヴァンパイア』も熱く熱く盛り上がった。劇場が果たさなければならない使命を、関係者ひとりひとりがきっちりと果たした成果だったろうと思う。

  さて『ダンス オブ ヴァンパイア』は引き続き大阪へと向かう。年が明けて2012年の1月7日開幕である(詳細はこちら)。チケットの残りは僅少であるが、スタッフ&キャスト一同、牙を研いでお待ちしています。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月23日(金)

  2回目の通し稽古。

  カジェルのひとり、「金の喉仏を持つ」シャンタルを演じるのは新納慎也さんである。
  新納さんと言えば、『ウェディング・シンガー』の「ボーイ・ジョージに憧れるキーボーディスト」のジョージなど、個性的でアクの強い役を演じることが多い。そして、そう言った役を、新納さんは誰にも真似できない演じ方で演じ、更に個性的にしてくれる。
 シャンタルも、「心優しいのに毒舌」で、新納さんの持ち味の生きた素敵なキャラクターになっている。が、『ラ・カージュ・オ・フォール』で注目していただきたいのは、新納さんがシャンタルではないキャラクターで登場する2幕1場である。

  この場面には、アルバンが男らしい振舞いを練習するナンバー「男のレッスン」があるのだが、このナンバーでは、カジェル達も別キャラ「逞しい港の男たち」として登場する。その中に、とても普通な男性として、実に新納さんらしくない役で新納さんも登場している。
  新納さんのファンの方は、普通の役でも案外すてきな新納さんを、「ウォーリーを探せ」の様に探してみてください。

  さて、別稽古場では本日よりオーケストラのリハーサルがスタート。次はいよいよオケ合わせである。が、その前に明日、明後日は稽古OFF。

  皆さん良いクリスマスを!

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月22日(木)

  1回目の通し稽古。

  改めて『ラ・カージュ・オ・フォール』の持つポテンシャルの高さを再認識した通し稽古であった。極めて順調、と言って差し支えない仕上がりであったと思う。

  通し稽古後、カジェルたちのダンス・ナンバー「カン・カン・シークェンス」を衣裳付きで当たる。
  「カン・カン」(フレンチ・カンカンと呼ばれることも多い)は、19世紀後半から20世紀にかけてパリで大いに評判を呼んだ、陽気で激しくセクシーなダンスである。踊り子たちが大きく足を上げたり、走り回ったり、股を割ったり、スカートをたくし上げてお尻を見せたり……と、それこそ『ラ・カージュ・オ・フォール』に相応しい。
  「カン・カン・シークェンス」の振りは、衣裳を巧みに捌くことで成り立っている。その衣裳がかさ張る上に重い。加えて、その衣装でアクロバットもこなさなければならない。なので、安全に、美しく、楽々と演じてる様に見えるために、入念に確認をしながらの稽古であった。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』の稽古後は王様と私の打合わせへ。

  今回の『王様と私』は、「ハロー・ミュージカル!  プロジェクト」の「ミュージカル・ツアー」第1弾である。
  「ハロー・ミュージカル!  プロジェクト」は、一般社団法人映画演劇文化協会が運営する、「ミュージカルを手軽に多くの人に楽しんでもらいたい」と言うプロジェクトで、「ミュージカル・ツアー」は、本格的なミュージカルを全国各地で上演しようとする試みなのである。

  今まで本格的なミュージカルが上演されることの少なかった場所に出掛けて行く、と言うことはとても意味のあることだと思う。ミュージカルや演劇などのパフォーミング・アーツは、生(ライヴ)で、その場にいて鑑賞することが最大の価値だと思うからである。
  が、それぞれ条件が異なる各地の会場を効率よく巡業して回るのは、その理念とは裏腹に数々の困難が伴うのも現実である。
  その困難をどう乗り越えて行くか。そのために各セクションがどう知恵を絞るか、と言うのが今日の打合せの趣旨であった。

  このプロジェクトが軌道に乗り、全国の様々な都市で、毎年の様に素晴らしいミュージカルが上演される様になることを願って止まない。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月21日(水)  

  立ち稽古。今日こそ全幕、全場面である。

  マエストロは、今日は極めて事務的に登場した。昨日の一件で、もしかするとマエストロのモチベーションが大幅に下がっているのかもしれない。演出助手の落石君も、そう言って心配顔になった。
  こう言う時は、マエストロに少しでも多く活躍して貰うに限る。で、今日は、昨日までは割愛してきたオーヴァーチュアから稽古をスタートすることにした。
  もちろん、我々の悪い想像は杞憂であった。ひとたびタクトを握れば、いつもと同じ熱い熱いマエストロであった。今「タクトを握れば」と書いたが、筆が滑った。稽古場ではマエストロは素手で指揮をしていて、指揮棒は握っていないのであった。

  それはともかく、今回の『ラ・カージュ・オ・フォール』は、芝居部分の密度が更に濃くなっている。ファニーな部分は更にファニーに、切ない部分は更に切なく。こうして再演の機会が与えられたことに心から感謝したい。

  明日はいよいよ通し稽古。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月20日(火)

  2幕をおさらい。

  今日は音楽監督・指揮の塩田さんの意気込みが違っていた。朝、家を出る時から既に気持ちが高ぶっていたらしい。恐らく昨夜からそうだっただろう。そう思わせる様な高揚感で、マエストロは稽古場に登場した。
  塩田さんの『ラ・カージュ・オ・フォール』に対する思い入れの強さは、誰よりも良く知っているつもりであった。この日記でも、幾度となくそのことに触れて来た(こちら)。が、今日のマエストロは、私の知るマエストロ以上に熱く熱く燃えていた。

  高揚したマエストロは、ミュージシャンの何人かにも声をかけ、稽古場に誘って来て下さった。キーボードの村松さんは、わざわざ楽器まで持ち込んでくださった。
   稽古も終盤に入り、まもなく通し稽古を迎える、と言う時期である。マエストロの心意気が何よりも嬉しく、そして心強く感じられた。
  が、マエストロが今日ハイ・テンションで登場したのは、「今日は全場面を稽古する日」だと勘違いしていたからなのであった。ミュージシャンの皆さんも、「今日は全場面が見られる」と意気込んで稽古場にやって来たのであった。

  明日は全場面を稽古。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月19日(月)

  衣裳合わせデー。稽古は無し。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』が世界初演された劇場は、ブロードウェイのパレス・シアターである。
  パレス・シアターは1913年3月24日にヴォードヴィルの殿堂として開場した。アル・ジョルソン、エディ・キャンター、ボブ・ホープ、ファニー・ブライスと言った、錚々たるスターたちが当時のパレスに立っている。
  やがてミュージカルの時代が訪れると、パレスでも数々のミュージカルが上演されるようになった。『スィート・チャリティ』『アプローズ』『ウーマン・オブ・ジ・イヤー』『ウィル・ロジャース・フォーリーズ』『美女と野獣』『アイーダ』『オール・シュック・アップ』『リーガリー・ブロンド』等である。
  同時に、パレスはスーパースターのライヴ会場としても歴史を刻んで来た。ジョセフイン・ベーカー、シャーリー・マクレーン、ダイアナ・ロス、ベット・ミドラーなどがその名を留めている。
  ジュディ・ガーランドもパレスでライヴを行ったひとりである。そして、その娘ライザ・ミネリも。共に“At the Palace”と言うアルバムを残しているが、ライザのそれは、2人の足跡がだぶって一際感動的である。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』も、そんなパレスの1ページである。以前、「パレス・シアターは、日本で言えば帝劇みたいな所だよ」と教わったことがある。
  『ラ・カージュ・オ・フォール』が日本では帝劇で初演されたのは、あながち偶然ではなかっただろう、と思う。

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『ジキル&ハイド』通信

12月18日(日)

  『ラ・カージュ・オ・フォール』はお休み。『ジキルハイド』の舞台美術打ち合わせ。

  基本的な美術プランはほぼ出来上がっている。今日は照明デザインと大道具製作の観点からのミーティングであった。
  美術デザイナーの大田創さん、照明デザイナーの高見和義さん、舞台監督の小林清隆さん、演出助手の郷田拓実さん、それに大道具製作の俳優座劇場舞台美術部の皆さんが集まってくださった。

  出席者に演出プランをひと通り説明している途中で、初演(2001年)時の打ち合わせのことに話が及んだ。

  山田「10年前も同じ様な話してたけど」
  高見「あれは、もう10年前ですか!?」

  その通り。あれからもう10年も経ったのである。帝劇の地下稽古場で、厚紙で舞台模型を作りながら(私も作った)、毎回毎回、何時間も何時間も、ああでもない、こうでもないと知恵を絞った、あれからもう10年が過ぎたのだ。
  あの時あの場所にいた人は(大田さんも郷田さんも)、みんな同じような感想を抱いただろうと思う。私もとても10年前とは思えない。

  高見「どうりで頭も白くなる訳だ」

  と、私と生年月日が同じ高見さんは言った。私の場合は頭よりも髭が白くなったけど。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月17日(土)

  1幕をおさらい。

   テンポ、と言うか、会話のリズム、と言うか、そういう部分がとても良くなって来た。
  台詞には、それに相応しいスピードと言う物がある。相応しいスピードで喋られて、初めて、意味が聞こえてきたり、リアルに感じられたり、笑いが起こったりするのである。
  鹿賀さんは「会話のスピードが速いからすごく大変」だと仰っているが、鹿賀さんが達成しようとしているスピード感が『ラ・カージュ・オ・フォール』を何倍も楽しく、より自然に、そして感動的にしていると思う。

  全体稽古の後は抜き稽古。テンポ、と言うか、会話のリズム、と言うかが良くないところを改善する。そして、カジェルたちはダンス・ナンバーの修正。前回を超えるための挑戦が続く。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月16日(金)

  立ち稽古。2幕の後半「シェ・ジャクリーヌの店」「アパート~フィナーレ」を稽古。

  「シェ・ジャクリーヌ」のシーンにはミュージカル・ナンバー「今、この時」がある。ジャクリーヌの懇願でダンドン一家の前で歌う派目になったアルバンのナンバーだが、このナンバーの中で観客は、様々な人間関係がひとつずつ修復されて行くのを目撃することになる。
  ここは、数あるミュージカルの中でも最も幸福な場面のひとつだと思う。その幸福感は、ミュージカルだからこそ味わうことのできる素晴らしい体験である。そして、その幸福感で物語を終わらせない所に、作者たちのプロフェッショナルとしての魂を感じるのである。

  何はともあれ、物語も稽古もフィナーレまで辿り着いた。順調にメニューが消化できて、まずはホッとしている。
  明日から2巡目。前回を超える『ラ・カージュ・オ・フォール』に仕上げたい。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月15日(木)

  立ち稽古。2幕の前半、「ムッシュ・ルノーのカフェ」と「アパート」を稽古。

  2幕の「アパート」シーンになってようやく登場するのがアンヌの両親、ダンドン上院議員と、その妻マリーである。ダンドンを演じるのは今井清隆さん、マリーは森公美子さんである。
  森さんは日本初演からこの役を演じて来られた。既に四半世紀を超えている。年齢的には現在の森さんにちょうど良い役だと思うが、この役に相応しい貫禄が、森さんには当時から備わっていたと言うことだろう。
  一方の今井さんは、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『パイレート・クイーン』などで重厚な演技と歌を披露していらしたイメージが強いが、そのイメージが、ダンドン議員を演じる際に大いに生きている。ダンドン議員は重厚に演じれば演じるほど、その俗物ぶりが際立つ役だからである。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』はミュージカル・コメディとして書かれている。恐らく最良のミュージカル・コメディのひとつだと思うが、2幕に入るとファルス(笑劇)の部分が更にエスカレートする。
  が、ファルスの度合いがどんなに強まっても、「この先どうなるのか」と言うストーリー上の興味とヒューマニズムが忘れ去られることは無い。それがこの作品を一級の物にしているのだと思う。

  明日は2幕の後半へ。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月14日(水)

  毎週水曜日の午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。

  今年度=6期生たちとは試演会や集中ワーク・ショップなどを持つことができず、週1回のレギュラー・クラスのみの付き合いであった。そのクラスも来週で最終回となる。
  以前の日記に記した通り、東宝ミュージカルアカデミーは来年度、発展的解消をすることになっている。なので、6年間に及んだ東宝ミュージカルアカデミーの講師としての仕事も来週が最後となる。
  が、稽古場にはセンチメンタルな雰囲気は微塵も無く、いつもと変わらぬ時間が流れている。それはそうであろう。「これでお終い」と言う感傷は6年間続けて来た私たちだけのものであり、受講生たちにとっては「この1年」が全てなのだから。
  次週=最終週も、いつも通りに終われる様な心持でいたいと思う。

  午後は『ラ・カージュ・オ・フォール』の稽古場へ。

  今日は久し振りにコーラスのヴォーカル稽古。その後、ジャコブやカジェルの皆さん、そして女性アンサンブルの皆さんの衣裳合わせ。
  劇中劇=ショー場面の衣裳が並ぶと、普段は殺風景な稽古場もさすがに賑やかで華々しく感じる。衣裳の力は偉大だなあ。

  明日は2幕の立ち稽古に突入。2幕からしか登場しない「あの人」と「あの人」に、明日は久し振りに会える、と言うことである。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月12日(月)

  立ち稽古。1幕の後半をおさらい。

  1幕は良い具合に仕上がって来た。昨日も記したが、前回を経験しているキャストが多いことが様々な部分で良い方に作用している。人物像や人間関係が具体的でありながら、わざとらしさが無く、そして自然である。「腑に落ちる」という言葉があるが、こう言う状態のことを言うのだと思う。
  全体稽古終了後はカジェルたちの振り固め。そして、稽古と並行して衣裳合わせも進行中。今日はアルバン、ジャクリーヌ、アンヌの3人の衣裳合わせが行われた。アルバンとジャクリーヌはゴージャス、そしてアンヌはキュート!

  明日は稽古OFF。カジェルの皆さん、ゆっくりと体を休めてください(何しろ、私とそれほど歳の変わらない方たちも少なくないので)。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月11日(日)

  立ち稽古。1幕の前半をおさらい。

  稽古は順調に進んでいる。キャストの殆どが前回の経験者なので当然といえば当然なのだが、今回からの新キャストの皆さんには、このペースはちょっと酷かもしれない。
  新作ミュージカルの稽古では、例えば『ニューヨークに行きたい!!』などは、稽古が終わるのが連日20時とか21時であった。が、今回の『ラ・カージュ・オ・フォール』は、とても人間的な時刻に稽古を終えることができている。

  しかし、『ラ・カージュ・オ・フォール』だって、日本初演(1985年帝劇)の時は『ニューヨークに行きたい!!』以上に大変だっただろうと想像する。
  私は東宝に入って2年目だったのだが、ゲネプロの後だったか、それとも初日の終演後だったか、劇場の至る所(スタッフ・ルームや舞台袖や衣裳部屋や…)で演出部の先輩が死んだ様に倒れ込んでいた、と言う話を当時聞いた記憶がある。

  明日は2幕の後半をさらう。今日以上に人間的な時刻に終了できそうな予感。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月10日(土)

  立ち稽古。「ムッシュ・ルノーのカフェ」「舞台袖~2回目のショー」「舞台袖~ステージ」を稽古。

  ムッシュ・ルノーを演じるのは林アキラさん、ルノー夫人は園山晴子さんである。お2人とは多くの作品でご一緒して来た。世代も近いので、そういう意味では戦友の様な感じでもある。
  このカフェのシーンには香寿たつきさん演じるジャクリーヌも登場する。ジャクリーヌはサン・トロぺのフレンチ・レストラン「シェ・ジャクリーヌ」(3ツ星。たぶん。)のオーナー。有名人とそのゴシップが大好きなゴージャスな女性なのだが、華やかで楽天的なキャラクターは香寿さんにぴったりだと思う。

  「2回目のショー」は『ラ・カージュ・オ・フォール』のハイライトであり、最大のミュージカル・ナンバーである。15分に及ぶこのシーンは、それ全てがゲイ・クラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」のショー(つまり劇中劇)になっている。中でもショーの中盤に登場する「カン・カン」セクションは大迫力。是非劇場で体験していただきたい。
  続く「ステージ」のシーンは1幕の幕切れである。ここで市村さん演じるザザ(アルバンの芸名)が「ありのままの私」を歌うことになる。
  その場面の稽古が終わった直後、レ・カジェルのひとり・オデットを演じる香取新一さんが寄って来て「見ていて泣きそうになっちゃった。」と言った。オデットは「ありのままの私」を歌うザザを冷たい目で見ていなければならない役なのだが、それに反して目頭が熱くなってしまったのだそうである。

  私も香取さんと同じであった。告白すると、「カフェ」シーンで鹿賀さんが歌う「砂に刻む歌」の時も、であった。演出家なのに。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月9日(金)

  立ち稽古。昨日の続き、「舞台袖~2回目のアパート」シーン、そして「プロムナード」シーンを稽古。

  2回目のアパート・シーンには2つのミュージカル・ナンバーがある。ジャン・ミッシェル(原田優一さん)が歌いアンヌ(相原美花さん)が踊る「アンヌと腕を」と、ジョルジュ&アルバンの「君と腕を」である。
  この2つのナンバーは、「同じメロディを2つの別のカップルが歌う(或いは踊る)」という趣向になっていて、「アンヌと腕を」はフレッシュな恋人同士が、「君と腕を」は倦怠期にある夫が妻に、と言う風に微妙にシチュエーションが異なって歌われる。
  どちらのナンバーも、ナンバーの中でちゃんとドラマが進行していて、「アンヌと腕を」ではナンバーの中でジョルジュの気持ちが変わり、「君と腕を」ではアルバンの気持ちが動く。
  この様に、ミュージカル・ナンバーが観客を楽しませるだけではなく、物語の進行に不可欠な役割を担っている所が『ラ・カージュ・オ・フォール』の優れている部分だと思う。

  昨日のプレ・レビューの詳細なレポートが公式ページに掲載されている。写真もふんだんに載っているので、こちらからどうぞ。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月8日(木)

  東宝ダンスホールへ。『ラ・カージュ・オ・フォール』プレ・レビュー。

  東宝ダンスホールは42年の歴史を誇るボールルーム(舞踏場)である。コート・ダジュールのサン・トロぺにあるナイトクラブが舞台のラ・カージュ・オ・フォール』のイベントに相応しい会場であった。
  100名のオーディエンスとマスコミの皆さんにお越しいただいた今日のイベント。「ラ・カージュ・オ・フォール」でネット上のニュースなどを検索していただくと、その様子が書かれた記事やスチールを発見できるだろう。公式ブログにも報告がUPされている。
  真島茂樹さん、新納慎也さんはじめ、レ・カジェルの皆さんは扮装で登場した。それはそれは豪華絢爛な一同であった。

  イベント終了後は稽古場へ。本日より立ち稽古。

  幕開き「ジョルジュのファースト・スピーチ~最初のショー(ありのままの私たち)」シーン、続く「舞台袖~ジョルジュ&アルバンのアパート」シーン、更に「アルバンの楽屋~ステージ(マスカラ)」シーンを当たる。
  稽古場にはくつろいだ、和やかな空気が流れている。稽古中の人も、それを見ている人も、キャストもスタッフも、誰もがお互いを尊敬し、そしてこの作品を愛している。それがこの空気を作り出しているのだと思う。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』の稽古場の空気は独特である。ファミリーと呼ばれる所以であろう。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月7日(水)

  顔寄せ。全員集合である。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』は東宝とホリプロの共同製作。なので、顔寄せに集まる関係者の数もいつもの人数の倍になる。人数が多い分、物々しさも増し、稽古場に漂う緊張感も高くなる。
  が、始まってしまえば大変和やかな顔寄せであった。前回から3年が経過しているとはとても思えない和やかさである。「『ラ・カージュ・オ・フォール』はファミリーなのだ」と言うことを再認識した。

  顔寄せの後は読み合わせ。
  音楽を聞き、キャストの皆さんの声を聞いていると様々なことが蘇ってくる。今日は一日中、ここにいられる幸せを噛み締めていた。
  稽古終了後、明日行われる製作発表風イベントのリハーサル。明日はミュージカル・ナンバーを4曲ご披露する。ご来場される方はどうぞお楽しみに。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月6日(火)

  ヴォーカル稽古デー。殆どのキャストが集合し、ミュージカル・ナンバーをひと通り、立たずに(=芝居せずに。ヴォーカル稽古だから)当たる。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』の音楽監督は八幡茂さんである。八幡さんとは今年は『三銃士』『ニューヨークに行きたい!!』でご一緒した。来年も『王様と私』でお世話になる。
  歌唱指導は北川潤さん。北川さんとは私の初のブロードウェイ・ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』以来多くの作品でご一緒した。
  音楽監督・指揮は塩田明弘さん。『ニューヨークに行きたい!!』に続いての仕事であり、この後には『ジキルハイド』が控えている。
  そして稽古ピアノは種村久美子さんである。

  塩田さんの『ラ・カージュ・オ・フォール』伝説のことは前回(2008年)のブログに記した(その記事はこちら)。今回は12年振りの『ラ・カージュ・オ・フォール』登板となる。誰よりも『ラ・カージュ・オ・フォール』を愛するひとり、塩田さんの指揮ぶりにも要注目!

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都立総合芸術高校へ

12月5日(月)

   『ラ・カージュ・オ・フォール』の稽古はOFF。東京都立総合芸術高等学校へ。

  東京都立総合芸術高等学校は、2010年4月に開校したばかりのまだ新しい高校である。それ以前からあった、音楽科と美術科を擁する「東京都立芸術高等学校」が組織改編され、新たに舞台表現科が加わって「東京都立総合芸術高等学校」として開校したのである。
  現在はまだ移行に伴う過渡期間で、音楽科は芸術高校以来の旧校舎を、美術科と舞台表現科は旧都立市ヶ谷商業高校の校舎を仮校舎として使用しているが、来年には新宿区富久町に待望の新校舎が完成して、晴れて新学校の体裁が整うことになる。

  で、私が何しに出かけて行ったかと言うと、先日、舞台表現科の生徒さんたちが、校外学習のひとつとして『ダンス オブ ヴァンパイア』を観劇してくださった。そして舞台鑑賞後の事後学習の講師として私をご指名くださったのである。
  まだ開校2年目の新しい高校なので、生徒も1、2年生のみで3年生は存在しない。その2学年、およそ80名ほどの生徒さんたちに、『ダンス オブ ヴァンパイア』のことやミュージカル作りの裏話、将来の進路のことなどを話させていただいた。

  高校1、2年生と言えば16、7歳である。劇中のサラやアルフレートとほぼ同年齢と言うことになるが、彼女たち、彼らの目に劇中の2人はどう映ったのだろう。

  『ダンス オブ ヴァンパイア』と言えば、帝劇の方では様々なお楽しみ企画が実行されていて、大変な盛り上がり(当社比)になっている様である。どんなことになっているかはリー君ブログで。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月4日(日)

  今日もカジェルたちの振り固め、そして鹿賀さんのヴォーカル稽古。
  振り固めの後は、12月8日に行われる『ラ・カージュ・オ・フォール』プレ・レビューの為にカジェルたちの衣裳合わせ。当選された方は、艶やかなカジェルたちの扮装姿をお楽しみに。

  日比谷シャンテでは『ラ・カージュ・オ・フォール』パネル展が開催されている。
  場所は日比谷シャンテ2階の特設会場で、入場無料である。日比谷にお越しの際は是非お立ち寄りください(詳細はこちら)。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月3日(土)

  今回のチラシでは「君は、『ラ・カージュ』を見たか!!!」と言う惹句(じゃっく)が最上段を飾っている。

   『ラ・カージュ・オ・フォール』日本初演(1985年帝劇)のプログラムに、映画評論家の淀川長治さん(故人)が文章を寄せていらっしゃるのだが、その中に、ニューヨークでは『ラ・カージュ』見た?、と言うのが挨拶代わりになっている、それくらい評判を呼んでいる、と言うくだりがある。
  私の記憶では、当時『ラ・カージュ・オ・フォール』の新聞広告などに、その文章から「君は『ラ・カージュ』を見たか」と言う部分が引用され、今回同様に惹句として使用されていた筈である。
  今回のチラシはそれを再現しているのである。

  稽古は今日もカジェルたちの振り固め、そして鹿賀さんのヴォーカル稽古。前回と比較すると、鹿賀さんの力が良い具合に抜けて来ており、更に良い感じ。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月2日(金)

  前回(2008年)の時の『ラ・カージュ・オ・フォール』通信が、このブログの2008年10月~12月にかけて残されている。

  かなり大変な稽古だった筈なのに、読み返してみたら結構まともなことが記されている。『ラ・カージュ・オ・フォール』の楽しさや価値を何とか伝えたい、と言う使命感みたいなものがあの時はあって、モチベーションも高かったのだと思う。
  あの時に書き尽くした、と言う感もあって、今回あの時以上のことを書くのは至難の業である。なので、お時間と興味のある方は、まずは前回の『ラ・カージュ・オ・フォール』通信をお読みいただきたい。
  リンクを張っておくが(こちらから)、このページ右の「バックナンバー」をクリックして「2008年10月」に飛んでいただくこともできる。

  さて。

  今日はカジェルたちの振り固め、そして鹿賀さんのヴォーカル稽古。

  上でも触れたが、前回は殆ど新作同然だったので、かなり大変な稽古だった。今回は3年経っているとは言え、キャストも殆どが続投である。稽古の進行もさすがに早い。
  と言っても『ラ・カージュ・オ・フォール』は決して楽をさせてくれる作品ではないので、進行は早いが稽古内容は結構ハードである。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月1日(木)

  私が『ラ・カージュ・オ・フォール』の演出を担当したのは前回、2008年の公演からである。舞台美術などが一新され、鹿賀丈史さんがジョルジュ役で初登場した。一方、ザザ役の市村正親さんは1993年からこの役を演じていらした。

  昨日の日記にも記した様に、「市村さんがザザを演じるのはこれで最後」と言うアナウンスの元で前回の公演はスタートした。キャスト&スタッフ一同も「これが最後の『ラ・カージュ・オ・フォール』」と信じて稽古に参加した。もちろん私もそう信じたひとりである。
  ところが、嬉しい誤算、と言うか、幕を開けてみると、これが大入りに次ぐ大入り、絶賛に次ぐ絶賛で、「これで最後」とすることを、観客は許してくれなかったのである。
  で、晴れて今回の「追加公演」(だと私は思っている)が決定した、と言う訳である。

  既に先月より、真島茂樹さん率いる「レ・カジェル」チームの振り起こしがスタートしている。並行してヴォーカル稽古も進行中である。
  スタッフによる公式ブログも稼働している。私のブログと合わせてご愛読いただければ嬉しい。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月30日(水)

  ラ・カージュ・オ・フォールの稽古場へ。

  ブロードウェイ・ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』は、1983年にニューヨークのパレス劇場で初演され1761回の上演回数を重ねた大ヒット作である。その年のトニー賞では「ベスト・ミュージカル」を含む6部門で受賞した。
  その後、ブロードウェイでは2004年にリヴァイヴァルされ(トニー賞「ベスト・リヴァイヴァル・オブ・ミュージカル」受賞)、更に2008年にはロンドン/ウェストエンドでも開幕(オリビエ賞「ベスト・ミュージカル・リヴァイヴァル」受賞)。更に更に、2010年にはブロードウェイで2度目のリヴァイヴァル(トニー賞史上初の2度目の「ベスト・リヴァイヴァル・オブ・ミュージカル」受賞)、この公演は今年の5月まで続演されていた。

  日本版の初演は1985年の帝劇である。以来、様々なキャスト、様々な劇場で上演を繰り返してき来たのだが、その決定盤とすべく登場したのが、2008年~2009年にかけて上演されたニュー・ヴァージョン(新演出)の『ラ・カージュ・オ・フォール』であった。
  鹿賀丈史さんを新たにジョルジュ役に迎え、既にザザを持ち役としていた市村正親さんとのゴールデン・コンビで、東京、大阪、名古屋、北九州の劇場を感動と笑いの渦に巻き込んだことはまだ記憶に新しい。

  その時のチラシやポスターには「市村ザザ、ファイナル」と銘打たれていたのだが……(つづく)。

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