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2011年11月の記事

『ニューヨークに行きたい!!』千穐楽!!

11月29日(火)

  大阪、梅田芸術劇場へ。『ニューヨークに行きたい!!』千穐楽。

  ウィーク・デーの昼だと言うのに、メインホールは満席だった。ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。そして遠くから応援してくださった皆さんも。
  舞台は、観客が存在して初めて「作品」となる。特に『ニューヨークに行きたい!!』の様なミュージカル・コメディは、お客様が楽しんでくださることで舞台上も一層盛り上がることができる。『ニューヨークに行きたい!!』が楽しい作品になったのは、皆さんが「楽しい」と言う意思表示をしてくださったからに他ならない。

  キャスト、そしてスタッフの皆さんも本当にお疲れさまでした。
  タイトな稽古期間、そして連日のタフなステージ。それを感じさせない華やかで軽やかな舞台に仕上がったのは、皆さんの力です。心から感謝しています。

  いつの日か、このチームと再会できる日が来ることを願っている。マリアが「行ってみたい」と願い続けた様に、私も願い続けたいと思う。

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『TDV』通信

11月28日(月)

  公演2日目。Wキャストの浦井さん、知念さん、そして森山さんも無事に初日を終えた。

  始まってしまうと「あっ」という間に千穐楽なのがひと月公演である。師走の今回は特にそうだろう。
  明日からはキャストのシャッフルが始まる。浦井アルフ&高橋サラや、山崎アルフ&知念サラなど、異なる組み合わせでも『ダンス オブ ヴァンパイア』楽しんで頂ければ幸いである。

  これで『TDV』通信はお終いである。ご愛読ありがとうございました。

  今年は3月の『ウェディング・シンガー』に始まり、『風と共に去りぬ』『三銃士』『ニューヨークに行きたい!!』そして『ダンス オブ ヴァンパイア』と、日比谷での仕事が多かった。特に帝劇では半年近くを過ごした。
  演出をする様になる以前の演出部時代は、準備・稽古・本番と、1年の殆どを日比谷に通って過ごしていた。日比谷までの6カ月定期を毎年買っていた程である。劇場も街並みもその頃とは随分変わったが、日比谷育ちの私としては、今年はとても嬉しい1年であった。

  次は『ラ・カージュ・オ・フォール』通信。明後日から。

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初日! 『TDV』通信

11月27日(日)

  昼過ぎに劇場入り。楽屋口には既に大勢のファンの方が集まっていらした。日曜日だからということもあるだろうし、多くの方が『ダンス オブ ヴァンパイア』を待ち焦がれていらしたからでもあるだろう。
  劇場内では各セクション、それぞれが開幕に向けて粛々と準備を進めている。GPが初日の朝にずれ込んだ5年前の初演が嘘みたいな落ち着きである。

  14時、全キャストが集まって昨日のGPの駄目出し。大変良いGPだったのだが、ここだけはどうしても修正しておきたい、と言う部分を、演出チーム、振付チーム、音楽チームから伝達。
  『ダンス オブ ヴァンパイア』は大いに笑える作品だが、それ以前にゴシック・ホラーであり、何よりも人間ドラマでありたい。

  15時、舞台にて初日のお祓い。公演の安全と成功を祈願する。その後、もう私は開演まですることが無いので、丸の内を散歩。5年前が嘘みたいな余裕である。

  17時、開演。場内が暗くなり、懐かしいあのオーヴァーチュアが流れ始める。吹雪の荒野を1人の少年が、大きな荷物を抱えながらとぼとぼと歩いて来る……。

  やはり『ダンス オブ ヴァンパイア』は特別な作品なのだ。その思いを新たにした初日であった。客席の最後列に座っていて、お客様がこの作品をどれほど待ち焦がれていたか、それがひしひしと伝わって来る様であったからである。
  今日が初お目見得となる新キャストの皆さんも、最初こそやや緊張も感じられたが、舞台が進むにつれてその硬さも取れて、終わってみればとても良い初日であった。

  明日は浦井アルフレートと知念サラ、そして森山開次さんの初日。今日以上に熱い劇場になります様に!

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開幕直前! 『TDV』通信

11月26日(土)

  舞台稽古3日目。まずは昨日の続き、2幕の後半を稽古。その後、GP(通し舞台稽古)。

   『ダンス オブ ヴァンパイア』の演出助手は小川美也子さんである。小川さんは別名“Miss On Time”(時間通りの女)と呼ばれている。何故そう呼ばれているのかと言うと、小川さんの立てたタイム・テーブルは、全くその通りに、寸分の狂いも無く、現実になるからである。
  かつて『パイレート・クイーン』の舞台稽古でも、小川さんはその才能を遺憾無く発揮した。来日していた作者のアラン・ブーブリルとクロード=ミッシェル・シェーンベルクを「あなたは魔法が使えるのか?」と驚愕させたという逸話が残されているが、彼女が「ミス・オンタイム」と呼ばれるようになったのは、その時からである。
  一昨日から始まった『ダンス オブ ヴァンパイアの舞台稽古も、彼女の立てたタイム・テーブル通りに進行した。今日などは休憩に入る時間など正にオン・タイム、GPのスタートも1分と違わない見事さであった。

  さて。

  開幕に向けての劇場での作業は全て終了した。手応えは十分。文句なく、初演、再演を凌ぐ最高の『ダンスオブヴァンパイア』に仕上がったと思う。

  明日はいよいよ初日。帝劇開場100周年記念公演最終作の幕が上がる。トランシルバニア地方は大雪の気配である。どうか皆さん、くれぐれも遭難なさらぬ様に。

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『TDV』通信 ミニミニミニ

11月25日(金)

  舞台稽古2日目。昨日の続きから2幕の中頃まで。今日も極めて順調に進行。
  帝劇正面入り口の上には、もうお馴染みになったキャストたちのラッピングも施された。舞踏会の開幕を待ちきれない方は、お散歩がてらに帝劇前へどうぞ。

 

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『TDV』通信ミニミニ

11月24日(木)

  舞台稽古もテクリハも快調に進む。

  舞台稽古は幕開きから1幕の半分辺りまで。明日はこの続き。
  テクリハはやはり深夜まで。でも初演のことを思えば圧倒的に早い。

  明日は『ニューヨークに行きたい!!』大阪初日!  良い初日になります様に!!
  梅芸の様子は公式ブログで!

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『TDV』通信ミニ

11月23日(水)

  再演は、劇場のスタッフに前回の手順やノウハウが残っているので、新作を開ける時と比べると、遥かに効率良く作業が進む。
  今日の道具調べ/照明合わせも、タイムテーブルに記されていた時刻よりもかなり早く終えることができた(そもそも仕込みが早く終わっているので、開始時刻もその分早い)。と言っても深夜帯には突入しているのだが。

  明日はサウンドチェック、テクリハPart 1、そして舞台稽古。後、テクリハPart 2(たぶん深夜まで)。

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『TDV』通信

11月21日(月)

  オケ付き通し稽古。今日は浦井アルフレートと知念サラ。

  今日で稽古場での全行程を無事に終了した。懐かしい『ダンス オブ ヴァンパイア』が見事に蘇った様にも感じるし、まったく新しい『ダンス オブ ヴァンパイア』が誕生した様にも思える。この感覚は自分でもちょっと不思議である。
  この作品が「間口の広さ」と「奥行きの深さ」を兼ね備えていることは、今までも十分に承知していたつもりであった。が、今回、今日まで稽古を重ねて来て、入り口はもっともっと広く、その先はどこまでも果てしなく深いらしい、と感じている。
  『ダンス オブ ヴァンパイア』恐るべし……。

  明日は稽古はOFF。いつもの様に終日スタッフ・ワークの1日である。

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『ニューヨークに行きたい!!』東京千穐楽 そして『TDV』通信

11月20日(日)

  帝劇開場100周年記念公演『ニューヨークに行きたい!!』が千穐楽。キャスト&スタッフの皆さん、お疲れさまでした。そしてご来場くださった皆さん、本当にありがとうございました。

  『ニューヨークに行きたい!!』は愛の溢れるミュージカルであった。劇中ではもちろん、舞台裏にも客席にも愛が溢れていたと思う。11月25日からは会場を大阪に移して、引き続き関西方面を愛で一杯にしてくれる筈である。

  1幕の前半に登場するナンバー「ニューヨークに行きたい!!」は、マリアとオットーがニューヨーク行きを夢想する場面だが、2人が夢見るニューヨークは現実のニューヨークではなく、「1950年代から60年代にかけて作られたハリウッド製ミュージカル映画」の中のニューヨークに設定した。
  私が見たウィーン版では現代のニューヨークを観光するシーンが描かれていたが、日本版ではそれとは異なる演出である。

  第2次大戦後のドイツには、敗戦国であった日本同様に、大量のアメリカ映画が流入したのではないかと想像する。そして私の両親がそれらを見てアメリカの文化に憧れを抱いたのと同じ様なことが、マリアとオットーにもあったのではないかと考えた。
  それで、マリアとオットーが青春時代に見たであろう「ニューヨークを舞台にしたミュージカル映画」を想定し、そのシーンをコラージュして我々の「ニューヨークに行きたい‼」ナンバーを作った。
  具体的には『踊る大紐育(だいニューヨーク)』『野郎どもと女たち』『ウエストサイド物語』の3本を取り上げた。それらに加えて、映画の登場人物ではないが、オットーが大好きであったアメリカの音楽やジャズを連想させる演奏者たちを登場させることにした。

  あのナンバーのラストで、マリアとオットーは映画の中に入り込んでいる。映画好きなら誰もが1度は「映画の中に入れたら」と夢見ると思うのだが、あの場面の2人の喜びは、その夢が叶ったそれなのである。

  さて。ここから『TDV』通信

  まずはオケ合わせ、昨日の続き。そして『ニューヨークに行きたい!!』の終演を待ってオケ付き通し稽古。今日は山崎アルフレートと高橋サラである。

  帝劇の公演中は稽古場でワイヤレス・マイクを使用することができない。使用できる周波数に限りがあるためだが、強行すればニューヨーク行きの豪華客船の中に伯爵さまの歌声が響き渡ることになる。トランシルバニアの安宿に「何よりもケーキ」が流れることにもなり兼ねない。
  なので、ワイヤレス・マイクが必須の稽古場でのオケ付き通しは本公演の終演後に行われるのである。

  通し稽古後は、いつもの様に駄目出し。
  「駄目出し」と言うと、「駄目だったのか」と思われる方がいらっしゃるかもしれないが、「駄目出し」は演劇用語で「稽古後の建設的なディスカッション」のことである。出来の良し悪しとは無関係なので、どうか誤解のない様に。

  「出来」で言えば今日の通しはとても良い出来であった。Wキャストで出番のなかった浦井健治さんが、「抑えがたい欲望」で初めて涙が止まらなかった、と言っていた程である。

  明日はいよいよ稽古場最終日。気がかりは西野さんのモチベーションのみである(祝・ホークス日本一)。

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『TDV』通信

11月19日(土)

  指揮者の西野さんが、僕の顔を見るなり「モチベーション、下がってませんよ」と仰った。
  やはりプロは違う。仕事と趣味のけじめはきちっとついているのだ。それとも、3タテを喰らってもドラゴンズの優勝は揺るがない、と言う自信の表れか?

  それはともかく、オケ合わせである。演出部の戸田さんが、オーケストラの皆さんにキャストやスタッフを紹介することから始まった。
  戸田さんは私の大先輩であるが、根っからの天然ボケ・キャラクターで、そのボケ味で今までも多くのキャスト、スタッフに愛されて来た。今日ものっけから戸田節全開で、戸田さんは更に多くの人から愛されたに違いない。

  それはともかく、オーヴァーチュアから2幕中盤の図書室の終わりまで、オケ合わせは順調に進み、今日のメニューを無事終了した。明日は今日の続き。その後、オケ付き通し稽古である。

  稽古後は『ジキルハイド』の舞台美術打ち合わせ。
  美術デザイナーの大田創さん、舞台監督の小林清隆さん、演出助手の郷田拓実さん、それに振付の広崎うらんさんにも参加して貰って、新しいイメージを模索中。
  新しく何かを生み出すのは苦しい作業である。だが、そのために苦しむのは楽しいことでもあるのだ。

  帝劇で上演中の『ニューヨークに行きたい!!』に出演している子役のひとり、石川新太君が「アルフレートっていくつなんですか?」と聞いて来た。
  「台本には書いてないけど、18歳位のつもりで作ってるよ」と答えると、「いくつになったらアルフレートできますか?」と尋ねられた。新太君のアルフレートならぜひ観てみたいと思う。

  石川禅さんのも観てみたいけど。

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『TDV』通信

11月18日(金)

  2回目の通し稽古。

  ヴァンパイアたちに牙が生えて来た。爪も伸びた。稽古場ではアクティング・エリアと演出席は目と鼻の先なので、それはそれは大変な迫力である。
  通し稽古は昨日も今日も満足の行く仕上がりであった。が、駄目出しの後、芝居の細部やダンス・ナンバーを更に調整。もっともっと上を目指したい。

  本日でピアノでの稽古は終了。稽古ピアノの國井さん、宇賀村さん、お疲れさまでした。明日はオーケストラとの合わせ。稽古場内に私の居場所が無くなる日。

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『TDV』通信

11月17日(木)

  1回目の通し稽古。

  アルフレートとサラはダブル・キャストなので、稽古はキャストを入れ替えながら、各場面を少なくとも2回以上やって来た。
  まず経験者である浦井アルフレートと知念サラで前回の思い出しをして、それから山崎アルフレートと高橋サラに交代する、と言うのが今回の稽古の進め方であった。
  初日が開いた後は、アルフレートとサラの組み合わせはシャッフルされる。なので稽古場でも、手順を付けた後は浦井+高橋や山崎+知念の組み合わせでも稽古をして来た。

  今日からは1日1回である。そして今日の組み合わせは浦井+高橋であった。
  初日は山崎+高橋、2日目は浦井+知念のコンビなので、劇場入りしてからの稽古は、必然的にその組み合わせで進行することになる。なので、この辺でそれ以外の組み合わせをやっておかないと、いきなり本番、になってしまう。それは乱暴だろう。

  別稽古場では昨日からオーケストラのリハーサルが始まっている。なので、指揮者の西野さんは今日はそちらに参加している。
  ここに来てドラゴンズがホークスに連敗を喫しているが、西野さんのモチベーションが下がっていなければ良いのだが。

  明日は2回目の通し稽古。山崎+知念コンビである。

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『ジキル&ハイド』製作発表 そして『TDV』通信

11月15日(火)

  東京會館へ。『ジキルハイド』の製作発表。

  ミュージカル『ジキルハイド』は、1990年の5月にアメリカ、テキサス州ヒューストンのアリ―劇場で産声を上げた。その後、アメリカ国内のツアーを経て、ブロードウェイのプリマス劇場で開幕したのが1997年4月である。脚本・作詞はレスリー・ブリカッス氏、音楽はフランク・ワイルドホーン氏で、後に2人はミュージカル『シラノ』を送り出すことになる。
  日本での初演は2001年の11月。以後、2003年、2005年、2007年と再演が繰り返された。今回の上演は再演ではなく新製作(ニュー・プロダクション)である。キャストも演出も一新して、新たな伝説作りに挑みたいと思っている。

  今日の製作発表には、ジキル/ハイドの石丸幹二さん、ルーシーの濱田めぐみさん、エマの笹本玲奈さん、そして私が参加した。お三方は扮装で登場され、それが製作発表をとても雰囲気のあるものにしていた。
  製作発表は、まずそれぞれが抱負を述べ、そして取材の方々との質疑応答、といつもの様に進んだが、フォト・セッションに移る前に、今日はミュージカル・ナンバーの披露があった。
  濱田さんと玲奈さんは「その目に」をデュエットされ、そして石丸さんは「時が来た」を歌われた。私は袖で聞いていたのだが、思わず鳥肌が立った。

  製作発表を終えて『ダンス オブ ヴァンパイア』の稽古場へ。今日は2幕を通す。

  極めて順調な仕上がりである。再々演ともなると持ち時間にも余裕があるので、駄目出しや抜き稽古、振り固めなどにもたっぷりと時間が取れるのがありがたい。

  明日は最後の稽古OFF。明後日からは通し稽古態勢、最後の追い込みである。

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『TDV』通信

11月14日(月)

  稽古前に、インターネットで配信される情報番組『HIT IT!エンタメ+(プラス)』のコメント撮り。また「耳」を着けてしまった(正確には、「着けてください」と頼まれて、躊躇なく引き受けてしまったのだが)。

  稽古は2幕後半をおさらい。のち、1幕を通す。

  稽古場は、今とても良い状態にある。キャストそれぞれに与えられたものが腑に落ちて、表現すべきことが明確に表現される様になって来た。カンパニー全体のモチベーションも良い具合に上がって来ていると思う。
  それとも、私のモチベーションが上がっているのか?

  通しの後は駄目出しと抜き稽古。幾つかのドタバタ・シークェンスを稽古する。

  ドタバタな場面は、本当にドタバタしてしまっては、何が起こっているのかが観客に伝わらない。こう言う場面こそエレガントに演じなければならない。そのためには、論理的な正しさと完璧なタイミングが要求されるのである。

  明日は2幕の通し稽古。その前に『ジキルハイド』の製作発表。

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『TDV』通信

11月13日(日)

  2幕のおさらい。その後、舞台へ。

  『ニューヨークに行きたい!!』が昼1回の公演だったので、終演後の舞台と客席をお借りして、客席通路や「悪夢」のベッド、墓場の墓石など、実際の場所や道具を使用して、本番を想定しての稽古。
  何しろ、舞台稽古は時間との戦いである。こうして前もってやっておけることがあるのなら、やっておいた方が絶対に良い。キャストたちもイメージを持って今後の稽古に臨めるし、身体にも馴染むし。

  気が付けば、初日まであと2週間。と言うことは、稽古場はあと1週間!

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『TDV』通信

11月12日(土)

  1幕のおさらい。

  再演の稽古は、ともすれば前回のヴァージョンを再現することが目的になりかねない。
  まあ、前回が良かったから再演される訳なので、それを再現することにも大いに意味はある。それに、前回そのシーンを創るのに費やした膨大な時間を節約することもできるし。
  それでも、前回を思い出してなぞる稽古は、形としては同じ様な物が出来上がるかもしれないが、結果としてはその作品の寿命を縮めることになるのではないかと思う。

  形や手順、段取りは重要である。が、それ以上に大切なのは、何故そうなったのか、や、何の為にそうするのか、などの「精神」であろう。
  新キャストの皆さんが何人もいる、と言うことが、「形だけを再現する」稽古に陥らないで済む大きな抑止力になっている。何もかもを1から始めた初演の時の精神を、彼ら、彼女たちが思い出させてくれるのである。

  明日は2幕のおさらい。それが終わると、いよいよ通し稽古態勢。

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『TDV』通信

11月10日(木)

  教授たちがクロロック城を脱出した後、ラスト・シーンまでを稽古。

  これで全てのシーンをひと通り稽古し終えた。再々演とは言え、極めて順調なペースである。が、新キャストの皆さんは、このペースに付いて来るのは大変だろう。何しろ段取りの多いミュージカルだから。

  リー君ブログには伯爵さまの動画が遂に登場。まさかあんな内容で登場されるとは。
  ここで製作発表の裏話をひとつ。伯爵さまは製作発表に「コーモリのカチューシャを被って出たい」と仰せだったのだが、周りの者に強く止められて断念されたのであった。余程お被りになりたかったのだなあ……。

  稽古が早く終わったので、久しぶりに『ニューヨークに行きたい!!』を観る。『TDV』『NY‼』も、どちらも楽しいミュージカルだなぁ。

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『TDV』通信

11月9日(水)

  クライマックスへ。「城の最上部」「墓場」そして「舞踏会」の場面を稽古。

  「墓場」の場面には2つのナンバー「永遠」と「抑えがたい欲望」がある。
前者は、真夜中の舞踏会の為に墓場から蘇った夥しい数のヴァンパイアたちが歌い踊るナンバー。後者は、舞踏会の主催者、城の主であるクロロック伯爵の哀切に満ちたナンバーである。
  「抑えがたい欲望」には「伯爵の影」として、Wキャストで新上裕也さんと森山開次さんが登場する。これは日本版だけの演出で、新上さんは2006年の初演から、森山さんは2009年から出演され、2009年からこの役はWキャストになった。
  「伯爵の影」のダンスは、踊り手によって見えてくるものが異なる。新上さんと森山さんのダンサーとしての資質の違いが現れてもいるのだが、上島雪夫さんの振り付けも敢えて全てを与えず、踊り手が自ら踊りを完成させる余地を残してある。
  このシーンが何年経っても色褪せないのは、歌い手と踊り手が常に緊張感を持って舞台に立っているからなのだと思う。

  さて、昨日の製作発表の様子が東宝の公式ページとリー君ブログの両方で報告されている。
  公式ページでは、私は「いたって真面目に地道に稽古を重ねて初日を迎えたい」と殊勝に発言している様に見える。が、 リー君ブログを見てみると、発言中の私の前には「嘘つき演出家」のプレートが。

  それはともかく、教授とアルフレートは遂に城内へと潜入する。果たして2人はヴァンパイアに勝利することができるのか?  アルフレートのサラへの思いは通じるのか?  物語はいよいよクライマックスの舞踏会へ!

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『TDV』通信

11月8日(火)

  帝国ホテルへ。『ダンス オブ ヴァンパイア』の製作発表。

  取材陣、そして応募してくださった中から選ばれたオーディエンスの皆さんが大勢集まってくださった。Ustreamでライヴ中継されたので、そちらでご覧くださった方もいらっしゃるだろう。皆さん、ありがとうございました。
  その映像はこちらでご覧頂くことができる。プロモーション映像の上映あり、キャストのコメントあり、質疑応答あり、そしてミュージカル・ナンバーの披露あり、と盛りだくさんな製作発表であった。

  製作発表の後は稽古場へ。2幕の幕開き、それに続く「アルフレートの悪夢」シークェンス、更に「お城の2度目の浴室」を稽古。

  2幕の幕開きは、クロロック伯爵の荘厳な城の大広間が舞台である。城に招かれたサラが、深夜眠れずに部屋を抜け出して足を踏み入れたのは、無数の先祖たちの肖像画が飾られた大広間だった。そこでサラを待っていたのは……。
  一方、アルフレートは悪夢にうなされていた。その夢がダンスとなったのが「悪夢」シークェンスである。
  ここは『ダンス オブ ヴァンパイア』のハイライトと言っても過言ではない大ダンス・ナンバーである。2006年の日本初演をご覧になったミヒャエル・クンツェさんから「ウィーン版よりも良い」と褒められたシーンでもある(ちょっと自慢)。

  そして「2度目の浴室」。アルフレートとヘルベルトの、それはそれは美しいラブ・シーンである。新キャストのひとり、ヘルベルトの馬場徹さんのために新しいステージングが施された。
  どんなことになっているかは……どうぞ劇城で。

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『TDV』通信

11月7日(月)

  顔寄せ。キャスト、スタッフ、公演関係者が集まった。

  いつもの様に岡本プロデューサーの司会によってそれぞれが紹介される。そして増田専務のご挨拶。『ダンス オブ ヴァンパイア』によって舞台と客席の間に存在していた壁が取り払われたのだ、と言う様な事を述べられた。
  ついでに私も、「浦井健治さんはこの作品(と『ヘンリー六世』)で読売演劇大賞を受賞されたのだから、皆さんも来年読売演劇大賞をいただくべく頑張りましょう」みたいなことをいい加減に喋る(その様子は「リー君ブログ」で)。
  『ダンス オブ ヴァンパイア』に関わっていると、人格がどうも適当になって困る。リー君のせいだぞ。

  顔寄せの後は立ち稽古。1幕で積み残していた2シーン、「宿屋にクコールが訪ねて来て蝋燭を求めるシーン」と「シャガールが樵たちにかつぎ込まれるシーン」を稽古。

   『ダンス オブ ヴァンパイア』の難易度の高さのひとつに、殆どの台詞、アクション、手順を音楽のサイズに合わせなければならない、と言うことがある。
  ミュージカルなのだから当たり前、と言えばその通りなのだが、『ダンス オブ ヴァンパイアほど約束事が多い作品を私は他に知らない。キャストはまず音楽の流れを覚え、その中のどこで何を行うかを理解し、演技しながら常に音楽を意識し続けなければならないので、どの作品よりも集中力が要求されると思う。

  大変なのは新キャストの皆さんである。段取りと音楽を体に入れないと稽古が進まないので、とにかく入れるしかない。今日頑張ったのは、とにかく手数の多いコングさんと育三郎君。

  知恵熱が出ません様に。(既に出てる?)

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『TDV』通信

11月6日(日)

  霊廟の後半にあるシャガールとマグダのナンバーをステージング。その後、お城の図書室、お城の浴室、2度目の図書室と、連続する場面を稽古。

  シャガール&マグダのナンバーには独立したタイトルが付いていない。譜面上は、霊廟のシーン全体をひっくるめて「M17/霊廟」という楽曲なのである。なので、シャガール&マグダのナンバーのことだけを指して言う時は、「シャガール&マグダのナンバー」の様に言うしかない。ちょっと面倒くさい。
  シャガール&マグダのナンバーは再演の度にステージングが異なっている。振付の上島雪夫さんが、このナンバーに関してはその時のキャストの個性に合わせているからで、今回もまた新ステージングである。

  図書室の場面には、教授の早口ソング・その2「本だ!」がある。石川禅さんが「リー君ブログ」でギネスに挑戦させられていた、あのナンバーである。一方、教授と別行動をとったアルフレートは浴室でサラと再会する。が……。
  サラとの再会の後でアルフレートによって歌われるナンバーが「サラへ」である。そしてアルフレートは図書室へ戻って教授と合流する。

  私は『ダンス オブ ヴァンパイア』は、少年の成長物語だと思っている。
  アルフレートは、「自分はもう子供ではない、もう一人前の大人だ」と思っている少年である。そう思うこと自体がまだ大人になりきれていない証拠だが、「何でもできる」「任せて欲しい」と主張する割には、1人では何ひとつまともにできない。
  そのアルフレートが自分の未熟さを思い知らされ、そしてそれを克服しようと一歩を踏み出す物語なのだ、と思っている。

  私の世代だと、アルフレートと教授の関係は、『スター・ウォーズ』第1作(エピソードⅣ)のルーク・スカイウォーカーとオビ=ワン・ケノビのそれを想像していただければ分かり易いかもしれない。
  アルフレートもルークも、物語の発端では何の取り柄もない純情な少年である。それが守るべき人(アルフレートにはサラ、ルークにはレイア姫)と出会い、少年は成長の階段を登り始める。
  その成長を助け、見守るのが教授とオビ=ワン・ケノビである。

  「教授=三船敏郎である」という話もあるのだが……、長くなりそうなので、またの機会に。

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『ニューヨークに行きたい!!』プロモーション映像公開中!

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『TDV』通信

11月5日(土)

  1幕のラストシーン「教授とアルフレートがクロロック伯爵のお城に辿り着いた場面」と、2幕3場「教授とアルフレートが目覚めるシーン」、そしてそれに続く「教授とアルフレートの霊廟探索シーン」を稽古。

  1幕ラストではクロロック伯爵の息子・ヘルベルトが初登場。
  ヘルベルトは新キャストのひとり、馬場徹さんである。馬場さんは、『新・幕末純情伝』『広島に原爆を落とす日』等のつかこうへい作品や、クリエで上演された『スーザンを探して』、ミュージカル『テニスの王子様』などに出演されていた。
  ヘルベルトの見せ場は2幕にあるが、今日の稽古場で早くもアルフレートと素敵な関係が出来上がっていて、2人の行く末が大いに楽しみになった。伯爵様も新しい息子をとても慈しんでおられたし。

  2幕3、4場は教授とアルフレートの大奮闘場面である。特に霊廟のシーンはストーリーのクライマックスでもあるので、教授もアルフレートもいやが上にもテンションが上がる。彼らは全人類を代表して戦っているのだ。
  アルフレートはWキャストだが、教授はシングル・キャストである。なので、石川禅さんは必然的に、浦井さん、山崎さんの倍、同じ場面を繰り返すことになる。今日、誰よりも汗をかいていたのは禅さんであった。

  禅さんの血管が切れません様に。

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『TDV』通信

11月4日(金)

  1幕後半の「宿屋の表」を稽古。

  その夜、サラが窓から表を眺めていると、クロロック伯爵の召使・クコールが現れ、何かが包まれた荷物を雪の上に置いて立ち去った。急いで表に出て包みを開封してみると、中は赤いブーツだった……。
  この場面にはアルフレートとサラのデュエット「外は自由」がある。そして「外は自由」は、ヴァンパイア・ダンサーの皆さんが活躍する最初のナンバーである。

  伯爵の化身であるヴァンパイア・ダンサーは、前回に続いて新上裕也さんと森山開次さんのWキャストである。その他のヴァンパイア・ダンサーは、今回顔触れが結構入れ替わった。
  今回も素晴らしいダンサーが揃った。ダンスのことを文章で表現する術を持たない自分が歯痒いが、その踊る姿はとても同じ人間とは思えない。

  クコールはお馴染みの駒田一さんである。駒田さんは、限られた登場場面の中で常に工夫を凝らし、稽古でも決して手を抜かない。その姿勢が舞台に現れる。
  『ダンス オブ ヴァンパイア』では2幕の前半に激しいダンス・ナンバーがあるので、幕間の休憩時間に、1幕で降り積もった雪を掃除しておく必要がある。
  カーテン前の、客席から見える場所の掃除をどうするか、という話から始まったのが幕間の名物「クコール劇場」であるが……

  今回はどうするの、駒田さん?

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『TDV』通信

11月3日(木)

  立ち稽古。1幕の前半を当たる。

  まずは幕開き。
  吹雪の荒野を遭難寸前のアルフレートがトボトボと歩いて来る、3分足らずの短いシーンである。踊りがある訳でも激しいアクションも無い。だが、浦井さんも山崎さんも、1回演じた後は結構ヘトヘトである。僅か3分足らずの中で、アルフレートは人生最大の恐怖と闘っているからである。
  『ダンス オブ ヴァンパイア』の面白さを支えているのは、登場人物ひとりひとりは大真面目であることだと思う。登場人物たちは「生きるか、死ぬか」や、「世界を救うための闘い」の中にいる訳で、その精神的な重圧や興奮度はどう考えても日常のそれとは桁違いな筈である。
  それを大真面目に、想像力を総動員してその人物の気持ちになって演じれば、それはヘトヘトにもなるだろう。ヘトヘトの浦井君がしみじみと「これがTDVなんだよね・・・」。

  続いて宿屋周りのシーンをいくつか稽古。
  ひとつ目は、アルフレートとサラが、それぞれのことを思って寝つけずにいるシーン。ストーリーの基本はその2人が担うが、シャガールが妻・レベッカのベッドを抜け出してこっそりとマグダに会いに行くエピソードと、その物音を聞き付けた教授が大きな事件が進行中だと誤解して宿の中を捜索して回るエピソードが同時進行で描かれる。なので結構ややこしい。そのややこしさが面白いのだが。
  こう言う場面の稽古は骨が折れる。今回は再々演なので以前の段取りを再利用できるのでまだ良いが、それでも音楽の進行に合わせて全体と部分を両立させるには、何度も繰り返して合わせる以外方法が無いのである。

  そして伯爵の初登場シーン、更に伯爵が宿のバスルームに舞い降りるシーンを稽古。
  新キャストの皆さんは、それぞれとても良い味を出して下さっている。コングさんの暑苦しいけど憎めないシャガール。Jenniferさんのおおらかなセクシーさ。
  山崎さんのアルフレートは今までになタイプである。浦井さんの泣き虫アルフレートに対して、山崎さんのは(以下、劇城で)。高橋愛さんのサラも、思いがけず堂に入った小悪魔ぶりを発揮して2人のアルフレートを翻弄している。この先の展開が大いに楽しみである。

  稽古後は『ジキルハイド』の美術打ち合わせ。基本的なアイデアを模型を使って検証。

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『TDV』通信

11月2日(水)

  キャスト全員で歌入り読み合わせ。その後、立ち稽古。

  立ち稽古は冒頭の宿屋の場面。「ニンニク」のシークェンスと、それに続く「アルフレートがサラと出会う場面」を稽古。
  宿屋のひとり娘・サラを演じるのは、2度目の知念里奈さんと新キャストの高橋愛さんのWキャストである。サラは超の付く入浴好きで、そのことが事態を色々と複雑にすることになるのだが、サラはまだそのことを知らない。

  この場面では登場人物全員に細かな段取りが用意されている。
  まず台詞のタイミングが音楽の小節で決められている。アクションと音楽を同期させる必要もある。その上で、シャガールさんには歌いながら扉に材木を打ち付ける作業があったり、サラにはお風呂上りの身支度があったり、教授とアルフレートには着替えと就寝の支度があったりするのである。
  特にシャガールのコングさんは、そんな段取りを処理しながら、年頃の娘を持った親の複雑な心情をしんみりと歌わなければならない。
  今日も一同大汗をかきながらの稽古であった。

  さすがに再々演ともなると、リー君ブログも「出し惜しむ」と言うことをしない。今日の稽古場風景もバンバン掲載されているので、「本番まで見ないで我慢」という方以外はこちらをどうぞ。

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『TDV』通信

10月31日(月)

  ハロウィンである。

  それはともかく、本日よりダンス オブ ヴァンパイアの稽古場へ。既に歌稽古は終わり、いくつかのダンスナンバーの振り付けも進んでいる。
  『ダンス オブ ヴァンパイア』を上演する時は、何故か必ず前月に他の仕事が入っていて、演出家なのに最後に稽古に参加する羽目になる。2006年の初演の時も、2009年の再演時もそうだった。3度目の今回も、昨日まで『ニューヨークに行きたい!!』(観てね!)だったし。

  それはともかく、今日は冒頭の宿屋の場面、ミュージカル・ナンバー「ニンニク」のステージングと立ち稽古から。
  この場面の舞台はトランシルバニアの山奥にある僻村の宿屋である。一日の仕事を終えた村人たちが食堂に集まり「ガーリックたっぷりの食い物をよこせ!」と大騒ぎしている。そこに見ず知らずの遭難者が転がり込んで来て……。

  宿屋では亭主のシャガールととウェイトレスのマグダが新キャストになった。新しいスケベ親父はコング桑田さん、新しいセクシー小悪魔はJenniferさんである。
  宿屋に転がり込んだ遭難者は、吸血鬼研究の第一人者・アブロンシウス教授とその助手・アルフレートであった。アルフレートは今回もWキャストで、そのひとりが新キャスト、山崎育三郎さんになる。
  アンサンブルさんやダンサーさんにも今回から参加してくださるキャストが何人もいて、その辺りも今回の楽しみにしていただければ嬉しい。

  今回の再演では、演出の基本は初演を踏襲する。が、さすがに3度目なので、細部を何箇所かヴァージョン・アップしようと目論んでいる。
  どこがどう代わるかをバラしてしまってもつまらないのでこのブログでは伏せておくが、まあそう言うことなので、どうぞお楽しみに。

  「ニンニク」シークェンスの後は「フィナーレ」をステージング。
  稽古場1日目で発端と幕切れに立ち合えたので、私も一気に『ヴァンパイア』モードに切り替わった。今回を『ダンス オブ ヴァンパイア』の決定版とするべく、全力で取り組みたいと思う。

  帝劇開場100周年記念公演の掉尾を飾る『ダンス オブ ヴァンパイア』。初日は11月27日である。

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