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2011年9月の記事

博多座『三銃士』千穐楽 そして『ニューヨークに行きたい!!』通信

9月28日(水)

  博多座の『三銃士』が千穐楽。ご来場下さった皆さん、本当にありがとうございました。

  『三銃士』の稽古が始まったのは5月。その頃はまだ夏の電力需要の様子が見通せず、夏の公演は公演回数が減らされるのでは、とか、上演時間を大幅に短縮する要請が出るのでは、などがまことしやかに噂されていた。
  劇場に限らず、あの頃はあらゆる産業がそう言う不穏な空気に包まれていたのだと思うが、そんな時期に取り組んでいたのがこの作品で本当に救われた。誰よりも私自身が『三銃士』から希望を貰った様に思う。

  公演関係者の皆さん、本当にお疲れさまでした。いつかまた、皆さんとお仕事ができる日が来ることを心より願っています。

  さて。

   『ニューヨークに行きたい!!』は本日も立ち稽古。

  リサとアクセルがまだ博多座から戻らないので、その間にマリア&オットーの場面を先行してどんどん進めている。2人はとうとうニューヨーク行きの豪華客船に乗り込んだ。
  その豪華客船を見送る場面に「ブエノス・ディアス・アルゼンティーナ」と言うナンバーがあるのだが、稽古の後半ではそのナンバーをステージング。

  このナンバーの振付は大澄賢也さんである。大澄さんとは俳優として『ウェディング・シンガー』でご一緒した。今回は振付家として初顔合わせ。『サイド・ショウ』の初日直前にも関わらず、合間を縫って駆けつけてくださった。
  大澄さんは素晴らしく誠実な俳優であると同時に、誰よりも完璧なダンサーのひとりでもある。大澄さんが振りを付けていくプロセスを拝見していると、踊ること、踊る人間をこよなく愛していることがひしひしと伝わってくる。
  まだ稽古開始から日が浅く、やや気を使い合っている様な部分の残るカンパニーが、振り付けの終わりには見事にひとつのチームに変化していた。大澄マジックである。

  明日は稽古OFF。明後日からリサとアクセルの稽古が始まる。

  最後にお知らせ。10月14日にこんなイベントが!

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『ニューヨークに行きたい!!』通信

9月27日(火)

  一昨日手を付けたマリア&オットーのシークェンスをおさらい。その後、2幕幕開きのナンバーをステージング。

   『ニューヨークに行きたい!!』には3つのヴァージョンが存在する。
  上演される度に台本やスコアが改定されているからで、ハンブルク版、ウィーン版、シュトゥットガルト版では、話の運び方やミュージカル・ナンバーの展開の仕方などが異なっているのである。
  私たちが使用するのは初演のハンブルク版の台本、スコアである。なので、ウィーンやシュトゥットガルトでご覧になった方には、「あれ?  あのナンバーが無い」とか、「この人の名前が違っている」と言ったことがあるかもしれない。

  ハンブルク、ウィーン、シュトゥットガルトは、ヴァージョンは異なってはいるが演出の基本は共通である。舞台美術や振付も、ハンブルク版を発展させたものである。
  私たち日本版は、台本やスコアはハンブルク版に因っているが、新演出である。なので、舞台美術も、振付も、衣裳も、日本版独自のものとなる。

  日本の『ニューヨークに行きたい!!』をお楽しみに。

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『ニューヨークに行きたい!!』通信

9月26日(月)

  新しいナンバーをステージング。

  仕事のことで肩に力の入り過ぎるリサをリラックスさせようと、メイク/スタイリストのフレッドと番組のAD・コスタが歌う「なんでもやれ」を1日かけてステージング。オープニングの「花をありがとう」の次に来るナンバーで、フレッドを演じるのは泉見洋平さん、コスタは戸井勝海さんである。

  『ニューヨークに行きたい!!』の振付は、KAZUMI-BOYさん、大澄賢也さん、田井中智子さんの3人に分担して頂いている。
  宝塚歌劇団のショー作品などでは、複数の振付家が参加することは珍しいことではないが、ミュージカルの振付を複数で分担することはあまり聞かない。少なくとも私は初めての経験である。
  『ニューヨークに行きたい!!』には毛色の異なる様々なミュージカル・ナンバーが登場するので、今回は敢えてタイプの異なる3人の振付家にお願いすることにした。『ニューヨークに行きたい!!』が「ミュージカル・ナンバーをショー的に扱っているミュージカルである」と言うことの裏返しでもある。

  今までに手を付けたナンバーはどれも田井中さんの振付である。振り付け中の田井中さんは、ものすごい集中力とエネルギーで稽古場を引っ張って行く。控え目で笑顔を絶やさない普段の彼女からは、その姿を想像することは難しい。
  尊敬するミュージカル作りのプロフェッショナルのひとりである。

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『ニューヨークに行きたい!!』通信

9月25日(日)

  立ち稽古、マリアとオットーの場面を当たる。のち、ステージング。

  華やかな世界に暮らすリサと、それとは正反対な世界に暮らすマリアとオットー。その2つの世界がカットバックでテンポ良く紹介される。今日稽古したのは、そのマリア&オットーのシークェンス。
  このシークェンスの終わりには、マリアが歌うタイトル・ソング「ニューヨークに行きたい!!」がある。
  マリアの子供の頃からの夢は「自由の女神の下で結婚式を挙げること」であった。その気持ちが歌となり、オットーが同調して歌う内に、いつしか舞台は2人の心の中のニューヨークの風景へと変わる。そんなロマンティックなナンバーである。

  さて。

  橋本さとしさんの演じるアクセル・スタウダッハは、男性雑誌のカメラマンをしているバツイチの男くさい男である。
  彼には12歳になる息子・フロリアンがいる。フロリアンは普段は母親と暮らしているが、毎月第2週はアクセルの元で過ごすことになっている。
  「父親が老人ホームを脱走した」と言う知らせはアクセルの元にも届いた。慌ててホームに駆けつけたアクセルとフロリアンだったが、そこで鉢合わせしたのは、傍若無人に振る舞うテレビの人気司会者だった……。(つづく、か?)

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『ニューヨークに行きたい!!』通信

9月24日(土)

  今日は再び歌中心の稽古。

  『ニューヨークに行きたい!!』にはアンサンブルさんたちのコーラスがふんだんに登場するのだが、どれもハーモニーが複雑で、難易度は結構高い。楽曲のスタイルも様々で、なのでコーラス稽古には相当の時間を割いて来た。
  『ニューヨークに行きたい!!』の楽曲は、昨日も記した通り全曲既成のポップスなので、耳になじみ易いものが多い。が、その聞こえ方のフレンドリーさとは裏腹に、歌う方にとってはかなりハードルの高いナンバーである。

  さて。

   『ニューヨークに行きたい!!』の主人公はリサ・パルトベルク。舞台は現代のドイツで、リサは有名なテレビのトーク・ショーの司会者である。彼女には老人ホームで暮らす母親・マリアがいるのだが、仕事に忙殺されているリサにはマリアを訪ねる様な暇は無い。
  マリアはある日、ホームで意気投合したオットーとホームを脱走する。「ニューヨーク行きの船に乗る」と言う書き置きを残して……。

  リサを演じるのが瀬奈じゅんさんで、マリアはミュージカル初出演となる浅丘ルリ子さんである。オットー役は村井国夫さんで、その息子・アクセルを演じるのが橋本さとしさんである。(つづく)

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『ニューヨークに行きたい!!』通信

9月23日(金)

  『ニューヨークに行きたい!!』の立ち稽古が始まった。

  帝劇開場100周年記念公演  ミュージカル『ニューヨークに行きたい!!』は、2007年の12月にドイツのハンブルクで初演されて大ヒットしたミュージカル・コメディである。
  ドイツ語圏で大変人気のあるシンガー・ソングライターのウド・ユルゲンスさんが手がけた既成のヒット・ソングを使用して製作された、いわゆる「ジュークボックス・ミュージカル」で、現在はウィーンとシュトゥットガルトで続演中。

  歌稽古は既に先々週からスタートしていたのだが、今日からは立ち稽古である。手始めに、オープニング・ナンバーの「花をありがとう」を1日かけてステージングした。

  『ニューヨークに行きたい!!』は新作なので、このブログでは内容にはあまり触れないでおこうと思う。既に公式ブログもスタートしているので、ここで物足りない方は、そちらも合わせてご覧いただければ足しになるはずである。

  『ニューヨークに行きたい!!』通信。10月29日(土)の初日まで、どうぞよろしくお付き合いください。

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『三銃士』西へ 初日!

9月3日(土)

 初日。

 福岡も終日強い風が吹き荒れ、時折雨脚も強くなる様な生憎の天気であった。その中をご来場くださった皆さん、本当にありがとうございました。

 開演前、14時より舞台を使用して立ち回りの確認。帝劇でも初日以降のしばらくは、毎日開演前に立ち回りの確認をしていたのだが、博多座でもしばらくはこれをやることになるだろう。
 15時より博多座の皆さんと『三銃士』カンパニー一同との顔合わせ。それぞれを代表して博多座社長の芦塚日出美さん、井上芳雄さんがご挨拶。その後、初日のお祓い。

 初日の開演は17時。博多座のお客様は、とても暖かく『三銃士』を迎えてくださった。博多座では幕間の休憩は30分。終演は20時10分位だっただろうか(時計を見忘れました)。
 カーテン・コールではカンパニーを代表して井上芳雄さんがご挨拶。更に初日スペシャルで、瀬奈じゅんさん、山口祐一郎さん、そしてロシュフォールとしての初日を迎えた原慎一郎さんもご挨拶。
 カーテン・コールが終わり、緞帳が下り、場内が明るくなり、オーケストラがエグズィット・ミュージックを奏でても、博多座のお客様は惜しみなく拍手を送ってくださった。
 そして緞帳前にダルタニャン&三銃士が颯爽と登場。どうやら博多座でも「これ」は続けられるらしい。

 これで「『三銃士』西へ」はおしまいである。短い間ですが、お付き合いいただいてありがとうございました。次はいよいよ『ニューヨークに行きたい!!』通信。お楽しみに。

 博多座の『三銃士』は9月28日まで。様々なリピーター特典も用意されている様である。

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『三銃士』西へ 舞台稽古2日目、そしてゲネプロ

9月2日(金)

 舞台稽古2日目。

 2幕の「ラ・ロシェルの陣営」からラスト・シーンまで、今日も快調なペースで進行。そして大休憩を挟んだ後、通し舞台稽古(ゲネプロ)。全体のスピード感や軽快さはそのままにメリハリの利いた良い出来であったと思う。
 原慎一郎さんのロシュフォール、松澤重雄さんの船長、青山航士さんの親衛隊員は、皆さんしっかりと持ち場を守ってくださった。そして全編で細かく行われた微調整もカンパニー一同手際よく処理してくださり、どこが変わったのか私ですら見逃してしまう程である。

 明日はいよいよ初日である。唯一心配なのは空模様。「晴れて」とまでは言わないので、せめてご来場されるお客様が安全にお越しいただける空模様であります様に。

 博多座でお待ちしています。

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『三銃士』西へ 舞台稽古1日目

9月1日(木)

 舞台稽古1日目。

 芝居の中身に問題は無いので、それ以外のこと(役が変わる人たちの場面、博多座の条件に合わせて微調整された場面、博多座から参加するスタッフのための部分、など)に重点を置いて、幾つかのブロックごとに稽古を進める。
 今日も終日、至って順調に進んだ。1幕を終えられれば、と予想していた稽古メニューも、2幕に入ることができたし。

 明日は今日の続き。舞台稽古をラストまで進めた後、通し舞台稽古(ゲネプロ)。

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『三銃士』西へ テクニカル・リハーサル、サウンド・チェック、そしてロシュフォール!

8月31日(水)

 舞台の方は終日スタッフ・ワーク。

 午前中より、まずはテクニカル・リハーサル。
 場面転換を、本番同様に音楽の寸法の中で、照明も付き合って行うリハーサルである。博多座に来て、大道具や照明を操作するスタッフの手が変わるので、その手順を付けるための時間である。
 夕方からはサウンド・チェック。
 オーケストラのメンバーにピットに入ってもらい、楽器ごとにサウンドやバランスを調整して行く、気の遠くなるような作業である。その様にしてマイクの1本1本の調整が終わって、ようやく全体でのサウンド・チェックに(楽曲を演奏する段階に)入れる訳である。

 昨日の日記にも記したが、それらの作業と並行して、稽古場では原慎一郎さんがロシュフォールを演じるための抜き稽古。
 原さんがロシュフォールに転出することになって、今度は原さんが演じていた部分を他の人に振り分けなければならなくなった。原さんが演じていた親衛隊員のパートに青山航士さんが、船長のパートに松澤重雄さんが入るのが主なところであるが、更には青山さんが抜けた後の手当ても必要なわけで……。
 一日がかりで、立ち回りの手を移したり、ステージングの調整を行ったりであった。

 舞台上の作業は至って順調。今日もタイム・テーブルで予定されていた時間より早いペースで諸々の作業が進んだ。明日はいよいよ舞台稽古。

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