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2011年1月の記事

『三銃士』通信

1月30日(日)

  ミュージカル『三銃士』の訳詞をチェックするミーティング。

  『三銃士』は、19世紀フランスの小説家アレクサンドル・デュマによる同名の小説を原作とするミュージカルである。
  舞台となるのは17世紀のフランス。ダルタニャンと言う名前の、ガスコーニュ出身の血気盛んな少年が主人公で、彼がパリに出て念願の近衛銃士隊に入ろうと奮闘を重ねる、恋と冒険の物語である。

  今日のミーティングは、その訳詞が上手く仕上がっているか、それを音楽面とドラマ面の双方から検討するためのものであった。
  翻訳ミュージカルを上演する時には必ず経る行程であるが、翻訳ミュージカルの成否は「訳詞」のクォリティが握っている、と言っても過言ではないので、そう言う意味では大変重要な作業である。
  今日は訳詞の竜真知子さんを始め、音楽監督の八幡茂さん、歌唱指導の山口正義さん、ちあきしんさん、稽古ピアノの國井雅美さん、中條純子さん、吉田プロデューサー、それに私が集合した。そして山口さんとちあきさんのお2人にミュージカル・ナンバーを歌ってもらい、日本語と音楽の相性や聞こえ方、歌い易いか……などなど、様々な角度から検証するのである。

  『三銃士』にはダイナミックなミュージカル・ナンバーが揃っている。全編が音楽と言うスタイルのミュージカルでは無く、台詞部分もそれなりにあるのだが、どのナンバーも耳に馴染み易く、エキサイティング、且つドラマティック。夏の帝劇も大いに盛り上がるに違いない。

  7月まで待ちきれない、と言う方はこちらをどうぞ。

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『ウェディング・シンガー』通信

1月29日(土)

  上原多香子さんの歌稽古。

  今日も全ナンバーをひと通りあたった。伸びやかで、ジュリアらしい歌になって来ていると思う。今日の時点で稽古の先頭を走っているのは、間違いなく多香子ちゃんである。
  今月の稽古は今日で終了。より広い稽古場に引っ越した後、2月1日から稽古再開である。

  日生劇場での初演より今回は出演者の人数が減っていることは一昨日記した。それで何が起こるのか、と言うと、アンサンブルさんがより忙しくなる、と言うことが起こる。
  初演時だって、場面ごとに様々なキャラクターに扮し、歌って踊って着替えて大忙しであった。加えて今回は、減った7人が演じていた役割を残った人数で引き受けなければならない。

  ただでさえ短い2月が、あっという間に過ぎて行くことだろう。

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『ウェディング・シンガー』通信

1月28日(金)

  歌稽古。初登場の大澄賢也さん、樹里咲穂さん。そして2回目の新納慎也さん。

  今日が稽古初日の人は、もうお馴染みとなった例の反応をしてくれるので嬉しくなる。例えば……
大澄さん「僕そんなことやってました?」
稽古場にいたスタッフ全員「やってた!」

  そんな中で、樹里さんの再現性は抜きん出て良かった。「体の細胞が覚えてる感じ……」とおっしゃっていたが、ご自分のコンサートなどで『ウェディング・シンガー』のナンバーを歌っていらしたから、でもある様だ。或いは、ちゃんと予習された成果なのかもしれない。

  と言うことは、ひょっとして、みんなちゃんと予習してないのか?

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『ウェディング・シンガー』通信

1月27日(木)

  アンサンブルさんたちの振り起こし。

  『モーツァルト!』チームが大阪公演を終えて帰京した。『モーツァルト!』はまだ金沢での公演が残っており、キャストは明日には金沢入りしなければならないのだが、その貴重な東京での1日に振り付けである。情け容赦ないのである。これがショー・ビジネスなのである。
  それはともかく、今回の再演では初演のキャストが続投し、再演から新たに参加するキャストはひとりもいないことは以前記した。ただし「参加しなくなった」キャストはいる。
  例えば『レ・ミゼラブル』でジャベールを演じることになったKENTAROさんなどであるが、日生劇場の時と比べると、キャストは7人少なくなっている。初演の振り付けを再現する作業が一筋縄で進まないのには、実はそのことも大いに影響している。まあ「少なくなった」と言っても『レベッカ』初演よりも大人数なのだが。

  今日も大きなナンバーのユニゾン部分の振りをひと通り、鬼の様なスピードであたった。『モーツァルト!』チームの皆さんは、今日1日では付いて行くこともままならなかったと思うが、大丈夫。焦ることはない。

  最初はみんなそうだったのだから(昨日の日記参照)。

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『ウェディング・シンガー』通信

1月26日(水)

 歌稽古。上原多香子さんと初登場、新納慎也さん。

 人が記憶を取り戻して行く過程はとても面白い。連日、稽古に立ち会っての印象はそれである。
  1年前、2年前のことならともかく、『ウェディング・シンガー』の初演は3年前である。1年前のことなら何とか思い出せそうな気もするが、3年前のこととなると、思い出そうと努力しても、最初は「?」しか浮かんで来ないらしい。歌詞でも振りでも、どのパートを歌っていたのか、と言う類のことも、である。
  だが、音楽が鳴り、繰り返し歌っている間に、或いは体を動かしている内に、いつの間にかスラスラと歌えたり踊れたりしているのである。
  新作の歌稽古や振り付けではこう言うことは起こらない。恐らくは「身体」が、覚えているのであろう。

  稽古初日の冒頭では、ほとんど全員が「余りにも覚えていない」事実に愕然とし、それが短時間の内に「昨日もやっていた」かの様に蘇って来るので自信を取り戻す。ほぼ全員がその様な過程を辿っていて、それがとにかく面白いのである。

  まあ、人のことは言えないのだが。

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『ウェディング・シンガー』通信

1月25日(火)

  歌稽古。上原多香子さん、そして鈴木綜馬さんが登場。

  多香ちゃんは、今日は2幕を主体に、じっくりと丁寧に歌稽古。3年前と比べると、表現の幅が随分広くなったと思う。歌唱指導のちあきしんさんによるレッスンの賜物だろう。
  綜馬さんは今回初登場。だが相当入念に予習されたのではないか、と思われる。初演時に苦手としていた部分をいとも容易くクリアされたからであるが、音楽スタッフ陣から思わず拍手が沸き起こった。綜馬さんは「わざとらしい、仕込んだみたいな拍手」とおっしゃっていたが。

  ところで、東宝の『ウェディング・シンガー』公式ページでは、いよいよ公式ブログがスタートした。楽しい情報が続々UPされることを期待したい。そして、ブログの左側には初日に向けてのカウント・ダウン日めくりも。これ、稽古期間中のモチベーション維持にはいいかも。
  それからもうひとつ。
  タイムリーなCDを発見した。1980年代を代表する洋楽のヒット曲ばかりを集めたコンピレーションCDである(こちらからどうぞ)。これが何と明日(1月26日)発売!
  1月22日付の日記にも記した「80年代風のサウンド」がどの様なものなのか、これを聞いていただければ一目瞭然……と言うか、一耳瞭然である。

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『ウェディング・シンガー』通信

1月24日(月)

  今日も振り付け……と言うか、振り起こし(思い出し?)。

  オープニングの「君の結婚式」、女子チームの「いつか」、男子チームの「ひとり(Single)」などを思い出す。すんなり思い出せるもの(人)もあれば、すんなり行かないもの(人)もある。そこが見ていて面白い。
  今回の再演は、極めて珍しいことに、出演者全員が初演からの出演者である。こんなことは本当に珍しい。だが、全員が経験者だからすんなりと思い出せるだろう、と思っていたら、ことはそれほど簡単ではない様だ。
  確かに、「では演出家はどうなの?」と問われると、覚えていないことが続出である。人の記憶なんて、本当に当てにならないものなのだなあ。

  ただし、細かいことは忘れていても、根本にある「精神」を忘れる、と言うことはない。大切なのは手順や段取りよりも「精神」を継承することだと思う。

  稽古後は『風と共に去りぬ』の打ち合わせ。斎藤プロデューサー、演出助手の寺崎さんと、今後の作業の進め方について意見交換。

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『ウェディング・シンガー』通信

1月23日(日)

  ダンスの振り付け始まる。

  と言っても、新たに振りを作っている訳ではなく、初演の振りを再現する事が中心である。だが、その再現することが難しい。
  歌には譜面と言うものが存在し、その譜面を辿れば歌を再現することは比較的容易である。だがダンスは……。振付家・上島雪夫と踊り手たちの新たな挑戦が始まった。

  初日の今日は、1幕ラストの「サタデー・ナイト・イン・ザ・シティ」と2幕冒頭の「金のすべて」、大きいナンバー2つに取り組んだ。取り組んだ一同の感想は、「速過ぎ」「動き過ぎ」であった。
  明日も振り付け。明日も猛烈に速く動く、はずである。

  昨日、一昨日と飯島早苗さんのブログのことを書いたが、もちろん私のブログにも『ウェディング・シンガー』初演時のことが残っている。
  このページの右側にある「バックナンバー」をクリックし、その先にある「2007年12月」「2008年1月」辺りに、初演時の『ウェディング・シンガー』通信が集中している。

  結構充実した読み物になっている、と、読み返してみて自分でも(自分だけ?)思うので、ご一読ください。

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『ウェディング・シンガー』通信

1月22日(土)

  今日もアンサンブルさんの歌稽古。

  昨日は幕開きから2幕冒頭の「金のすべて」までをあたったので、今日はその続き。私の大好きな「ひとり」(シングル)からカーテン・コールまでをあたった。これで全曲である。
  『ウェディング・シンガー』は1985年のアメリカ、ニュージャージーを舞台にしている。なのでミュージカル・ナンバーも80年代のテイスト満載である。当時を知る人は、イントロを聞いただけでその時代にタイム・スリップするだろうし、そうでない人にも新鮮なサウンドだと思う。
  どのナンバーも明るく、軽やかで、リズミカル。その楽天性が『ウェディング・シンガー』の作品としての方向性と見事に一致している。ミュージカルとしてはそこが素晴らしい。

  昨日記した飯島早苗さんのブログには、初演当時に書かれた数々の記事が残されている。ユニークな視点で『ウェディング・シンガー』のバック・ステージをレポートしている記事ばかりなので、興味のある方はご一読いただきたい。
  飯島さんのブログのTOPページ左側を下へと辿ると、「カテゴリー」の欄に「ウェディング・シンガー」という項目があるので、そこからどうぞ。

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稽古スタート! 『ウェディング・シンガー』通信

1月21日(金)

  『ウェディング・シンガーの稽古が始まった。

  ブロードウェイ・ミュージカル『ウェディング・シンガー』は、2006年4月27日にニューヨークのアル・ハーシュフェルド劇場でオープンしたミュージカル・コメディである。日本初演は2008年の2月に東京・日比谷の日生劇場で行われ、主人公のロビー・ハートとジュリア・サリバンを井上芳雄さんと上原多香子さんが演じた。それは今回も変わらないのだが、劇場はシアタークリエに移動する。
  『ウェディング・シンガー』は、元々は同名のアメリカ映画を原作としている。映画版は1998年に公開され、アダム・サンドラーがロビーを、ドリュー・バリモアがジュリアを演じている。映画版はミュージカルではないが、ウェディング・シンガーを主人公にしているので、主人公が歌う場面は存在する。舞台版でも歌われる、ロビーが自暴自棄になって歌う「僕を殺して」は、そもそもは映画版のためにアダム・サンドラーが脚本のティム・ハーリヒと共作した楽曲である。

  稽古初日の今日は、アンサンブルの皆さんの歌稽古からスタート。と言っても、現在『モーツァルト!』の大阪公演に出演中の人もいたりするので、まだ全員は揃わない。なので歯抜けなのであるが、アンサンブルさんたちのナンバーを、音を確認したりしながら順番にあたった。
  その後、上原多香子さんの歌稽古。今日はジュリアのナンバー全曲を、2時間かけてひと通りあたった。上原さんとは、既に先月の製作発表で再会を果たしているのだが、歌っている多香子ちゃんはやっぱり可愛い。歌っていなくても可愛い。何をしていても、何もしてなくても多香ちゃんは可愛い。
  それはさておき、稽古後、上原さんは開口一番に「楽しみですねえ……」とおっしゃった。この作品が再演となることを、心の底から喜んでいる様子である。私もこの再演を本当に楽しみにしていた。大げさでなく、この作品に関わった人間全員が楽しみにしていたと言っても過言ではないだろう。

  これから3月6日の初日までのひと月半、『ウェディング・シンガー』通信にどうぞよろしくお付き合いください。ひょっとすると、上演台本・訳詞の飯島早苗さんも、ご自身のブログ(顔を洗って出直します)に何か書いて下さるかもしれないし。

  もう半年以上更新されてないけど。

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授業再開。

1月13日(木)

  日大藝術学部演劇学科の新年最初の授業。

  今年度の演出実習Ⅱでは、様々な芝居から抜粋した数ページの短い場面を、毎週毎週学生に演出させて来た。今年度の締めくくりに、今日の授業ではそれらの幾つかを私が演出した。
  演出作業の要諦を簡潔に説明することは難しい。このブログでも機会ある毎に書いて来たことだが、演出家の数だけ演出の方法論は存在する、と言っても過言ではないと思う。
  なので、この授業でも演出をマニュアル的に説明することは避けて来た。マニュアル化するのにとても不向きな作業であるし、そもそもマニュアルにすることに意味があるとも思われない。
  但し、他者が演出している姿勢から何かヒントを導き出すことはできるかもしれない。今日の授業の目的はそれであった。それに学生たちからの強いリクエストもあったし。

  話は変わるが、今日は学生たちの何人かと江古田で飲んだ。私が学生だった頃からある飲み屋「かぐら」に出かけたのだが、店の前の道路に拡張計画があるために、この店も間もなく閉じるのだと言う。
  日藝の江古田キャンパスは昨年、6年に及んだリニューアル工事が完了し、私の知っていた風景は完全に無くなった。演劇学科の溜まり場で合った喫茶店「タンバリン」も、道路拡張で閉店した。西武池袋線の江古田駅もその姿を一新した。
  江古田の街はどんどん美しく、そして機能的に進化して行く。またひとつ、思い出の場所が消える。

  ここから先は、ごく内輪に向けた報告。「かぐら」で、サトチンに遭遇。何たる奇遇!(サトチンとは、東京サンシャインボーイズの照明をやっていた、あのサトチンね)

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情報解禁。

  今年の仕事、実はもうひとつあります。
こちらからどうぞ。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』追加公演(笑)決定!

  2011年が始まったばかりなのに2012年の話で恐縮なのだが、鹿賀丈史さん&市村正親さん主演のブロードウェイ・ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』の追加公演(笑)が決定した(速報はこちらから)。

  皆さんから寄せられた圧倒的なご好評にお応えする形で実現した追加公演(笑)なので、関係者としてこれ以上の喜びはない。皆さんに心より感謝。ありがとうございました。

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