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2010年11月の記事

千穐楽! 『メリー・ウィドー』通信

11月23日(火)

  日生劇場へ。『メリー・ウィドー』千穐楽である。

  今日のキャストは「チーム池田」。最良の出来であったと思う。
  昨日が休演日だったので、「チーム池田」は2日間お休みだった訳であるが、開演前はそのことでいつも以上に緊張しているキャストをちらほら見かけた。が、その緊張感や、逆に休養十分だったという事実、それに今日が最後という空気、そして何よりも千穐楽を盛り上げようとする劇場全体のムードが良い方向に作用したのであろう。忘れ難い千穐楽となった。
  終演後は打ち上げへ。
  一昨日も「チーム加賀」の打ち上げがあり、そこにも顔を出したのだが、今日は大楽である。名残り惜しくて、ちょっと遅い時刻まで参加してしまった。

  現在、二期会でオペレッタが取り上げられる機会はそれほど多くないのだと言う。が、今回公演監督を務められた高丈二さんは、これからはオペレッタを何とか継続していきたい、と抱負を述べられていた。
  その試みが上手く行くことを願っている。終演後の客席に流れていた幸福感を、今回だけにしてしまうのは余りにも惜しいと感じるからである。

  これで『メリー・ウィドー』通信はお終いである。ご愛読ありがとうございました。
  次回は『ウェディング・シンガー』通信。ただし、本格的に始まるのは年が明けて1月後半からの予定。それまでしばらくは不定期です。悪しからず。

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『GWTW』通信

11月22日(月)

  風と共に去りぬ舞台美術打ち合わせ。

  『風と共に去りぬ』の美術デザイナーは松井るみさんである。
  松井さんとは、『パイレート・クイーン』でもご一緒した。それ以前にも『イーストウィックの魔女たち』『プライベート・ライヴズ』『好色一代女』『鹿鳴館』『謎の下宿人』で素敵な舞台を作っていただいた。

  『風と共に去りぬ』初演(1966年)の美術デザイナーは伊藤熹朔(きさく)さんである。伊藤さんは、日本の舞台/映画美術デザインのパイオニアで、日本で最も権威のある舞台美術の賞「伊藤熹朔賞」にそのお名前を留めている。
  その伊藤熹朔賞の受賞者のひとりが、今回の『風と共に去りぬ』をデザインしてくださる松井さんである。歴史はこうして受け継がれて行くのである。

  今回は「帝劇100週年記念公演」の1本としての上演だが、これは正確には「再演」ではない。以前にも触れたが、『風と共に去りぬ』の初演は前半(第1部)と後半(第2部)別々に上演されており、それぞれが4時間に及ぶ長編であった。
  今回は第1部、第2部一挙上演である。そう言う意味では2001年に初演されたミュージカル版の構成に近い。

  ティム・バートンが『猿の惑星』の再映画化を試みた時、或いはJ・J・エイブラムスが『スター・トレック』の再映画化に取り組んだ時、「リ・イマジネーション」という言葉が使われた。来年の『風と共に去りぬ』も、「再演」と言うよりは「リ・イマジネーション」ではないだろうか。

  帝劇での『風と共に去りぬ』上演史にオマージュを捧げる様な作品にしたいと思う。

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『メリー・ウィドー』通信 & 『ウェディング・シンガー』通信

11月21日(日)

  『メリー・ウィドー』3日目。

  「チーム加賀」の2日目にして千穐楽である。
  初日以上に舞台は弾み、観客の反応もまた初日を凌ぐものであった。時折「ドキッ!」とする様なポカも無いでは無かったが、しかし終わってみれば、とても気持ちの良い舞台となっていた。
  その証拠に、カーテン・コールが終わってカーテンが閉まり、場内が明るくなっても拍手は止まなかった。慌ててもう一度カーテンを開けた程であった。

  それにしても、ひと月以上稽古して、たった2回の公演で幕を閉じる。ブロードウェイやウェストエンドでは「酷評されれば初日でクローズ」と言うこともあるかもしれないが、何とも儚(はかな)いことである。が、これが日本のオペラ/オペレッタ界の現状なのであろう。
  1回でも2回でも、いま以上に公演できる日が1日も早く来ることを願わずにはいられない。

  夜はウェディング・シンガーの舞台美術打ち合わせ。

  8月15日の日記でも触れたのだが、『ウェディング・シンガー』の舞台美術が難航している。「シアタークリエで上演する」と言うことには、物理的な制約に加えて、それ以外にも様々な困難が伴うのである。

  何とか上手く行きます様に!

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『メリー・ウィドー』通信 そしてイライザ卒業パーティー

11月20日(土)

  『メリー・ウィドー』2日目。

  「チーム池田」の初日である。
  今日も5分押しで開演。昨日に劣らず、今日のお客様も大いに笑い、惜しまずに拍手をくださった。舞台上もいつに無く落ち着き、そして楽しげに見えた。
  『メリー・ウィドー』のダブル・キャストは、それぞれの個性が本当に異なる。芝居の運びにも、おかしさにも、それが良く出ている。唯一のシングル・キャストはニェーグシュを演じる鎌田誠樹さんであるが、それぞれに個性的な上司・ツェータ公使に芝居を合わせるのは結構大変だろうと想像する。
  オペラ/オペレッタの入場料金は決して安くはないし、公演期間もとても短い。予定は立て難いだろうが、ぜひ両キャストを見比べて頂けたら、と思うのである。

  夜は「真央さんイライザ卒業パーティー」へ。

  大地真央さんが花売り娘・イライザを演じるブロードウェイ・ミュージカル『マイ・フェア・レディ』が本日千穐楽。今日をもって真央さんは、20年間演じ続けていらしたイライザ役を卒業される。その労をねぎらう会が開かれたので顔を出す。
  千秋楽の当日なので、カンパニーの打ち上げの様な、肩の凝らない明るく賑やかなパーティであった。沢山の方が真央さんとの想い出を語り、そして歌った。
  1963年の『マイ・フェア・レディ』日本初演より同作に関わり続けていらした宮崎プロデューサーの言葉が格別に心に残る。宮崎さんも今日で『マイ・フェア・レディ』を卒業されるのである。

  真央さん、宮崎さん、長い間お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

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初日! 『メリー・ウィドー』通信

11月19日(金)

  そして今日も日生劇場へ。

  『メリー・ウィドー』初日である。
  開演は18時30分であるが、だからと言って、昼間に稽古や駄目出しや作業がある、と言うこともない。極めて落ち着いた、人間らしいとさえ言える初日の迎え方である。
  さて、本日は5分押し。定刻を5分過ぎて場内の明かりが落ちる。マエストロがピットに登場し、盛大な拍手に迎えられる。力強くタクトが振り下ろされ、そのエネルギーに相応しい華やかな音楽が日生劇場一杯に響き渡る。
  観客は温かく、大いに笑い、そして手を叩いてくださった。そのお陰もあってか、舞台の上は程良く力が抜け、いつも以上に繊細で、いつに無く大胆でもあった。
  オペラ/オペレッタの世界ではカーテン・コールの最後にマエストロが舞台に登場する。加えて演出家も登場する習わしがあり、それに倣って私も舞台に上った。習わしなので悪しからず。

  いま思い出してみても、とても良い初日だったのではないかと思う。客席の最後列で、私も安心して舞台を眺めていることができた。こう言う初日はとても珍しい。

  明日は「チーム池田」の初日。明日の開演は15時である。お間違えの無い様に!

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『ウェディング・シンガー』製作発表!

  『ウェディング・シンガー』の製作発表が行われる。

  このところ東宝では『プライド』『アンナ・カレーニナ』『レ・ミゼラブル』と製作発表が続いているが、負けじと『ウェディング・シンガー』も製作発表である。

  『ウェディング・シンガー』は2008年の2月に日生劇場で初演されたブロードウェイ・ミュージカルであるが、今回はシアタークリエに劇場を移しての再演となる。よりロマンティックに、よりアットホームに、より暑苦しくお届けしようと思っているので、ご期待いただきたい。

  12月6日に行われる製作発表には120名の方をオーディエンスとしてお招きする。応募方法など、詳細はこちらからどうぞ。

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『メリー・ウィドー』通信

11月18日(木)

  今日ももちろん日生劇場へ。

  午後イチより「チーム池田」でGP。GP終了後は昨日同様にオーケストラと何曲かをあたり、そして駄目出し。開幕前の全作業を無事に終えた。
  上演時間は、1幕が約50分、2幕が約60分、3幕が約30分。途中、20分の休憩が2回入り、全体では約3時間と言ったところであろう。

  私がブログを始めたのは5年前。正に『メリー・ウィドー』初演の時であった(その記事はこちらから)。但し、肝心の劇場入りした辺りで風邪をこじらせてしまい、『メリー・ウィドー』通信は中途半端に終わっている。
  今回は無事に開幕に漕ぎ着けられそうで、ひと安心。明日はいよいよ初日である。

  「チーム加賀」の初日は18時30分開演。それでは日生劇場で!

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『メリー・ウィドー』通信

11月17日(水)

  今日もまた日生劇場へ。

  朝から照明合わせ。
  昨日、既に舞台稽古に突入しているのだが、実は照明デザインの作業はまだだったのである。なので昨日は、飽くまでも仮の明かりで舞台稽古を進行したのであった。
  で、今日の照明合わせである。照明合わせでは、照明のCue(キュー=照明がどの様に変化して行くか)をひとつずつ追って、各Cueの中身(データ)を微調整して行くのであるが、その作業の途中で「舞台面の素材を変更する」ことになった。今まで使用していた床素材では望まれる照明の効果が得られない、と判断した為である。
  急遽、別の床素材が調達され、照明合わせを中断して床を張り替えた。苦渋の決断であったが、その判断は間違っていなかったと思う。

  さて、夕方からは「チーム加賀」でGP(ゲネプロ)。舞台面が張り変えられたために、本来ならば本番同様に進行する筈のGPも、各幕の開始前に改めて立ち位置を確認する、など、やや「てんてこ舞い」な感じであった。
  このスリリングな所が舞台の仕事の醍醐味である。一度これを味わうと、もうやめられない。

  ちょっとオーバーに書いたが、GPの中身自体は良い感じに、順調に運んだ。GPの後は幾つかの曲をオーケストラと合わせ直し、更にその後駄目出し。予定通りに今日のメニューを消化した。

  明日は「チーム池田」でGP。初日はもう目の前である。

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『メリー・ウィドー』通信

11月16日(火)

  今日も日生劇場へ。

  舞台稽古初日である。
  午後イチより「チーム加賀」「チーム池田」合同で、まずは場当たり。ダンス・ナンバーや大勢の登場する場面の動線、ポジションを整理する。続いて夕方より、オーケストラの皆さんも加わって、大きなナンバーを中心に舞台稽古。

  日生劇場は、私の初めてのブロードウェイ・ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』が上演された思い出深い劇場である。その後も、初演、再演、再々演、再々々演と繰り返し上演された『ジキル&ハイド』を始め、『ウェディング・シンガー』、『ラ・カージュ・オ・フォール』、ミュージカル『シラノ』がこの劇場で上演されて来た。
  その慣れ親しんだ日生劇場に、いつものミュージカルとはやや趣の異なる『メリー・ウィドー』で今回はお邪魔している。客席に座っていても舞台裏に回っても、私自身はいつも以上にリラックスしている。この劇場のスタッフさんになら、全てを安心して任せられるからである。

  ところで、二期会さんのオフィシャル・ブログに『メリー・ウィドー』の予告編、と言うか、ダイジェスト映像がUPされている。5年前の初演時の映像だが、 こちらから是非どうぞ!

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『メリー・ウィドー』通信

11月15日(月)

  日生劇場へ。

  今日は朝から大道具、照明の仕込みが行われている。そして、午後イチでタッパを決め、その後は照明のフォーカス作業である。
  『メリー・ウィドー』の舞台美術は、フランス印象派のある画家の作品をモチーフとしている。誰のどの作品かは、ネタバレになってしまうのでここでは触れないが、これは美術デザイナーの堀尾さんのアイデアである。
  このロマンティックでスマートな舞台美術にも一見の価値はあると思うのだが。

  夕方より東京交響楽団の練習場へ。

  今日は「チーム池田」でオケ合わせ。オケ合わせは一昨日よりも更にスピーディに進んだ。
  下野マエストロの創ろうとしている音楽には「喜び」が満ち溢れている。それは音楽だけが与えることのできる「喜び」だと思う。そこが下野さんの素晴らしい所なのではないだろうか。

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『メリー・ウィドー』通信

11月13日(土)

  東京交響楽団の練習場「クラシック・スペース★100」へ。

  オーケストラと、ソリスト、合唱団の合わせである。今日は「チーム加賀」の出番。
  下野マエストロの話では、今回のオーケストラは約50名。日生劇場のオーケストラ・ピットには、それ以上の人数が入らないのだと言う。そこに19名のソリスト、32名の合唱団、そして助演(鎌田誠樹君のことです)が加わり、100名に及ぶ人間がレハールの音楽を紡いで行くのである。
  帝劇のオーケストラ・ピットでは、多くて24、5名のミュージシャンが入れば満杯である。それに、近頃では経費削減の一環で、再演の度に少しずつオーケストラの編成が小さくなっているケースも少なくない。
  そんなご時世に100名で音楽を奏でるのである。オペラ/オペレッタの世界がどれほど音楽を大切に扱っているかがお分かり頂けると思う。

  今日のオケ合わせは下野さんの軽妙、且つ手際の良い進行で、テキパキと進んだ。そして、5年振りに生で聴く大編成の『メリー・ウィドー』。ミュージカルを見慣れている(聞き慣れている)日生劇場が、いつもとは違う音楽の響きで包まれるに違いない。

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『メリー・ウィドー』通信

11月12日(金)

  と言う訳で、稽古場最終日。

  今日は午後の齣で「チーム池田」の抜き稽古、夜の齣で「チーム加賀」の抜き稽古。午後の齣と夜の齣の間に両チーム合同でグリゼットの皆さんの抜き稽古。
  10月18日、グリゼットたちの振り付けから始まった立ち稽古も、今日で全行程を終了。思い残すことは何もない・・・・・・訳ではないが、でも良いムードで稽古を打ち上げることができた。
  5年前の初演時、私はオペラ/オペレッタの世界のことを殆んど何も分かっていなかった。そのせいで関係者の皆さんにはさぞ歯痒い思いをさせたに違いない、と今になって思う。今回の『メリー・ウィドー』が初演よりも良くなっていたとしたら、それはこの5年間の私の成長だと思いたい。思いたいが、事実は今回のキャスト&スタッフの力量であろう。

  明日は出演者の皆さんとオーケストラの合わせ(オケ合わせ)。スタッフが劇場入りするのは14日の夜からである。

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『メリー・ウィドー』通信

11月11日(木)

  「チーム池田」で2回目の通し稽古。

  今日で稽古場での全体稽古は全て終了。稽古は明日も行われるが、明日はソリストの皆さんの抜き稽古。なので、全員揃っての稽古は今日でお終いである。
  今日の収穫は大きかった。一昨日の1回目の通しで上手く行かなかった部分が、今日は見事に改善されていた。3幕でやや息切れしたように見受けられた部分があったが、それは明日の稽古で修正できるだろう。

  オーケストラのリハーサルも始まっている。マエストロは今日はそちらの稽古場へ。今回の『メリー・ウィドー』、管弦楽は東京交響楽団の皆さんである。

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一周忌 そして『メリー・ウィドー』通信

11月10日(水)

  森繁久彌さんのお墓参りへ。

  今日は森繁さんの一周忌である。月日が経つのは本当に早い、と感じる。今日の東京は、雲ひとつ無い穏やかな秋晴れであった。一年前はどうだったろうか。

  午後はメリー・ウィドーの稽古場へ。19日・21日組で2回目の通し稽古。

  ダブルキャストのそれぞれを、今までは「19日・21日組」と「20日・23日組」と呼んで来たのだが、煩雑であるし、何よりもキャストの顔触れが浮かんでこないことが悩ましい。
  なので、これからは「19日・21日組」のことを「チーム加賀」、「20日・23日組」のことを「チーム池田」と呼ぶことにする。それぞれのチームでツェータ公使を演じるベテランの名前がそのままチーム名である。
  但し、この呼称は私以外の人には全く通じない可能性がある。念のため。

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『メリー・ウィドー』通信

11月9日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。午後は『メリー・ウィドー』の稽古場へ。

  今日は20日・23日のキャストで1回目の通し稽古。上手く流れた部分もあるが、そうではなかった部分も。芝居って難しいなあ。

  今回『メリー・ウィドー』に登場するダンサーさんは全員で10名。その中で、私が以前にご一緒したことがあるのは水野栄治さんと横山博子さんである。
  水野さんは、ミュージカル・ファンの皆さんには説明の必要もないであろう。『ファンタスティックス』『キャンディード』『ベガーズ・オペラ』などなど、数々の作品で印象に残る役を演じていらした。私の作品では『ダンス オブ ヴァンパイア』『ラ・カージュ・オ・フォール』(あの愛らしいモニク!)『イーストウィックの魔女たち』『チャーリー・ガール』などに出演してくださった。
  横山さんは『ダンス オブ ヴァンパイア』(再演)で「赤いブーツの娘」を踊っていた。ご記憶の方も多いだろうと思う。

  『メリー・ウィドー』のダンス・シーンはどれも楽しいものである。ダンサーの皆さんの活躍にもご期待いただきたい。

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『メリー・ウィドー』通信

11月8日(月)

  19日・21日のキャストで通し稽古。

  早いなあ。もう通し稽古の時期かあ。
  と言うのが正直な気持ちであるが、もう通し稽古の時期なのである。今日はソリスト、合唱、ダンサー、助演、全員揃って、幕開きからフィナーレまで、途中で止めることなく通した。1回目の通しとしては悪くない……と言うより、むしろ良い出来であったと思う。
  そうして上手く繋がってみると、今度は今まで気にならなかったような細部が気になり出す。それはいつものことなのであるが、なので良い通し稽古の後の駄目出しは長くなる。

  先日稽古場にいらした照明デザイナーの服部さんも、今日いらした衣裳デザイナーの前田さんも、「面白くなっている」という趣旨のことをおっしゃってくださった。それで安心する程のお人好しではもちろんないが、信頼する人からそう言われるのはやはり嬉しい。

  明日は20日・23日のキャストで通し稽古。この稽古場とも今週限りでお別れなのである。

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中央発表会

11月6日(土)

  東京都芸術劇場へ。東京都高等学校文化祭演劇部門中央発表会の審査をするためである。

  分かり易く言えば、東京都の高校演劇コンクールの決勝大会である。今日と明日の2日間で、地区大会を勝ち進んできた12校の演劇部の作品を観劇することになる。
  高校演劇は都道府県ごとに連盟が置かれ、コンクール形式の発表会が毎年行われている。各都道府県が幾つかのブロックに分けられていて、そのブロック毎にまず地区大会(予選)がある。そこで優秀と認められた高校は各都道府県の中央大会へと進み、更にその先には、東京都であれば関東大会へ、その先には全国大会が待っている。
  昨年度、日大芸術学部演劇学科の私のクラス(演出実習Ⅱ)を研修の一環で受講されていた東京都立総合芸術高等学校の柳沢先生からお話を頂き、こうして審査員をお引き受けすることになったのである。

  私は2000年と2001年にも東京都の中央発表会の審査員をさせていただいた。2日間で12本の芝居を観る訳だが、さすがに地区大会を経て来た学校ばかりなので、どの芝居も面白く観ることができ、とても充実した2日間であった。
  私が日大芸術学部の学生であった頃(1970年代の後半)、東京都の中央発表会は日芸の中講堂を会場としていた。なので、劇場側の受け入れスタッフの一員として中央発表会のお手伝いをしたこともある。
  更に言えば、私も高校演劇の経験者である。私の母校は当時の城西城北地区であった。

  1日目の今日は7校の発表が行われた。明日は残りの5校が発表する。そしてその後、授与式と講評が行われることになっている。

  果たして、栄冠はどの学校に?

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『メリー・ウィドー』通信

11月5日(金)

  午後の齣、今日は19日・21日組の音楽稽古。夜は20日・23日組+合唱団、ダンサーさんたちで大勢のシーンのおさらい。つまり、昨日と同じメニューを組違いで。

  『メリー・ウィドー』のクリエイティブ・チームは、装置の堀尾幸男さん、照明の服部基さん、衣裳の前田文子さん、振付の麻咲梨乃さんと、ミュージカルの世界でもおなじみの方々である。
  堀尾さんは『ダンス オブ ヴァンパイア』『シラノ』『エリザベート』『モーツァルト!』、服部さんは『ダンス オブ ヴァンパイア』『三銃士』『風と共に去りぬ』『ローマの休日』、前田さんは『シェルブールの雨傘』『三銃士』『グレイ・ガーデンズ』『キャバレー』、麻咲さんは『エリザベート』『チャーリー・ガール』『太平洋序曲』『ドラキュラ』そして数々の宝塚作品……。
  皆さんはミュージカルのみならず、ストレート・プレイでも数々のすばらしいお仕事をなさっている。そして、オペラ/オペレッタの世界でも。

  5年前、『メリー・ウィドー』(初演)のお話を頂いた時、クリエイティブ・チームを誰に依頼しようかと考えて、上記の方々にお願いすることにした。
  『メリー・ウィドー』の世界を立体化するのに相応しい方々であるし、以前に仕事をして気心が知れていたこともある。が、一番の決め手は、皆さんがオペラ/オペレッタの世界での仕事の進み方をご存じでいらしたことであった。
  お陰で、私は何の心配もなくこの仕事に没頭することができたのである。

  感謝してます。

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お別れの会 そして『メリー・ウィドー』通信

11月4日(木)

  午前中は池内淳子さんの「お別れの会」へ。

  蘭や薔薇、百合で飾られた祭壇の中央で池内さんは微笑んでいらした。両脇には着物好きでいらした池内さんのお着物が飾られていた。
  何を今更と思われるかもしれないが、今日の会に出席された方々の顔触れを見て、
  「池内さんは紛れもない大スターだったんだな」
  と改めて感じた。そんな当たり前のことを、池内さんにお目に掛かっていると忘れてしまうのである。
  池内さんはそう言う方でいらした。

  午後は『メリー・ウィドー』の稽古場へ。

  午後の齣では20日・23日組の音楽稽古。
  下野マエストロとソリストの皆さんとで、音楽的な行き方や約束事を改めて丁寧に確認。芝居はせずに(厳密にいえば「動くことはせずに」)、譜面を前にして音楽面に集中しての稽古であった。
  夜の齣では19日・21日組に合唱団、ダンサーの皆さんも加わって、大勢の登場する場面をさらう。今まではソリストの皆さん、合唱の皆さん、ダンサーさんたち、それぞれで稽古することが多かったのだが、それを今日は合わせての稽古であった。

  今日は稽古場に照明デザイナーの服部さんが登場。改めて、紫綬褒章おめでとうございます。

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『メリー・ウィドー』通信

11月3日(水)

  『メリー・ウィドー』の稽古場へ。昼の齣はヴァランシェンヌ&カミーユの抜き稽古。

  ヴァランシェンヌは、ポンテヴェドロ王国のパリ駐在公使ツェータ男爵の、歳の離れた若い妻である。
  ポンテヴェドロ公使館員の奥方たちは、亭主があるにもかかわらず、言い寄って来るパリジャンたちとのアバンチュールにうつつを抜かしている。ヴァランシェンヌもそのひとりで、彼女の無鉄砲な振舞いが『メリー・ウィドー』の物語を大いにややこしいものにすることになる。
  彼女の恋のお相手がカミーユ・ド・ロジョンで、カミーユは「人妻が好き」と公言して憚らない様な色男。このカップルは『メリー・ウィドー』の中ではコメディ・リリーフなのだが、うっとりするほど美しいデュエットも披露してくれる。
  ヴァランシェンヌを演じるのは菊地美奈さん(19日、21日)と坂井田真実子さん(20日、23日)、カミーユは上原正敏さん(19日、21日)と小原啓楼さん(20日、23日)。それぞれ持ち味の全く違うカップルなので、出来ることなら両キャストともご覧頂きたいのであるが。

  夜の齣は20日&23日のキャストで2幕のおさらい。
  指揮の下野竜也さんが稽古場に登場。まだ止めながらの稽古であるにもかかわらず、タクトを振ってくださる。下野さんの手に掛かると、聞き慣れていた筈の音楽が、まるで初めて聞く曲の様に新鮮に感じられる。ソリストの皆さんの歌にも、いつも以上に熱が籠る。下野マジック、であろう。

  少しずつ、ではあるが、『メリー・ウィドー』は確実に進化を遂げている。今日も収穫の多い1日であった。

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『メリー・ウィドー』通信

11月2日(火)

  秋の褒章が発表された。

  照明デザイナーの服部基さんが芸術文化を対象とする紫綬褒章を受章された。言うまでもないと思うが、服部さんは『メリー・ウィドー』の照明デザイナーである。服部さん、ご受章おめでとうございます。

  さて、午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。午後は『メリー・ウィドー』の稽古場へ。

  (昨日よりつづく)MGMは『メリー・ウィドウ』を1952年にも映画化している。こちらの監督はカーティス・バーンハートで、ストーリーは更に大幅に脚色されており、最早私たちの舞台版とは似ても似つかない。
  ダニロはこの映画でもダニロとして登場するが、ハンナはここではクリスタル(!)と呼ばれている。前出の『ザッツ・エンタテイメント Part 2』には、グエン・ヴァードン(ボブ・フォッシーの元奥さんで名ダンサー)が「カン・カン」を踊る場面が収録されている。
  因みに、ダニロはリカルド・モンタルバンで、これはエキゾチックなダニロであったろう。そしてクリスタルは妖艶なラナ・ターナーが演じた。(もう続かないかも)

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『メリー・ウィドー』通信

11月1日(月)

  午後の齣では1幕を、夜の齣では2幕を中心に稽古。

  (昨日よりつづく)1934年版の映画『メリー・ウィドウ』を監督したエルンスト・ルビッチは、“ルビッチ・タッチ”で知られた、洗練された作風が持ち味の映画監督である。ルビッチ・タッチは『メリー・ウィドウ』でも存分に堪能することができる筈である。
  この映画で主人公のダニロに扮するのはモーリス・シュバリエ。シュバリエのダニロ姿は、1976年に公開された『ザッツ・エンタテイメント Part 2』にも収められている。
  同作には、ダニロが「ロロ、ドド、ジュジュ……」と歌う「マキシムの歌」や、女の子に囲まれながら「女女女」と歌う場面、それに、巨大な鏡の間を大勢のカップルがワルツを踊りながら行く「メリー・ウィドー・ワルツ」の場面が収録されている。

  もうひとりの主人公ハンナは、この1934年版ではソニアと呼ばれており、そのことからも分かる通り、ストーリーはかなり脚色されている。演じるのはジャネット・マクドナルドで、『メリー・ウィドウ』の頃はシュバリエとのコンビで、その後はネルソン・エディとのコンビで人気を博した、美しいソプラノのオペレッタ女優であった。(明日につづく)

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『メリー・ウィドー』通信

10月31日(日)

  昼の齣(こま)の前に、マキシムの踊り子・グリゼットの皆さんの抜き稽古。

  グリゼットは全員で6名。それぞれ名前が付いていて、ロロ、ドド、ジュジュ、フルフル、クロクロ、そしてマルゴである。初日組と2日目組のダブルキャストになっているので、実際には12名のグリゼットたちがいるのだが、陽気に歌い踊る彼女たちも歴とした二期会の会員さんたちである。
  「グリゼットの歌」に続く「カン・カン・シークェンス」では、彼女たちに加えて本職のダンサーさんも登場するのだが、上記の名前を名乗る6名はダンサーさんではないことをご記憶いただきたい。

  さて、グリゼットの抜き稽古後、昼の齣はダンサーさんたちの振り付け。3幕のオープニングとなるナンバーを昼の駒全部を使って作る。
  そして夜の齣。夜はソリストさんたちの芝居中心の稽古。1幕を頭からさらい、2幕の前半にも手を付ける。

  話はいきなり変わるが 、『メリー・ウィドー』はハリウッドでも何度か映画化されている。
  最も有名なのは1934年のMGM版(邦題『メリー・ウィドウ』)だと思うが、その監督は、脚本家・映画監督(そして私の同級生)の三谷幸喜が、執筆に行き詰まった時に「ワイルダーならどうする?」と書いた紙を壁に貼って自問自答する巨匠ビリー・ワイルダーが、脚本執筆に行き詰まった時に「ルビッチならどうする?」と書いた紙を壁に貼って自問自答したと言う、名匠エルンスト・ルビッチである。(明日につづく)

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