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劇団東宝現代劇

9月11日(土)

  東京芸術劇場へ。劇団東宝現代劇75人の会の公演『喜劇 隣人戦争』を観るためである。

  劇団東宝現代劇は、昭和32年に結成された歴史ある劇団である。『ラ・マンチャの男』のサンチョや『放浪記』の菊田一夫を長年演じていらした故・小鹿番さんや、『ミー&マイガール』のチャールズ、『ジキル&ハイド』のプールを演じてくださった丸山博一さんは劇団の1期生である。小鹿番さんの演じた菊田一夫氏が劇団の生みの親であった。
  私が東宝に入った頃は、今ほどミュージカルの上演本数は多くなく、ラインナップの主流は「商業演劇」と呼ばれた大劇場演劇のストレート・プレイであった。代表的な作品はもちろん『放浪記』であるが、当時は帝劇でも芸術座でも旧・東京宝塚劇場でも、その類の作品が主流を占めていた。
  東宝現代劇の劇団員はそれらの舞台を支えていた。東宝の舞台だけではなく、様々な劇場で彼らは活躍していた。『喜劇 隣人戦争』のプログラムで、作者の小幡欣治さんも
  「『隣人戦争』が初演された昭和五十年代というのは、東宝現代劇が充実期を迎えて、俳優一人ひとりの個性や演技力が評価され注目され始めた頃である。なによりも層が厚かったから、各劇場から引っぱりだこだった。」
  と記されている。

  劇団東宝現代劇75人の会は、劇団東宝現代劇の有志たちにより結成された集団である。東宝の本公演などでは中々演じることのできない様々な役に挑戦することで、それぞれのスキルを高めて行きたい、と言うのが設立の趣旨であったと思う。
  第1回公演は1986(昭和61)年に行われ、今回の『喜劇 隣人戦争』が第25回目の公演となる。私が大学を出て東宝に入ったのは1984(昭和59)年であるから、75人の会が歩んで来たのと同程度、私も東宝で過ごして来たことになる。
  私自身も、1995年の第10回公演『毒薬と老嬢』を演出させていただいた。演出家としての私の最初期の1本である。何の実績もない新人に貴重な機会を与えて頂いた喜びは、今も忘れることができない。

  現在、東宝現代劇の劇団員の姿を舞台で観る機会は多くない。が、今日もどこかの舞台を、彼らは支え続けているのである。

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