『ナンシー』通信
4月22日(木)
午前中は日藝へ。
ある芝居から抜粋した1シーン。2人の登場人物が抽象的な会話を交わす短い場面なのだが、これを学生たちに「演出」して貰っている。
2人が誰なのか、どこの話なのか、男か女かさえ曖昧なテキストなのだが、それはわざとそうしてある。入学したての、良い意味で無邪気なくらいやる気満々な学生たちが、それにどう食いつくかを見てみたかったからである。
先週の最初の授業の日にも書いたことだが、今年度の学生は(今のところ)素直で積極的である。今日も何人もの学生が積極的に作品を発表し、しかもそれぞれがユニークで独創的であった。演出をテクニックや方法論で見れば、どの学生も本当に拙い。が、そういう部分はこれからいくらでも学んで行けることである。作品を作りたい、見る人を楽しませたい、と言う今の純粋さを失わずに、色々な事を吸収して行って欲しいと思う。
午後は『ナンシー』の稽古場へ。
強盗が立て籠もった銀行の従業員・本宮を演じているのはヨーロッパ企画の本多力さんである。本宮は、銀行に非常事態が起こった場合の責任者である。責任感のとても強い男なのだが……。
プロデューサーの井口さんによると、本多さんと西村さんの出会いは次の様な事らしい。
西村さんがある芝居のプロモーションで関西を訪れた時、インタビュアーとして現れたのが本多さんだったのだと言う。本多さんが俳優であることが判明し、そして本多さんは西村さんたちの芝居を観に行き、今回遂に共演を果たすことになった。
本多さんも、真剣に演じれば演じるほど見ている方にはおかしい、というタイプの俳優さんである。
本当におかしい。
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