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2010年4月の記事

『ナンシー』通信

4月29日(木)

  稽古前に衣裳合わせ。

  衣裳デザイナーは三大寺志保美さんである。『大騒動の小さな家』以来、久し振りにご一緒する。
  『ナンシー』の登場人物は、警察署長、銀行の従業員3名、銀行の客2名、そして銀行に押し入った強盗犯である。警察署長には制服があるので、その姿は想像し易いであろう。銀行の従業員の格好も想像し易い筈である。男性はスーツだし、窓口係の女性にはユニフォームがある。客の2人は、物語の発端では「彼らが何者なのか」が明らかにされていないので、ここでは触れない。そして銀行強盗にも今は触れない。
  が、7人それぞれの衣裳姿も楽しんで頂ける筈である。

  衣裳合わせの後は立ち稽古。連日、大変充実した稽古が繰り広げられている。

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『ナンシー』通信

4月28日(水)

  立ち稽古。

  ラストまであと10ページ、と言う辺りまで来ている。
  『ナンシー』は決して長い芝居ではないのだが(上演時間はまだ分からないが、恐らく1時間30分前後ではなかろうか?)、登場人物の7人がほぼ出ずっぱりなので、そのひとりひとりの行動や反応の辻褄を合わせるのは結構難易度が高い。稽古は、作っては壊し、また作ってはまた壊し……、の繰り返しである。

  強盗犯が立て籠もった地方銀行の支店長・郷原を演じるのはデビット伊東さんである。何とか事態を友好的に解決しようと、ひたすら低姿勢で対応する支店長だったが……。
  デビットさんは、毎日誰よりも早く稽古場に入られる。稽古着に着替えると、黙々とウォーミング・アップをこなされている。『ナンシー』の出演者はまじめな方ばかりなのだが、デビットさんもその例に漏れない。
  稽古中もいたってまじめである。そしてまじめな顔で、時々思いもよらないナンセンスな芝居をされる。ペースが「まじめ」なので、そのナンセンスが生きて来るのである。

  『ナンシー』の稽古場は本当に面白い。

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『ナンシー』通信

4月27日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。先週からスタートしたレッスンの続き。

  いま取り上げているミュージカル・ナンバーは、主人公ひとりとコーラス大勢で構成されている。その主人公を受講生たちが交代で演じるのだが、コーラス側にいる時と主人公を演じる時とでは受講生の緊張の度合いがまるで違う。主人公に指名された時の受講生の大半は、ナンバーの途中での息継ぎさえ満足にできない程である。
  なぜだろうか?  そして、それを克服するにはどうすればよいのだろうか?  当面はそのことを課題として授業を進めて行くつもりである。

  午後は『ナンシー』の稽古場へ。

  昨日膠着状態に陥ったシークェンスに再挑戦。解決の糸口を掴むことができた。もちろん私の手柄などではなく、俳優さんひとりひとりが新しいアイデアと、このシーンをもっと良くしようという熱意を持ち込んでくれたからである。
  芝居作りはしんどいことも少なくないが、困難を皆の創意工夫で乗り越えた時の達成感は何物にも代え難い。人が集まって何かに取り組むことの意味を改めて考えさせて貰った。

  明日も乗り越えられます様に!

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菊田一夫演劇賞 そして『ナンシー』通信

4月26日(月)

  東京會館へ。菊田一夫演劇賞の授与式。

  菊田一夫氏は、太平洋戦争前後の日本のショー・ビジネス界に大きな足跡を残された劇作家、演出家、プロデューサーである。東宝の演劇担当重役にもなり、現在の帝劇を作り、そしてブロードウェイ・ミュージカルの翻訳上演を最初に実現した人物でもある。
  菊田一夫演劇賞は、氏の業績を後世に伝えると共に、氏の念願であった演劇の発展に大きく寄与した人物を表彰する為に、1975年に創設された演劇賞である。一般社団法人映画演劇文化協会が主催し、今日はその35回目の授賞式であった。

  受賞者の顔触れはこちらをご覧いただきたいが、今年度は受賞者の全員が過去に仕事をしたことのある方々であった。なので、それぞれにひと言お祝いを申し上げる為に会場に足を運んだのである。
  日本にも演劇賞は幾つか存在するが、菊田一夫賞に価値があるのは、受賞の対象となる者が大衆演劇(つまりショー・ビジネス、或いはエンタテインメント)の分野から選ばれる点だと思う。
  一般に、エンタテインメントは評価され難い。演じ手、作り手の作家性が見え辛いからであろうが、エンタテインメントな作品ほど、演じ手、作り手の力量がその仕上がりを大きく左右する、と私は思う。

  受賞者の皆さん、おめでとうございました。今後の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

  午後は『ナンシー』の稽古場へ。

  後半のハイライトとなる「謎解き」シークェンスを立ち稽古。が、ちょっと足踏みをしてしまった。出演者の皆さん、稽古場を上手く捌けなくてごめんなさい。でも、明日は必ず雪辱します。

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『ナンシー』通信

4月25日(日)

  立ち稽古。今日で全体の2/3辺りまで辿り着いた。物語はいよいよ佳境を迎える。
 
  たまたま銀行を訪れていてこの事件に巻き込まれてしまった女・公恵を演じているのは岩佐真悠子さんである。
  公恵には誰にも明かしていない秘密があった。それは、強盗犯の求めに応じて銀行内に単身乗り込んだ警察署長・春日晴夫にも大いに関係のある秘密なのだが、彼女にそんな秘密があろうとは、その時晴夫は知る由もなかった……。
  岩佐さんはキャストで唯一の20代(しかも前半)である。が、とても落ち着いて見える。演技も実に堂に入っている。そのことをご本人に告げると、実は内心はドキドキなのだと言う。だとしたら、それを感じさせない稽古場での姿勢は素晴らしい。
  舞台の経験もまだ決して多くはないが、ケラさん、宮田慶子さん、生瀬勝久さんと、錚々たる演出家の舞台に立っている。これから先が大いに楽しみな女優さんのひとりだと思う。

  稽古後は音楽の大崎聖二さんと打ち合わせ。
  大崎さんは地球ゴージャスを始め、熱海五郎一座、明治座、ギンギラ太陽’sなどなど、大小、硬軟、自由自在の音楽クリエイターだが、以前は劇団スーパーエキセントリックシアターの劇団員だった、という実にユニークで多彩な人である。
  今回は『どんまいマインド』『大騒動の小さな家』『エデンの南』に続く大崎さんとのコラボレーション。音楽の上がりが待ち遠しい。

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『ナンシー』通信

4月23日(金)

  立ち稽古。

  今日で台本の半分過ぎまで来た。立ち稽古実働7日目だから、まあ順調であろう。
  本多力さんが4月22日付のヨーロッパ日記に記していらっしゃるが、俳優の皆さんは、1日が終わる頃には結構疲労困ぱいしているらしい。確かに『ナンシー』は、出演者にとっては気の抜けない芝居である。

  『ナンシー』で銀行を襲う市ノ瀬を演じているのは長谷川朝晴さんである。長谷川さんは演劇ユニット「ジョビジョバ」(現在活動停止中)のメンバーで、西村雅彦さんとは……
  あれ?  どこに接点があるのか聞き忘れた。
  長谷川さんには今日まで大変な困難を強いて来た。どんな困難だったのかはネタバレになってしまうのでここで書くことはできないのだが、これからは思う存分×××って欲しい。誤解の無い様に付け加えて置けば、長谷川さんは×××っていない時でも常に真剣であった。

  明日は×××。

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『ナンシー』通信

4月22日(木)

  午前中は日藝へ。

  ある芝居から抜粋した1シーン。2人の登場人物が抽象的な会話を交わす短い場面なのだが、これを学生たちに「演出」して貰っている。
  2人が誰なのか、どこの話なのか、男か女かさえ曖昧なテキストなのだが、それはわざとそうしてある。入学したての、良い意味で無邪気なくらいやる気満々な学生たちが、それにどう食いつくかを見てみたかったからである。
  先週の最初の授業の日にも書いたことだが、今年度の学生は(今のところ)素直で積極的である。今日も何人もの学生が積極的に作品を発表し、しかもそれぞれがユニークで独創的であった。演出をテクニックや方法論で見れば、どの学生も本当に拙い。が、そういう部分はこれからいくらでも学んで行けることである。作品を作りたい、見る人を楽しませたい、と言う今の純粋さを失わずに、色々な事を吸収して行って欲しいと思う。

  午後は『ナンシー』の稽古場へ。

  強盗が立て籠もった銀行の従業員・本宮を演じているのはヨーロッパ企画の本多力さんである。本宮は、銀行に非常事態が起こった場合の責任者である。責任感のとても強い男なのだが……。
  プロデューサーの井口さんによると、本多さんと西村さんの出会いは次の様な事らしい。
  西村さんがある芝居のプロモーションで関西を訪れた時、インタビュアーとして現れたのが本多さんだったのだと言う。本多さんが俳優であることが判明し、そして本多さんは西村さんたちの芝居を観に行き、今回遂に共演を果たすことになった。
  本多さんも、真剣に演じれば演じるほど見ている方にはおかしい、というタイプの俳優さんである。

  本当におかしい。

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『ナンシー』通信

4月21日(水)

  立ち稽古。

  今日で全体の1/3辺りまで辿り着いた。
  当初の構想では、もっと速いペースで、ざっくりとだがとにかくラストシーンまであたり、2巡目を丁寧に進めよう、と考えていた。が、方針転換。それぞれの行動がある程度腑に落ちるまではなかなか先に進めないことが判明して来たからである。
  稽古場では演出部の皆さんが、日々少しずつ、セットの使い勝手を良くしたり、小道具を本番仕様の物に交換したり、してくれる。今日は大金が納められたバッグが登場。稽古前からセット上にさりげなく置かれていたのだが、やはり存在感は抜群で、ひとしきり話題をさらっていた。紙幣が舞台用の小道具であることは言うまでもない。

  稽古後、西村雅彦さんのメールマガジン向けに、西村さん、プロデューサーの井口さん、大木さんと対談……と言うか雑談……の様な対談。

  メルマガなんてやってたの?

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『ナンシー』通信

4月20日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。

  今日より台本とスコアを使用してのレッスンに入る。取り上げるのはあるミュージカルの1場面だが、この課題では、我々がミュージカルを作り上げてゆくプロセスを疑似体験して貰うことと、それを通じて、経験の浅い俳優が注意すべき点を知ることを目的としている。
  人は歌う時、無意識に「自分の歌い易い歌い方」をしてしまう。ある程度歌い慣れている人ほど「癖」がある。そのことに気づくことからミュージカル俳優のレッスンは始まるのである。

  午後は『ナンシー』の稽古場へ。

  稽古場にプロンプターとして参加してくれているのは岸田茜さんである。岸田さんは新国立劇場演劇研修所の第3期研修生である。
  毎日稽古前の30分、岸田さんによるストレッチの時間が設けられている。これは参加したい人だけが参加すればよい自由メニューなのだが、出演者の皆さんは全員参加している。演出助手の大江祥彦さんも参加している。なので私も参加しない訳に行かなくなった。『ジキル&ハイド』のファイナル公演の時に作って一度も袖を通していなかったロゴ入りのカンパニーウェア(ジャージ)が役に立つ時が来たのである。
  2年前に参加したドリス&オレガの公演の時も稽古前にストレッチをやっていた。あの時はストレッチに加えて筋トレもメニューに含まれていたのだが、筋トレ隊長であった松田美由紀さんによるメニューが日一日とエスカレートして行き、鈍った体が悲鳴を上げていたことも今となっては懐かしい(こちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら参照)。
  それを教訓として、今回はストレッチと簡単な発声だけにしてもらっている。昨日は飯島直子さんからヨガマットを頂いた。

  引っ込みがつかなくなって来た。

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『ナンシー』通信

4月19日(月)

  立ち稽古。

  飯島さんに劣らず常に真剣なのはTEAM NACSの安田顕さんである。安田さんは人質のひとり、何かと言うとすぐにクレームを付ける自己主張の強い男・久保寺を演じる。久保寺は、ひょんなことからこの銀行に居合わせてしまったが、彼にはどうしてもここを抜け出さなければならない事情あった……。
  以前、安田さんと西村雅彦さんが共演された舞台『歌の翼にキミを乗せ~ロクサーヌに捧げるハイネの詩~』を拝見した。これはエドモン・ロスタンの戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』を翻案した作品で、安田さんは原作ではクリスチャンにあたる色男を、これも真剣に演じていたことが強く印象に残っている。

  チーム『ナンシー』にはコメディを一層面白くしてくれる俳優が揃っている。

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『ナンシー』通信

4月16日(金)

  本日も立ち稽古。

  強盗が立て籠もった銀行内に残された5人の人質。その中には警察署長・春日晴夫(西村雅彦さん)の妹・美栄子も含まれていた。美栄子はこの銀行の窓口係なのであった。
  美栄子を演じるのは飯島直子さんである。飯島さんと西村さんと言えば、テレビドラマ『今夜、宇宙の片隅で』が思い出されるが、お2人の出会いはこの作品だったのだそうだ。今ちょっと調べてみたのだが、そうかもう10年以上前になるのか。
  飯島さんが演じる美栄子は独身の銀行員。アラフォーにして結婚話が持ち上がり、プライベートでは充実した日々を送っていた。それが、この銀行強盗事件に巻き込まれたことで、思いがけず重大な決断を迫られることになる……。

  読み合わせの初日から、飯島さんはとても真剣に美栄子を演じてくださっている。この「真剣に演じる」と言うことは、実はコメディを演じる場合にとても大切なことなのである。
  「笑わせよう」と思って演じることによって起こる笑いと、ひたすら「真剣に」演じて起こる笑いとでは、笑いの質が異なる。前者を「コント」と呼び、後者を「コメディ」と呼ぶのだと私は考えているのだが、前者の笑いは強力だが瞬間的なもので、後者はじわじわと積み重なりやがて大爆発に至る。これは「それぞれに違った特性がある」という話で、優劣の話ではない。
  ここで言いたいのは、「飯島さんは大変優れたコメディエンヌである」と言うことである。

  飯島さんに限らず、『ナンシー』には真剣に演じる俳優たちが揃っている。これはコメディにとっては最強の武器であろう。

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日大藝術学部演劇学科 そして『ナンシー』通信

4月15日(木)

  東宝ミュージカルアカデミーに続いて、日大藝術学部演劇学科の授業も始まった。

  私が受け持つのは「演出実習Ⅱ」で、このクラスも既に6年目になる。
  学生たちの気質は年度ごとに結構違うものなのだが、今期の第一印象は「素直で熱心」な感じである。与えた課題にも前向きに取り組む姿勢を見せるし、意見を求めれば次々と返って来る。授業はやり易そうでありがたい。
  アカデミーと日藝で生徒の数を合わせると約60名。毎年の愚痴で本当に申し訳ないのだが、名前を覚えるのが大変!

  午後は『ナンシー』の稽古場へ。本日より立ち稽古に入る。

  稽古場には銀行内の簡単なセットがほぼ実寸で建て込まれている。稽古場は天井も高いし、休憩スペース、作業スペースも確保されていて過ごし易い。惜しむらくは、舞台全体を一度に見渡すだけの距離が取れない。舞台のあちこちに散らばっている登場人物を全員同時に見渡したいのだが、それが敵わない。なので私は同じ場面を上手から、下手から、と、居場所を変えて何度も見せて貰うことになる。
  今日は幕開きから20ページほど、上演時間にすれば15分程度のブロックを、1日かけて、あーでもない、こーでもないを繰り返しながら稽古した。とても楽しい作業だが、とても集中力を要求される作業でもある。稽古終わりには、演じる方も見る方もかなりヘトヘトであった。

  ところで、『レベッカ』のトークショー開催が発表になった(詳細はこちらから)。行われるのは5月9日と16日の2回だが……、16日の司会者の人選はいかがなものであろうか。

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『ナンシー』通信

4月14日(水)

  稽古前に舞台美術の打ち合わせ。

  『ナンシー』の美術デザイナーは中根聡子さんである。中根さんとは今までに『恋愛喜劇「青猫物語」』『どんまいマインド』『大騒動の小さな家』などでご一緒した。
  現在、我が国の舞台美術界では女性デザイナーの活躍が目覚ましい。中根さんも大活躍中の1人である。ペンギンプルペイルパイルズや本谷有希子さん、後藤ひろひとさんの作品など、手掛けられている作品も実に多彩である。シアタークリエで昨年5月に上演された『この森で、天使はバスを降りた』も中根さんの美術であった。

  稽古は本日も読み合わせ。

  昨日の読み合わせでは物語の前半に重点を置いてドラマの構造を分析したので、今日は後半を分析、整理した。
  『ナンシー』は1幕劇である。ワン・シチュエーションで、幕開きからラストまでリアルタイムにドラマは進行する。登場人物は7人。7人は全編ほぼ出ずっぱりで、この銀行強盗事件に向き合うことになる。
  このドラマの中には数々の対立がある。スケールの大きい対立もあるが、みみっちい物もある。『ナンシー』では、そんな様々な対立が物語を運んで行くエネルギーとなっている。昨日、今日の読み合わせで注目したのは、「誰と誰が何を争点に対立しているのか」「それを周囲はどう見ているのか」の2点なのだが、それは上記の様な理由からであった。

  明日から立ち稽古に入る。芝居で難しいのは、実は「台詞を喋っていない時間をどう過ごすか」なのだが、明日以降、我々はそのことを大いに思い知らされる筈である。

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東宝ミュージカルアカデミー そして『ナンシー』通信

4月13日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。5期生の1回目の授業であった。

  スクール自体は既に先週から始まっているのだが、私は『レベッカ』帝劇版の舞台稽古があったので、今日からのスタートとなった。
  テキストとスコアを用いた通常のレッスンは次週から始めることにして、今日はとにかく5期生の感触を掴むことに全力を傾注した。何しろ、5期生のことは顔も名前も何ひとつ分かっていないのである。
  5期生は今までの受講生たちと比較するとやや年齢層が高い。そして例年以上に男女の比率がアンバランスである。どうすればミュージカルを志す男子を増やすことができるだろうか。「半々」とは言わないが、せめて「2:1」位の割合にはならないものなのだろうか。

  午後は『ナンシー』の稽古場へ。昨日に引き続き本日も読み合わせ。

  『ナンシー』は、ある地方都市の銀行が舞台である。閉店間際に強盗が押し入り、人質を取って行内に立て籠もる。犯人は「警察署長を寄こす様」に要求し、署長は要求に応えて単身銀行内に乗り込んで行くのだが……。
  と言うのが物語の発端である。のっけから大いに緊張感の漂いそうな展開だが(事実緊張感はそれなりに高いのだが)、『ナンシー』はコメディである。話は単純には進まない。
  このドラマにサブ・タイトルを付けるとするならば「署長の一番長い日」と言うのが相応しい、と私は思うのだが、気の毒なその署長を演じるのが西村雅彦さんである。

  銀行内には犯人と5人の人質がいるのだが、その紹介は明日以降に。

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『ナンシー』通信

4月12日(月)

  ナンシーの稽古が始まる。

  『ナンシー』は、脚本家の金子茂樹さんによる書き下ろしのシチュエーション・コメディである。そしてこの公演は、出演者のひとりでもある西村雅彦さんと、西村さんの事務所の井口さん、大木さんの3人が企画・製作する一連の公演の最新作である。
  今日は稽古初日なので、まずはキャスト&スタッフ一同が会しての顔寄せ。そしてその後、読み合わせを行なった。
  『ナンシー』の見どころのひとつは、この豪華な顔触れであろう(いい男といい女が揃ってるでしょ?)。私は西村さん以外の方とは今回が初仕事なのだが、それぞれの方は西村さんとの接点をお持ちなので、稽古場も初日から和気あいあい、コメディであることも加わって、和やかで楽しい雰囲気が横溢していた。
  稽古後は、プロデューサーの計らいでキャスト&スタッフ一同で食事会。7月4日の千秋楽までの3ヶ月間の結束を誓ったのであった。

  私にとっては2008年秋に上演された『どんまいマインド』以来のストレート・プレイである。ミュージカルの仕事も大好きだが、同じくらいコメディも好きなので、大いに楽しんで稽古に勤しむつもりである。

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『レベッカ』通信・東京編/祝・涼風ダンヴァース初日!

4月8日(木)

  昼の部が涼風真世さんの初日であった。

  ダブルキャストの場合はどうしてもそうなってしまうのだが、他のキャストもスタッフも既に初日を終えていて、初日特有の緊張感からは解放されている。なのに自分だけはこれから初日を迎えなければならない。
  名古屋編でシルビアさんの初日時にも触れたことだが(こちら参照)、適切な緊張感を維持して本番を迎えるのは並大抵のことではない筈である。
  が、今日の涼風さんはそんな素振りを全く見せることもなく、堂々とした見事な帝劇デビュー振りであった。涼風さん以外のキャストも初日の硬さが取れ、スタッフワークも一段と滑らかになり、昨日以上に良い出来の2日目であった。
  カーテン・コールでは特別な挨拶などは予定されていなかったのだが・・・・・・、その様子はこちらからどうぞ。

  これで『レベッカ』通信・東京編は終了である。短い間でしたが、お付き合いくださってありがとうございました。次回は大阪編。5月の末に、やはり短期でお送りする予定(内容は今からでも想像がつく。連日「今日も深夜作業」であろう)。
  その前に、来週からはナンシー』通信が始まる予定。こちらもどうぞよろしく。

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『レベッカ』通信・東京編/祝・初日!

4月7日(水)

  12時30分より通し舞台稽古(ゲネプロ)。

  既に名古屋・中日劇場での1か月に及ぶ公演を終えているので、芝居としての仕上がりには何の不安もない。だが劇場のクルー(大道具さんや操作盤さんや小道具さんや照明さん……等々の皆さん)は手が変わっている。つまり、殆んどのクルーが帝劇公演からの参加なのである。
  名古屋を終えた後、今日までに要した時間の半分は、帝劇のクルーに仕事を渡し、それを洗練させることに費やされた。もう半分は、劇場条件の異なる帝劇に合わせた照明デザインや舞台転換の修正や変更、そして会場が変わればゼロからやり直しになる音響デザインに充てられた。
  その連日連夜の密度の濃い作業の甲斐あって、ゲネプロはとても良い出来であった。

  16時より帝劇内9階稽古場にて駄目出し。その後、16時30分より舞台にて初日のお祓(はら)い。

  ゲネプロを好結果に終えることができたので、「全員集合しての駄目出しは省略しようか」とも考えたが、好結果だったことも含めて、ひとつのムードを全キャストで共有して本番を迎える方が有益だと考えを改めた。ここまで来てしまえば、細かなことを指摘することよりもチーム全体のモチベーションを高めることの方が優先順位は高い。
  お祓いはいつものように日枝神社の宮司さんによって執り行われた。お払いの後半では、公演関係者の代表者数名が舞台上に設えられた祭壇に榊(さかき)を献上するのだが、ミヒャエル・クンツェさんもシルヴェスター・リーヴァイさんも舞台に上がられ榊を奉納された。お2人は過去にもお祓いには必ず参加されている。クンツェさんもリーヴァイさんも、こういう行事には興味深々なのである。

  ロビー開場は開演の1時間前。そして18時30分を数分過ぎて、いよいよ『レベッカ』帝劇公演の初日が開幕。

  25分の休憩を挟んで3時間、初日の幕は無事に下りた。
  カーテン・コールは帝劇初日特別編。まず出演者を代表して山口さんがご挨拶。続いて私が登壇し、今夜のスペシャル・ゲスト、クンツェさんとリーヴァイさんをご紹介。お2人からは大変温かいお言葉を頂戴することができた。その様子はこちらでご覧いただくことができる(早い!)。
  終演後は帝国ホテル17階のインペリアルラウンジへ。クンツェさん、リーヴァイさんと祝杯をあげる。

  明日の昼は涼風ダンヴァースの初日。今日同様に良い出来であります様に!

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『レベッカ』通信・東京編(簡略版)

4月6日(火)

  舞台稽古、昨日の続き。仮装舞踏会からラストまで。

  夕方、シルヴェスター・リーヴァイさんがひょっこりと登場。今日はちょっと覗きにいらしただけですぐに帰られたが、舞台を見るや否や「大きくなったね!」とご機嫌なご様子であった。

  明日はゲネプロ、そして初日。

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『レベッカ』通信・東京編

4月5日(月)

  午前中はオーケストラのサウンド・チェック。午後からいよいよ舞台稽古。

  出演者の皆さんとは、3月7日に名古屋を発って以来、ひと月ぶりの再会である。皆さんの落ち着いた佇まい、醸し出している和やかな雰囲気が、名古屋でのひと月が充実していたことを想像させてくれる。
  さて、舞台稽古はやや駆け足ながら順調に進行、今日のメニューを無事に消化した。その後スタッフは道具調べ・照明合わせの続き。更にその後、2幕のテクニカル・リハーサル。そしてこの時刻。

  帝劇初日まであと2日。

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『レベッカ』通信・東京編

4月4日(日)

  午前中は特殊効果の調整とテスト。「燃えてしまえ~♪」
  午後からは道具調べ・照明合わせの続き。全場面を終えた訳ではないが、更にその後、1幕のテクニカル・リハーサル。で、またしても深夜。

  今回のオーケストラは28名編成である。残念なことに、オーケストラ・ピットに全員は収まらない。1名だけがピットの外で演奏することになるのである。
  音は聞こえるのに姿が見えないのは、さて何の楽器でしょう?

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『レベッカ』通信・東京編

4月3日(土)

  今日の東京地方は絶好のお花見日和であった。

  それはともかく、夕方からの予定だった道具調べ・照明合わせを、作業手順を組み直して午後イチからスタート。やはりタッパが高いのは気持ちが良い。そして、帝劇の舞台空間の広さ、舞台と客席の関係、1階席の傾斜角度……などなどが中日劇場とはまた違った『レベッカ』を見せてくれる。
  今日も作業は深夜に突入し、1幕12場「フランクのオフィス」の明かりをデザインした所で本日は終了。続きはまた明日。

  帝劇初日まであと4日。

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『レベッカ』通信・東京編

4月2日(金)

  終日スタッフ・ワーク。今日も出番無し。

  話は変わるが、『レベッカ』の生みの親であるミヒャエル・クンツェさんとシルヴェスター・リーヴァイさんが、初日に合わせて来日されることになっている。過去の例に倣えば、初日の終演後には舞台に上がられて、ユーモア溢れるスピーチを聞かせてくださる筈である。

  帝劇初日まで後5日。

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『レベッカ』通信・東京編

4月1日(木)

  名古屋・中日劇場での『レベッカ』も昨日無事に千穐楽を迎えた。ご来場下さった方々、そして公演関係者の皆さん、ありがとうございました。

  さて、帝劇である。既に今朝から搬入、仕込みの作業が始まっている。
  帝劇では、中日劇場よりも舞台空間の高さ(劇場用語では「タッパ」と言います)が高くなる。つまり舞台の空間が広がるのである。そして、どこよりも広い舞台面積を利用して、客席側からの映像投影に加え、舞台後方からの映像投影も試みる。帝劇専用の『レベッカ』なのである。
  帝劇での初日は4月7日であるが、今日から4日間はスタッフ・ワークである。それだけ規模も大きい、と言うことであるし、様々なセクションのスタッフ・ワークを緊密に調整する必要がある、と言うことでもある。

  今日、明日は演出家の出番は殆んど無い。今日は帝劇で追加される映像素材の確認が唯一の仕事であった。なので今日は早々と退散、迫り来る深夜作業の嵐に向けて余力を残しておく作戦に出る。

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