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『パイレート・クイーン』通信

10月22日(木)

  午前中は日藝所沢。

  私の受け持つ「演出実習Ⅱ」に、「演劇」を授業科目に持つ高校などから先生が「研修」にいらっしゃることがある。多くの場合、先生方は1年間、日大の学生たちと演劇についての様々な授業を受けられるのである。
  私のクラスにも過去お2人の先生が研修にいらした。今年度もその様な先生が参加されている。
  夏休み明けの「演出実習Ⅱ」では「ある芝居のワンシーンを演出してみる」を継続中なのだが、今日はその先生が演出にチャレンジされた。先生は高校演劇を指導されて来た経験が豊富な方なので、大勢の生徒に役割を与えたり、芝居作りが停滞しないように常に新しい指示を追加したりなど、稽古の進め方がとてもユニークで、私はとても面白く拝見した(このブログでは説明の都合上「先生」と記しているが、「演出実習Ⅱ」ではあくまでも生徒として参加されているし、私も他の生徒と同様に接している)。
  「演劇は面白い」「稽古は楽しい」と言う根本的なことに改めて思いを巡らすことができた貴重な時間であった。

  午後は『パイレート・クイーン』の稽古場へ。

  昨日手を付けた1幕1場をおさらいした後、2場と3場をあたる。
  1場は、アイルランドの「海賊」たち=オマリー一族が新造した船の命名式から始まる。船の名前はもちろん「パイレート・クイーン号」である。
  当時の海賊船は女性禁制であった。海賊たちは「女性が船に乗ると不吉な事が起こる」と、頑なに信じていたのである。そんな海賊船にグレイスがどうして乗り込むことになったのか、が1場では語られる。
  昨日7時間かけて段取った1場も、通せば僅か10分である。だがその10分を価値ある時間にするためには昨日の7時間が必要だったのである。「新作を作る」と言うのはそういうことの連続なのである。
  2場、3場は1場から連続するシークェンスで、グレイスを乗せて処女航海に出たパイレート・クイーン号の船上で、2場ではグレイスと父・ドゥブダラの、3場ではグレイスとティアナンの、それぞれの思いを託したナンバーが展開されることになる。

  新作の稽古始めは緊張する。「上手くやれているだろうか」とか「別のやり方があるのではないか」とか、余計な事が頭をよぎり、平常心ではいられない。
  劇場の神様、どうか『パイレート・クイーン』号の航海をお守りください。私が進路を誤りませんように!

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