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2009年10月の記事

『パイレート・クイーン』通信

10月29日(木)

  午前中は日藝所沢。本業の方が佳境に入ると所沢往復はしんどいなあ。

  午後は『パイレート・クイーン』の稽古場へ。2幕の後半、8場、9場、10場をあたる。
  7場と8場の間には大きな時間経過が存在する。本編ではあっという間に通過してしまうのだが、その間に7年の年月が流れる。その7年の間にアイルランドとイギリスの力関係は決定的に変化する。
  グレイスやティアナンの運命も大きく変わる。あんなことになっていたり、こんなことを試みてみたり、その結果こんなことになったりする。そのことがエリザベスの心にも大きく影響を与えたりもする。
  そしてグレイスはある場所に向かうことになり、そこで誰かと出会い、あんなことやこんなことをするのである。

  明日は稽古OFF。とっくに締め切りを過ぎてしまったプログラムの挨拶文を執筆しなければ。

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『パイレート・クイーン』通信

10月28日(水)

  2幕の幕開き、3シーンを作る。

  もうストーリーには触れないでおくが、2幕1場ではグレイスの身に変化が訪れる。この船上での出来事は実話だと言われている。2幕2場では再びイギリス軍との戦い。1幕前半の戦闘に比べれば短時間だが、もちろん渥美さんの出番である。そして2幕3場。グレイスの人間関係が大きく変化する。そしてそれは新たなドラマの始まりでもあるのだが、ここでは触れない。

  稽古スケジュールが発表された時、今日の終了予定は20時になっていた。が、実際には2時間以上早く終えることができた。
  私も学習しているのである。

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『パイレート・クイーン』通信

10月27日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミー。相変わらず欠席者が多い。

  午後は『パイレート・クイーン』の稽古場へ。今日も新しい場面、1幕13場、2幕4場、5場をあたる。昨日とは打って変わって少人数の場面ばかりが並んだ。

  1幕13場と2幕4場はロンドンのエリザベスの王宮場面である。
  弱冠25歳で即位した女王は次第にその統治能力を発揮し、やがて大英帝国に大いなる繁栄をもたらす大女王となって行く。そのプロセスが『パイレート・クイーン』では対アイルランド政策の進行によって表される。
  女王の命を受けアイルランドに赴くのがリチャード・ビンガム卿である。この時代のアイルランド政策については公式ページの「もっと知りたいアイルランド」コーナーに連載中の「グレイス・オマリーが生きた世界」に詳しい。史実では何人かが引き継いだアイルランド総督の役割を、『パイレート・クイーン』ではビンガム卿が一手に引き受けることになる。
  涼風真世さんと石川禅さんは今までにも幾度となく共演されて来たが、今回は主従の関係である。どちらも歌、演技、共に申し分のない実力者同士、お2人の場面も否応なしにボルテージが上がる。『パイレート・クイーン』のハイライトのひとつになる筈である。

  2幕4場はグレイスとティアナンの場面。内容には触れないでおくが、保坂さんと山口さんのデュエット場面である。お2人のデュエットと言うだけで、学生時代からお2人を見続けて来た私はもう胸がいっぱいである。
  観劇という行為には、観客の過去、そして現在が強く影響する。「思い入れ」と言い換えれば理解し易いと思うが、そういう観客ひとりひとりの「思い」が加わって、ようやく作品は完成するのだと思う。

  『パイレート・クイーン』はそういう作品でありたい、と思うのである。

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『パイレート・クイーン』通信

10月26日(月)

  顔寄せ。だがその前に保坂知寿さん、涼風真世さんとタカラヅカ・スカイ・ステージの収録。毎度のことだが、こういうことに私は向いていない、とつくづく思う。

  顔寄せの方は公式ブログにその様子がUPされているのでそちらを参照されたい。因みに、私が挨拶で述べたのは、
  「遣り甲斐のある作品を演出する機会を与えられて感謝している。が実際に稽古に入ってみると遣り甲斐がありすぎる……」
  みたいな、ウケ狙いなものであった。
  稽古は1幕5場をさらった後、新たに1幕12場と14場をあたる。
  12場は、ドーナルと結婚し今ではオフラハティ一族の街「ロックフリート」に暮らすグレイスが、オマリー一族の暮らす「クルー湾」に向かうことになるエピソード。ここのナンバー「進め  クルー湾へ」は、ブーブリル&シェーンベルク作品としてはやや異質な、ちょっとソウルっぽい雰囲気も感じられる楽曲である。とにかくコーラスが格好良い。
  14場は1幕の幕切れ。グレイスが名実共にオマリー一族の族長となる感動的で美しい場面である。

  稽古は順調に進行している(と思う)が、今の私は十分に「いっぱいいっぱい」である。そうは見えていないかもしれないが。

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『パイレート・クイーン』通信

10月25日(日)

  1幕7場、そして8、9場をすっ飛ばして1幕10場~11場をあたる。

  1幕7場は「ロックフリートのもぐり酒場」である。
  「ロックフリート」とは、オフラハティの一族が暮らすアイルランドの一地方の名前である。その地方のもぐり酒場に、海賊の女王との結婚が決まったドーナル・オフラハティを祝うために悪友たちが集っている。そこにお店の女の子たちも加わって……。
  当然、賑やかで陽気なナンバーが繰り広げられることになるのだが、今日ステージングしたのはその前半部分のみである。後半はアイリッシュ・ダンスの掛け合いになるので、この続きはキャロルが再来日する11月に入ってから手を付ける予定。

  1幕10場はとても短い場面だが、グレイスとドーナルの新婚生活がどの様なものであったかを垣間見ることができる。そして、続く11場ではロックフリートの街に重大な危機が訪れる。その時グレイスがとった行動は……。
  どちらのシーンも青木美保さんの手を煩わせた。加えて、10場では渥美博さんの手も。

  稽古後は、明日予定されているシーンのために盆を回して色々なことをシミュレーション。遅くまで付き合ってくださった青木美保さん、小川美也子さん、そして演出部の皆さん、ありがとうございました。

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『パイレート・クイーン』通信

10月24日(土)

  1幕5場、6場をあたる。

  5場はイギリス。エリザベスが女王に即位した日である。
  エリザベス1世も、グレイスに負けず劣らず波乱万丈の生涯を送った人物であった。国王ヘンリー8世とその2番目の妻アン・ブーリンの間に生まれたが、国王は後に妻の首をはねる。一時は王位継承権を剥奪されロンドン塔に幽閉されたが、1558年、遂にイギリスの女王となる。『パイレート・クイーン』はその1558年から始まる。
  『パイレート・クイーン』の台本の冒頭には次のように記されている。
  「『パイレート・クイーン』は、女性が無力だった時代に生きた、二人の強力な女性の物語である。」
  つまり、物語の冒頭では、グレイス・オマリーもエリザベスも、無力な女性のひとりに過ぎないのである。『パイレート・クイーン』は、2人の挫折と成長の物語でもある。

  6場は再びアイルランド。
  アイルランドへの圧力を強める近代国家イギリスに対抗するためには、有力部族同士が手を結ぶしか方法はない。が、昨日まで敵味方に分かれていた部族がそう簡単に手を結べる筈もない。そんな時に選ばれるのは政略結婚である。
  オマリー一族は、オフラハティ一族と同盟を結ぶことになった。これはグレイスにとっては2つの苦しみが訪れることを意味している。ひとつは、ようやく手に入れた「海で暮らす」夢を取り上げられること、もうひとつは、最愛の人・ティアナンと別れなければならないということである。さて……。

  稽古スケジュールは情け容赦ない。明日も更に先へ進む。

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『パイレート・クイーン』通信

10月23日(金)

  午前中はPRGさんへ。『レベッカ』のために、ある照明機材のテストを見せてもらう。

  午後は『パイレート・クイーン』の稽古場へ。1幕4場をあたる。
  4場はパイレート・クイーン号と英国軍の戦闘場面。時間にすれば僅か1分ちょっとのアクションを1日がかりで作る。アクション・コーディネーターはもちろん渥美博さんである。
  この戦闘を通して、グレイスはオマリー一族の中で次のリーダー候補として認められて行くことになる。そして、イギリス側からは「女王陛下に歯向かう厄介な人物」として認識されることになる。

  明日の稽古は、そのイギリス側の反応、など。

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『パイレート・クイーン』通信

10月22日(木)

  午前中は日藝所沢。

  私の受け持つ「演出実習Ⅱ」に、「演劇」を授業科目に持つ高校などから先生が「研修」にいらっしゃることがある。多くの場合、先生方は1年間、日大の学生たちと演劇についての様々な授業を受けられるのである。
  私のクラスにも過去お2人の先生が研修にいらした。今年度もその様な先生が参加されている。
  夏休み明けの「演出実習Ⅱ」では「ある芝居のワンシーンを演出してみる」を継続中なのだが、今日はその先生が演出にチャレンジされた。先生は高校演劇を指導されて来た経験が豊富な方なので、大勢の生徒に役割を与えたり、芝居作りが停滞しないように常に新しい指示を追加したりなど、稽古の進め方がとてもユニークで、私はとても面白く拝見した(このブログでは説明の都合上「先生」と記しているが、「演出実習Ⅱ」ではあくまでも生徒として参加されているし、私も他の生徒と同様に接している)。
  「演劇は面白い」「稽古は楽しい」と言う根本的なことに改めて思いを巡らすことができた貴重な時間であった。

  午後は『パイレート・クイーン』の稽古場へ。

  昨日手を付けた1幕1場をおさらいした後、2場と3場をあたる。
  1場は、アイルランドの「海賊」たち=オマリー一族が新造した船の命名式から始まる。船の名前はもちろん「パイレート・クイーン号」である。
  当時の海賊船は女性禁制であった。海賊たちは「女性が船に乗ると不吉な事が起こる」と、頑なに信じていたのである。そんな海賊船にグレイスがどうして乗り込むことになったのか、が1場では語られる。
  昨日7時間かけて段取った1場も、通せば僅か10分である。だがその10分を価値ある時間にするためには昨日の7時間が必要だったのである。「新作を作る」と言うのはそういうことの連続なのである。
  2場、3場は1場から連続するシークェンスで、グレイスを乗せて処女航海に出たパイレート・クイーン号の船上で、2場ではグレイスと父・ドゥブダラの、3場ではグレイスとティアナンの、それぞれの思いを託したナンバーが展開されることになる。

  新作の稽古始めは緊張する。「上手くやれているだろうか」とか「別のやり方があるのではないか」とか、余計な事が頭をよぎり、平常心ではいられない。
  劇場の神様、どうか『パイレート・クイーン』号の航海をお守りください。私が進路を誤りませんように!

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『パイレート・クイーン』通信

10月21日(水)

  立ち稽古始まる。

  1幕の1場を1日がかりで段取る。一昨日の日記に「盆を回すことで様々なシーンを作ってみたい」と記したが、その通り、このシーンでは幾度となく盆が回る。
  ある場面を稽古する時、私は前もって人物の動線や舞台転換などをシミュレートして臨むことにしている。今回もいつも通り、1幕1場の様々な要素を前もってシミュレートして稽古に臨んだ。臨んだのだが、今回はいつもの様には行かないことが分かった。稽古場で実際に盆を回してみると、思いもよらない様な部分で想像とは異なる見え方になることが頻繁にあったのである。
  立ち稽古初日の今日は、1幕1場の段取りを大雑把に付けただけで20時近くになってしまった。「盆を多用する」と決めたのは自分なのだが……先が思いやられる。

  辛抱強くお付き合いくださった出演者とスタッフの皆さん、ありがとうございました。次回はもう少し要領良くやれるように心掛けます。

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『パイレート・クイーン』はお休み

10月20日(火)

  東宝ミュージカルアカデミーへ。
  欠席者が増えて来たのが気がかり。季節の変わり目で体調を崩しやすい時期であるのに加えて、インフルエンザの流行である。
  舞台を務める者にとって、毎年のように襲い来るインフルエンザは正に脅威である。舞台に穴は開けられないからである。これから逃れるには予防を徹底するしかない。
  舞台俳優には難儀な時代になった。

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『パイレート・クイーン』通信

10月19日(月)

  稽古場には回り舞台(我々は「盆」と呼ぶ)が仮設されている。日本版の『パイレート・クイーン』では、大がかりな舞台装置は用いない代わりに、「盆」を回すことで様々なシーンを作ってみたいと考えている。
  で、稽古前にステージングの青木美保さんと、様々なタイミングで盆を回してみて色々なシーンのシミュレーション。頭の中で想像しているのと実際に目の前で回るのとでは、やはり大違い。稽古場に「盆」があることのありがたみを実感。

  稽古は昨日に引き続き、全体でのヴォーカル稽古。ナンバーの間に挿入される台詞も入れて、全場面をひと通りあたる。これでヴォーカルをメインとした稽古は終了、いよいよ明後日より立ち稽古に入る。

  稽古後は休館日の帝劇の舞台袖をお借りして、やや規模の大きいテクニカル・テスト。想定通りの結果にひと安心。
  更にその後、舞台美術の松井るみさん、照明の高見和義さんと美術・照明についての打ち合わせ。細部が具体的になって来た。

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『パイレート・クイーン』通信

10月18日(日)

  稽古前に「ミュージカル」誌の取材を受ける。私の後には涼風さんが取材を受けていらした。12月号……かな?

  稽古は全体でのヴォーカル稽古。
  全体での、と言ってもまだ何人かが『レ・ミゼラブル』に出演中である。その何人かを除いて、今までアンサンブル、ソロ・パート別々に進めて来たヴォーカル稽古を合体させての稽古であった。物語の進行に沿って、セリフも端折らずに、ある程度繋げながら稽古したので、今まで自分のパートしか聞いたことのなかった殆んどの人々にも、ようやく全貌が伝わったことだろう。

  稽古後は音響デザイナーの山本浩一さんと打ち合わせ、更に照明デザイナーの高見和義さんと打ち合わせ。それぞれが現時点で気にしている事項を確認する。

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『パイレート・クイーン』通信 超ミニ

10月17日(土)

  ヴォーカル稽古。私は欠席。

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『パイレート・クイーン』通信

10月16日(金)

  アクション・デー。
  アクション・コーディネーターの渥美さんに、3時間みっちりしごかれる。最初はいつもの様に基礎の動作から。そして最終的にはひとり対大勢の手を付けて、実践に近い集団戦。目付きや剣のさばきなど、ひとりひとりが様になって来た。
  並行して青木美保さんとステージングの打ち合わせ。1幕前半の舞台の使い方を、模型を使用してシミュレーション。

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『パイレート・クイーン』通信

10月15日(木)

  午前中は日大藝術学部所沢。「ある芝居のワンシーンを演出してみる」の続き。

  午後は『パイレート・クイーン』の稽古場へ。アイリッシュ・ダンスのレッスンとヴォーカル稽古と、クリエの舞台をお借りして「帆」の素材テストが並行して行われる。
  「帆」の素材テストは、クリエに大型送風機2台を持ち込んで、想定されている大きさの帆を吊り、実際に風を当てながらその見え方や効果を検証。我々の『パイレート・クイーン』では、大規模な舞台美術は使用せず、なるべくシンプルな表現を目指そうと考えている。どうすれば余分なものを削ぎ落とせるのか、今日の様な検証作業が欠かせないのである。

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『パイレート・クイーン』通信

10月13日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。
  受講生たちは次の試演会へ向けて動き出している。私の担当ではないが、次はミュージカル作品である。

  午後は『パイレート・クイーン』の稽古場へ。
  ヴォーカル稽古も後半に入り、かなり良い具合に仕上がって来た。特にコーラスの厚みなどは、ブーブリル&シェーンベルクならではだと思う。
  『パイレート・クイーン』には歴史上に実在する人物が次々登場する、と昨日の日記に記したが、このミュージカルのストーリーは事実にインスパイアされた「フィクション」である。ただし、ストーリー上にも実際の出来事がいくつもちりばめられている。ネタバレになるのでひとつひとつには触れないが、あのエピソードもこのエピソードも実際に起きたことがストーリーに取り入れられているのである。もちろん脚色が施され、時間経過などは史実の通りではないのだが。

  明日は稽古OFF。場面ごとの演出プランをもう一度練り直すつもり。

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『パイレート・クイーン』通信

10月12日(月)

  ヴォーカル稽古。今日は石川禅さん、涼風真世さん、保坂知寿さん。

  石川さんが演じるのはエリザベス女王の忠実なる僕、リチャード・ビンガムである。ビンガム卿はエリザベスの命を受け、アイルランドの掃討に乗り出すことになる。
  『パイレート・クイーン』に登場する主要人物の大半は実在の人物である。グレイス・オマリー、エリザベス女王はもちろん、リチャード・ビンガムも実在の人物である。グレイスの父・ドゥブダラも記録に残っているし、グレイスの夫となるドーナルも実在している。が、史実ではグレイスの結婚は1度ではなかった。
  『パイレート・クイーン』には主要な人物がもうひとり登場する。グレイスの幼馴染・ティアナンだが、この人物が実在していたのかどうか、現時点で私の調べはついていない。

  ご存知の方はご教示ください。

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『パイレート・クイーン』通信

10月11日(日)

  ヴォーカル稽古。まずは今井清隆さん。

  今井さんはグレイス・オマリーの父で、オマリー一族の族長・ドゥブダラを演じる。
  16世紀中頃のアイルランドがどんなであったかは公式ページの「もっと知りたいアイルランド!」コーナー内の文章「グレイス・オマリーが生きた世界」をお読みいただきたいのだが、近代的な国家として統一される前夜、有力な部族が群雄割拠していた様な時代である。オマリー一族はアイルランド西方を拠点に、「海」をその生業の場所としていた人々であった。
  因みに、その頃の日本は安土桃山時代であり、グレイス・オマリーは上杉謙信と同年生まれなのであった。

  今井さんの後のヴォーカル稽古は宮川浩さん。

  今井さんの稽古が終わり宮川さんが現れると、宮川さんが先日まで出演していたミュージカル『The Musical Aida アイーダ』の話題になった。今井さんの観劇の感想が意外に白熱し、聞いていた宮川さんが少々うんざりしていたのが私には愉快であった。

  宮川さんのソロをあたった後は宮川さんと保坂知寿さんのデュエット曲をあたり、更にその後、保坂さんのソロをさらって今日のメニューは終了。もうしばらくはヴォーカル中心の稽古が続く。

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『パイレート・クイーン』通信

10月10日(土)

  ヴォーカル稽古。昨日に引き続きアンサンブルの皆さん、その後、荒木里佳さん。

  今日までの稽古では、帝劇地下の小ぶりな稽古場だったり、新宿の貸しスタジオだったり、日々稽古場を移動していた。そのためにスタッフも膨大な資料をその都度移動させたり、キャストも稽古着やシューズを持ち帰ったりしていたのである。錯覚をおこして、その日稽古が行われていない場所に向かってしまう人もいた。
  だが、それも今日までである。明日からは帝劇公演の本拠地、帝劇内にあるメインの稽古場(通称「9階稽古場」)での稽古が始まる。もっとも、明日はヴォーカル稽古のみ、しかも少人数で、であるが。

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『パイレート・クイーン』通信

10月9日(金)

  ヴォーカル稽古デー。今日はアンサンブルの皆さん、そして涼風さん。稽古は着々と進行している。
  公式ページの方も着実に進化している。ブログはこまめに更新されているし、特に「もっと知りたいアイルランド!」コーナーの充実ぶりが目覚ましい。
  公式ページと言えば、『レベッカ公式ページもリニューアルされた。よければ覗いてみてください。

  夜、久しぶりに佐藤B作さんにお目に掛かる。とてもお元気で安心しました。

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『パイレート・クイーン』通信

10月8日(木)

  台風18号の上陸に伴い、日大藝術学部は昨日の早い段階で臨時休校が決定。因って『演出実習Ⅱ』も休講。今朝の首都圏の交通機関の様子を見れば、正しい判断であった。

  さて、『パイレート・クイーン』の方は午後からであったので、予定通り稽古メニューを消化。
  今日はヴォーカル稽古に宮川浩さんが登場。宮川さんは、グレイスを妻に迎えるアイルランドの有力一族・オフラハティ家の息子ドーナルを演じる。音楽監督の山口さんは今日も快調なスピードで稽古を進行、持ち時間の半分ちょっとで宮川さんの稽古を終えた。
  その後は保坂知寿さんのヴォーカル稽古、さらにその後、荒木里佳さんのゲール語レッスン。
  荒木さんはオマリー一族の長老格の女・イヴリーンを演じる。イヴリーンには1曲、ゲール語で歌うナンバーがあり、しかしゲール語といわれても我々にはその知識がない。なので、専門の方をお招きしてその発音を教えていただいたのであった。

  稽古後は衣装打ち合わせ。小峰リリーさんが素敵なデザイン画を描いてきてくださった。

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『パイレート・クイーン』通信

10月6日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。
  試演会『濹東奇譚』を終えた受講生たちは一皮むけた様に感じる。それとも私の見方が変わっただけなのか?

  午後は『パイレート・クイーン』の稽古場へ。
  今日はアイリッシュ・ダンス・デー。歌稽古、アクション、アイリッシュと、出演者たちは連日充実した稽古メニューを消化している。シーンの稽古が始まった時、今やっていることが生きて来る筈である。
  とは言え疲労もそれなりに蓄積していることであろう。明日は稽古OFF、ゆっくりと体を休めて欲しい。きっと台風接近で大荒れだし。

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『パイレート・クイーン』通信

10月5日(月)

  『パイレート・クイーン』の舞台美術打ち合わせと『レベッカ』のそれとがかち合ってしまった。
  が、『パイレート・クイーン』の方は今日は技術的な話が中心なので、冒頭の1時間だけ参加することにして、後は『レベッカ』の打ち合わせに専念することに。

  『パイレート・クイーン』の美術デザイナーは松井るみさんである。
  舞台奥にミュージシャンのエリアを置き、直径7間(けん/1間は6尺、1尺は約30.3cm)の盆を仮設した基本舞台のデザインは至ってシンプルなものである。『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』の様に巨大な構造物が出たり入ったりする、と言うことは今回はないので、ここのイメージも早めに軌道修正されることをお勧めする。
  一方、『レベッカ』の美術デザイナーは伊藤保恵さんである。
  こちらも既に数回打ち合わせを重ねたので、デザインはかなり具体的になって来ている。今日は簡単な舞台模型を使用して、幕開きから順番に各場面を追いかけて、必要とされる要素や転換方法などについて細かく意見交換した。

  現代のミュージカルは場面数が多い。どちらの作品もその例外ではないので、1回の打ち合わせに要する時間もそれなりに必要だ。しかし、それなりに時間をかけたにも関わらず、大抵の場合、1幕が終わった辺りで時間切れ、となるケースが殆どである。なので、今日の様な打ち合わせを何回も重ねなければならないのである。
  話は全く変わるが、「誕生日が同じ人がこのカンパニーには多い」と言うネタをもうひとつ。このブログでも今までに幾度となく触れて来たのだが、私と照明デザイナーの高見和義さんの生年月日が同じなのである。つまり私と高見さんは「同じ星の下に生まれた」2人なのである。
  高見さんはまだ誕生日嬉しい?

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『パイレート・クイーン』通信

10月4日(日)

  アクション・デー。

  『パイレート・クイーン』は、残念ながら大冒険活劇ではない。なので、「海賊たちが風光明媚な南の海で、血沸き肉踊る戦いとロマンスを繰り広げる」みたいなイメージをお持ちの方は、早目に軌道修正されることをお勧めする。
  とは言え、やはり戦いの場面は登場する。アイルランドのオマリー一族と、アイルランドを植民地化しようと目論む英国軍との戦いである。なので、今日はアクションの基礎的なレッスン。剣を使ったアクションをこなすために必要な20の基本動作を、アクション・コーディネーターの渥美博さんに仕込んでいただく。
  剣を使ったアクション(つまり立ち回り)には様々なルールが存在する。そのルールのお陰でアクションがリアルに見え、なおかつ舞台上の安全が保たれるのである。なので、立ち回りに参加する俳優は、まずこのルールをしっかり体に叩き込まなければならない。今日はみっちりと3時間、基本動作とその発展形を情け容赦なく教えていただいた。

  ところで、「誕生日が同じ」という昨日の話題の続きだが、出演者のタカ・ハヤシさん、真樹めぐみさん、そして穴田有里さんの3人が、何と同じ日生まれなのだそうだ。それも、おめでたいことにクリスマス・イヴ、『パイレート・クイーン』東京公演の前楽! である。
  3人はまだ誕生日が嬉しいだろうか?

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『パイレート・クイーン』通信

10月3日(土)

  ヴォーカル稽古デー。

  今日は涼風真世さんから。
  涼風さんはイギリスの女王・エリザベス1世を演じる。『パイレート・クイーン』は、エリザベスが即位した年、1558年から物語が始まる。
  稽古に入る前、涼風さんは、「照明で私を真っ白にしてくださいね」とおっしゃった。映画などに登場するエリザベス1世は一様に、白塗り、と言うか、顔が真っ白に見える様な化粧を施している。なので、涼風さんはそのことをおっしゃっているのだ、と思って話を聞いていたら、『パイレート・クイーン』のエリザベスのナンバーはどれもこれもキーが高く、顔を真っ赤にすることなしには歌えない、と言う話なのであった。
  確かにエリザベスのナンバーはどれもこれもキーが高い。今回は涼風さんの美しくパワフルなソプラノをたっぷりと堪能していただけるはずである。

  2番目は保坂知寿さん。保坂さんはタイトル・ロールの海賊の女王、グレイス・オマリーを演じる。
  保坂さんが稽古場に入っていらした時、涼風さんはちょうど帰り支度を終えられたところであった。保坂さんも涼風さんも、日本のミュージカルの第一線に立ち続けて来られた方である。そしてほぼ同世代でもある。
  お2人は稽古場の片隅でしばし談笑されていたのだが、僭越ながら私も同世代で、なのでお2人の舞台は何度となく拝見して来た。このお2人が並んで楽しそうに語り合っている姿にはちょっと感慨深いものがあったのであった。

  更にその後、アンサンブルさんたちのヴォーカル稽古。
  前回は音を取る作業で時間切れとなっているので、今日はもう少し細かく、ニュアンスや約束事を確認しながら歌い込む。
  それにしても、音楽監督・歌唱指導の山口琇也さん(皆は愛と尊敬をこめて「ビリーさん」と呼ぶ)の稽古は猛烈なスピードで進む。見ている私にはとても気持ちがいいが、歌う方は付いて行くだけで大変なエネルギーが必要だろう。
  ところで、9月30日は山口さんのお誕生日であった。『レ・ミゼラブル』の稽古場で、山口さんの似顔絵入りのケーキが振る舞われたことが関係者のブログなどに報告されている。訳詞の竜真知子さんも9月30日がお誕生日なのだそうである。どうやらこのカンパニーには誕生日が一緒な人たちが結構多そうだ。
  遅ればせながら竜さんに「おめでとうございます」と申し上げたら、「もうそれほど嬉しくはありませんけど」とのことであった。

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『パイレート・クイーン』通信

10月2日(金)

  昨日、今日はアイリッシュ・ダンスのレッスン・デー。まだアイリッシュ用のシューズが揃わないので、各自自前のタップ・シューズで代用している。
  タップ・ダンスとアイリッシュ・ダンスは一見とても似ている。どちらも靴底の固いチップで床を踏み鳴らし、軽快なリズムを刻みながら踊る。が、アイリッシュ・ダンスとタップ・ダンスは似て非なる踊りである。
  6月から行っていたアイリッシュ・ダンスのレッスンの中でも、指導を受け持つタカ・ハヤシさんは「そうやるとタップ・ダンスになってしまうから」と、繰り返しタップとアイリッシュの違いを説明していた。大半の出演者はなまじタップの経験があるために、そこから離れることに苦労しているように見える。
  とは言え、レッスン開始から既に4か月が過ぎた。私の眼には、一同それなりに様になって来た様に映る。少なくとも、今の日本でこの人数でアイリッシュ・ダンスを見せられるチームは他にはないのではないだろうか。
  どうか開幕を楽しみにお待ちいただきたい。

  夜は東宝ミュージカルアカデミーの試演会『濹東奇譚』へ。今回の経験を、これから先のレッスンにどう生かすか。全てはひとりひとりの意識の持ち方次第である。
  Just do it!

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日藝 → 東宝MA

10月1日(木)

  午前中は日藝所沢。

  先週に引き続き、ある芝居のワンシーンを「30分の持ち時間の中で演出する」課題を行なう。
  これはページ数にして10ページ、登場人物2名の、ある芝居の発端部分なのだが、このささやかなシーンをどう解釈して、それをどのように実行するか、演出に名乗りを上げた生徒ひとりひとりの個性が見えて私は飽きることがなかった。
  これは何よりも「対俳優」に関する訓練である。演出家の仕事領域は多岐に渡るが、その中で最も大きな比重を占めるのは「俳優との作業」であろう。演出家は自分のイメージをどうすれば他者に伝えられるのか、演出家が求めるものはどのようにすれば獲得できるのか、それを疑似体験することから「演出」について考察して行こう、と言う試みでもある。

  午後は東宝ミュージカルアカデミーの稽古場へ。

  今日、明日と4期生の試演会が行われており、それを観る。
  演目は永井荷風氏の小説を菊田一夫氏が劇化した『濹東奇譚』で、これは1期生、2期生、3期生の時も取り上げた。『濹東奇譚』は、若い俳優たちが取り組むには大変有益な戯曲だと思う。現代口語とは異なるが内容は容易に理解可能な台詞、市井の人々の日常の情景と、その人たちを襲う過酷な運命……。
  つまり、登場人物の喜怒哀楽を俳優自身の感情から導き出すことと、昭和初期の玉の井に暮らした人々をかっちりと造形することの2つが同時に求められるのである。
  指導は例年同様、山賀教弘先生である。何はともあれ、お疲れ様である。

  図らずも今日は、アラトゥ(なんて言葉があるのか?  「20歳前後の人々」の意のつもり)が演劇を学ぶ2つの学校を掛け持ちした。彼ら・彼女たちに伝えたいこと、求めたいものは山ほどある。何よりも、芝居がやりたいことであるならば本気でやって欲しい。
  が、彼ら・彼女たちから私が教わることもまた無数にある。今日も彼ら・彼女たちに感謝。

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