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『パイレート・クイーン』通信

9月22日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。

  アカデミーの2学期は既に8月の第3週から始まっている。私のクラスでは、最近上演されたミュージカルのワンシーンを素材にして、受講生たちに演じて(もちろん歌って)もらっている。1学期も同じ様にして来たのだが、2学期に入って素材を変えた。
  このやり方は、私にとっては大変やり易く、そして受講生に伝えたいことを過不足なく伝えられるので実にありがたい。ありがたいのだが、難点があって、このやり方では1コマの中で演じる機会が回って来るのはせいぜい2~3チーム。残りの大勢は見学しているだけになってしまうのである。
  もちろん、他者が演じるのを見ることは若い俳優にとって大変有益なことだと思っている。そして演出者の指示によって演技がどう変化して行くのか、演技の変化が見え方にどんな影響をもたらすのか、そのことをしっかりと観察して欲しいとも思う。
  だがしかし、欲を言えば、他者の演技を観察する機会の、せめて半分程度でも演じる機会を設けて上げられないものか、とも思う。
  うーん……。

  午後は帝劇へ。『パイレート・クイーン』のステージング打ち合わせ。

  『パイレート・クイーン』の作中にはアイリッシュ・ダンスが度々登場する。アイリッシュ・ダンスは、日本でも「リバーダンス」の来日公演などで知られる様になったと思うが、硬い木の底を持った専用の靴を履き、その靴で床を踏み鳴らしながら踊る、アイルランドの伝統的な民族舞踊である。
  『パイレート・クイーン』でアイリッシュ・ダンスのナンバーを振り付けるのは、「リバーダンス」での指導、振付の経験も豊富なキャロル・リーヴィ・ジョイスさんである。彼女は『パイレート・クイーン』のブロードウェイ公演でもアイリッシュ・ダンスの振り付けを担当された。
  ところで、『パイレート・クイーン』は、全編アイリッシュ・ダンスで進行する、と言う訳ではない。アイリッシュ・ダンスをご存知の方には言わずもがなことであろうが、あんな激しいダンスを2時間半も踊り続けるのは不可能である。あのダンスを踊りながらでは、そもそも歌うことさえままならないだろう。
  話が長くなったが、キャロルさんはアイリッシュ・ダンス以外のミュージカル・シーンのステージングを担当しないのである。それを受け持つのは青木美保さんである。なので、今日は青木さんとの打ち合わせなのであった。
  今年の5月に日生劇場で上演された『シラノ』もそうだったと思うのだが、ダンス・ナンバーと呼ぶ様なシーンが(アイリッシュ・ダンスのシーンを除けば)『パイレート・クイーン』には殆ど存在しない。なので青木さんのクレジットも「振付」ではなく「ステージング」なのである。だがしかし、この「ステージング」と言う言葉が示す領域は極めて曖昧で、なので今日の打ち合わせでも、このシーンを担当するのは私なのか青木さんなのか、そんな喧々諤々の連続なのであった。

  美保ちゃん、よろしくね。

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