« 2009年4月 | トップページ | 2009年6月 »

2009年5月の記事

『ミー&マイガール』通信

5月30日(土)

  オケ付き通し稽古。

  これで稽古場での全メニューを終了。劇場での最終調整を残すのみとなった。
  『ミー&マイガール』はミュージカル・コメディである。素晴らしいソング&ダンス、思わず吹き出すシチュエーションやギャグ、そして心温まるラブ・ストーリー。劇場で体験することのできる最良のもの全てが揃っている。
  『ミー&マイガール』はエンターテインメントである。が、この中で描かれているのは「価値観の異なる者同士がお互いを認め合うことの大切さ」である。
  現実の世の中では相変わらず様々な対立が未解決で、世界のあちこちで紛争が絶えない。だが『ミー&マイガール』の中では、対立する者同士が最後にはお互いを認め合い和解する。それは現実の世界では実現困難な理想かもしれない。が、その実現は困難ではあるかもしれないが決して不可能なことではない筈だ。
  『ミー&マイガール』でその困難を可能にしたのは「愛」である。愛の力が、愛する心が世界を変えて行くのである。

  稽古後、出演者の有志は「稽古打ち上げ」と称して有楽町の街に繰り出した模様だが、私は劇場へ。舞台では大道具の建て込み、照明、音響、オーケストラ・ピットの仕込み等が始まっている。
  今日もスタッフは深夜まで照明のフォーカス合わせ。明日も終日スタッフ・ワークである。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月29日(金)

  稽古前に「キネマ旬報」誌の取材を受ける。

  今回は「キネ旬MOOK」などの別冊ではなく「キネマ旬報」本誌である。「キネ旬」本誌に「私を舞台に連れてって」と言う連載コーナーがあり(今回の取材を受けるまで知りませんでした。ごめんなさい)、「映画を基にした舞台作品」について取り上げて行くらしい。ただし、毎号ではなく、隔号毎の連載の様だ。
  今日話したのは『ダンス オブ ヴァンパイア』について。基になっているのは、1967年に製作された映画『ロマン・ポランスキーの吸血鬼』である。
  記事の内容は掲載号をご覧いただきたいのだが、7月の上旬に発売される号だそうなので、興味を持たれた方は是非どうぞ。

  さて、『ミー&マイガール』はオケ付き通し稽古。

  決して狭くはない帝劇の稽古場だが、オーケストラが配置されると、さすがに我々の居場所はない。僅かな隙間に肩を寄せ合いながら通し稽古を見守った。
  塩田さんがタクトを振り下ろし、オーヴァーチュアの最初の音が鳴り響いた瞬間に、早くも私の目頭は熱くなった。3年前の芳雄&玲奈コンビの初演のことや、6年前の東宝版の初演時のこと、宝塚歌劇団による初演の時のこと、そしてブロードウェイの公演のことなど、『ミー&マイガール』の様々な思い出が一気に込み上げて来たからである。
  ちなみに東宝版のオーヴァーチュアは、音楽監督の佐橋さんが編曲してくださった東宝版だけのオリジナルである。どの『ミー&マイガール』よりもゴージャスで華やかなオーヴァーチュアだと自負している。

  帝劇5月公演『放浪記』も、本日無事に千穐楽を迎えた。と言うことは、いよいよ『ミー&マイガール』の仕込みが始まる訳である。
  明日は稽古場最終日。2回目の、そして最後のオケ付き通しである。

| | コメント (1)

『シラノ』東京千穐楽

5月28日(木)

  日生劇場の『シラノ』が千穐楽を迎えた。

  ご観劇くださった皆さん、ありがとうございました。キャスト&スタッフの皆さん、ひとまずお疲れ様でした。浦井さんは今日で本当の千穐楽。ご苦労様でした。
  この後『シラノ』は大阪へ、そして広島へと向かう。カンパニーの皆さん、どうぞ良い旅を。

  さて、私は午前中、日藝所沢へ。今日は学生たちと「演出家と戯曲」についてディスカッション。午後は東京芸術劇場へ。鴻上尚史さん、片瀬那奈さんと『僕たちの好きだった革命』のトークショーに出席。その後、あるミュージカルの打ち合わせへ。

| | コメント (1)

『ミー&マイガール』通信

5月27日(水)

  通し稽古の前に草刈さん、貴城さん、阿部さんの衣裳合わせ、衣裳を着用して「ランベス・ウォーク」のリフトをチェック、パブのシーンの抜き稽古、コーラス稽古……などなど。そして、例によって『放浪記』の終演を待って2度目の通し稽古。

  1回目の通し稽古より4分ほど縮まった。快調な仕上がりで、全体的には好印象。メリハリが更に付き、ひとつひとつの出来事を全員が新鮮に感じられる様になれば文句なしの『ミー&マイガール』が出来上がるのだが。

  稽古終了後、楽器の搬入とセッティング。明日はいよいよオーケストラとの合わせ。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』はお休み

5月26日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。

  前回まで台本とスコアで、テーブル稽古の形で進めて来たミュージカルのある場面を、今日からは立って、簡単なステージングも付けてやってみる。
  動いてみて初めて発見する様々なことがある。俳優にとって大いに助けとなってくれることもあれば、手枷足枷になる様なことも。簡単なことができなかったり、逆に釈然としなかったことが腑に落ちたり。
  俳優にとって大切なのは、どんなことであれ「まずやってみる」と言うことではないだろうか。

  午後は日生劇場へ。久々に『シラノ』を観劇。

  東京公演も残すところあと2日。無事に千穐楽を迎えられます様に。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月25日(月)

  通し稽古の前にコーラス稽古。そして、『放浪記』の終演を待って(パーチェスターとチャールズが『放浪記』に出演中のため)通し稽古。

  初めて通した『ミー&マイガール』は、良く知っている、お馴染みの『ミー&マイガール』そのままであった。と同時に、まったく新しい、見たことの無い『ミー&マイガール』でもあった。
  抽象的で、混乱させるような言い方で申し訳ないのだが、今日の通し稽古の感想を述べればそう言うことになるのである。それは、3年振りの再演に十分意義があった、と言うことでもあるだろう。つまり私は嬉しかったのである。

  『ラ・マンチャの男』全行程を終えた塩田さんも『ミー&マイガール』に戻って来た。明日からはオーケストラのリハーサルも始まる。いよいよ追い込みである。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月24日(日)

  昨日あたらなかった1幕4場、1幕5場、2幕1場、2幕3場を稽古。昨日と今日で全場面をさらった。

  その後に予定されていた振り固めがキャンセルとなったのだが、連日長時間の稽古が続いていることもあり、ここはきれいに稽古を終了することにした。なので、今日は久し振りに明るい内に稽古場を出た。

  明日はいよいよ通し稽古。気が付けば初日まであと10日である。

| | コメント (1)

『ミー&マイガール』通信

5月23日(土)

  帝劇の奈落に降りて、奈落の作業スペースに組み立てられた書斎のセットを使って「ヘアフォードの歴史」の一部を当る。
  初めてご覧になる方の為に詳細には触れないが、このセットは結構複雑にできている。2003年の東宝版『ミー&マイガール』初演の時は、このセットのテクニカル・リハーサルが難航し深夜まで及んだ。なので、2006年の再演時からこのセットは早目に組み立て、前もってあたって置くことになっているのである。

  稽古場に戻って、1幕1場、1幕2場、1幕3場、2幕2場、2幕4場を稽古。
  週明けより通し稽古態勢に入る。なので、今日と明日で全場面をひと通り当たり、通し稽古までに潰しておかなければならない部分を重点的に調整する。幸いなことに全体的には順調な仕上がりなので、明後日からは目標通り通し稽古に入れそうである。

  稽古後は『ダンス オブ ヴァンパイア』の舞台美術打ち合わせ。今週は舞台美術打ち合わせが多かった。
  『ダンスオブヴァンパイア』と言えば、こんなイベントが発表になっている。ご応募お待ちしています。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月22日(金)

  午前中、公演プログラム用に井上芳雄さん、剣幸さんと対談。

  『ミー&マイガール』が宝塚歌劇団で日本初演された時、ビルを演じたのが剣さんである(因みに、その公演で私は舞台監督を務めていた)。その剣さんと、現在のビル・井上さん、それに私で、舞台裏のエピソードや初演時の苦労話などを語りあった。
  剣さんは現在、シアタークリエの『この森で、天使はバスを降りた』に出演中。その本番前の貴重なお時間をいただいた。剣さん、ありがとうございました。

  午後はアンサンブルさんの衣裳合わせ。稽古は無し。

  『ミー&マイガール』の衣裳デザイナーは小峰リリーさん、ヘアメイク・デザイナーは宮内宏明さんである。お2人の指揮の下、衣裳、持ち物、装飾品、そしてウィッグなどを決めて行く。
  今まで頭では分かっていたつもりの人物像が一気に具体的になる。劇中の人間関係も、より具体的になってくれると嬉しいのだが。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月21日(木)

  午前中は日大藝術学部、今日はいつもの所沢。演劇の公演パンフレットから、演劇製作にかかわる様々な仕事を拾い出してみる。
  「床山」ってなんですか?  「ムービング・プログラマー」って何するんですか?  「コレぺティトール」って……?
  お分かりになるだろうか?

  午後は『ミー&マイガール』。2幕の後半をおさらいし、その後、振り固め。
  稽古場にパティシエさんが現われ、美しくデコレートされたケーキが運び込まれた。貴城けいさんのバースデー・ケーキであった。本当の誕生日は明日なのだが、明日は全員が集まらないので、1日早いお誕生日となったのである。
  ケーキはパティシエさんによってきれいに切り分けられた。カシちゃん(貴城さんの愛称)おめでとう!

  稽古後は『パイレート・クイーン』の舞台美術打ち合わせ。
  台本に籠められたイメージをどの様に具体化するのか。相反する多様な要請にどうやって応えるのか。課題は多い。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月20日(水)

  午前中は日大藝術学部の江古田の方のキャンパスへ。

  毎週受け持っている授業とは別に今日だけの特別講義を依頼され、150名ほどの学生の前で「アート・マネジメント」について喋る。
  通い慣れた江古田キャンパスは現在全面建て替え工事の後半に突入しており、在学時の面影は既にほとんど無い。校舎の大半は新しく建った物で、私はほぼ浦島太郎状態であった。個人的な郷愁はともかく、素晴らしい環境で学べる学生たちを羨ましく思った。
  戸田先生、どうでしょう、私の受け持ちも江古田にしてもらえませんか?

  午後は『ミー&マイガール』の稽古場へ。

  2幕1場、1幕1場をおさらい。その後、まだ手を着けていなかった最終場面とフィナーレをあたる。
  ミュージカル・ナンバーでも芝居でも、ちょっとしたことで見違えるように輝いて見えることがある。その「ちょっとしたこと」を見つけようと必死にもがき続けることが即ち稽古なのだが、歯痒いことに「ちょっとしたこと」はちょっとやそっとでは見つからない。
  「ちょっとしたこと」はピーター・パンの魔法の粉みたいなもので、それ自体はどうってことの無い代物なのだが、それを振りかけるだけで、その場面が空中に浮かびあがる位に見違える。
  残念ながら我々は魔法の粉を持っていない。なので、その場面を空高く舞い上がらせる為には繰り返し稽古を重ねるしかないのである。

  夜は来春に上演されるミュージカルの舞台美術打ち合わせ。豪華絢爛、スペクタクルな仕上がりを目指したいのだが……。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月19日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーへ。

  このひと月半で4期生たちも随分と落ち着いて来た。そして僅かずつではあるが着実に成長している。が、しかし……である。
  アカデミー生でいられる期間は1年である。1年は、過ぎてしまえば「あっ」という間である。もっともっと成長のペースを上げないと!

  午後は『ミー&マイガール』の稽古場へ。

  稽古場に熱いアイツがやって来た!
  『ラ・マンチャの男』大阪公演を終え、次の公演地・富山へ移動する間を利用して、指揮者の塩田明弘さんが稽古場にやって来たのである。塩田さんの今日の使命は、音楽的な約束事やニュアンスをクリアにすることと、稽古場のテンションを一気に高めること、の2つであった。
  東宝版『ミー&マイガール』をご覧になった方ならお分かりだと思うが、塩田さんはこの作品には欠かせない。塩田さん抜きの『ミー&マイガール』は考えられない。そのくらい私たちにとって大切な人なのである。まだご覧になっていない方は、ぜひご自身の目でご確認いただきたい。
  で、塩田マエストロの使命だが、もちろん2つとも無事に達せられた。そして特に2つ目の達成度が高かったことを付け加えておく。

  稽古の終了時刻が遅くなる日が続いている。
  歌あり、ダンスあり、コメディありの、『ミー&マイガール』の様な作品ほど、仕上げるためには時間を必要とする。初日まで2週間余り。最後まで全力投球で行きたいと思う。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月17日(日)

  2幕2場をさらう。その後、2幕3場に手を付ける。

  2幕3場はロンドンの下町、ランベスのキャプスタン・ストリートが舞台。サリーがヘアフォードからひとりで戻って来てしまった。そのサリーを追いかけて来たのは……。
  ここには6分半に及ぶダンス・ナンバー「街灯の下で」がある。ロマンティック、且つ幻想的な、『ミー&マイガール』中で私の最も好きなナンバーである。

  今日は稽古場に音楽監督の佐橋俊彦さんが登場。
  佐橋さんとは『風と共に去りぬ』『フラガール』(共に作曲・編曲)でご一緒した。ミュージカルの音楽監督としては『ウェディング・シンガー』でもお世話になった。東宝版『ミー&マイガール』のオーヴァーチュア(序曲)は、佐橋さんの手による(ブロードウェイ版とも宝塚版とも異なる)独自のアレンジである。
  今日佐橋さんがいらしたのは、タイトル・ナンバー「ミー&マイガール」間奏のタップ部分のアレンジを微調整したい、と言うリクエストが玉野さんから出されたからである。3演目となる今回も細部まで手を抜かず、執拗にクォリティ・アップを図っているのである。

  明日は稽古OFF。なのでキャストの皆さんは稽古後、JRガード下のビールの美味い店へ。私も小一時間だけ顔を出す。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月16日(土)

  「ヘアフォードの歴史」をさらった後、「ハンティング・スタイルの舞踏会」(通称「ギャロップ」)を振付。そして2幕2場をさらった後、振り固め。

  ところで、前回、2006年の『ミー&マイガール』では、この時期どんなことをしていたのだろうか。気になって、当時の『ミー&マイガール』通信を見てみた。そこから辿ってその前後の様子も見てみたのだが、やっていることは今とほとんど変わらない。
  同じ作品を同じチームで作っているのだから当たり前と言えば当たり前なのだが、それでも比較すれば、今回の方が前回よりはやや先に進んでいる。ちょっと安心した。

  振り固めでは、今までに手を付けたナンバーの殆どを細かくあたり直した。今日も長時間の稽古であった。皆さんお疲れ様でした。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月15日(金)

  2幕2場、ヘアフォード邸の書斎を稽古。

  ここは前半がビルとサリーの場面、真ん中がビルとマリア公爵夫人の場面、後半はビルとジョン卿の場面になっている。前半には「もしもハートをとられたら~リプライズ」があり、真ん中には「ヘアフォードの歴史」が、そして後半には「愛が世界を回してる」がある。
  ビルとサリーの場面はとにかく笑える。公爵夫人との場面も可笑しい。そしてジョン卿との場面もまた同様である。つまり2幕2場は全編愉快なのである。『ミー&マイガール』はミュージカル・コメディなのだから愉快で無くては困るのだが。

  稽古メニューの最後は「ヘアフォードの歴史」のステージング。このナンバーでは、跡取りとしてのビルの余りの不甲斐なさに、ついに痺れを切らしたあの人が……。
  一見シンプルに見えるナンバーだが、実は細かく計算された複雑なステージングで組み立てられている。移動のタイミングやスピード、動線などにも、相当の精密さが要求される。なので、今日もひと通りステージングが付くまでに3時間は費やした。
  これをゼロから作った初演時の事は、思い出すだけで気が遠くなる(と言っても作ったのは私ではなく玉野さんだが)。

  先日帝劇で行われたイベント「777人のランベス・ウォーク」の時に撮影された出演者とオーディエンスの皆さんの集合写真が公式ページにUPされた。
  もうご覧になられたであろうか。

| | コメント (1)

『ミー&マイガール』通信

5月14日(木)

  午前中は日藝所沢。

  演劇の話題で学生同士のディスカッションを試みているのだが、いまひとつ議論が活発にならない。が、毎年前半はそんなものである。
  芝居作りとはディスカッションの連続である。ことに演出家は、俳優に、デザイナーに、スタッフに、やりたいことを、やるべきことを説明し続けなければならない。未来の演出家たちが、早くディスカッションの達人になります様に。

  午後は『ミー&マイガール』の稽古場へ。

  「愛が世界を回してる」をさらった後、1幕5場を稽古。
  1幕5場はビルが貴族としてお披露目されるガーデン・パーティの場面である。ミー&マイガール』のハイライト、「ランベス・ウォーク」ががいよいよ登場する。
  既にステージングは終わっているのだが、場面冒頭の「準備のフーガ」から幕切れまで、細かな芝居のニュアンスなどを調整し直した。それにしても、何度見てもこの場面では目頭が熱くなる。ここにはミュージカルの素晴らしさ、ミュージカルに携わる人々の美しさが詰まっているからだろう。

  続いて2幕1場を稽古。ここには「熱いアイツがやって来た」「スマイル! スマイル!」がある。
  「熱いアイツがやって来た」は2幕の幕開きに相応しい、ゴージャスでエキサイティングな大タップ・ナンバーである。ここでは往年のハリウッド・ミュージカルの様な(「アステア&ロジャース」や「バスビー・バークレイ」風の)華やかな世界が蘇る。
  「スマイル! スマイル!」はサリーがジャスパー卿に歌いかけるナンバーだが、「このナンバーが『ミー&マイガール』で一番好き」と言う人が結構多い。演出助手の落石(おちいし)君もその1人である。

  更にその後、1幕2場をおさらい。稽古の終了時間がだんだん遅くなって来た。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月13日(水)

  「愛が世界を回してる」をステージング。

  これはビルとジョン卿によるヴォードヴィル・スタイルの愉快なナンバーである。
  ブロードウェイで観た『ミー&マイガール』では、2人がアル・ジョルソンやビング・クロスビーの物真似を織り込みながら歌い踊っていた。が、今の日本の観客にジョルソンやクロスビーは伝わらないので、ご覧頂く形になった。
  今回が初参加となる草刈正雄さんは「ミュージカルは久しぶりだから」とおっしゃりながら、実に楽しそうにジョン卿を演じている。身長もあり、見栄えも貴族に相応しい。そして稽古場の草刈さんはとても熱心である。「難しい難しい」と連発しながら、しかし待ち時間を惜しんでコツコツと振りをさらっていらっしゃる。
  新コンビ「ビル&ジョンちゃん」をお楽しみに。

  その後、1幕4場を稽古。更にその後、1幕3場をおさらい。

  1幕4場はヘアフォードにあるパブ。下々の者たちの店にご領主さまがお忍びでやって来て・・・・・・。ここにはサリーのナンバー「もしもハートをとられたら」がある。
  笹本玲奈さんの歌は相変わらず観る者の心を打つ。どう歌うか、どう動くかではなく、「サリーがどんな気持ちなのか」を何よりも大切にしているからであろう。
  貴重なミュージカル俳優のひとりだと思う。

| | コメント (0)

『TDV』通信

5月12日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミー。

  ミュージカル初心者の受講生たちと接していると、普段ミュージカル作りの現場で当然のことだと思っていることが、実は俳優やスタッフたちがそれぞれの経験の中で獲得してきた貴重なノウハウであったことに気付かされる。
  ミュージカル作りの戦友たちに改めて感謝の気持ちを抱くと同時に、ミュージカルを作る際のそんな貴重なノウハウこそを受講生たちに伝えていかなければ、と思う。

  午後は帝劇へ。本日よりダンス オブ ヴァンパイアの稽古がスタート。

  『ミー&マイガール』通信も始まったばかりだと言うのにもう『TDV』通信である。
  まずは今回から参加してくださる皆さんの歌稽古からスタート。本日は知念里奈さんと石川禅さんの登場であった。ちなみに「TDV」とは原語(ドイツ語)でのタイトル「anz er ampire」の頭文字。
  並行して舞台美術と照明の打ち合わせ。今回『ダンス オブ ヴァンパイア』は帝劇公演の後、博多座にも進出する。なので前回の反省事項に博多座の物理的条件を加味し、美術デザイナーの堀尾幸男さん、照明デザイナーの服部基さん、舞台監督の廣田進さん、そして演出部の皆さんと意見交換。前回以上の暑い夏にすべく秘策を練っている。

  ちなみに『ミー&マイガール』の稽古は休み。明日は『ミー&マイガール』通信に戻ります。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月11日(月)

  1幕1場の「ヘアフォード一族がビルを迎え入れる」ブロックをさらう。その後、1幕3場後半の「マリア公爵夫人によるビルを伯爵にするためのレッスン」場面を稽古。その後、振り固め。

  東宝版『ミー&マイガール』が今回で3演目であることは5月8日の日記でも触れた。つまり再々演である。
  ある作品の再演が決まると、必ず「再演ではどこが変わりますか?」と質問される。3月の『ザ・ヒットパレード』再演の折にも記したが(こちらこちら)、私は、再演ではできるだけ「変わった」ことに気付かれない様な変更、修正を心掛けるべきだ、と思っている。
  その気持ちは、今回の『ミー&マイガール』でも変わらない。もちろん稽古場では貪欲に、もっと面白いものを、より高いクォリティで、と思って稽古をしている。が、その「もっと」や「より高い」も、前回を全てチャラにしてしまう様な再演では、その達成は限りなく不可能に近い。

  と言う訳で、今回の『ミー&マイガール』もいつもの『ミー&マイガール』と変わらない。ただし、今までで一番完成度の高い『ミー&マイガール』になる筈であるが。

| | コメント (0)

『ミー&マイガール』通信

5月10日(日)

  『放浪記』休演日の帝劇の舞台をお借りして、ファン感謝イベント「777人のランベス・ウォーク」が行われた。
  内容はきっと公式ブログに掲載されると思うので割愛するが、短い時間ながらとても楽しい催しであった。私が「楽しい」と感じたのは、このイベントの準備にまったく関わっていなかったからかもしれないが。

  イベント終了後は1幕1場の中盤をおさらい。
  このブロックは、10人近い登場人物が勝手なことを喋り散らしながら、それぞれの動機とタイミングで移動し、なのに全体としては筋が通っている、と言う、演じる側にとってはかなり難易度の高い場面である。何しろ、自分の番で台詞を止める訳にはいかないし、喋っていない間も反応はし続けなければならないし……、一瞬たりとも集中を切らす訳には行かない場面なのである。
  時間にすればごく僅かなこの場面を、今日は細かく区切りながら、何回も何回も繰り返し稽古した。そしてこの場面、明日の稽古メニューにも入っている。

  ミュージカル・コメディは、観るのは楽しいが、演るのは本当に大変なのである。

| | コメント (1)

『ミー&マイガール』通信

5月9日(土)

  1幕2場、1幕3場の前半、そして1幕1場のビルとサリーのブロックを稽古。

  1幕2場はヘアフォード邸の厨房。ミュージカル・ナンバーは「イングリッシュ・ジェントルマン」がある。
  ロンドンの下町、ランベスに育ったビルは、自分がヘアフォード伯爵家の唯一の跡取りだと知らされる。その気になってお屋敷に乗り込んだビルを待ち受けていたのは……。

  続く1幕3場はヘアフォード邸の応接室が舞台。応接室ではビルの後見人マリア公爵夫人の娘ジャッキーがセクシーな衣裳でビルを待ち受けていて……。
  今回ジャッキーを演じるのは貴城けいさんである。貴城さんのジャッキーはゴージャスでセクシーで美しい。数年前まで「男」をやっていた人とはとても思えない。こんなジャッキーならビルでなくても夢中になってしまうだろう。特に「指先」がセクシーで美しいことを今日の稽古で発見した。
  この場面には「その気になればできるはず」と「この手をとって」の2つのミュージカルナンバーがある。前者はジャッキーがビルを誘惑するナンバーで、後者はビルとサリーのラブソングなのだが……。

  最後に1幕1場の、ビルがガール・フレンドのサリーをヘアフォード邸に連れ込んで「自分の家だ」と自慢する場面を稽古。
  ここにはタイトルになっているナンバー「ミー&マイガール」がある。このキュートなナンバーは明日のイベント「777人のランベス・ウォーク」でも披露される予定。

  話は変わるが、帝劇で上演中の『放浪記』が上演回数2000回を迎えた。『ミー&マイガール』は帝劇の稽古場で行われているのだが、今日の帝劇はいつになく賑やかであった。
  『放浪記』には『ミー&マイガール』のパーチェスター武岡淳一さんと、チャールズ丸山博一さんも出演されていて、今日も公演とセレモニーを終えてから稽古に駆け付けてくださった。武岡さん、丸山さん、お疲れ様でした。

  森光子さん、そして『放浪記』の関係者の皆さん、心よりお祝い申し上げます。

| | コメント (2)

『ミー&マイガール』通信

5月8日(金)

  既に記した通り、『ミー&マイガールの稽古は4月13日から始まっている。後ればせながら、私も本日より『ミー&マイガール』の人である。

  今日のメニューは「顔寄せ」から。
  全キャストと公演関係者が集まり、吉田プロデューサーがひとりひとりをご紹介。その後、東宝の増田専務、私、そして井上芳雄さんが関係者を代表して一言ずつ挨拶。公演の成功を目指して誓いを新たにした。

  顔寄せの後は、明後日のイベント「777人のランベス・ウォーク」のリハーサル。
  「777人のランベス・ウォーク」では私も観客のひとりである。当日は抽選で選ばれた777人のオーディエンスの皆さんと共に、一足早い「ミーマイ」気分を味わわせていただくつもりである。楽しみ楽しみ。

  更にその後、立ち稽古。
  既にステージングが終わっている幕開きの「ヘアフォードの週末」と、それに続く「わたしさえ良ければ」。その2つのミュージカルナンバーと、その前後にある芝居部分を稽古。更にその後、3つ目のミュージカル・ナンバー「弁護士におまかせ」をステージング。
  東宝版『ミー&マイガール』は、2003年、2006年と帝劇で上演されており、今回はそれに続く3演目となる。井上芳雄さんと笹本玲奈さんのコンビは2006年からで、2003年の初演から出演している方もいれば、今回が初参加の方もいる。
  なので稽古も半分は「思い出し」であり、半分は「新規に段取りを作る」である。すべてをゼロから始めた初演や、主役2人が初めてだった前回と比較すれば、さすがに今回の稽古場には余裕があるように感じられる。

  が、そう感じられたのは、どうやら演出助手の寺崎君と落石君の計らいだったらしい。明日の稽古メニューを見たところ、「余裕」なんて感じている暇はまず無さそうだ。今日の余裕あるメニューは、『シラノ』から駆け付けることになる私を不安に思った2人が組んだ「リハビリ・メニュー」だった様である。

  早く皆さんに追い付ける様に頑張ります。

| | コメント (1)

『シラノ』通信

5月7日(木)

  午前中は日大藝術学部所沢へ。
  学校行事のため先週は休みだったので、今日が今年度3回目の授業。努力の甲斐あって(?)顔と名前がほぼ一致した。果たしてこれを長期記憶に無事移行させることができるのか?

  午後は日生劇場へ。

  『シラノ』初の2回公演。その夜の部は中河内クリスチャンの初日であった。そして夜の部を、フランク・ワイルドホーンさんも初日以来のご観劇。
  自分以外は既に全員が初日を終えている中で、中河内君はとてもよくやったと思う。1幕が終わった所で本人は「思っていた以上に緊張しました」と言っていたが、客席からはそうは見えなかった。
  終わってみれば中河内君らしい、実に颯爽としたクリスチャン振りであった。これで私もひと安心。

  区切りの良い所で『シラノ』通信もひとまず終了。明日からは『ミー&マイガール』通信です。

| | コメント (0)

ワールド・プレミア ミュージカル『シラノ』

5月5日(火)

  初日。

  午前中から照明の直しなど、最後の調整。13時から昨日の通し舞台稽古の駄目出し、そしてミュージカル・ナンバー幾つかをオーケストラと合わせて調整。その後、舞台で初日のお祓い。更にその後、開場時間ぎりぎりまで各セクション調整作業。

  開演は17時30分。5分ほど遅れて客電が落ちた。
  誰もが固唾を飲んでいる、と言った空気の客席の最後列で、誰よりも固唾を飲んでいたのは私であったろう。こんなに緊張しながら見守った初日は他にちょっとない。
  演出助手の小川美也子さんが「奥さんが分娩室に入っている間の父親ってこんな感じなんですかねえ」と言っていたが、そうですそうです!  こんな感じ!
  結局、幕が下りるまで緊張のし通しであった。が、無事に幕は下りた。

  カーテン・コールはワールド・プレミア・スペシャル・ヴァージョン。
  作曲者のフランク・ワイルドホーンさんを紹介する為に、私も舞台に上がった(本来私は人前に出ることが苦手である。だからこそ裏方を職業にしているのだ)。
  ワイルドホーンさんはとても嬉しそうであった。そして温かい言葉をカンパニー全員に掛けてくださった。

  終演後、製作関係者とワイルドホーンさんを囲んだ。初日で疲労のピークであったろう鹿賀さんも同席された。鹿賀さんは余程嬉しかったに違いない。
  ワイルドホーンさんは別れ際に私に「次は何をやろうか?」と囁いた。私は「×××××××」と即答した。

  ミュージカル『シラノ』は5月28日まで日生劇場で上演中。その後、6月には大阪で、そして広島でも公演される。

| | コメント (2)

『シラノ』通信

5月4日(月)

  舞台稽古2日目。2幕を場面毎にあたった後、通し舞台稽古(ゲネプロ)。

  上演時間は1幕が1時間30分前後、2幕が1時間4~5分あたりに落ち着きそうである。休憩とカーテン・コールを合わせて、全体では3時間をちょっと回る位になるだろう。
  それにしても「きれいな」舞台である。物語も、音楽も、もちろん観た目にも。デザイナーの皆さんはもちろん、舞台美術、照明、衣裳、音響などの各スタッフに感謝したい。

  残念なお知らせが。
  レスリー・ブリカッスさんの来日が叶わないことになったそうだ。再会を楽しみにしていたし、何より私たちの日本版『シラノ』をどう思うか、それを聞いてみたかったのだが……。

  明日は初日。その前に、最後の調整を。

| | コメント (2)

『シラノ』通信 プチ

5月3日(日)

  舞台稽古1日目。1幕を冒頭より場面毎に。
舞台稽古後、道具調べ・照明合わせ、昨日の続き。
深夜作業、ただ今帰宅。おやすみなさい。

| | コメント (0)

『シラノ』通信 ミニ

5月2日(土)

  道具調べ、照明合わせ、サウンドチェック。
深夜作業、ただ今帰宅。おやすみなさい。

| | コメント (0)

『シラノ』通信

5月1日(金)

  今日、明日は『シラノ』の稽古は無し。スタッフのための2日間である。

  大道具はほぼ組み上がり、吊り物や照明バトンのタッパを決めた後、午後からは照明チームのフォーカス作業。並行して音響チームの調整。
  上手く進めば照明デザインに入れるか……とも思われたが、デザインに入ったことは入ったものの、幕開きのほんの1~2ページ分をデザインした所で今日は時間切れ。続きはまた明日。

| | コメント (0)

『シラノ』通信

4月30日(木)

  稽古場最終日。であると共にスタッフの劇場入り初日でもあった。

  なので、昨日まで稽古場に存在していた大道具の数々は劇場に運ばれてしまい、今日はビニール・テープのバミリと簡単な小道具だけで、但しオーケストラは有りで最後の通し稽古。
  日々細かな調整を続けて来た、今日はその集大成である。そして結果的にはとても良い出来の通し稽古であった。これで良い形で劇場入りすることができる。

  稽古後は日生劇場へ。大道具、照明、音響……等々の仕込み作業が進行中!

| | コメント (0)

« 2009年4月 | トップページ | 2009年6月 »