『ラ・カージュ・オ・フォール』通信
11月9日(日)
1幕の後半をおさらい。
稽古の後半で、音楽監督の塩田明弘さんが登場。
塩田さんは現在帝劇で『エリザベート』の指揮をしている。その昼公演を終えて稽古場に顔を出してくれた。塩田さんは1993年の青山劇場での上演時から99年の大阪公演の途中まで『ラ・カージュ・オ・フォール』を指揮している。私が初めて塩田さんのことを知ったのも93年の青山劇場の時であった。
『ラ・カージュ・オ・フォール』での塩田さんは今や伝説である。
大抵のミュージカルには終演後にオーケストラの演奏する「Exit Music」(通称「追い出し音楽」)と言うものが存在するのだが、「Exit・・・」と呼ばれている様に、普通はこの演奏を聴きながら観客は三々五々劇場を後にするものなのである。が、塩田さんの指揮する『ラ・カージュ・オ・フォール』ではだれひとり席を立たなかった。いや、スタンディング・オベーションをした後なので立ってはいるのだが、だれひとり、そこから動こうとしなかったのである。
そのこと自体が評判を呼び、千穐楽近くには1回の演奏では観客が納得せず、Exit Musicのアンコールが行われた程である。そんなことは前代未聞である。
これだけ塩田さんの指揮ぶりを書いておいて申し訳ないのだが、残念ながら今回の指揮者は塩田さんではない。なので今回の塩田さんは音楽監督なのである。今回『ラ・カージュ・オ・フォール』のオーケストラを振ってくださるのは、99年の公演を塩田さんから引き継いだ井村誠貴さんである。
塩田さんの『ラ・カージュ・オ・フォール』に対する愛着も並大抵ではない。なので塩田さんが稽古場に現れると、それだけで稽古場内の温度が急上昇する。
『ラ・カージュ・オ・フォール』には、塩田さんの様に作品をこよなく愛する人たちが大勢存在している。そんなひとりひとりの熱い思いに支えられて『ラ・カージュ・オ・フォール』は出来上がっているのである。
『ラ・カージュ・オ・フォール』カンパニーはファミリーなのである。(昨日もこれだったじゃん)
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