『ラ・カージュ・オ・フォール』通信
11月7日(金)
立ち稽古。
1幕中盤、ムッシュ・ルノーのカフェと、2回目のショー「ラ・カージュ・オ・フォール」を当たる。
カフェの場面には、ジョルジュがアルバンに向かって歌うミュージカル・ナンバー「砂に刻む歌」がある。中年の域に差し掛かった恋人たちが、若き日々を思い出して歌う、とてもロマンティックなラヴ・ソングである。
その歌詞の一節に「時は過ぎたけれど 今よみがえる 若い日よ」と言う部分があるのだが、それを市村さんに向かって優しく歌い掛ける鹿賀さん、嬉しそうに耳を傾ける市村さんのお2人を見ていて、稽古であるにもかかわらず私は目頭が熱くなった。
目の前で繰り広げられているのはサントロペに暮らすフランス人のゲイ・カップルの話で、それはあくまでも虚構なのだが、それと現実のお2人の過ぎ来し方がだぶって、思わず私もジーンとしてしまったのである。
観る人の思い入れによって、芝居は様々な受け取られ方をする。『ラ・カージュ・オ・フォール』も、ご覧になる方々ひとりひとりの『ラ・カージュ・オ・フォール』が存在するのだと思う。
稽古の最後は「ラ・カージュ・オ・フォール」シークェンスの内、まだ手を着けていなかった「ハンナのタンゴ」を振付。
レビュー・ショーにはエキゾチックなジャングルの場面がしばしば登場する。来日したブロードウェイ・ミュージカル『ソフィスティケイティッド・レディース』にもジャングル・シーンがあった。御多聞に洩れず『ラ・カージュ・オ・フォール』にもジャングル・シーンがあり、それがこの「ハンナのタンゴ」である。
ここは真島茂樹さん扮するハンナが、ジャングルの猛獣に扮したカジェルたちを鞭で調教する、と言う趣向の場面なのだが、今回はここもヴァージョン・アップして猛獣が一頭増えた。
短い場面だが、どうぞお楽しみに。
稽古後は『ミー&マイガール』の舞台美術打ち合わせ。どうすればあの大作を中日劇場の舞台にはめ込めるのか?
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コメント
私も山田さんの文章を読みながら、想像して
ジーンとしてしまいました。
12月が楽しみです。
投稿: suzy | 2008年11月 8日 (土) 18時23分