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2008年11月の記事

『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月29日(土)

  オケ付き通し稽古。

  稽古終了後、森公美子さんが寄って来て、「稽古見ながらウルウルしてたでしょ」と指摘された。その通り。私は稽古を見ながら涙を堪えるのに必死であった。森さんもまた、「私、それ見て自分がウルウルしちゃって、歌えなくなっちゃった」。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』の稽古場も残すところあと1日である。稽古初日からひと月半、我々はよくやったと思う。
  あとは日生劇場に舞台を移し、最後の力を振り絞って最高の『ラ・カージュ・オ・フォール』に仕上げたい。

  初日まであと1週間である。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月28日(金)

  オケ合わせ2日目。今日は2幕を順番に。

  オケ合わせ終了後、劇中で流れるSE扱いの音楽を録音。
  『ラ・カージュ・オ・フォール』には、ショーを上演中の舞台袖の場面が何度か登場する。そこに聞こえてくる音楽を新たに録り直したのである。
  今までの上演では、1985年の帝劇初演時に録音したソースを使用していたのだが、今回ニュー・ヴァージョンになるのを機会に、より自然に聞こえる様にテンポや繋がりやサイズを調整し直した。観客は気付かないかもしれないが、今回の上演で可能なことはどんな細かいことでもヴァージョン・アップしたい。それがこのカンパニーの気持ちなのである。

  明日はいよいよ通し稽古。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月27日(木)

  稽古場にオーケストラがやって来た!

  今日はオケ合わせ(オーケストラとの合わせ)。
  生のフル・オーケストラで『ラ・カージュ・オ・フォール』の楽曲を耳にするのは、実に11年ぶりのことである。それだけで、私はもう泣きそうであった。
  今日は1幕のミュージカル・ナンバーを台本順に、音楽的な約束事を丁寧に確認しながら合わせて行った。
  今回は音楽監督の八幡茂さんによる新アレンジである。八幡さんのお陰で、『ラ・カージュ・オ・フォール』がシアタードラマシティにも行けるのである。

  毎度毎度ここで記していることだが、ミュージカル作りを通して一番わくわくするのはオケ合わせの初日である。理屈ではなく、音楽が心を動かしてくれるからであろう。

  ミュージカルっていいな。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』短信

11月26日(水)

  稽古は休みだが、衣裳の作業などを行なう。私は所用で欠席。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月25日(火)

  抜き稽古。

  「ありのままの私たち」「マスカラ」「アンヌと腕を」「ラ・カージュ・オ・フォール」「フィナーレ」などを当る。
  稽古の途中で、私が「次は『今、その時』をやります」と宣言し、スタッフがその場面のセットを飾り、出演者が各々位置に付き、市村さんが「今宵はこの歌を特別な方に捧げたいと思います」と台詞をしゃべり、すると本来始まる筈の「今、この時」の代わりに「ハッピー・バースディ」の演奏が始まった。
  香寿さんのお誕生日のサプライズであった。本当のお誕生日は明日なのだが、明日は全体での稽古が無いので、1日早いサプライズであった。香寿さん、お誕生日おめでとう!

  稽古後はカジェルたちのメイク・レッスン。
  「お化粧」と言うことについて、我々男子は余りにも無知である。女子は大変なのですねえ。いや、喜び、とか、楽しみ、とか言った感覚なのかもしれない。それとも単なる日常のひとコマなのだろうか?

  オーケストラのリハーサルも昨日から始まっている。
  これは稽古場とは離れた別のスタジオで行われているので、その様子はまだ分からない。が、稽古場にオーケストラがやって来るのはもうすぐである。楽しみに待ちたい。

  『どんまいマインド』千穐楽。
  全行程の最後は仙台にて。ご観劇くださった皆さん、どうもありがとうございました。そして、スタッフ&キャストの皆さん、お疲れ様でした!

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月24日(月)

  稽古前に照明打ち合わせ。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』の照明デザイナーは沢田祐二さんである。沢田さんは日本照明界の重鎮、我々の大先輩である(こちらの日記参照)。私は『ラ・テラス』と『マディソン郡の橋』でご一緒した。
  『ラ・カージュ・オ・フォール』には帝劇初演から携わっていらしたのだが、途中から後進にプランを譲られた。それを今回、私のたっての願いで復帰していただいたのである。
  沢田さんは鹿賀さんと市村さんの古くからの芝居仲間でもある。それも、沢田さんにお願いしたかった理由のひとつである。

  稽古は2幕のおさらい。

  昨日のブログの補足だが、ブロードウェイの『ヘア・スプレー』に、オリジナル・キャストのハーベイ・ファイアスティンがトニー賞を受賞した同じ役で戻って来ている。『ヘア・スプレー』は惜しくも来年1月4日のクローズが決まったが、年末年始にニューヨーク訪問の予定がある方は是非どうぞ。

  夜は『ザ・ヒットパレード~ショウと私を愛した夫~』再演に向けてのミーティング。エグゼクティブ・プロデューサーの渡辺ミキさん、脚本の鈴木聡さん、音楽の宮川彬良さんと。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月23日(日)

  1幕をおさらい。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』の脚本を書いたのはハーベイ・ファイアスティンである。
  ブロードウェイの初演当時、演出のアーサー・ローレンツが65歳、作詞・作曲のジェリー・ハーマンが52歳で、2人はすでに数々の代表作をものにした大御所的存在であった。ハーベイは当時31歳。前年に『トーチソング・トリロジー』でトニー賞の最優秀脚本賞と最優秀主演男優賞を受賞していたが、これは大抜擢であっただろうと想像する。
  現在の様にブロードウェイの情報がリアルタイムで入って来ない当時の日本では、ハーベイは未知の新人といった印象であった。
  後に『トーチソング・トリロジー』はハーベイ自身の主演で映画化され日本でも公開されたし、戯曲も翻訳上演された(鹿賀丈史さんご出演!)。
  俳優としては、ブロードウェイ・ミュージカル『ヘア・スプレー』で主人公の母親役(映画版ではジョン・トラボルタが演じた)を演じ、またまたトニー賞最優秀主演男優賞を受賞。デヴィッド・ルヴォー演出による『屋根の上のヴァイオリン弾き』ブロードウェイ・リバイバル版では主人公テヴィエ(日本では市村正親さん!)を演じている。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』日本初演時のプログラムにハーベイ・ファイアスティンの言葉が記載されている。それによれば、ジェリー・ハーマン、アーサー・ローレンツ、そしてハーベイ・ファイアスティンの3人は、自分たちのことを「Collaborationists」と自称していた様だ。
  この3人の信頼と敬愛に満ちた協調関係が『ラ・カージュ・オ・フォール』を生み出す原動力であったに違いない。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月22日(土)

  2幕の後半を稽古。

  初日まであと2週間、『ラ・カージュ・オ・フォール』はとても楽しいミュージカルだが、作る側、演じる側にとってはとても大変な作品である。やらなければならないことが膨大だからである。
  一度手の内に入ってしまえば、その膨大さも快感や達成感へと変わり、誰もが『ラ・カージュ・オ・フォール』フリークへと変化して行くのだが、そうなるまでの道程が大変なのである。

  あと一息。がんばれ、初参加の皆さん(自分も含む)

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月21日(金)

  稽古前に東京新聞さんの取材を受ける。
  『ラ・カージュ・オ・フォール』との出会い、『ラ・カージュ・オ・フォール』に対する思いや、今回のニュー・ヴァージョンでのこだわりなどを話す。

  稽古は1幕全部と2幕の前半をさらう・・・予定だったのだが、1幕のみで時間切れ。その後、コーラスの固め。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月20日(木)

  2幕の前半を稽古。その後、振り固め。

  2巡目に入って芝居の繋がりが良くなり、テンポも上がって来た。
  今回の『ラ・カージュ・オ・フォール』は東京では日生劇場での上演だが、PARCO劇場かTHEATER/TOPSでやる様なつもりで芝居のスピードを上げたい。スピードが上がる程に、『ラ・カージュ・オ・フォールのシチュエーション・コメディとしての側面が輝きを増して行くと思うからである。
  稽古と並行して、香寿たつきさん、森公美子さん、島谷ひとみさんの衣裳仮縫い。今回、ジャクリーヌ、ダンドン夫人、アンヌの衣裳は新デザインになる、と言うことである。

  お楽しみに。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月19日(水)

  1幕の後半を稽古。その後、振り固め。

  先週より指揮の井村さんが稽古に参加してくださっている。
  井村さんとご一緒するのは私は今回が初めてなのだが、9年前の『ラ・カージュ・オ・フォール』や『レ・ミゼラブル』『マイ・フェア・レディ』を振っていらしたので、ご存じの方も大勢いらっしゃるに違いない。このカンパニーの中でも顔馴染みの人は多い。
  ・・・筈なのに、井村さん初登場の時、カンパニーの反応は鈍かった。よくよく聞いてみると、井村さんは何と25キロのダイエットを成功させていて、以前の印象とは全く異なる姿で現れたのだそうであった。

  108kg-25kg=83kg

  いま「指揮者 井村誠貴さんを勝手に応援するページ」と言うのを見つけて覗いてみたのだが・・・

  なるほど。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月18日(火)

  1幕の前半を稽古。

  前の稽古場で「フィナーレ」まで辿り着いたので、もう一度頭に戻って、細かなニュアンスや約束事を確認しながらの稽古。
  先週までの稽古場と比べるとやや手狭になったが、作品の持つアットホームさにはむしろ合っているかもしれない。声やピアノの音などはここの方が届き易いので、稽古の仕上げにはありがたい。この稽古場で約2週間、新生『ラ・カージュ・オ・フォール』の仕上げに取り組むことになる。

  この稽古場は東宝ミュージカルアカデミーのレッスン・スタジオと同じ建物内にあるので、毎週火曜日の私にとっては誠にありがたい。『ラ・カージュ・オ・フォール』の稽古場が大混雑していても、アカデミーの方に避難できるし。

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ミュージカル『シラノ』 製作発表

11月17日(月)

  赤坂プリンスホテルにてミュージカル『シラノ』の製作発表。

  『シラノ』は、ミュージカル『ジキル&ハイド』を作り出したレスリー・ブリッカス(脚本・作詞)&フランク・ワイルドホーン(音楽)のコンビによる最新作である。最新作なので、まだどこでも上演されていない。来年の4月にスペインで、その直後に私たちの日本版がオープンする予定になっている。
  今日の製作発表にはシラノ役の鹿賀丈史さん、ロクサーヌを演じる朝海ひかるさん、クリスチャンをダブル・キャストで演じる浦井健治さん、中河内雅貴さん、そして私が出席した。フジテレビの軽部アナウンサーの司会進行で、それぞれが抱負を述べ、その後記者の皆さんと質疑応答。演劇通の軽部さんの巧みなリードで充実した製作発表になった。
  壇上にいて一番おかしかったのは、鹿賀さんが「この扮装では水が飲み難いということが分かった」とコメントした直後に、登壇者の手元に置いてあった飲み水のグラスに急遽ストローが添えられたことであった。

  ミュージカル『シラノ』は2009年の5月に日生劇場で上演される。その後、大阪、広島での上演も予定されている。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月16日(日)

  新しい稽古場で衣裳合わせ。

  今日合わせたのは、ナイトクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」の出演者以外の、サントロペの街の人々の衣裳。南仏のリゾート地らしく、明るくて開放的な衣裳の数々が並び、稽古場内も一時夏のリゾートに。外はもう冬間近なのに。
  衣裳合わせの後、演出部の皆さんは稽古場の設営。ご苦労様です。

  そして『どんまいマインド』東京千穐楽。

  終演後の、キャスト&スタッフが勢ぞろいした打ち上げに顔を出す。このカンパニーは裏方表方の分け隔てがなく、和気あいあいで仲が良い。その雰囲気が舞台上をとても気持ちの良い空間にしているのだと思う。
  残りは2箇所。金沢、そして仙台へ。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月15日(土)

  2幕4場を稽古、その後「フィナーレ」をステージング。

  立ち稽古開始から10日。何とかラスト・シーンまで漕ぎ着けた。
  今の気持ちを正直に告白すれば、心の底からホッとしている、である。ただし、出演者の皆さんはまだホッとなどしていられないであろう。稽古して来たことを覚え、馴染ませ、自然に振る舞えるところまで行かなければならないのだから。
  稽古に一区切りついた所で、今までの稽古場とも今日でさよならである。明日からは別の稽古場に引っ越しなのである。

  「フィナーレ」の中で、ジョルジュは観客に向かってこう語りかける。
  「私どもの一時の舞台、お気に召して頂ければ、お客様にはプログラムとチケットの半券以上のものをお持ち帰りいただけるはずです。」

  今回の『ラ・カージュ・オ・フォール』もそうなります様に!

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月14日(金)

  2幕2場、3場を稽古。

  2幕2場には「お皿の絵」と言うミュージカル・ナンバーが、3場には「今、この時」と言うナンバーがある。今日はまず「お皿の絵」のステージングから。
  「お皿の絵」は、全く価値観の異なる2つの家族が同席し、少しずつ気まずい空気が増幅して行く様をミュージカル的に処理したナンバーである。混乱が段々エスカレートして行き、そしてクライマックスには・・・(続きは劇場で)。
  『ラ・カージュ・オ・フォール』のミュージカル・ナンバーには、それぞれにドラマを進める役割がきちんと与えられている。なので、どのナンバーにも存在する意味があり、無駄なものはひとつもない。そういう部分でもこのミュージカルは大変よく考えられている。

  稽古の後半は「今、この時」のステージング。
  「今、この時」は、数あるミュージカルの中で最も幸福な場面だと思う。このナンバーで描かれているのは「和解」である。
  ストーリーの中で発生するいくつもの対立。その対立が、このナンバーの中で解きほぐされて行く。これはミュージカルだからこそ成立した、ミュージカルでしか成し得ない場面である。
  ミュージカルでなら、観客は、対立が解消されて行く様を理屈抜きに信じることができる。このナンバーの終わりには、劇場中がひとつのファミリーになっている筈である。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月13日(木)

 

  まずはカジェルたちの振り固め。その後、2幕1場のおさらい。更にその後、2幕2場、3場を当る。

 

  2幕も2場になってようやく登場する主要人物がいる。今井清隆さん演じるエドワール・ダンドン議員と、森公美子さん演じるその夫人マリーである。
  2人はアンヌの両親である。ダンドン議員は「保守的な価値観に凝り固まった俗物」として描かれていて、開放的なゲイクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」の人々とはどう考えても相容れない。次の選挙のマニフェストに「ゲイクラブを一掃する」と掲げているような人物なのである。
  そんな両親を持つアンヌと、ジョルジュ&アルバンの息子ジャン・ミッシェル。この若き恋人たちは、言わばロミオ&ジュリエットであろう。

 

  『ラ・カージュ・オ・フォール』のブロードウェイ初演を手掛けた演出家はアーサー・ローレンツである。ローレンツは演出家としても立派なキャリアを持っているが、脚本家としても錚々たる作品を手掛けている。その代表作は(誰もが認めるであろうが)『ウエストサイド物語』である。
  ご承知の通り『ウエストサイド物語』は、ウィリアム・シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を現代のニューヨークに置き換えたミュージカルである。『ウエストサイド物語』で、対立する異なる人種の間に芽生えた恋とその悲劇的な結末を描いたローレンツが、その26年後に『ラ・カージュ・オ・フォール』を生み出したのである。

 

  『ウエストサイド物語』と『ラ・カージュ・オ・フォール』。語り口はかなり異質な2作品だが、ローレンツからのメッセージは些かもブレていない。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月12日(水)

  1幕の幕切れをさらい、2幕1場を当る。

  1幕の幕切れはアルバンの歌う「ありのままの私」である。1幕幕開きのミュージカル・ナンバーが「ありのままの私たち」で、ここでは同じメロディが見事に変奏されている。
  2幕1場はジョルジュがアルバンに男らしく振る舞うコツを教え込むユーモラスな場面である。ここにはダイナミックなダンス・ナンバー「男のレッスン」がある。

  演劇情報誌「シアターガイド」に「ブロードウェイ・レジェンド――プロの真髄」と言う連載ページがあり、現在発売中の12月号では『ラ・カージュ・オ・フォール』の作詞・作曲を担当したジェリー・ハーマンが取り上げられている。11月号からの前・後編の記事だが、今月号の後編ではタイムリーに『ラ・カージュ・オ・フォール』のことが取り上げられている。
  『ラ・カージュ・オ・フォール』日本初演時の演出補で、現在ではプロデューサーを務めていらっしゃる宮崎紀夫さんによれば、ジェリー・ハーマン氏は来日され、帝劇公演をご覧になったのだそうである。私は初耳で、今回そのことを宮崎さんから伺って初めて知った。

  稽古の休憩時間に、稽古ピアニストの國井雅美さんに色々なミュージカルの楽曲を弾いて貰ったりして息抜きをしているのだが、そのプチ演奏会のために、カジェルのひとり、オデットを演じている香取新一さんがジェリー・ハーマンのミュージカル『メイム』の楽譜を持って来てくれた。楽譜に記載されている『メイム』ブロードウェイ初演時の出演者連名を眺めていたら、なんと『ラ・カージュ・オ・フォール』の振付者スコット・サーモンの名前が。

  色々な所で繋がっているんですねえ。

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『どんまいマインド』通信

11月11日(火)

  『どんまいマインド』が、新富士、名古屋、富山、大阪、東近江、久留米、広島、長崎、北九州を巡って東京に戻って来た。

  初台の新国立劇場・小劇場で、11月16日(日)まで公演中である。ぬる~くてゆる~い芝居がお好きな方は是非どうぞ。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月10日(月)

  歌稽古。

  芝居の稽古がある程度進行したので、今日はコーラスの約束事やニュアンスなどを再確認するための歌稽古。
  改めてコーラス・パートだけを聞くと、このミュージカルがどれほど丁寧に作られているかが良く分かる。ジェリー・ハーマンによる楽曲の素晴らしさだけでなく、コーラスやダンス・ナンバーのアレンジ、オーケストレーションが素晴らしいのである。
  ここ数年、日本でもミュージカルの上演はかなり盛んになって来たが、こういう部分は未だにブロードウェイには敵わない。人材の層の厚さが違うのである。

  歌稽古と並行して市村さんの衣裳合わせ。艶やかな市村ザザをどうぞお楽しみに。
  そして歌稽古の後はプログラム用の扮装写真の撮影。
  森公美子さんは1985年の帝劇初演より『ラ・カージュ・オ・フォール』に出演されている。そしてチラシやポスターの森さんの写真は、その初演の時に撮影された物が何故か今までそのまま使われて来た。さすがに「あんまりだ」という話になって、晴れて22年振りに森さんの写真が撮り直された。プログラムをお求めの時は現在の森さんをお見逃しなく。
  そして、むくつけき(失礼!)男性出演者たちを麗しいカジェルたちに変身させて、その写真も撮影。写真は後世に残る物であるし、舞台よりも格段にクローズ・アップで見られる物なので、ヘア・メイクのチームが入念に、腕によりをかけてメイク・アップ。その出来上がりもプログラムでどうぞ。

  稽古を終えて新宿村Liveへ。東宝ミュージカルアカデミーの卒業生の中から選ばれた「アドバンス・コース」の生徒たちによる公演を見る。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月9日(日)

  1幕の後半をおさらい。

  稽古の後半で、音楽監督の塩田明弘さんが登場。
  塩田さんは現在帝劇で『エリザベート』の指揮をしている。その昼公演を終えて稽古場に顔を出してくれた。塩田さんは1993年の青山劇場での上演時から99年の大阪公演の途中まで『ラ・カージュ・オ・フォール』を指揮している。私が初めて塩田さんのことを知ったのも93年の青山劇場の時であった。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』での塩田さんは今や伝説である。
  大抵のミュージカルには終演後にオーケストラの演奏する「Exit Music」(通称「追い出し音楽」)と言うものが存在するのだが、「Exit・・・」と呼ばれている様に、普通はこの演奏を聴きながら観客は三々五々劇場を後にするものなのである。が、塩田さんの指揮する『ラ・カージュ・オ・フォール』ではだれひとり席を立たなかった。いや、スタンディング・オベーションをした後なので立ってはいるのだが、だれひとり、そこから動こうとしなかったのである。
  そのこと自体が評判を呼び、千穐楽近くには1回の演奏では観客が納得せず、Exit Musicのアンコールが行われた程である。そんなことは前代未聞である。

  これだけ塩田さんの指揮ぶりを書いておいて申し訳ないのだが、残念ながら今回の指揮者は塩田さんではない。なので今回の塩田さんは音楽監督なのである。今回『ラ・カージュ・オ・フォール』のオーケストラを振ってくださるのは、99年の公演を塩田さんから引き継いだ井村誠貴さんである。

  塩田さんの『ラ・カージュ・オ・フォール』に対する愛着も並大抵ではない。なので塩田さんが稽古場に現れると、それだけで稽古場内の温度が急上昇する。
  ラ・カージュ・オ・フォール』には、塩田さんの様に作品をこよなく愛する人たちが大勢存在している。そんなひとりひとりの熱い思いに支えられて『ラ・カージュ・オ・フォール』は出来上がっているのである。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』カンパニーはファミリーなのである。(昨日もこれだったじゃん)

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月8日(土)

  稽古前に真島茂樹さんと『シアターガイド』誌の取材を受ける。

  真島さんと初めてご一緒したのは『屋根の上のヴァイオリン弾き』である。森繁久彌さんがテヴィエを演じた最終公演(1986年帝劇)の時で、酒場でのロシア人のダイナミックなダンスや結婚式のボトル・ダンスが印象に残る。私は演出部の一番下っ端であった。
  その後、西田敏行さんがテヴィエを演じられた時にもご一緒したし、森繁さんの舞台『星降る里』でもご一緒した。これはストレート・プレイだったので、歌わない、踊らない、俳優としての真島さんをしっかりと見ることができた。
  その真島大先輩と肩を並べてのインタビューである。恐れ多いことである。

  稽古は1幕の前半をおさらい。

  今のところ稽古は至って順調である。鹿賀さんのジョルジュ振りも板に付いて来た。山崎さんと島谷さんの若いカップルたちも活き活きとして来た。
  ジョルジュの家でボーイとして雇われたのに、本人はメイドだと思っているジャコブを演じるのは花井京乃助さんである。花井さんをご存じの方には、このキャスティングがいかに的を射ているかを想像していただくのは難しいことではないだろう。初めて花井さんをご覧になる方は・・・どうぞお楽しみに。
  今回が初『ラ・カージュ・オ・フォール』と言う出演者も多いのだが、稽古場の雰囲気は明るく柔らかい。これは『ラ・カージュ・オ・フォール』と言う作品が備えている優しさやユーモアが自然と稽古場に反映されているからでもあるだろう。
  が、それだけでなく『ラ・カージュ・オ・フォール』経験者たちの細かい心遣いも大きいに違いない。特に市村さんは、色々な人に声を掛け、励まし、笑わせ、一同がリラックスできるようにさり気無く気を配っていらっしゃるようにお見受けする。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』カンパニーはファミリーなのである。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月7日(金)

  立ち稽古。

  1幕中盤、ムッシュ・ルノーのカフェと、2回目のショー「ラ・カージュ・オ・フォール」を当たる。
  カフェの場面には、ジョルジュがアルバンに向かって歌うミュージカル・ナンバー「砂に刻む歌」がある。中年の域に差し掛かった恋人たちが、若き日々を思い出して歌う、とてもロマンティックなラヴ・ソングである。
  その歌詞の一節に「時は過ぎたけれど  今よみがえる  若い日よ」と言う部分があるのだが、それを市村さんに向かって優しく歌い掛ける鹿賀さん、嬉しそうに耳を傾ける市村さんのお2人を見ていて、稽古であるにもかかわらず私は目頭が熱くなった。
  目の前で繰り広げられているのはサントロペに暮らすフランス人のゲイ・カップルの話で、それはあくまでも虚構なのだが、それと現実のお2人の過ぎ来し方がだぶって、思わず私もジーンとしてしまったのである。

  観る人の思い入れによって、芝居は様々な受け取られ方をする。『ラ・カージュ・オ・フォール』も、ご覧になる方々ひとりひとりの『ラ・カージュ・オ・フォール』が存在するのだと思う。

  稽古の最後は「ラ・カージュ・オ・フォール」シークェンスの内、まだ手を着けていなかった「ハンナのタンゴ」を振付。
  レビュー・ショーにはエキゾチックなジャングルの場面がしばしば登場する。来日したブロードウェイ・ミュージカル『ソフィスティケイティッド・レディース』にもジャングル・シーンがあった。御多聞に洩れず『ラ・カージュ・オ・フォール』にもジャングル・シーンがあり、それがこの「ハンナのタンゴ」である。
  ここは真島茂樹さん扮するハンナが、ジャングルの猛獣に扮したカジェルたちを鞭で調教する、と言う趣向の場面なのだが、今回はここもヴァージョン・アップして猛獣が一頭増えた。
  短い場面だが、どうぞお楽しみに。

  稽古後は『ミー&マイガール』の舞台美術打ち合わせ。どうすればあの大作を中日劇場の舞台にはめ込めるのか?

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月6日(木)

  立ち稽古。

  アパート2シーンを当り、その後、2回目のショーの前の舞台袖場面を稽古。更に「マスカラ」の振り起こし。
  2つ目のアパート場面には2つのミュージカル・ナンバーがあるが、今日はその内のジョルジュとアルバンのナンバー「君と腕を」をステージング。ジョルジュは若い頃、パリのレビュー小屋「リド」で踊っていた、という設定なので、このナンバーでも古き良きレビューの香り漂うステップがいくつか登場する。
  物語上では踊りの苦手なアルバンを元ダンサーのジョルジュが誘うことになっているのだが、現時点の稽古場では、今日初めてこのナンバーに取り組む鹿賀さんよりも、すでに100回以上こなしている市村さんの方に一日の長がある。
  が、さすがに鹿賀さんと市村さんが腕を組んで楽しそうに歌い踊る姿は、やはり色々な意味で観る者の心を動かす。私も稽古を見ながらちょっぴり感動していました。

  「マスカラ」は、周りのカジェルたちの振り起こしはすでに終わっているが、今日は市村さんの振り起こし。9年ぶりの筈なのに、あの「手の込んだ」ナンバーの振り起こしが「あ」っと言う間に終了。稽古場内に喝采が沸き起こる。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月5日(水)

  立ち稽古。

  幕開きから1回目のショー、それに続く舞台袖からアパート、「マスカラ」後の舞台袖からアパートを、ジョルジュを中心に当たる。その後、ジャン・ミッシェルとアンヌの場面を稽古。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』は一見大らかな作品の様だが、実際は舞台上での約束事や段取りが細かく存在している。立ち稽古ではそのひとつひとつを確認、整理して行くことになるので、短い場面の稽古でも案外と時間が掛かる。
  が、その細かい仕掛けのひとつひとつが舞台では大きな効果を発揮するので、やはりそこは疎かにできない。
  この細かな約束事を1から生み出していったブロードウェイの初演はかなり大変な作業だったろうと想像する。と同時に、そのひとつひとつを掘り起こして再現した日本初演も相当困難な仕事だったに違いない。

  今それをリニューアルする立場になって、先人たちの偉大さを改めてひしひしと感じた立ち稽古1日目であった。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月4日(火)

  顔寄せ。その後、読み合わせ。

  ようやく出演者全員が一堂に会した。そしてクリエイティブ・チームの皆さん、公演関係者の皆さんも。
  まずは主催者を代表してホリプロの堀社長がご挨拶。そしてキャストの紹介、クリエイティブ・チーム、スタッフ、公演関係者の紹介、最後に演出家の挨拶、であった。
  今年は『ラ・カージュ・オ・フォール』のブロードウェイ初演から25年目の記念すべき年である。その年にこうして『ラ・カージュ・オ・フォール』に取り組むことができる喜び、今までの『ラ・カージュ・オ・フォール』の楽しさはそのままに、今まで以上に人間らしい、ヒューマニズムに溢れた『ラ・カージュ・オ・フォール』を作りたい・・・、などとしゃべる。とにかく今日は人が多くて、緊張した。

  顔寄せの後、歌入りで全編を読み合わせ。
  記憶に残っている「ああこれが『ラ・カージュ・オ・フォール』だ」と言う部分と、観たことのない新鮮で新しい『ラ・カージュ・オ・フォール』が同居した、素敵な読み合わせであった。稽古開始以来、「今まで通りの楽しさと今まで以上の人間らしさ」と言い続けて来たのだが、その具体的なイメージが自分でもようやく掴めた様な気がした。

  並行して、稽古場の各所では様々な作業が行われていた。舞台美術、衣裳、ヘア・メイク・・・、無事に幕が開くまでには、まだまだやらなければならないことが山積みである。

  明日よりいよいよ立ち稽古。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月3日(月)

  振り起こしと歌稽古。

  ただし私は所用で欠席。悪しからず。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月2日(日)

  振り固めと歌稽古。

  今日の歌稽古では鹿賀さんと市村さんのデュエット・ナンバーを中心に。その後、鹿賀さんと山崎さんのナンバーもさらう。
  振り固めの方は、今日は早めに終了。そろそろ疲労が溜まって来ている頃合いなので、こう言う日も必要なのである。

  稽古後、12月に創刊される演劇ムック『演劇プルミエ』誌の取材を受ける。創刊号の特集は「ミュージカル」だそうである。
  雑誌の休刊が相次いでいる中で、演劇の新雑誌が創刊されるのは嬉しい。健闘を祈りたい。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

11月1日(土)

  今日も振り付けと歌稽古を同時進行。

  今日の歌稽古は鹿賀さん、そして市村さん。
  ジェリー・ハーマン作詞・作曲のミュージカル・ナンバーは  『ラ・カージュ・オ・フォール』の大きな魅力のひとつである。次々と登場する楽曲の全てが素晴らしい。
  ジェリー・ハーマンの代表作と言えば何を差し置いても『ラ・カージュ・オ・フォール』であろう。が、その他にも『ハロー・ドーリー!』『メイム』と言う、映画化された2本の大ヒット作を持っている。『ハロー・ドーリー!』のブロードウェイ初演は、当時のロングラン記録を塗り替えた。
  ジェリー・ハーマンは日本でも宝塚歌劇団の『ブロードウェイ・ボーイズ』のタイトル・ソングを手掛けている。『ブロードウェイ・ボーイズ』は、当時月組のトップスターであった涼風真世さんのさよなら公演であった(ちなみに私は東京公演の舞台監督であった)。

  そのジェリー・ハーマンによる名曲の数々を、鹿賀さんと市村さんで聞くことができる幸せ。
  今回が初ラ・カージュの鹿賀さんは少しづつゆっくりと、メロディ・ラインや譜割り、歌詞の内容や歌い手の気持ちなどを確認するように歌っている。
  9年ぶりのラ・カージュとなる市村さんは、歌い始めると体が色々なことを覚えているらしく、歌稽古の筈が既に芝居の稽古の様である。
  私は、お2人の歌を聴きながら、舞台監督を務めていた11年前の様子をまざまざと思い出していた。音楽の持つマジックであろう。

  体育館チームは「フィナーレ」の振り起こしがほぼ完了。あ、でもまだ2幕幕開きの「男のレッスン」が残ってた。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

10月31日(金)

  稽古場2か所を使用して、振り付けと歌稽古を同時進行。

  既に私の留守中に色々な人の稽古が始まっていたのだが、今日は島谷ひとみさんと山崎育三郎さんのダンス・ナンバーの振り付けから。
  山崎さんの役は、鹿賀さん扮するジョルジュの一人息子、ジャン・ミッシェルである。ジャン・ミッシェルには現在熱愛中の恋人アンヌがいて、それが島谷さんである。
  ある日、ジャン・ミッシェルがアンヌとの結婚をジョルジュに願い出たことが『ラ・カージュ・オ・フォール』での大混乱のそもそもの始まりで・・・。
  今日振り付けたのは、ジャン・ミッシェルが父親に「アンヌほど素晴らしい娘はいない」と熱く語るナンバー「アンヌと腕を」。アンヌのちょっぴりバレエっぽいダンスが2人の幸福ぶりを軽やかに伝えてくれる素敵なナンバーである。
  お2人のナンバー後は「フィナーレ」のカジェルたちの振り起こし。半月掛かってようやくフィナーレに辿り着いた。

  プリンシバルさんたちの歌稽古も始まっている。

  今日の一番手は林アキラさんと園山晴子さん。お2人は、ジョルジュとアルバンの行きつけのカフェのご主人と奥様、ムッシュ・ルノーとマダム・ルノーである。
  歌稽古の二番手は香寿たつきさん。タータン(香寿さんの愛称)は、サントロペの超高級レストラン「シェ・ジャクリーヌ」のオーナーで、ジョルジュとアルバンの古い友人ジャクリーヌを演じる。
  そしてシンガリは、『ラ・カージュ・オ・フォール』の主人公ジョルジュ、鹿賀丈史さん。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』は、中年に差し掛かかった妻子持ちの男が、ちょっとした判断の過ちから長年連れ添った最愛の妻を裏切らなければならない羽目になり・・・、と言う風にストーリーが展開する。その妻子持ちの男が鹿賀さんで、長年連れ添った妻が市村さん、そして甘えん坊の息子が山崎さんである。
  『ラ・カージュ・オ・フォール』はシチュエーション・コメディとしても大変よくできている。ジョルジュは人生最大の危機にどう立ち向かうのか、果たしてこのファミリーに幸せは訪れるのか、ハラハラドキドキの連続である。
  大笑いして、ホロリとして、幕が下りる時には心が温かくなっている。ラ・カージュ・オ・フォール』はそんなミュージカルなのである。

  稽古後はミュージカル『シラノ』のミーティング。
  『シラノ』は新しいチラシが出来上がっている。もうご覧になられたであろうか。私は帝劇で目にしたが、色々な所で入手可能だと思われる。
 

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