« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »

2008年4月の記事

お帰りなさい! 『エキストラ』通信

4月25日(金)

  劇団東京ヴォードヴィルショー第62回公演『エキストラ』が東京に帰って来た。

  『エキストラ』については昨年の11月19日~12月12日付の日記(『エキストラ』通信)をご参照いただきたいのだが、約4ヶ月にわたる旅公演を経て、最終地である新宿の紀伊國屋サザンシアターに戻って来たのである。
  私自身が昨年の12月12日以来の観劇だったのだが、久しぶりに親戚の子供に会った時の様に、しばらく会わない間にたくましい舞台に成長していて嬉しかった。各地の観客に大らかに育てられたに違いない。
  そんな旅の間の様子は劇団ホームページの「Diary エキストラ旅公演」と劇団員である大森ヒロシさんのブログから窺えるのだが、結構な珍道中であった様である。

  公演は4月29日(火)までだが、当日券も若干は用意されるそうなので、ご都合の付く方は劇団にお問い合わせを。

  ところで、先日初期の胃がんであることを報告された佐藤B作さんだが、4ヵ月半振りにお目に掛った私の目には以前と何一つ変わらない様子であった。大いに安心したことを記しておきます。

| | コメント (2)

日芸、そして『I Do!』

4月24日(木)

  午前中は日芸で授業。

  例年と比べると今年は生徒数が少ないので、ひとりひとりのキャラクターも今年は早く掴めそうである。
  私の担当する「演出実習Ⅱ」は演劇学科演出コースの1年生のための授業であるが、演劇を学ぶ大学の学生だと言っても、その大半は先月まで高校生だった訳である。演劇経験や劇場体験も決して人並み以上ではないだろう。
  なのでまずは、演出について考察することと並行して、現在の演劇状況を知ることをやっている。
  それにしても、生徒たちは演劇に対して余りにも無垢である。翻って、では今の自分は演劇とどう対峙しているだろうか。
  学生たちと付き合う様になってありがたいのは、毎年この時期になると、そのことを思い出させてくれることである。

  夜は『I Do! I Do!』の稽古場へ。

  今日は1幕を通し、その後、細かい部分の確認を。
  『I Do! I Do!』の出演者は2人きりだが、2人の出演者と同じくらい重要な役割を担っているのがミュージシャンである。
  私たちの『I Do! I Do!』ではミュージシャンも2人きり。冴咲賢一さんと天野裕子さんのお2人で、それぞれがキーボードといくつかのパーカッションを操っている。お2人も、もうずいぶん長いこと『I Do! I Do!』に参加してくださっているので、村井さん、春風さんとの呼吸もお見事である。何より作品の流れを理解した演奏をしてくださるのが素晴らしい。

  『I Do! I Do!』は、ある夫婦の新婚からリタイアまでを(その間の夫婦仲を)綴った洒落たミュージカル・コメディである。
  作品の性質上、1幕ではどうしても若作りをして青春時代を演じなければならないのだが、今日のお2人の青春時代はとてもチャーミングでしたよ。

| | コメント (0)

舞台版『フラガール』キャスト

  舞台版『フラガール』のキャストがいつの間にか発表されていた。こちらからどうぞ。

| | コメント (0)

3期生、そして新作ミュージカルの打ち合わせ

4月22日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーの授業。

  今日からしばらくの間は、あるミュージカルをテキストとして、実際にミュージカルが作られて行くプロセスを体験してもらうつもりである。そして、生徒たちのモチベーションが少しでも高まればと思い、できるだけ新しい作品をテキストとして選んだ。
  新しい作品を扱う時には、教える側にもそれなりの緊張感がある。その緊張感が生徒たちに伝わって行けば、とも思うのだが。

  夜は、来年上演される新作ミュージカルの打ち合わせで東宝演劇部へ。

  以前も日記に記したが、どうやら来年の私はミュージカル三昧の様である。ミュージカルの準備は、ストレート・プレイと比較するととても仕事量が多く、長期に渡ってスタッフやキャストを拘束することが困難な我が国の演劇事情の中では、作業もなかなか捗らない。
  その側面だけを思うと、ミュージカル尽くしの来年はちょっと気が重くなるのだが、それでもミュージカルが無事に開幕した時の達成感を思えば、苦労も苦労ではなくなる(筈である)。

  来年予定されている5本のミュージカルが、どれも無事に開幕します様に。

| | コメント (1)

第33回菊田一夫演劇賞

4月21日(月)

  今年は菊田一夫さんの生誕100年である。

  菊田さんは、今では森光子さんの『放浪記』の作者として、また『放浪記』の終景に斉藤晴彦さん演ずる登場人物として現れることで知られているが、戦前から戦後に渡って日本を代表する劇作家のひとりであった。
  と同時に演出家であり、プロデューサーであり、そして東宝の演劇担当重役でもあった。

その菊田一夫さんのお名前を冠する菊田一夫演劇賞の授賞式に東京會舘へ。

  今年の受賞者については上をクリックして公式ページをご覧頂きたいのだが、私に関係があるのは涼風真世さんと井上芳雄さんである。それぞれの受賞理由に『イーストウィックの魔女たち』と『ウェディング・シンガー』が含まれているからである。
  涼風さんはこの日のためにあつらえたと言う和服で、井上さんはダークグレーのシックなスーツ姿で登壇された。

  演劇賞と名の付く賞は、僅かづつではあるが増えて来ている。その中で今年33回を数える菊田一夫演劇賞がユニークなのは、対象をエンタテインメントに絞っていることであろう。
  過去の受賞者を見てもそのことは明らかで、日本のショー・ビジネスにその名を残す方々のお名前が刻まれている。私事で恐縮だが、「ショー・ビジネス」と言う言葉が何よりも好きな私は、この受賞者リストの末席に名を連ねさせていただいた時は心底嬉しかった。

  涼風さん、井上さん、そしてその他の受賞者の皆さんも、おめでとうございます。これから先、益々のご活躍を楽しみにしています。

  夜は『フラガール』の舞台美術打ち合わせ、2回目。

  既に舞台模型が用意され、具体的な演出プランが検討されている。近々製作発表も予定されているのだが、そのことは詳細が決まったところでまたご報告したい。

| | コメント (0)

『I Do! I Do!』と「3人の受賞を祝う会」

4月20日(日)

  『I Do! I Do!』の稽古場へ。

  『I Do! I Do!』のことは3月31日の日記にも記したが、『ファンタスティックス』で成功したミュージカル・ライター・チームのトム・ジョーンズとハーベイ・シュミットが、ブロードウェイの大物プロデューサー、ディヴィッド・メリックに招かれて作った出演者2人だけのブロードウェイ・ミュージカルである。
  オープニングは1966年12月5日で、46th Street Theaterにて560回に及ぶロングランを記録している。オリジナルのキャストはロバート・プレストンとメリー・マーティンの2人で、プレストンはこれでトニー賞の最優秀ミュージカル男優賞を受賞した。演出・振付はガワー・チャンピオンであった。

  村井国夫さんと春風ひとみさんのコンビでの上演は2002年から。私はそれ以前に川崎麻世さんと高嶺ふぶきさんのコンビでも演出させてもらっている。
  そして今回、村井さんと春風さんのお2人はめでたく上演回数100回を迎えることになるのだが、東池袋での記念公演の後は、静岡方面の演劇鑑賞会主催のツアーに出ることになっている。
  ちなみに、昨年の夏から舞台美術を一新した。演出やステージングに大きな変更はないのだが、舞台美術に関しては、実はこれで3ヴァージョン目である。

  夜は「3人の受賞を祝う会」へ。

  3人とは、照明デザイナーの服部基さん、美術デザイナーの堀尾幸男さん、照明デザイナーの原田保さんで、服部さんが紀伊國屋演劇賞を、堀尾さんが朝日舞台芸術賞を、そして原田さんが読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞されたので、それを祝う会が開かれたのである。
  会場は飯田橋駅近くの、お堀に面した素敵なカフェで、賑やかだが寛いだ、素敵な会であった。

  普段表舞台で取り上げられることの少ないスタッフに光が当たるのは本当に嬉しい。服部さん、堀尾さん、原田さん、おめでとうございます!

| | コメント (0)

日大芸術学部演劇学科

4月17日(木)

  東宝ミュージカルアカデミーに続いて、日本大学芸術学部演劇学科での授業も始まった。

  私が担当しているのは演出コース1年生のための授業「演出実習Ⅱ」である。
  今年の演出コース1年生は12名。例年20名を超えていたのだが、今年は少数精鋭で、と言うことなのだろうか?  理由は知らないが、私にとってはありがたい。
  「演劇」や「演出」では正解はひとつではない。生徒の数だけ「正解」はある。なので、ある程度限られた人数での授業の方が、そのことを生徒に伝えやすいと思うのである。
  もっとも、他学科から転科して来た生徒や再履修の生徒が加わるので、最終的には20名近いクラスにはなってしまいそうなのだが。

  東宝ミュージカルアカデミー3期生35名+演出実習Ⅱ20名。顔と名前が一致するのはいつの日のことだろうか。

| | コメント (0)

東宝ミュージカルアカデミー3期生

4月15日(火)

  東宝ミュージカルアカデミー3期生のレッスンが先週より始まっている。

  3期生は35名。1期生とも2期生ともまた違う雰囲気で、その「違う」と言うことがまずは面白い。レッスンは今日から2巡目に入ったのだが、新しい環境、慣れないレッスンにまだまだ戸惑っている様子が初々しく、微笑ましい。

  これから1年間、1日に3コマ、歌にダンスに演技のレッスンが次から次へと押し寄せて来る生活を送る訳だが、「ミュージカルの舞台に立ちたい」「ミュージカルが大好きだ」と言う今の気持ちを忘れずに、レッスンを重ねて力を付けて行って欲しいと思う。

  夢を叶えるためのレッスンなのだから。

| | コメント (0)

『レベッカ』Blog

『レベッカ』の公式Blogがオープン。

こちらからどうぞ。

| | コメント (0)

初日 『レベッカ』通信

4月6日(日)

  過ごしやすい、穏やかな天気でよかった。

  初日は14時の開演であったが、今日も朝から舞台では最後の調整。各セクション、どうにかこうにか滑り込みで開場時間を迎えた。
  ここまで来ると私には最早することはない。手狭な楽屋に居場所もないので、シアタークリエ2階の「Café&Meal MUJI」でお茶を飲むことにした。ここには初めて入ったが、道を挟んで東京宝塚劇場のエントランスを見下ろすロケーションで、宝塚の出待ち入り待ちにはもってこいな感じ。

  それはともかく、『レベッカ』はほぼ定刻に開演。1幕1時間25分、25分の休憩を挟んで、2幕1時間、プラスカーテン・コール。
  今日のカーテン・コールは初日スペシャルで、まず山口さんがカンパニーを代表してご挨拶。続いて私が登壇しクンツェ氏&リーヴァイ氏をご紹介。お2人も舞台に上がってくださり、ユーモアと愛情の溢れるコメントをいただいた。

  終演後は劇場ホワイエにて乾杯。ここ何日かの狂騒も、これでようやくひと段落。緊張の糸が切れたのか、睡魔がいきなり襲って来た。

  夕食はクンツェ氏、リーヴァイ氏、お2人のご家族、プロダクション・コーディネーターの小熊節子さん、そして東宝の関係者と共にした。笑顔の絶えない、くつろいだ素敵な時間であった。

  これで『レベッカ』通信はお終いである。ご愛読、ありがとうございました。『レベッカ』はシアタークリエにて、6月30日(日)までの上演です。ぜひお運びください。

| | コメント (10)

『レベッカ』通信

4月5日(土)

  テクリハ、舞台稽古の続き。その後、ゲネプロ。更にその後、直し作業。深夜帰宅。

  クンツェ氏もいらっしゃる。

  『レベッカ』初日まであと1日。

| | コメント (1)

『レベッカ』通信

4月4日(金)

  テクニカル・リハーサル、舞台稽古の続き。

  やや難航。

  『レベッカ』初日まであと2日。

| | コメント (2)

『レベッカ』通信

4月3日(木)

  サウンドチェック、テクニカル・リハーサル、そして舞台稽古。

  深夜帰宅ではなかった。

  『レベッカ』初日まであと3日。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

4月2日(水)

  シアタークリエにて道具調べ、照明合わせ。

  深夜帰宅。

  『レベッカ』初日まであと4日。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

4月1日(火)

  稽古場最終日。2回目のオケ付き通し稽古。

  稽古前にシアタークリエに顔を出す。基本舞台がある程度姿を現していた。
  稽古の方は大きな取りこぼしも無く、望む様な形で無事に終えることができた。稽古場でできることはほぼやり終えた、と思う。
  後は劇場の様々な制約の中で、如何にドラマと音楽性を広げて行けるか、であろう。

  稽古後は再びクリエへ。大道具の建て込みと照明のフォーカス合わせを見届ける。

  『レベッカ』初日まであと5日。

| | コメント (1)

『I Do! I Do!』のこと、そして『レベッカ』通信

3月31日(月)

  稽古前に『I Do! I Do!』打ち合わせ。

  『I Do! I Do!』は1966年に初演されたブロードウェイ・ミュージカルで、オン・ブロードウェイ作品なのに「出演者がたった2人」と言うチャーミングなミュージカル・コメディである。
  作者は『ファンタスティックス』のトム・ジョーンズとハーベイ・シュミットで、日本でも様々な顔ぶれで上演されて来たことはご承知の通り。

  現在のコンビは村井国夫さんと春風ひとみさんで、お2人はこれまで、こつこつと全国を回って地道に上演を重ねて来た。そしてこの度、このコンビでの上演回数がめでたく100回を迎えることとなった。
  その記念すべき100回目を迎えるのは5月2日(金)で、会場は東池袋あうるすぽっと、その日は19時の開演である。

  あうるすぽっとでの公演は3日(土)の12時30分と17時、そして4日(日)の12時30分にも行われる。そしてその後、各地の演劇観賞会主催のツアーへと旅立つことになっている。
  未見の方はこの機会にぜひごどうぞ。

  さて、『レベッカ』はオケ付き通し稽古。

  作曲者/編曲者のシルヴェスター・リーヴァイ氏をお迎えして、いやが上にも稽古場は盛り上がる(緊張する?)。出演者もスタッフも大半は『エリザベート』『モーツァルト!』『マリー・アントワネット』の関係者なので、お互いが既に顔なじみで、リーヴァイ氏も多くの懐かしい顔に嬉しげであった。
  私自身は一昨年の12月にウィーンでお目に掛かって以来の再会であった。ウィーン行きの目的はもちろん開幕間もない『レベッカ』を鑑賞することであったのだが、打ち合わせのために訪れたリーヴァイ氏の仕事場でのことは生涯忘れられない思い出となっている。

  リーヴァイ氏のウィーンでの仕事場はシェーンブルン宮殿の中にある。改めて記す必要もないと思われるが、ハプスブルグ家の離宮である、ユネスコの世界遺産に登録されている、あのシェーンブルン宮殿である。
  打ち合わせを終えると、氏は私に「何かリクエストはないか?」と尋ねた。仕事場のグランド・ピアノで1曲弾いてくださるとおっしゃるのである。
  咄嗟のことだったのだが、私はその瞬間に頭に浮かんだ曲をお願いした。氏の作曲したミュージカル『エリザベート』の「夜のボート」であった。

  オーストリア皇后エリザベートがフランツ・ヨーゼフ1世と暮らした宮殿の一室で、『エリザベート』の作曲者自らが私のために演奏する「夜のボート」。
  私の人生の中でも特別な瞬間であった。

  オケ付き通し稽古の間、リーヴァイ氏には音楽監督の甲斐正人さんと私の間に座って頂いた。通し稽古を鑑賞しながら、音楽的なリクエストがあれば直接甲斐さんと話ができるようにしておくためであった(と言っても通訳さんが間に入るのだが)。
  リーヴァイ氏から音楽的なアドヴァイスを頂く、と言うことは、『ハムレット』の稽古場にシェイクスピアが来てくれて駄目出ししてくれるようなものである。
  これはありがたい。

  通し稽古は、私自身はとても良い出来であったと感じた。明日は2回目の、そして稽古場最後のオケ付き通し稽古であるが、今日の出来を明日も再現できる様であれば安心して劇場入りすることができるのだが。

  シアタークリエでは『放浪記』も無事に千穐楽を迎え、既に『レベッカ』の仕込が始まっている。稽古後に覗いた舞台では、運び込まれた大道具の隙間で照明チームがムーヴィング・スポットの調整をしていた。

  『レベッカ』初日まであと6日。

| | コメント (0)

« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »