3月31日(月)
稽古前に『I Do! I Do!』打ち合わせ。
『I Do! I Do!』は1966年に初演されたブロードウェイ・ミュージカルで、オン・ブロードウェイ作品なのに「出演者がたった2人」と言うチャーミングなミュージカル・コメディである。
作者は『ファンタスティックス』のトム・ジョーンズとハーベイ・シュミットで、日本でも様々な顔ぶれで上演されて来たことはご承知の通り。
現在のコンビは村井国夫さんと春風ひとみさんで、お2人はこれまで、こつこつと全国を回って地道に上演を重ねて来た。そしてこの度、このコンビでの上演回数がめでたく100回を迎えることとなった。
その記念すべき100回目を迎えるのは5月2日(金)で、会場は東池袋あうるすぽっと、その日は19時の開演である。
あうるすぽっとでの公演は3日(土)の12時30分と17時、そして4日(日)の12時30分にも行われる。そしてその後、各地の演劇観賞会主催のツアーへと旅立つことになっている。
未見の方はこの機会にぜひごどうぞ。
さて、『レベッカ』はオケ付き通し稽古。
作曲者/編曲者のシルヴェスター・リーヴァイ氏をお迎えして、いやが上にも稽古場は盛り上がる(緊張する?)。出演者もスタッフも大半は『エリザベート』『モーツァルト!』『マリー・アントワネット』の関係者なので、お互いが既に顔なじみで、リーヴァイ氏も多くの懐かしい顔に嬉しげであった。
私自身は一昨年の12月にウィーンでお目に掛かって以来の再会であった。ウィーン行きの目的はもちろん開幕間もない『レベッカ』を鑑賞することであったのだが、打ち合わせのために訪れたリーヴァイ氏の仕事場でのことは生涯忘れられない思い出となっている。
リーヴァイ氏のウィーンでの仕事場はシェーンブルン宮殿の中にある。改めて記す必要もないと思われるが、ハプスブルグ家の離宮である、ユネスコの世界遺産に登録されている、あのシェーンブルン宮殿である。
打ち合わせを終えると、氏は私に「何かリクエストはないか?」と尋ねた。仕事場のグランド・ピアノで1曲弾いてくださるとおっしゃるのである。
咄嗟のことだったのだが、私はその瞬間に頭に浮かんだ曲をお願いした。氏の作曲したミュージカル『エリザベート』の「夜のボート」であった。
オーストリア皇后エリザベートがフランツ・ヨーゼフ1世と暮らした宮殿の一室で、『エリザベート』の作曲者自らが私のために演奏する「夜のボート」。
私の人生の中でも特別な瞬間であった。
オケ付き通し稽古の間、リーヴァイ氏には音楽監督の甲斐正人さんと私の間に座って頂いた。通し稽古を鑑賞しながら、音楽的なリクエストがあれば直接甲斐さんと話ができるようにしておくためであった(と言っても通訳さんが間に入るのだが)。
リーヴァイ氏から音楽的なアドヴァイスを頂く、と言うことは、『ハムレット』の稽古場にシェイクスピアが来てくれて駄目出ししてくれるようなものである。
これはありがたい。
通し稽古は、私自身はとても良い出来であったと感じた。明日は2回目の、そして稽古場最後のオケ付き通し稽古であるが、今日の出来を明日も再現できる様であれば安心して劇場入りすることができるのだが。
シアタークリエでは『放浪記』も無事に千穐楽を迎え、既に『レベッカ』の仕込が始まっている。稽古後に覗いた舞台では、運び込まれた大道具の隙間で照明チームがムーヴィング・スポットの調整をしていた。
『レベッカ』初日まであと6日。
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