« 2008年2月 | トップページ | 2008年4月 »

2008年3月の記事

『レベッカ』通信

3月30日(日)

  オケ合わせ2日目。今日は2幕。

  昨日の日記をUPした時、私はオーケストラの人数を間違えて9名編成と書いてしまった。既に訂正したが、正しくは10名である。ごめんなさい。
  さて、昨日と今日でオーケストラの音をひと通り聞いた。ウィーン版とはまた違った、繊細で温もりのある音色に私は感じた。
  そして想像はついていたことであるが、舞台上の出演者と上手の舞台袖に隔離されているマエストロとのコミュニケーションの取り方がやはり難しい。これは繰り返し稽古することで克服するしかないであろう。

  明日はいよいよオケ付き通し。リーヴァイ氏が稽古場にやって来る!

  稽古後は『フラガール』の舞台美術と衣裳の打ち合わせ。こちらも手強い題材だが、素敵な舞台美術、衣裳になりそうである。

  『レベッカ』初日まであと7日。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月29日(土)

  オケ合わせ1日目。

  オケ合わせとは「オーケストラと出演者とを合わせる」稽古のことである。
  シアタークリエ版『レベッカ』のオーケストラは10名編成。Reed、Horn、Drums、Violin 1、2、Viola、Cello、Keyboard 1、2、3の10名である。指揮は『ダンス オブ ヴァンパイア』や『ジキル&ハイド』最終公演の西野淳さんである。

  今日はプロローグより台本順に、台詞BGMやシーンチェンジも含めて音楽の鳴っている箇所は全て、1幕の終わりまで当たって行った。
  初めて聞くオーケストラの音は、今までのピアノだけの音とは当然違って遥かに雄弁である。ダイナミックな部分はよりダイナミックに、恐怖を感じさせるところはより怖く、ゴージャスなところは一層ゴージャスに・・・、リーヴァイ氏の濃密な音楽がストーリーや登場人物の感情を見事に物語る。

  明日は2幕。

  『レベッカ』初日まであと8日。

| | コメント (1)

『レベッカ』通信

3月28日(金)

  3回目の通し稽古。

  新作ミュージカルの初演で、こう何回も通し稽古ができるのは珍しい。
  いや、そうできるように稽古前半をハイペースで頑張って来たのだからできて当然なのだが、でもやはりそうしておいてよかった。連日の通しで見えて来るものが沢山ある。連日通すことで定着することも多い。

  明日からはオケ合わせ。
  シルヴェスター・リーヴァイさん自らがシアタークリエ・ヴァージョンの編曲をしてくださったのだが、そのウィーン版とも異なる音をいよいよ明日聞くことができるのである。

  『レベッカ』公式ページでは大塚さん、山口さん、シルビアさん3人のインタビューがUPされた。抱腹絶倒、和気あいあいの楽しいビデオだが、『レベッカ』本編はコメディではない。
  どうかお間違えのない様に。

  『レベッカ』初日まであと9日。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月27日(木)

  2回目の通し稽古。

  『レベッカ』は日々着実に進化している。明日の3回目は、これでスピード感が出て来てくれると嬉しいのだが。
  通し稽古の後はカーテン・コールの段取り。東宝では、カーテン・コールを作るのは演出助手の仕事。なのでここは末永君に丸投げ。

  『レベッカ』初日まであと10日。

  話は変わって、『フラガール』のキャストが発表になった。詳細はこちら

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月26日(水)

  初めての通し稽古。

  今日からは連日通し稽古体制である。明日も、明後日も、である。
  『レベッカ』では、いくつかのシーンが繋がった時に初めて観客があるイメージを受け取る様にドラマが組み立てられている。なので、ひとつひとつのシーンも大切であるが、それが繋がった時の見え方をより重視して今後は稽古する、と言うことなのである。

  話は変わって、『レベッカ』公式ページに私のコメントムービーが追加された。これは3月13日に収録したものなので、私もその存在を忘れていた。・・・ずっと忘れていたかった。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月25日(火)

  一昨日の続き、2幕の中盤からエピローグまでを稽古。その後、衣裳パレード。

  ちょっとしたことであるシーンが見違える様に生まれ変わることもあれば、何度繰り返しても思う様に行かないこともある。
  その「ちょっとしたこと」を見つけようといつも必死でもがいているのだが、大抵の場合、それは簡単には見つからない。だが、見つかってみれば、それは実に他愛のない、些細なことである場合が多い。

  明日も、ひとつでもそれが見つかります様に。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月23日(日)

  プロローグより台本順に、繋げられるシーンは繋げて2幕前半までを稽古。

  ある程度稽古も進んで来たので、本番に近い流れ方の中で各シーンの問題点を洗い出す作業に入る。
  シーン毎に丁寧に段取りを確認して稽古しても、本番ではそんな手続きは許されないので、この期に及んではそう言う稽古は最早意味が無い。逆に言うと、「シーン毎に区切らず稽古する」というルールが俳優やスタッフの集中を高め、緊張感のあるクォリティの高いパフォーマンスを生み出すのである。
  その集中の中で「取りこぼしたこと」や「上手く流れない部分」を見極める時期に来ている訳である。

  別稽古場では本日よりオーケストラのリハーサルも始まる。明日は稽古場最後のOFF。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月22日(土)

  2幕前半とラストを稽古。

  この4日間で全シーンをひと通り稽古し直した。
  満足の行く仕上がりのシーンもあれば、何かが足りない、上手く行っていないと言うシーンもあった。それらをひとつひとつ潰したつもりではあるが、まだまだ幾つもの穴を見落としているのかもしれない。

  稽古後は照明デザイナーの成瀬一裕さん、音響デザイナーの本間俊哉さん、舞台監督の鈴木政憲さん、演出助手の末永陽一さん、そして演出部の皆さんと照明・進行打ち合わせ。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月21日(金)

  稽古前に東宝ミュージカルアカデミー2期生の卒業式。今度君たちに会う時は「先生と生徒」ではなく「演出家と出演者」。特別扱いはしないぜ。

  『レベッカ』は1幕の中盤と2幕の中盤~後半を稽古。
  やはり『レベッカ』は面白い。1幕の面白さと2幕中盤以降の面白さでは、その質が大いに異なるのだが、そこがまた面白い。どう異なるのかと言うと(以下自主規制)。

  ところで、『レベッカ』公式ページに山口さんと大塚さんのインタビューがUPされている。もう覧頂いたであろうか。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月20日(木)

  1幕後半を稽古。

  以前稽古した時にはそれなりに出来上がっているように思えていた場面も、こうして改めて稽古してみると、まだまだ穴だらけなことがはっきりと見えて来る。
  穴が見えていなかったことを恐ろしいことだと思うべきなのか、穴が見えて来たことを喜ぶべきなのか。今は喜んでおこうと思う。

  夜はシアタークリエへ移動して、『放浪記』終演後の舞台をお借りして稽古。シアタークリエの舞台でないとどうしても段取りをつけられない場面を当たらせてもらう。
  関係各位のご配慮、ありがとうございました。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信と東宝ミュージカルアカデミー2期生卒業公演

3月19日(水)

  1幕に戻り、前半を稽古。

  これから先は、全体像を見据えた上でのペース配分や伏線の張り方、ニュアンスの調整や音楽との整合性・・・など、より演劇的な稽古に入って行く。
  難易度は上がるが、稽古が最も充実して来る期間でもある。

  夜はかめありリリオホールへ。東宝ミュージカルアカデミー2期生の卒業公演『レ・ミゼラブル』を観劇。

  観劇中は生徒たちひとりひとりの今までが思い起こされて、ハラハラ、クスクス、ドキドキ、ジーン・・・の連続で、本物の『レ・ミゼ・・・』を観るよりもくたびれた。
  職業的な目で見れば、それぞれにまだまだ課題が山積している。が、1年前の彼ら、彼女たちを思い起こせば、君たちは実によくやった。
  明後日はアカデミーの卒業式である。以後はそれぞれが各々の道を歩いて行くことになる訳だが、今日の日のことをどうかしっかりと記憶に焼き付けておいて欲しい。

  いつかきっと君たち自身を勇気づけてくれる筈である。

| | コメント (1)

『レベッカ』はお休み

3月18日(火)

  『レベッカ』の稽古は休み。

  溜まっていた台本を2冊読もう・・・と意気込んで目覚めたのだが、1冊しか読めなかった(自己嫌悪)。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月17日(月)

  と言う訳で、2幕を台本順に全シーン稽古。

  良いペースで稽古は進んだが、途中、2幕8場にエネルギーを投入し過ぎてしまい、その場面以後、私が燃料切れになってしまった。
  『レベッカ』は、とにかくドラマの密度が濃いので、演じる方も観る方もくたくたになる。それは心地よい疲労感ではあるのだが。

  明日は稽古OFF(♪)。

  明後日より各場面のブラッシュアップに入る。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月16日(日)

  最後まで手を付けていなかったシーンを作る。その後ミュージカル・ナンバーいくつかの固め。

  ふぅ~。

  と言うことで、明日は2幕のおさらいだ!

| | コメント (1)

『レベッカ』通信

3月15日(土)

  幕切れの2シーン、2幕12場とエピローグを作る。

  (以下自己規制)

  これで2幕も一通り終わった・・・訳では無くて、実はまだ手を付けていない場面がひとつ残っている。その稽古は明日。
  それにしても・・・。
  正直に告白すれば、この2週間は苦しかった。楽しかったけど、苦しかった。

  ちょっとホッとしました。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月14日(金)

  2幕もいよいよ大詰めが近付いて来た。

  もうこの辺りになると、どんな場面なのか、誰が登場するのかにも触れることができない。が、ドラマとしては大いに盛り上がることは保証する。
  果たして「わたし」に幸福な日々は訪れるのか?  訪れるといいなあ・・・と言うような気持ちでご覧いただければ演出家としてはありがたいのだが。

  2幕後半の4シーンを作った後は、阿部裕さん、KENTAROさん、アンサンブルさんの衣裳合わせ。
  『レベッカ』のキャストは少数精鋭なので、ひとりひとりの衣裳点数もそれなりに多くなる。従って衣裳合わせにもそれなりに時間がかかった。皆さんお疲れ様でした。

  現在のところの心配は、皆の着替えスペースが果たしてシアタークリエで捻出できるのか、である(洒落になってない?)。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月13日(木)

  稽古前に東京會舘で、山口さん、大塚さん、シルヴィアさん、私の4人で、在京の新聞記者の皆さんとの懇親会。『レベッカ』のこと、見どころや稽古の様子・・・などなど、質疑応答。この様子は初日の前後に各紙で紹介されると思われる。

  その後稽古場へ移動し、2幕後半の稽古。
  召使たちが最近の「わたし」について噂するナンバー、海難事故の審問会シーン、それに続くファヴェルがマンダレイを訪ねて来るシーンを当たる。ここでは吉野さんのエンターテイナーぶりを堪能することができる。

  稽古は至って順調であるが、私自身は結構疲弊して来た感じ。もう一息!

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月12日(水)

  着々と2幕を稽古中。

  昨日稽古した場面に続く2幕3場、4場、そして6場を稽古。
  特に2幕3場は物語が大きく転換する重要な場面である。海岸を彷徨う内に寂れたボートハウスの前まで来た「わたし」は、そこで(以下自主規制)。

  ところで、今日はちーちゃん(大塚ちひろさん)の誕生日であった。ブログにご自身で書いているからここに記してもいいと思うのだが、ちーちゃんも22歳である。と言うことは『シンデレラストーリー』初演から・・・5年!
  稽古場でみんなに祝福されたちーちゃんは喜びの余り「もう22歳ですよ~」と口を滑らせ、その場にいた全員を敵に回した。特に、やはり今月誕生日を迎えられる伊東弘美さんは「22歳でもうなら××歳の私は何なのよ!」とご立腹の様子であった。

  ちーちゃん、お誕生日おめでとう!

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月11日(火)

  2幕1場、2場を稽古。

  1幕のラストである事件が起きた後、2幕は一気呵成に物語が進行する。あの仮装舞踏会の翌未明から僅か1日の間に事態は目まぐるしく変わるのである。
  2幕の1場はその幕開きとなる場面で、「わたし」はマキシムの姿を探し求めてレベッカの寝室だった部屋へ(以下自主規制)。
  2場では、折からの濃霧のためにマンダレイの湾内で船が座礁したとの知らせが届く。ここでは海岸に集まった群衆と駆け付けた「わたし」たちの動きを重層的に作ろうと試みているのだが・・・(違う意味で自主規制)。

  気を取り直して、明日も頑張ろう!

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月10日(月)

  台本順に1幕をさらう。

  「わたし」の前に次々と現れる謎めいた人物たち。そのそれぞれにミステリアスなドラマが用意されている。
  「わたし」はマンダレイの人々にもしきたりにもなかなか馴染めず、心の拠り所はマキシムの愛だけである。だがマンダレイに戻ったマキシムと「わたし」の前に(以下自主規制)。

  今日の時点ではまず順調な仕上がりであった。細部はもっと丁寧に詰めて行かなければならないが、それは2幕をひと通り作った後のメニューである。
  で、明日から2幕に突入。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月9日(日)

  昨日ステージングした2つのナンバーをさらった後、1幕13場、14場、15場を稽古。

  この3シーンは1幕のラストを構成する連続したシーンである。ここではマンダレイの仮装舞踏会の夜の一連の出来事が描かれる。そして15場では思いもよらない様な(以下自主規制)。
  これで1幕をひと通り当たり終えた・・・のかと思ったら、まだプロローグに手を付けていなかった。で、1幕ラストを終えた後、プロローグを作る。

  まだラフだし、シーンとシーンの繋ぎも手付かずではあるが、とりあえずは1幕の全シーンに手を付けた訳である。
  と言うことで、明日は1幕のおさらいだ!

| | コメント (2)

『レベッカ』通信

3月8日(土)

  1幕ラスト近くにあるミュージカル・ナンバー2つをステージング。

  「わたし」の発案で、マンダレイで仮装舞踏会が開かれようとしている。かつてマンダレイでは、レベッカが主催する盛大な仮装舞踏会が毎年行われていた。それを蘇らせようと言うのであった。
  ステージングしたナンバーの1つ目は、その舞踏会に招かれたゲストたちによる華やかな「今宵  マンダレイで」。2つ目は、舞踏会のサプライズ・ゲストによるゴージャスな「アメリカン・ウーマン」。どちらもミュージカルらしい、わくわくするナンバーである。

  今日のナンバー2つには「怖い」要素は全くないので、久しぶりに肩に力の入らないで済んだ1日であった。
  こういう日もないとね。

| | コメント (0)

『レベッカ』はお休み

3月7日(金)

  舞台版『フラガール』でフラガールを演じる皆さんのフラのレッスンが始まっている。

  『レベッカ』の稽古OFFを利用して、そのレッスンを覗いて来た。当面は週に2回だが、本格的な稽古が開始される6月までこのレッスンは続く。
  『フラガール』の主人公のモデルとなったカレイナニ早川さんの指導のもと、現在のスパリゾート・ハワイアンズでフラのショーを指導していらっしゃる吉田先生と現役フラガールのリーダーである橋本先生が今日のレッスンの面倒を見てくださった。
  メニューは「フラとタヒチアンの基礎を身に付ける」と言った段階だが、ハワイアンズの現役フラガールのお2人(『フラガール』の舞台にも出演してくださることになっている)も参加してくださっており、稽古場には早くも「本物」と言う空気が漂っていた。

  『フラガール』の登場人物たちはあくまでも創作されたものであるが、『フラガール』で描かれた出来事は実話に基づいている。
  その「実話である」と言う事実と、ハワイアンズのステージで今日まで脈々と受け継がれて来た歴史の重みをしっかりと受け止めて、それに恥じない良い舞台にしたいと思う。

  シアタークリエの9月公演『青猫物語』も発表になった。2月26日付の日記で触れていた「今秋の仕事」はこれであった。

  諸々頑張ります。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月6日(木)

  1幕の11場と12場を作る。

  11場はマンダレイの海岸にひっそりと建つボートハウスのそば。
  そこでは「奇妙な服を着た、ぼさぼさ頭で目の血走った」(台本のト書きから引用)男が貝殻を並べていた。「わたし」が近寄って行くと、その男・ベンは(以下自主規制)。
  続く12場は、マンダレイの管理人フランク・クローリーのオフィスである。
  フランクがマキシムの執事・フリス(松澤重雄さん)と仕事中のところに「わたし」が現れる。ここは本来、マンダレイの女主人が顔を出すような場所ではない。当惑するフランクやフリスに向かって「わたし」は(以下自主規制)。

  その後、1幕10場のステージング。
  10場はコーンウォールのゴルフ場「ケリス・カントリー・クラブ」が舞台である。そこにジャイルズ、ジュリアン大佐をはじめ英国の上流階級の人々が集まっている。優雅にゴルフを楽しみながら、しかし彼らの話題は新しいミセス・ド・ウィンター(つまり「わたし」)のことばかりである。

  これで全体の半分近くまでは来た・・・かな?

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月5日(水)

  まず1幕5場の、ベアトリス、ジャイルズ、「わたし」のナンバー「親愛なる親戚!」をステージング。続いて新場面、1幕8場と9場を作る。

  8場はマキシムの姉・ベアトリスの所へ「わたし」から(以下自主規制)。
  そして9場ではレベッカの従兄弟・ジャック・ファヴェルが遂に登場する。レベッカのベッドルームだった部屋から聞こえてくる話し声に気付いた「わたし」は(以下自主規制)。

  それにしても『レベッカ』は怖い。

  少なくとも私は怖い。稽古を見ていると余りの恐さに心臓の鼓動が速くなる。それくらい怖い。ストーリーを知っているのに、自分でその場面を作っているのに、怖い。
  その怖さの正体は何なのであろうか。
  私が思うに、その正体は「想像力」ではないだろうか。「感受性」と言い換えてもいいかもしれない。
  登場人物の置かれている状況に思いを巡らす。その人物に感情移入する。つまり、「わたし」の恐怖体験を観客が追体験する、と言うことが『レベッカ』の恐さの正体なのだと思う。

  『ウーマン・イン・ブラック』と言うイギリス産のミステリーがあったが、あれも怖かった。
  あの芝居の中では、登場人物の1人が観客にしきりに「ご想像ください」と語りかけるのだが、映画やテレビやデジタル・コンテンツなどと演劇の決定的な違いがそこにはあると思う。
  観客自身の「想像する力」を利用すること。それこそが演劇の最も有効な武器なのではないだろうか。
 
  『レベッカ』では観客ひとりひとりの想像する力を利用したい、と念じている。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月4日(火)

  今日から当分の間、連日新しい場面の稽古が続くことになっている。稽古スケジュールを眺めただけで失神しそうになる。

  今日は1幕5場、6場、7場の3場面。
  5場は、マンダレイに到着して日も浅いある日、「わたし」がかつてのレベッカの部屋をミセス・ダンヴァースに案内してもらう場面である。「わたし」はその部屋に飾ってあった陶器の(以下自主規制)。
  6場は「わたし」とマキシムの幸せな日々を描く場面である。が、そこに(以下自主規制)。
  7場は6場に続く場面。「わたし」とマキシムが、それぞれの部屋でそれぞれの思いを(以下自主規制)。

  5場ではマキシムの姉・ベアトリスと、その夫・ジャイルズが登場する。この2人は典型的な英国の上流階級の住人なのだが(以下自主規制)。

  『レベッカ』の稽古をしていると、誰を見ても怪しい人に見えて来てしまう。

| | コメント (1)

『レベッカ』通信

3月3日(月)

  広い稽古場に移った。稽古用のセットも建てられ、劇場入りまでのひと月をここで過ごすことになる。

  で、まずは今までに手を付けたシーン、1幕1場から4場までを実寸でおさらい。更にその後、手を付けていなかった4場のステージング。
  『レベッカ』の舞台美術は、舞台面と、それを取り囲む一段高い所にある回廊とで構成されている。限られたスペースを効率よく使用するためである。
  その回廊部分が稽古場に建てられたのであるが、面積的にはシアタークリエの実寸が取れているとは言え、高さまではそうはいかない。なのでこの回廊部分に立つと稽古場の天井に頭がつかえてしまうのである。

  回廊に上がる出演者はくれぐれもご用心。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

3月1日(土)

  3月に入った。ひと月後には劇場入りである。

  で、今日は歌入りで全幕読み合わせ(そもそも『レベッカ』で歌を省略したら読み合わせが15分で終わってしまう)。
  まず1幕を通し、小休憩の後、2幕を通した。さすがにクンツェさん&リーヴァイさんの作品だけあって、音楽もドラマも濃密である。音楽的には極めて順調な満足の行く仕上がり具合であったが、それは同時に、この濃密な音楽と拮抗する舞台を作り上げることの困難さをまざまざと感じさせてくれもした。

  明日は稽古OFF。明後日より舞台面が実寸で取れる大きな稽古場に移動、本格的な稽古に入る。

| | コメント (0)

『レベッカ』通信

2月29日(金)

  『レベッカ』は昨日、今日と歌稽古。

  ここ数日、1幕前半の立ち稽古をして来たが、ここでもう1度歌稽古。明日の「全幕歌入り読み合わせ」に向けてのことである。
  稽古と並行して、昨日は衣裳デザインが上がって来たので、衣裳デザイナーの小峰リリーさん、ヘアメイク・デザイナーの川端恵理子さん、そして東宝舞台衣裳部と小道具部の担当者とデザイン画の確認を。今日は舞台美術デザイナーの伊藤保恵さん、舞台監督の鈴木政憲さんを中心に大道具の発注を。

  夜は東宝ミュージカルアカデミー・アドバンス・コースの受講生たちによる試演会(稽古場レポートのvol.26を参照のこと)『ミス・サイゴン』を観る。ひとりひとりの表現力の成長は著しい。彼ら、彼女たちの中には『ミス・サイゴン』の本公演に出演の決まっている者もいるのだが、大いに自信を持って自分の信じる道を進んで行って欲しいと願う。

| | コメント (0)

« 2008年2月 | トップページ | 2008年4月 »