『ウェディング・シンガー』通信
12月28日(金)
昨日の日記に書いた出演者の皆さんの愛称は、一昨日の団結式で各自が申告したオフィシャル愛称である。それはともかく・・・。
本格的な稽古が始まる。
はじめに、『ウェディング・シンガー』の舞台として設定されている1985年とはどんな年だったのか、をみんなで語り合う。
と言っても「小学生でした」とか「2歳でした」と言う出演者が大半で、そういう人たちは自分自身のことは記憶していても、時代の雰囲気までは覚えていない。で、発言するのは自然と当時物心ついていた人たちに絞られる。
私自身の記憶としては、あの頃はとてものどかな、大らかな時代であった様に思う。それは、就職を考えた時に、「芝居をやって行くなら、まあ何とかやって行けそうだ」と言う風に同級生の大半が感じていたことに由来する感想なのだが。
と同時に、恐らくバブル経済が始まろうとしていた筈で、だとすると、「お金の価値観」が良く分からなくなり始めた頃でもあったに違いない。どうでもいい様なことに大金を費やす、みたいなそんな風潮のことである。
1985年と現在が似ていると感じるのはその部分である。外資系高級ホテルの建設ブームであるとか、高級ブランド店の旗艦店舗の開業ラッシュであるとか、投資や財テクばやりであるとか・・・の部分である。
1985年と現在とで異なるのは、現在は「勝ち組」と「負け組」が明確だ、と言うことであろうか。その分、現在の方が世知辛いし、嫌な時代に感じるのだが。
『ウェディング・シンガー』は、「勝つか負けるか」「得か損か」の現代社会の中で、人間にはもっと大切にしなければならないことがある筈だ、と教えてくれるミュージカルである。
そのことをカンパニー全員で確認した後、シーンの稽古に入る。
オープニング・シーンを後回しにして、今日あたったのは1幕のシーン2、3、4。
登場人物それぞれの年齢設定や家族構成など、台本に書かれていない個人情報を一同で確認した後、シーンごとに読み合わせ。更に、舞台監督の廣田さんからミニチュアを使って舞台セットの説明を受けて、立ち稽古。
と言っても、今日のところは出入りや位置関係など、先々のために手がかりを掴んでおく実験、といったニュアンスのメニューであった。
1985年、私は東宝に入って2年目であった。あなたは何をしてましたか?
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