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2007年12月の記事

仕事納め 『ウェディング・シンガー』通信

12月29日(土)

  オープニングのナンバー「君の結婚式」をステージング。

  『ウェディング・シンガー』の振付は上島雪夫さんである。
  説明するまでもないだろうが、あの大ヒットミュージカル『テニスの王子様』や『ピピン』などの演出家兼振付家である。私との仕事には『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『ジキル&ハイド』『風と共に去りぬ』『サウンド・オブ・ミュージック』『南太平洋』『シェルブールの雨傘』・・・等々がある。
  「君の結婚式」は、ロビー・ハート(井上芳雄さん)率いるウェディング・バンド「ハッピー・ニュージャージー」の歌と演奏で大いに盛り上がる、ある結婚披露宴のシーンである。時間にして4分程度のナンバーなのだが、これを今日1日、7時間かけてステージング。
  振りはひと通り、頭から終わりまで付いたが、それは付いたと言うだけでまだ完成には程遠い。ミュージカルの稽古には時間もエネルギーも必要なのである。

  とは言え、とりあえずでもオープニングに手をつけて、ちょっぴりホッとして今年最後の稽古を終えることができた。なのでこのブログも今年は今日でお終いである。ご愛読ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。

  良いお年を!

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『ウェディング・シンガー』通信

12月28日(金)

  昨日の日記に書いた出演者の皆さんの愛称は、一昨日の団結式で各自が申告したオフィシャル愛称である。それはともかく・・・。

  本格的な稽古が始まる。

  はじめに、『ウェディング・シンガー』の舞台として設定されている1985年とはどんな年だったのか、をみんなで語り合う。
  と言っても「小学生でした」とか「2歳でした」と言う出演者が大半で、そういう人たちは自分自身のことは記憶していても、時代の雰囲気までは覚えていない。で、発言するのは自然と当時物心ついていた人たちに絞られる。
  私自身の記憶としては、あの頃はとてものどかな、大らかな時代であった様に思う。それは、就職を考えた時に、「芝居をやって行くなら、まあ何とかやって行けそうだ」と言う風に同級生の大半が感じていたことに由来する感想なのだが。
  と同時に、恐らくバブル経済が始まろうとしていた筈で、だとすると、「お金の価値観」が良く分からなくなり始めた頃でもあったに違いない。どうでもいい様なことに大金を費やす、みたいなそんな風潮のことである。

  1985年と現在が似ていると感じるのはその部分である。外資系高級ホテルの建設ブームであるとか、高級ブランド店の旗艦店舗の開業ラッシュであるとか、投資や財テクばやりであるとか・・・の部分である。
  1985年と現在とで異なるのは、現在は「勝ち組」と「負け組」が明確だ、と言うことであろうか。その分、現在の方が世知辛いし、嫌な時代に感じるのだが。

  『ウェディング・シンガー』は、「勝つか負けるか」「得か損か」の現代社会の中で、人間にはもっと大切にしなければならないことがある筈だ、と教えてくれるミュージカルである。
  そのことをカンパニー全員で確認した後、シーンの稽古に入る。

  オープニング・シーンを後回しにして、今日あたったのは1幕のシーン2、3、4。
  登場人物それぞれの年齢設定や家族構成など、台本に書かれていない個人情報を一同で確認した後、シーンごとに読み合わせ。更に、舞台監督の廣田さんからミニチュアを使って舞台セットの説明を受けて、立ち稽古。
  と言っても、今日のところは出入りや位置関係など、先々のために手がかりを掴んでおく実験、といったニュアンスのメニューであった。

  1985年、私は東宝に入って2年目であった。あなたは何をしてましたか?

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『ウェディング・シンガー』通信

12月27日(木)

  歌稽古デー。

  ヨシオ、うーちゃん、賢兄、樹里ぴょん、トモ、ミッキー、そしてアンサンブルの皆さんで、1日かけて9曲のナンバーをさらう。

  映画版の『ウェディング・シンガー』はミュージカルではないが、演奏場面など音楽シーンがふんだんに登場する。その映画版から、ロビーの歌う歌2曲が舞台版『ウェディング・シンガー』にも使用されている。
  1曲は自暴自棄になったロビーが歌う「だれか殺して」で、もう1曲はロビーのプロポーズ・ソング「いっしょにトシ取ろうよ」である。ちなみに、どちらも映画でロビーを演じたアダム・サンドラーと脚本のティム・ハーリヒが作った歌である。

  どっちも今日の稽古メニューにはなかったけど。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月26日(水)

  本日より広い稽古場に移動。井上芳雄さんはじめ、昨日千秋楽を迎えた『モーツァルト!』組も戻って来て、気持ちも新たに「団結式」。・・・と言うか、顔寄せ?。

  まずは岡本プロデューサーの進行により出演者、クリエイティブ・チーム、スタッフの紹介。岡本Pより「稽古場では何て呼ばれたいか?」をそれぞれ申告する様に指示され、一同「こう呼んで欲しい」呼び方を皆の前で告白。ちなみに私は「山田君」と呼んで欲しい、と常々思っているのだが、それはともかく・・・。
  関係者の紹介に続いて東宝の増田専務がご挨拶。「東宝のレパートリーにはシリアスなものや悲劇的な作品が多いが、数少ない明るい作品『ウェディング・シンガー』を頑張って盛り上げて行きましょう」と言った様なことを話された。
  更にその後、私が演出家としての「施政方針演説」(岡本P談)。「観た人が結婚したくなるような作品にしたい」みたいなことを喋る。
  その後全体での歌稽古、更にアンサンブルさん達のダンスのチェック、等々で今日の稽古は終了した。

  やはりこういう「楽しい作品」は大勢で稽古するに限る。「楽しさ」が掛け算になって倍増するのである。

  稽古後、東宝ミュージカルアカデミーの教務会へ。講師陣による今期の総括や来期の確認など。

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『ウェディング・シンガー』はお休み

12月25日(火)

  昼間は『フラガール』の打ち合わせ。

  主人公「平山まどか」のモデルになったカレイナニ早川さんに、ハワイアン音楽のことやコスチュームのことなどを教えて頂く。
  早川さんはお話がとても上手な方である。ハワイアンセンターオープン当時のエピソードなども実に生き生きと、目に浮かぶ様に話されるので、聞いている私たちも思わず引き込まれてしまう。
  それに、早川さんのお話には懐かしい映画やショー・ビジネスの話がポンポン飛び出して来るので、そういうものに憧れて来た私としては、つい仕事そっちのけで聞き入ってしまうのである。

  夕方より『レベッカ』の舞台美術打ち合わせ。

  美術デザイナー=伊藤保恵さん、演出助手=末永陽一さんとこれまでに話し合ってきたアイデアを、照明デザイナー=成瀬一裕さん、舞台監督=鈴木政憲さん、そして大道具製作会社の方たちにプレゼンテーション。
  今日の打ち合わせを基に、照明デザインの方向性やそのために必要な機材の調達、特殊効果の方法論やコスト、大道具の構造や見積もり・・・等々、より具体的な作業に入って行くことになる。

  この様に、多くの方たちの知恵や努力を結集して、舞台は作り上げられて行くのである。

 

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『ウェディング・シンガー』通信

12月24日(月)

  歌稽古。新納慎也さん、徳垣友子さんとアンサンブルの皆さん。
  稽古開始より10日が経過した。少しずつではあるが稽古は着実に進行している。

  世間はクリスマス・イブなのだが、こんな日も情け容赦なく稽古である。ショー・ビジネスとは、つまりはそういう仕事なのである。
  稽古後は、イルミネーション輝く丸の内仲通りの人波を尻目に東宝演劇部へ。『ウェディング・シンガー』の舞台美術の発注である。
  東宝演劇部は日比谷シャンテのあるビルの11階にある。今日は祝日、しかもイブの夜である。演劇部内には我々以外の人影はなく静まり返っていた。と、突然、まるで地の底から湧き上がって来たかのような歓声が、締め切られたオフィスの窓ガラス越しに伝わって来た。
  何事か、と窓に駆け寄り見下ろすと、我々のいる建物と東京宝塚劇場の間の道路一面が、青と白の光で埋まっていた。
  後で知ったことだが、春野寿美礼さんのサヨナラ・バレードだったのだ。

  春野さん、ご卒業おめでとうございます。

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『ウェディング・シンガー』短信

12月23日(日)

  今日の歌稽古は鈴木綜馬さんと樹里咲穂さん。

  私は所用のため欠席。すみません。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月22日(土)

  『ウェディング・シンガー』の稽古の前に、舞台版『フラガール』の打ち合わせでTBSへ。
  以前来た時には鉄骨の骨組みだった赤坂ACTシアターの外観が姿を現していた。工事のフェンスの外から見る限り、華やかで、気持ちのよさそうな劇場である。坂を上って劇場へ向かう動線も、きっと人々をわくわくさせることだろう。
  シアタークリエに続く新しい劇場のオープンが待ち遠しい。

  さて、『ウェディング・シンガー』の方は、歌稽古に鈴木綜馬さんが登場。

  綜馬さんが演じるのはロビーのバンド仲間・サミーで、担当はベース。ハードロック・バンドのヴァン・ヘイレンに憧れているらしい。
  サミーは元カノのホリー(樹里咲穂さん)のことが忘れられず、今でも付きまとってはホリーに嫌な顔をされている。生活態度は誉められないが、友情にはめっぽう厚い、いい奴なのである。
  綜馬さんはこれまで、育ちの良いノーブルな役柄を演じることが多かったように思うが、サミーはノーブルとは程遠いキャラクターである。チラシの綜馬さんからも雰囲気はお分かりいただけると思うが、今まで見た事のない様な愉快な綜馬さんをご覧いただける筈である。

  サミーのナンバーの中に「ひとり/Single」と言う楽曲があるのだが、これは『ウェディング・シンガー』の中のマイ・フェイバリット・ソングである。
  「彼女なんか要らない、死ぬまでひとりがいい」と言った内容で、失意のロビーを勇気づける前向きなナンバーなのだが、この「ひとり」を綜馬さんの明るくジェントルな声で聞くと、楽曲の魅力が更にアップする。

  『ウェディング・シンガー』は、一緒に見に行く人がいない方でも溜飲が下がるミュージカルなのである。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月21日(金)

  大澄賢也さん、新納慎也さんの歌稽古。その後、新納さんと初風諄さんのラップ稽古。

  初風さんがラップを歌うことは18日の日記に書いたが、このラップのナンバーは新納さんとのデュエットである。そして今日は、12月2日の日記で触れたラップのプロ、Lotus Juiceさんにお越しいただいて、ラップの作法やコツをお2人に伝授していただいたのである。
  ラッパーと言うと、皆さんはどんな人物を想像するであろうか。我々のラップを指導してくださるLotus Juiceさんは、ラップやラッパーに対する我々の浅はかな先入観を物の見事に粉砕してくださった好青年である。どのくらい好青年なのかは飯島早苗さんのこのブログをご参照いただきたい。

  で、今日の稽古であるが、とにかく楽しいひと時であった。

  Lotus Juiceさんによれば、ラップはお客さんと一緒に盛り上がっていくものである。このラップの場面は2幕の後半に登場するのだが、この場面では客席の皆さんも遠慮なく盛り上がっていただきたい。2月の日生劇場をニューヨークのクラブに負けないホットな空間にして行きましょう。

  それにしても初風さんの柔軟さには敬服する。初風さんはどうやらプレイステーションの「パラッパラッパー」で密かにトレーニングを積んでいたらしい。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月20日(木)

  今日は井上芳雄さんと上原多香子さんの歌稽古。

  井上さんが演じるロビーはウェディング・シンガーである。
  ウェディング・シンガーとは、披露宴を歌や演奏で盛り上げ、同時にMC(司会進行)も行う職業である。ウェディング・シンガーを主人公にした映画やミュージカルが作られるくらいだから、アメリカではポピュラーな存在らしい。
  ロビーはウェディング・シンガーとして働きながら、自身の結婚を目前に控えている。
  ある日ロビーは職場で、恋人との結婚を夢見るウェイトレス=ジュリアと知り合う。ジュリアの恋人はウォール街のやり手証券マン=グレン(大澄賢也さん)で、グレンがなかなか結婚を申し込んでくれないことがジュリアの悩みの種になっている。
  一方ロビーのフィアンセはリンダ・・・

  !

  大変なことを書き忘れていた!

  昨日の歌稽古に、リンダ役の徳垣友子さんが登場していたのだった!

  徳垣さんごめんなさい!

  徳垣さんの演じるリンダは、マドンナに憧れるちょっと激しい女の子と言う設定である。そしてリンダの気まぐれが、この物語を思いもかけぬ方向へと導いて行くことになるのだが・・・。

  以前も書いたが、『ウェディング・シンガー』の楽曲は、聞いているだけで思わず体がリズムを刻んでしまう様な、乗りの良い1980年代風ロックやポップスである。
  稽古場で聞いている我々も、気が付くと自然に体が動いているくらいの楽しい楽曲なのだが、これが歌い手にとってはリズムが複雑だったり変則的だったりで、難易度が結構高い。

  音楽が体に沁み込んで行くまでは、一同しばらくは苦労しそうである。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月19日(水)

  歌稽古。本日は樹里咲穂さんとアンサンブルの皆さん。

  樹里さんはジュリアのいとこ・ホリーを演じる。
  ジュリアが1人の相手を思い続ける古風な恋愛観の持ち主だとすれば、ホリーのそれはより現代的で、男性経験もそれなりに豊富らしい。ジュリアと一緒に宴会場でウェイトレスをしているが、週末になるとハドソン川を渡ってマンハッタンのディスコに踊りに行く。元彼のサミー(鈴木綜馬さん)に付きまとわれて迷惑しているが、ロビーのことも気にかかり・・・。

  樹里さんにとって『ウェディング・シンガー』は、『スウィート・チャリティ』『モダン・ミリー』に続くブロードウェイ・ミュージカルである。劇中では様々な見せ場があるが、1幕ラストの「サタデー・ナイト・イン・ザ・シティ」では「激しい」樹里さんをご覧いただける筈である。

  そして『ウェディング・シンガー』は、アンサンブルさんたち大活躍のミュージカルでもある。次々と色々な「濃い」キャラクターで登場し、そして歌い、踊る。『ウェディング・シンガー』の騒々しいほどの楽しさはアンサンブルの皆さんにかかっている、と言っても過言ではない。

  ・・・ネタバレにならないように書くのって難しい。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月18日(火)

  午前中は東宝ミュージカルアカデミーの授業。

  私の授業は今年度は今日で終わりである。今年は、ではなく今年度は、なので、つまり2期生たちとは今日でお別れである。
  正直に告白すれば、2期生たちは大丈夫なのか・・・、と夏休み明け辺りまでは感じていた。でも今は違う。今日の2期生たちはひとりひとりがとても大人に見えた。月並みな言い方だが、本当に「いい顔」をしていた。教えることの喜びはこういう瞬間にあるのだ、とつくづく感じた。
  授業を全て終えて私が稽古場を出ようと立ち上がった瞬間に、あるミュージカル・ナンバーがいきなり始まった。もちろん2期生たちが仕組んだサプライズであったのだが、正直に告白すれば・・・、ちょっとグッとた。

  さて、『ウェディング・シンガー』であるが、今日の歌稽古は初風諄さんと上原多香子さん。

  初風さんの役はロビーのおばあちゃんロージーである。このロージーは、今まで初風さんが様々な舞台で演じていらしたどの役とも異なっている。が、(こんなことを書くとお叱りを受けるかもしれないが)私は初風さんにぴったりの役だ、と思っている。
  一体どんな役なのかは舞台でご覧頂きたいのだが、一つ種を明かすと、ロージーのミュージカル・ナンバーの中にはラップがある。初風さんのラップ、見逃せないでしょ?

  歌稽古と並行して、今日は『レベッカ』の舞台美術打ち合わせであった。これは12月2日の日記に記した、あの打ち合わせの続きである。
  今週末の前売りに合わせて、ヴァージョン・アップしたチラシもお目見えする筈なので、そちらもお楽しみに。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月17日(月)

  稽古、打ち合わせは無し。ひとりで演出プランを練る。

  『ウェディング・シンガー』の上演台本と訳詞を担当してくださった飯島早苗さんは、ご承知の通り劇団「自転車キンクリート」の劇作家である。『法王庁の避妊法』や『ソープオペラ』や『絢爛とか爛漫とか』などを執筆された、あの飯島早苗さんである。
  今回、わざわざ飯島さんを引っ張り出したのは、『ウェディング・シンガー』が『レ・ミゼラブル』や『エリザベート』などの様に全編が音楽で進行するタイプの作品ではなく、『ミー&マイガール』の様に芝居部分もあるオーソドックスなスタイルのミュージカル・コメディだからである。
  つまり、日本語で書かれた現代劇の様に生き生きとしていて愉快な台詞が『ウェディング・シンガー』にも欲しい、と考えたのである。

  その飯島さんが、ご自身のブログ『ウェディング・シンガー』の稽古風景のことに触れている。
  私は、この「Show Goes On!!」では物事をなるべく客観的に書くように心掛けているのだが、飯島さんのブログ「顔を洗って出直します」は、その対極にあるような書き方で記述されている。

  ぜひ読み比べてみてください。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月16日(日)

  本日も歌稽古。

  今日の登場はちあきしんさんと新納慎也さん。
  ちあきさんの役はジュリアの母親アンジー。出番は少ないのだが、実はちあきさんは今回歌唱指導助手を兼任しているのである。よろしくね。
  新納さんの役はロビーのバンド仲間ジョージ。ジョージは1980年代に一世を風靡したバンド、カルチャー・クラブのヴォーカリスト、ボーイ・ジョージに憧れている、と言う設定のちょっと不思議な奴である。そう思ってチラシの新納さんを見ると、なるほどボーイ・ジョージに・・・見えない?

  『ウェディング・シンガー』のミュージカル・ナンバーは、1980年代のサウンドを再現した明るくて乗りの良い楽曲ばかりである。どうしても予備知識なしで舞台を見たい、と言う方は別にして、ブロードウェイ版のCDで音楽に慣れ親しんでおくのも観劇がより楽しくなる方法かもしれない。

  歌稽古と並行して、我々は舞台美術の打ち合わせ。既に大枠の打ち合わせは終えているので、今日は細部や作りのことを中心に。それでも5時間ほど費やした。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月15日(土)

  井上芳雄さんがこのブログの読者であることが判明した。なので、今後井上さんのことを書く時は、今まで以上に気を引き締めて、慎重の上にも慎重を期して書くことにしよう・・・と思う。

  それはともかく・・・

  歌稽古始まる。

  栄えある稽古1番手は大澄賢也さん。大澄さんが演じるのは上原多香子さん演じるジュリアの婚約者グレンで、グレンはウォール街のやり手証券マンである。
  『ウェディング・シンガー』の時代設定は1985年で、アメリカも日本もバブル景気に浮かれていた頃である。グレンは「金が全て」と信じているバブリーなキャラクターで、当時の様子を少しでも知っている方は、「こんな奴いたよなあ」と苦笑されるであろう。

  グレンには2幕の幕開きに「金のすべて」と言う大ナンバーがあり、ここでの大澄さんは、大勢のビジネスマンやキャリアウーマンを従えて歌い踊ることになっている。今日の歌稽古でもこのナンバーの大澄さんはかなりカッコよかった。

  続いて上原多香子さんが歌稽古に登場。上原さんが演じるジュリアは、ニュージャージー州リッジフィールドの宴会場に勤めるウェイトレスである。
  ご承知の通り、ニュージャージーはマンハッタンとはハドソン川を隔てた燐州である。リッジフィールドは緑の豊かな住宅地で、バブルに狂奔するマンハッタンとは一線を画する場所として『ウェディング・シンガー』には登場する。
  逆に言うと、ジュリアやロビーの暮らすリッジフィールドは、時代や流行とは無縁の庶民的な、やや行けていない土地と言うことになる。

  片やバブリーなグレンと、行けていない代表であるフィアンセ=ジュリア。果たしてこの恋の行方は?  と言うのが『ウェディング・シンガー』のメイン・ストーリーとなるのだが、結末はどうか日生劇場で見届けていただきたい(それまで待ちきれないと言う方は映画版『ウェディング・シンガー』をどうぞ)。

  歌稽古の終了後、歌唱指導の北川潤さんと稽古ピアニストの宇賀神典子さんが「上原さんのファンになっちゃった!」と言っていた。今日の上原さんはそれぐらいチャーミングであった。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月14日(金)

  衣裳の打ち合わせ。

  『ウェディング・シンガー』の衣裳デザイナーは宇野善子さんである。
  宇野さんとはいつも楽しい作品でご一緒している。『六十の手習い』『春朧』『きららの指輪たち』『パパに乾杯』『ウディ・アレンの「世界中がアイ・ラヴ・ユー」』『ラ・テラス』『蜘蛛の巣』『検察側の証人』『I Love You 愛の果ては?』そして『チャーリー・ガール』・・・などなどである。

  『ウェディング・シンガー』は、主人公たちが豪華な衣装を次々に着替えて・・・、と言うタイプの作品ではない。井上芳雄さん演じるロビーも上原多香子さん演じるジュリアも、ニュージャージーのしがない一庶民だからである。
  逆に言うと、今までの井上さんや上原さんとは違う姿をご覧いただける筈である。それは鈴木綜馬さんや樹里咲穂さんや初風諄さんも同様で、その辺りをまずは楽しみにしていただきたい。

  公式ブログの方では先日のシネマプレビュー&トークショーの集合写真が掲載されているが、なんだかみんな楽しそうだなあ。

  ・・・参加したかったなあ。

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『ウェディング・シンガー』通信

12月13日(木)

  昨日まで『エキストラ』通信だったのに、もう『ウェディング・シンガー』通信である。どうぞよろしく。

  さて、午前中は日大芸術学部演劇学科での年内最後の授業。「生徒作の戯曲を私が演出する」の最終回であった。緊張した。

  午後は東宝演劇部へ。『ウェディング・シンガー』の振り付け等、諸々打ち合わせ。だが、昨日までの『エキストラ』モードが抜けず、なかなか『ウェディング・シンガー』モードに切り替わらない。

  どうしよう?

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初日! 『エキストラ』通信

12月12日(水)

  ゲネプロの前に公演の安全祈願修祓式(初日のお祓いですね)。スタンダードなタイプに比べて所要時間がやや長く(一同にお神酒まで配られた)、13時開始予定のゲネプロが30分押すことに。

  コメディのゲネプロほど中途半端なものはない。ここで観客は笑う筈、などと脳内では想定しているのだが、現実の客席は静まり返ったままであり、本来ならヒートアップする筈の場面もいまいち生彩を欠く。
  と言って悪い出来ではなかったのだから、その通りを出演者には伝え、19時開演の本番を待つことに。

  ここまで来ると、演出家は最早無用の長物である。せめて開演準備の邪魔だけはすまい、と思って散歩に出た。
  開演時刻が迫るとポツポツと降り始めた。が、今日の公演は完売しているので、まあ慌てることはない。
  定刻を6分ほど回って『エキストラ』は開演した。

  良い初日であった。舞台の出来も良かったし、何よりも温かい良いお客様であった。

  劇団東京ヴォードヴィルショー第62回公演、三谷幸喜/作・演出『エキストラ』は開幕した。来年4月28日の千秋楽まで、北は北海道から南は九州まで、全国57か所で101回に及ぶ公演が行われる。今日既に1回終えているので、残りは100ステージであるが。
  「劇団東京ヴードヴィルショー」「エキストラ」のラッピングをテールゲートに施した11トントラックが全国を回る。どこかでこのトラックを見かけた方は、どうか手を振って応援していただきたい。

  これで私の『エキストラ』通信は終わりである。が、『エキストラ』の旅は始まったばかりである。旅の様子は、「エキストラ旅公演日記」「大森ヒロシの日々是笑進」または「山口良一的ココロ」などでご覧頂きたい。
  それにしても長旅である。どのくらい長いかと言うと、『エキストラ』の千秋楽までに私がミュージカル3本の初日を開ける位である。

  スタッフ&キャスト一同の無事を心より祈りたい。

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『エキストラ』通信

12月11日(火)

  舞台稽古。

  自宅より今日の会場である南大沢文化会館まで距離にしておよそ36km、用心して早めに家を出たら目標の1時間前に到着してしまった。
  そのお陰で、初めて訪れた南大沢界隈を探索することができたのだが、アウトレット・モールや東宝シネマズやイトーヨーカドーなどなど、すべてが開店前であった。

  それはともかく、今日1日かけて場当たり稽古であった。初めて実寸で、衣裳やヘアメイクも施して、一部ダブルキャストの方も参加して、幕開きよりラストシーンまで、とりあえずの段取りを確認した。
  通し舞台稽古(ゲネプロ)は明日、本番前の午後イチに行う手筈になっている。

  『エキストラ』初日まで、泣いても笑ってもあと1日。

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『エキストラ』短信

12月10日(月)

  八王子市南大沢文化会館にて仕込み。

  私の出番は無し。

  『エキストラ』初日まであと2日。

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『エキストラ』通信

12月9日(日)

  稽古場最終日。

  南大沢で初日を迎えるキャストで最後の通し稽古。
  思い切って昨日の上演タイムを6分縮める目標を立ててみた。結果は2分の短縮にとどまったが、テンポを上げることや間を詰めることによる良い効果が、特にシーン1~3までの前半に出た。
  『エキストラ』は群像劇なので、登場人物の誰か1人に感情移入して、その人物を追いかけていればドラマが自然に見えて来る、と言う風には書かれていない。
  したがって演じ手も、自分のストーリーを貫通させることに専念しているだけでは『エキストラ』と言う集団のストーリーは観客に伝わらない、と思うのである。

  ここが『エキストラ』の面白いところであり、同時に実に難しいところである。

  そして、その面白さに近づき難しさを克服するための方法のひとつが、全体のスピードを上げることなのである。

  幸い、良い感触を得て稽古場での全行程を終えることができた。後は劇場で、舞台美術や照明の中で、最後の調整を残すのみである。

  『エキストラ』初日まであと3日。

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『エキストラ』通信

12月8日(土)

  長い一日であった。

  午前中は2009年に上演される新作ミュージカルの打ち合わせ。
  とても素敵な舞台になりそうなのだが、まだ不確定な要素が多く、仕事としては難易度が高い。で、今日のところは仕事の進め方とクリエイティブ・チームの人選についてをプロデューサーと意見交換。

  午後は『エキストラ』の稽古場へ。

  まずは南大沢で初日を迎えるキャストで通し稽古。1分は縮まったが、あと4分は短くなりたい。
  駄目出し、小休止の後、はしのえみさんのシークェンスを抜き稽古。更にその後、昨日のキャストで通し稽古。
  冬なので稽古場は窓を閉め切っている。そこに通し稽古を見学に来たスタッフも加わって、いつもより人口密度は高い。通しの途中から稽古場は酸欠状態であった。
  そのせいであろうか(そうでありたい)、通しの途中からセリフの言い間違いや度忘れが次々と、まるで連鎖反応のように起こった。

  それはそれは愉快な通し稽古であった。

  『エキストラ』初日まであと4日。明日は稽古場最終日。

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『エキストラ』通信

12月7日(金)

  昨日こぼれたラストシーン近くを整理した後、通し稽古。

  今日の通しは、12日の南大沢での初日に登場しないキャストでであった。短期間の、やや変則的な稽古であったにもかかわらず、良い仕上がりであったと思う。ただし、あと5分は縮めたい。
  稽古後、照明の宮野さんと打ち合わせ。基本的には初演のデザインを踏襲してもらうのだが、台本の改定に伴う変更点や旅公演の制約など、確認しておかなければならないことがあるので。

  『エキストラ』初日まであと5日。

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『エキストラ』通信

12月6日(木)

  午前中は所沢で授業。午後は『エキストラ』の稽古場へ。

  稽古は後半をじっくりと。
  ラストシーン近くの未整理な部分を片方のキャストで調整していたら時間切れになり、もう片方のキャストで当たることができなかった。
  なので続きはまた明日。

  『エキストラ』初日まであと6日。

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『エキストラ』通信

12月5日(水)

  前半をじっくり稽古。

  『エキストラ』はダブルキャストになっているので、不公平にならない様に、それぞれの配役で各シーンを2回づつ当たった。
  当然シングルキャストの方も大勢いらっしゃるので、その方々は都合4回稽古している。

  これって不公平?

  『エキストラ』初日まであと7日。

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『エキストラ』通信

12月4日(火)

  衣裳合わせ。

  『エキストラ』は登場人数が多いうえ、ストーリーの設定上、大半の人物が始終着替えをしている。つまり衣裳の点数が多いのである。
  東京衣裳の菊田光次郎さん指揮の下、全員が全ての衣裳を着用して、デザインのバランスやサイズ、着替えの手順などをチェック。
  出演者のコスプレも『エキストラ』の楽しみのひとつであろう。

  その後、劇中のBGM(Background Music=台詞の背後で流れる音楽)と台詞のタイミングを合わせる稽古。

  大抵の芝居では、BGMはF.O.(Fade Out=だんだん音量が小さくなって消える)されて終わるのだが、『エキストラ』ではBGMをF.O.させずに、音楽の終わりと台詞をぴったりと合わせることが指定されている。
  つまり俳優は、1ページとか2ページ続く台詞を、毎回決まったスピードで、音楽の寸法に合わせて喋らなければならないのである。
  音楽の途中にある間やフレーズ変わりと台詞を合わせる様に指定されているBGMもあり、それぞれの場面で台詞と音楽がぴったりと合うまで、ひたすらそのことを繰り返した。
  初演でそのことをみっちりやっている出演者が多い為もあろうが、私が想像していた以上に手早くその稽古は終了した。特に佐渡稔さんの耳の良さが群を抜いていてお見事であった。

  今日は衣裳合わせとBGM合わせだけで稽古時間を使い果たすかと思っていたのだが、どちらもスムーズに終了したので、残り時間で後半部分をランスルー。
  明日は久しぶりに幕開きに戻るつもり。

  『エキストラ』初日まであと8日。

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『エキストラ』通信

12月3日(月)

  シーン6、7、8の前半をさらい、残っていたシーン8の後半を稽古。これでラストシーンまでたどり着いた。

  当初の目論見では「ひと通り手順を付けるのに1週間、残りの時間でじっくり稽古」と言うつもりだったのだが、実際はラストシーンにたどり着くのに倍の時間を費やしてしまった。
  でも時間をかけただけのことはあり、どのシーンもそれなりのクォリティに仕上がっていると思う。後は各シーンの繋がり、繋がった時のメリハリなど、芝居の流れを作ることに重点を置いて行けばよいだろう。

  『エキストラ』初日まであと9日。

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『レベッカ』そして『ウェディング・シンガー』

12月2日(日)

  朝から『レベッカ』の舞台美術打ち合わせ。
  オーケストラの位置がようやく決着した。違うアイデアもあったのだが、リーヴァイさんも賛成してくださってるし・・・、まあ、これしかないか。
  更に今日は、各シーンの飾りと転換のスタイル、そのタイミングなどを、美術の伊藤保恵さん、演出助手の末永陽一さんと、台本や音楽を追いながら細かく確認。しかし、時間切れで今日のところは1幕の確認まで。2幕は日を改めて、また。

  時間切れの原因は夕方から組まれていた『ウェディング・シンガー』の打ち合わせ。
  まずはミュージカル・ナンバーの中にある「ラップ」部分をどう仕上げるかについて。飯島早苗さんが書いてくれた訳詞の「ラップ」部分を本物のラップにするために、ラップのプロにお越しいただいてレクチャーを受けながら飯島さんともども手直し。さすがは本職、「ラップ風」だったものがみるみる「ラップ」になって行く!
  続いて台本の微調整を飯島さん、演出助手の鈴木ひがしさんと。これで台本・訳詞に関してはほぼ仕上がった、と思う。

  今日は会社(東宝演劇部)に11時間半いました。

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『エキストラ』通信

12月1日(土)

  師走である。と言うことは『エキストラ』の稽古場もあと1週間と言うことである。

  まずは昨日手順を付けたシーンを簡単にさらい、更にその続き、シーン8の撮影シークェンスを当たる。
  ここは大人数が同時に色々な動きをしており、そしてそのほとんどが台本には書かれていない。なので、まずは初演からの出演者の協力を得て、前回行われていた様々な動きを解読することから始めた。
  事態を複雑にしているのは、初演と今回とでは登場人数が異なっていることであり、更にはこのシークェンスの台本が改定されていることである。なので、初演の様々な動きも、解読しただけではそのままは利用できない。
  なので、解読された初演の手順を基に、そこに今回からの参加者をはめ込み、更に人数が変わっていることから仕事の配分を見直し、その上で改定されている台本に合わせて演出を調整する、と言うのが今日の稽古の眼目であった。

  こういう稽古が一番消耗するなあ。

  稽古の後半は、鹿児島公演にだけ出演するはしのえみさんの稽古。
  はしのさんは稽古場では半袖である。周囲は皆長袖で、人によっては重ね着をしているのにである。どうやらはしのさんは寒くないらしい。鹿児島育ちだからであろうか。

  違うよなあ。

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『エキストラ』通信

11月30日(金)

  稽古前に『ウェディング・シンガー』の台本のことで飯島早苗さんに会う。

  『エキストラ』の方は稽古の前半で今までのおさらい、その後、まだ手を着けていなかったシーン7、そしてシーン8の冒頭までの手順を付ける。あと一息。

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