『ジキル&ハイド』通信
3月23日(金)
1回目の通し稽古。
ミュージカルの準備で最も苦労するのは訳詞である。それは日本語がそもそも具えている特徴と音楽との相性が抜群に悪いからである。
よく「ミュージカルは突然歌いだすから不自然だ」と言う指摘があるが、ミュージカルに接した時に受ける否定しがたい違和感は「突然歌いだすから」感じるのではなく、「日本語で歌いだすと、それまでの日常的なしゃべりから、テンポもスピードもイントネーションも、余りにも乖離するから」感じるのである。極論すれば、日本語でミュージカルを作るのは不可能なのである。
『ジキル&ハイド』の訳詞作りも困難を極めた。髙平さんの訳詞の第1稿が上がると、髙平さん、音楽監督の甲斐さん、声楽指導の北川さん、鹿賀さん、私が集まり、北川さんに実際に歌って貰うのを聞きながら意見交換し、また髙平さんが持ち帰る、と言うことを繰り返した。
訳詞の改訂は初演の後も続けられ、ようやく現在の歌詞に落ち着いたのは2003年の再演時であった。(つづく)
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