道草
2月13日(火)
『グッドラック、ハリウッド』の稽古の帰り道、車の中でラジオのチューニングをいじっていたら、どこかで聞いた様な声が聞こえて来た。
2人の男の会話であった。1人は依頼人の家を見張る探偵で、もう1人はその助手と言う設定らしい。
探偵役の声の主はすぐに分かった。西村雅彦だ。と言うことは、これは毎夕東京FMでオンエアされているラジオドラマ『On the Way Comedy 道草』だ。
もう1人は誰だ? この声も聞き覚えがあるが・・・。
でもそんな筈は・・・。
ありえない。 だって・・・
彼は5年も前に死んだんだから。
ドラマが終わって出演者を紹介するナレーションが告げた。間違いなかった。助手の声は伊藤俊人だった。
伊藤俊人と私は日大芸術学部演劇学科の同級生である。私の専攻は演出で、彼は演技コースだった。 同じく同級生である三谷幸喜の劇団「東京サンシャインボーイズ」後期の主要メンバーの1人であり、劇団解散後は『王様のレストラン』や『ショムニ』などのテレビドラマで顔を売った。
私の演出した『君となら』や『南太平洋』にも出演してくれた。 フジテレビの深夜枠に放送されていた『3番テーブルの客』の私が監督した回に、西村雅彦扮するウェイターの相棒役でも出てくれた。
プライベートでは伊藤と私には共通の趣味があった。2人とも大の付く「007」マニアであり、熱狂的な「フレッド・アステア」好きであった。
結婚もして、仕事もこれからと言う矢先、2002年の5月24日、くも膜下で伊藤は帰らぬ人となった。
車のラジオから聞こえてきた『On the Way Comedy 道草』は再放送だったのだ。
タイトルにもある通り、『On the Way Comedy 道草』はコメディ・ドラマである。 今日も放送を聴きながら声を上げて笑っていた聴取者が大勢いたに違いない。
私もその1人だった。
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コメント
伊藤俊人さん。久しぶりにそのお名前を目にしました。
大好きな俳優さんでした。あれから5年経つんですね。
その再放送、聴きたかったです。
投稿: れい | 2007年2月15日 (木) 06時05分