『GWTW』通信
9月15日(金)
帝国劇場は1911年に開場した日本初の洋式劇場である。現在の帝劇は2代目で、1966年の9月に竣工した。そのオープニングとして、10月の歌舞伎公演に続いて11月3日から上演されたのが菊田一夫/脚本・演出による『風と共に去りぬ』で、これが世界初の舞台化であった。
この公演は翌年の4月2日まで続く大ロングラン公演だったのだが、この時上演されたのは「第1部」と銘打たれた前編で、ここではスカーレットのアトランタからの帰郷までが描かれた。後編に当たる「第2部完結編」は1967年の6月1日から帝劇で、こちらも3ヶ月に渡るロングラン興行であった。
現在の帝劇は、この時の『風と共に去りぬ』上演を想定して様々な舞台機構や設備が設計されたと聞く。地下6階にも及ぶ奈落、2層になった巨大な迫り、直径9間(けん)にも及ぶ回り舞台、舞台上下(かみしも)からセットを乗せたまま入ってくるスライディング・ステージ、奈落でセットごと舞台を差し替えるワゴン・ステージ、舞台後方からの映像投影を可能にするリア・スクリーンと映写室・・・。
これらを駆使した『風と共に去りぬ』に、当時の観客は度肝を抜かれたに違いない。アトランタを脱出する場面の背景には、円谷英二による特撮の炎上シーンが用いられ、スカーレットたちを乗せた馬車を引いたのは生きた本物の馬であった。
ピットにはオーケストラも入っていたが、この時の『風と共に去りぬ』はミュージカルではなかった。当時はストレート・プレイの劇伴を生のオーケストラが演奏することがあったのである。
この舞台化の成功を受けて、当時東宝の演劇担当重役でもあった菊田一夫は『風と共に去りぬ』のミュージカル化に着手する。(続く)
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