『プライベート・ライヴズ』通信
8月2日(水)
読み合わせに入る前に出演者たちとディスカッション。
『プライベート・ライヴズ』では、登場人物同士がとても親密に交流する。こういう作品では、それを演じる俳優同士に照れや遠慮があってはよろしくない。なので、作品の背景についてであるとか、登場人物の価値観や感情の流れなどについて意見交換をしながら、それに関連する俳優たち自身の体験などを喋ってもらうことにしたのである。
ほとんどの俳優と初仕事である私の為でもあったのだが。
ある程度みんなの距離が縮まった所で1幕を読み合わせ。
飯島早苗さんが台詞に周到に手を入れてくれているので、台詞も登場人物も実に生き生きとしていて、70年前に書かれた芝居の翻訳上演とはとても思えない。まるで現代劇の新作の様である。
『プライベート・ライヴズ』は深刻なテーマや社会性を備えている作品ではない。にも関わらず、この作品が時代を超えて繰り返し繰り返し上演されているのは何故だろうか。それは、ここには人間の愚かさや、そんな人間のいとおしさなど、人生の真実が描かれているからだろうと思う。
恐らくは、登場人物は全員がダメ人間である。とにかく学習能力が欠如している。こういう人たちが身近にいたら大迷惑である。にも関わらず、幕が下りた時、観客は登場人物全員を愛さずにはいられなくなっているだろう。
『プライベート・ライヴズ』はそんなお芝居である。
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