『TDV』通信
4月9日(日)
『ミー&マイガール』通信が定期化する前に『TDV』通信が続いてしまった。と言うのも、ここのところ連日『・・・ヴァンパイア』の打ち合わせばかりやっているからである。でも『ミー&マイガール』は再演、『・・・ヴァンパイア』は新作なので、これは致し方ない。
で、今日は舞台美術の打ち合わせ。『・・・ヴァンパイア』の美術デザイナーは堀尾幸男さんである。今日のメンバーは他に照明の服部基さん、振付の上島さん、舞台監督の廣田さん、そして3日連投の演出部・プロデュースチーム・・・と言った顔触れである。
このページでデザインの詳細を報告できる段階にはまだないのだが、ウィーン版などの舞台美術とはテイストの全く異なる舞台になる。
ところで、表題にある「TDV」だが、これは『ダンス・オブ・ヴァンパイア』の原タイトルがドイツ語“Tanz Der Vampire”なので、その頭文字を取っているのである。
以後ご承知置きください。
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コメント
ブログを楽しく拝見させて頂いております
今回は新作ということでご苦労もあると思います。私はウィーンで見たTdVがとても素晴らしく日本で上演されることを夢を見ておりました
東宝版はオリジナルとテイスティが違うとのことですが、あのスケールの大きな演出がそのまま東宝版で素敵なキャストの皆さんで再現されることと思っています
作品ファンとしては改変し過ぎてしまいオリジナルと程遠かったブロードウェイ版の失敗はショックでした。
今回の東宝版はブロードウェイ版の二の舞にけしてならないよう、山田さんの演出力でオリジナルの素晴らしさを生かしながら素敵な作品になり成功されることを祈っています
投稿: サラ | 2006年4月10日 (月) 21時32分
はじめまして。TDVの演出をされると知り、ブログを拝見しています。
ネットを通じて、海外で上演された舞台の動画を見ました。迫力のあるダンス、音楽、舞踏会の広間、螺旋階段などの舞台装置、ヴァンパイア達のメイク、衣装等、日本語の舞台ではないけれど、面白さや劇場の興奮が伝わって来る舞台だと思いました。
今年の夏、この作品が日本のスタッフにより、どんな作品となるのか、どんな舞台と出会えるかとても楽しみにしています。
お体大切に、頑張って下さい。
投稿: ぽち | 2006年4月11日 (火) 01時56分
サラさん、ぽちさん、コメントありがとうございました。
ミュージカルなどの翻訳上演には様々な制約があります。その内の大きなものは2つ、著作権と劇場条件です。
今回の日本版『ダンス・オブ・ヴァンパイア』は、ウィーン版を輸入するという契約ではありません。ですから、美術も振付も照明デザインも衣裳もメイクも…、つまり演出はウィーン版とは別なものになります。
と言うより、同じにする事は契約上許されないのです。
また、上演される劇場(今回は帝劇ですが)の物理的な条件にも制約があります。例えば、ウィーン版の、奈落から迫り上がってくる大螺旋階段、あれは帝劇の舞台機構では不可能です。
ロングラン・システムではない期間限定公演では、劇場を大改造すると言う発想では興業が成り立ちませんからね。
しかし、権利や物理的な制約の事以上に重要なのは、日本版のクリエイティブ・チームの創造性を信頼する、と言う事です。
私は日本版のクリエイティブ・チームを信頼していますし、そのクリエイターたちに「何かの物真似をせよ」とオーダーする事が、果たして物作りの健全な態度だと言えるのでしょうか?
そもそもが「物真似は許されない」契約なのですから、ウィーン版をコピーしないのは表現者として当然の態度です。そしてそれ以上に、クリエイティブ・チームがこの素材から触発され生まれ出て来るものにこそ価値がある、と私は考えます。
『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』などは、オリジナルのクリエイティブ・チームの手による日本版ですから、オリジナルの舞台が再現されるのは当然です。
が、『ダンス・オブ・ヴァンパイア』は、そうではありません。
ウィーン版のファンの皆さんには申し訳ないのですが、以上の様な理由によって、『Tanz Der Vampire』と『ダンス・オブ・ヴァンパイア』はかなり趣の異なる仕上がりになるでしょう。
『ダンス・オブ・ヴァンパイア』が、『Tanz Der Vampire』同様大勢に愛される作品になることを願って止みません。
投稿: 山田和也 | 2006年4月11日 (火) 07時45分
山田様 初めまして。こちらを拝見して、楽しみに待っている公演の製作の大変さが伺われ、観る側としてもどのような舞台になるのかという期待が更に増しました。ウィーン版はネットで多少見た程度ですが、同じにすることが出来ないということは、新しいミュージカル、に匹敵するほど、大変なのでは?と思う次第です。素人が言うのもなんですが自由に出来るという意味では、これまでになかった演出、サプライズなものがあればいいなと勝手に思っています。楽しみにしています。
投稿: けい | 2006年4月19日 (水) 02時23分
けいさん、コメントありがとうございました。
ご指摘の通り、ミュージカルの翻訳上演には膨大な作業が伴います。それは『TDV』に限った事ではありません。
亜門さんだって、小池さんだって、栗山さんだって、鵜山さんだって、宮田さんだって、吉川さんだって・・・、みんな大変なエネルギーを費やして初日を迎えているのです。
ですが、お客様には、作り手の苦労などに囚われることなく、出来上がった舞台を純粋に楽しんで頂きたい。
私たちがやっているのはショー・ビジネスなのですから。
投稿: 山田和也 | 2006年4月19日 (水) 10時34分