『アニー』通信

3月23日(木)

 2幕をどんどん作る。

 ミュージカル『アニー』の音楽を手懸けたチャールズ・ストラウスは、ブロードウェイのソング・ライターとして長い経歴を誇っている。

 ストラウスのブロードウェイ・デビュー作は『バイ・バイ・バーディ』(1960)。後に映画化、テレビ化(2度も。直近は昨年)されることになる大ヒット作である。
 手掛けたブロードウェイ・ミュージカルの中には『ゴールデン・ボーイ』(1964)、『アプローズ』(1970)など、日本でも翻訳上演された作品もある。映画音楽も書いていて、中でも有名なのは『俺たちに明日はない』(1967/今年のアカデミー賞授賞式で作品賞を『ラ・ラ・ランド』と発表した、気の毒なウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイ主演)だろう。

 多作なストラウスではあるが、フロップ(失敗作)も少なくない。最大のヒット作は、やはり『アニー』になるだろう(『アニー』は第31回トニー賞の“ベスト・オリジナルスコア”を受賞。受賞者はストラウスとチャーニン)。

 “Tomorrow”1曲だけでも、人々の記憶に永遠に残り続けるに違いない。(つづく)

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『アニー』通信

3月22日(水)

 2幕の稽古に入る。

 ミュージカル『アニー』の作詞を手掛けたのは、アメリカの作詞家、脚本家、演出家=マーティン・チャーニンである。

 チャーニンが作詞を手掛けたブロードウェイ・ミュージカルには、オスカー・ハマースタインと死別後のリチャード・ロジャース(『サウンド・オブ・ミュージック』『南太平洋』『王様と私』他)と組んだ『Two by Tow』(1970)、『I Remember Mama 』(1979)などもあるが、代表作はやはり『アニー』になるだろう。
 Internet Broadway Databaseなどを見てみると、『ウェストサイド物語』初演(1957)のキャストとして名前が載っていたりもするので、若き日はミュージカル・アクターであったようだ。

 1960年代にはオフ・ブロードウェイやナイトクラブのショーなどに書いたり演出したりするようになり、1970年代は活躍の場をテレビ界に移し、幾つかのエミー賞を取っている。
 やがてブロードウェイに戻り、いくつかの演出作品を発表し、そして『アニー』を生み出すことになる。1977年のことである。

 『アニー』ブロードウェイ初演の演出を手掛けたのもチャーニンであった。(つづく)

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『アニー』通信

3月21日(火)

 東京では桜の開花が宣言された。一歩一歩、春が(そして初日が)近づいてくる。

 稽古の方は1幕のラスト・シーンに手を付けた。これで1幕のほぼ全場面に手を付けたことになる。
 毎度記していることだが、まだ“手を付けた”だけであって道のりは遠い。登山で言えば“ようやく登山口に辿り着いた”あたりだろう。山に登るのはこれからである。

 明日は2幕に着手する。「1幕の頭に戻って復習したい」気持ちも無くはないのだが、ここはやはりラスト・シーンまで行ってみるべきだろう。

 ……と言うワケで、稽古のペースは落とさずにどんどん行ってみるつもり。

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『アニー』通信

3月19日(日)

 ここ数日は1幕にある大きなミュージカル・ナンバーを作っている。「I Think I’m Gonna Like It Here」と「N.Y.C.」である。

 「I Think I’m Gonna Like It Here」は1幕4場にあるナンバーで、アニーがグレースに連れられてウォーバックスの屋敷を訪れる様子が描かれる。
 「N.Y.C.」は1幕5場のラストから始まり、“ナンバーの丸々1曲が1幕6場”と言う扱いになっている。描かれるのはウォーバックスがアニーとグレースを連れてニューヨークの街に出かけて行く様子である。

 どちらも“複数の主要人物”とその人物たちに絡む“大勢の人々”を手際よく見せることが求められる楽曲である。それを踏まえると、ステージングはどうしても複雑にならざるを得ない。
 当然、形にするのにはそれなりに時間が必要となる。結果、連日長時間に渡るステージング、と言う日々が続いている。

 ミュージカルを作るのはとても“楽しい作業”である。それは間違いない。が、それが“楽な作業”であった試しは、ほとんどない。

 連日、辛抱強くお付き合いくださっているキャスト&スタッフの皆さんに、この場をお借りして心より感謝。ご褒美(?)に明日は稽古OFF。

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『アニー』通信

3月18日(土)

 オリバー・ウォーバックスを演じるのは藤本隆宏さんである。

 ハニガンはウォーバックスのことを「世界一金持ちの独身男性」だと言っている。が、それはハニガンが愛読している怪しげなゴシップ雑誌から仕入れた情報らしいので、正確かどうかはちょっと疑わしい。
 しかし“独身男性”であることと、超のつく“大金持ち”であることは紛れもない事実である。『アニー』の物語設定が“1933年のニューヨーク”であることは以前記した通りだが、大恐慌でガタガタになった経済状況の下では、たとえウォーバックスでも企業経営は困難を極めたに違いない。

 藤本さんも“初めてご一緒する方”のおひとりである。
 演じるウォーバックスは、強引で、わがままで、気が短くて、とても子供っぽいのだが、稽古場の藤本さんは、佇まいも穏やかだし物腰も柔らかい。

 芝居作りがたまらなく面白いのは、時としてこんな落差に出会うことがあるからだと思う。

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『アニー』通信

3月17日(金)

 アニーの孤児院暮らしに転機が訪れるのは、“世界有数の大富豪にして実業家であるオリバー・ウォーバックス”の秘書=グレース・ファレルが孤児院を訪ねて来た時である。

 グレースによれば、ウォーバックスは「クリスマス前の2週間、自宅に孤児を招いて過ごさせたい」と考えているらしい。その幸運な孤児を選ぶために、グレースは孤児院にやってきたのだ。
 応対したハニガン(姉の方。以後“ハニガン”と言ったら「姉=孤児院の責任者」のことである)は、「だったらアニー以外の孤児から選ぶように」進言する……。

 グレース・ファレルを演じるのは彩乃かなみさんである。
 彩乃さんは宝塚歌劇団のご出身で、ご一緒するのは今回が初めてである。が、歌劇団では瀬奈じゅんさん(何回もご一緒している)の相手役を務めていらした方なので、とても親近感を(一方的に)感じている。

 さて。

 『アニー』の稽古がスタートして1週間が過ぎた。
 新作ミュージカルの稽古が“時間との戦い”になることは火を見るよりも明らかなことなので、連日、とにかく必死にメニューを消化している。時に“取りこぼし”も無くはないが、まずは順調な1週間だったと思う。
 子供のキャストも含めて“今回が初めまして”の方は少なくないのだが、そんな皆さんのキャラクターや性格も少しずつ見えてきたので、日々の稽古は楽しい。

 明日も“まだ手を付けていない”場面とミュージカル・ナンバーの稽古が組まれている。なので……

 予習します。

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『アニー』通信

3月16日(木)

 アガサ・ハニガンには刑務所から戻ったばかりの、ちょっと怪しげな弟がいる。ダニエル・ハニガンである。

 物語の中では、アガサのことをその名前で呼ぶ人は出てこない。そしてダニエルも、皆が呼ぶのはニックネームの“ルースター”である。
 英語のルースター“Rooster”には「うぬぼれ屋」とか「生意気な男」と言う意味があるのだが、と同時に「雄鶏(おんどり)」の意味もある。日本語で“ルースター”と言ってもそのどちらにもならないのだが、物語の中で時々ルースターが“ニワトリの鳴きまね”を披露して得意がっているのには、実はそう言うワケがある。

 そのルースターが、姉の勤務先である孤児院に、リリー・セントレジスと言うちょっぴり変わった名前のガール・フレンドを連れて現れる。ルースターが現われた目的は……。
 ルースターを演じるのは青柳塁斗さん、リリーを演じるのは山本沙也加さんである。

 お2人とご一緒するのは今回が初めてなのだが、個性的で生き生きとしたルースターとリリーになると嬉しい。

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『アニー』通信

3月15日(水)

 孤児院の責任者=アガサ・ハニガンを演じるのはマルシアさんである。

 マルシアさんとは『ジキルハイド』(2001年~2007年)と『イーストウィックの魔女たち』(2007年~2008年)でご一緒した。
 『ジキルハイド』はマルシアさんのミュージカル・デビュー作であった。マルシアさんは主人公=ヘンリー・ジキルに思いを寄せる娼婦=ルーシーを圧倒的な迫力で演じ、芸術祭賞演劇部門新人賞や菊田一夫演劇賞に輝いた。
 今回は“ほぼ10年振り”となる再会である。マルシアさんらしい、パワフルでゴージャスなハニガンになるだろう。

 ところで、『アニー』のメイキング特別番組が放送されることが発表された。オンエアは4月8日(土)の10時30分から、日本テレビにて(関東ローカル)である(詳細はこちら)。
 
 毎年『アニー』開幕直前に放送されているこの「特番」には“季節の風物詩”となっているような印象がある。が、いつから続いているのか、放送されなかった年があるのか……などは、不勉強な私はよく知らない。
 それはともかく、4月8日の放送と言うことは“稽古の追い込み”や“劇場に入ってからの様子”などは残念ながら取り上げられないことになる。が、アニーのオーディションに参加してくれた子供たちの喜びや悔しさ、選ばれた子供たちの頑張り……などはご覧いただけるものと思われる。

 どうぞお楽しみに。

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『アニー』通信

3月14日(火)

 立ち稽古に入っている。

 ミュージカル『アニー』の舞台は1933年のニューヨークである。
 1929年に起きた世界恐慌の影響で、この街の経済状態も極めて深刻……と言うことが物語の背景にはある。時の合衆国大統領はフランクリン・D・ルーズベルトで、この年の3月に前任のハーバート・フーバーから職を引き継いだばかりである。

 1幕1場は「ニューヨーク市立女子孤児院の共同寝室」。クリスマスまであと2週間と迫った年の瀬の深夜(夜中の3時過ぎくらい)から物語は始まる。

 この孤児院には女の子ばかり7人が暮らしていて、その中のひとりが主人公のアニー(11歳)である。物心つく前から孤児院暮らしのアニーは、いつか両親に会える日がくることを夢見ている。
 孤児院の責任者はオールド・ミスのアガサ・ハニガンで、子供たちをとても冷酷に扱っている。アニーは“両親を探すために、ここを出て行く”ことを決意するのだが……。

 この場面にはミュージカル・ナンバーが3曲ある。「Maybe」と「Hard Knock Life」と「Hard Knock Life-Reprise」である。
 稽古では、先ず芝居部分をある程度作り、続いてミュージカル・ナンバーをステージング、そしてまた芝居……と言うやり方を取っている。つまり“とてもオーソドックスな”稽古の進め方なのだが、今年の『アニー』は新作である。やはり、それなりに時間はかかっている。

 稽古終了後も、連日のようにスタッフ・ミーティング。スタッフの皆さんには、やや遅い時刻までお付き合いいただいている。

 感謝です。

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『アニー』通信

3月12日(日)

 私は、『アニー』の2代目演出家=ジョエル・ビショッフさんとは面識がない。ではどんなご縁があったのか?

 ビショッフさんはアメリカで活躍する演出家である。
 ビショッフさんの最大の成功作は、オフ・ブロードウェイで2番目のロング・ラン記録を持つミュージカル『I Love You,You’re Perfect,Now Change』である。1996年1月1日にウェストサイド劇場でオープンし、5003回の上演を重ねた後、2008年7月27日にクローズした。

 この作品が日本で翻訳上演された時、演出を担当したのが私であった。初演は2003年9月~10月で、アートスフィア=現在の銀河劇場を振り出しに各地を回った(上演データはこちら)。翌年には早くも再演となり、今は無きPARCO劇場を皮切りに、これまた各地を回った。

 そして今、ビショッフさんの後を継いで『アニー』である。

 これを“ご縁”と言わずして何と言おうか。

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『アニー』通信

3月11日(土)

 日本テレビ主催の『アニー』初演で演出を手掛けられたのは篠崎光正さんである。篠崎さんの『アニー』は1986年から2000年まで、15年間続いた。
 2001年からはジョエル・ビショッフさん演出の『アニー』が始まる。ビショッフさんの『アニー』は昨年まで上演されていたので、ほとんどの方にとって『アニー』と言えばこのヴァージョンだろう。
 そして今年。3代目の演出家として『アニー』に取り組む幸運を頂いたのが私である。

 話は変わる。

 「一般社団法人日本演出家協会」と言うものがある(ホームページはこちら)。
 “1960年に設立された日本における唯一の専門的舞台演出家の協会(ホームページより)”で、私も協会員なのであるが、『アニー』の初代演出家である篠崎さんは、長年同協会の広報部長を務めていらっしゃる。
 以前、協会の会報誌で対談をさせていただいたことがあって(対談の載った協会誌はこちら)、広報部長=篠崎さんには、その時なにかとお世話になったのである。

 ビショッフさんとのご縁については、また明日。

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『アニー』通信

3月10日(金)

 『アニー』の稽古が始まった。

 ブロードウェイ・ミュージカル『アニー』は、アメリカの漫画家=ハロルド・グレイが生み出した新聞の連載漫画『小さな孤児アニー』を原作とする、チャールズ・ストラウス(作曲)、マーティン・チャーニン(作詞)、トーマス・ミーハン(脚本)のトリオが手がけた大ヒット・ミュージカルである。
 ワールド・プレミアは1976年8月10日。アメリカ/コネチカット州のグッドスピード・オペラハウスで行われた。ブロードウェイのアルヴィン劇場(現・ニール・サイモン劇場)に登場したのは1977年4月21日で、以来、1983年1月2日にクローズするまで足掛け6年、上演回数2377回を数えるロング・ランとなった。
 これは、当時としては『グリース』『屋根の上のヴァイオリン弾き』『ハロー・ドーリー!』『マイ・フェア・レディ』などに次ぐ“大記録”であった。第31回トニー賞では、ベスト・ミュージカル、ベスト・ミュージカル脚本、ベスト・オリジナル・スコアを含む7部門で受賞した。

 日本での初演は1978年8月に日生劇場で行われている。これは今日まで続く日本テレビ主催の公演とは別の、東宝の製作で上演された公演であった。アニー役は宝塚歌劇団に在団されていた愛田まちさんが務め、ウォーバックス役は若山富三郎さんが演じられた。演出は尾崎洋一さんである。
 日本テレビ主催の『アニー』は1986年4月の青山劇場公演がその始まりである。それからの32年間、毎年休むことなく上演され続けて来たことは皆さんご承知の通りである。

 丸美屋食品ミュージカル『アニー』の東京公演は4月22日から5月8日まで、初台の新国立劇場中劇場での上演である。東京の後は、8月~9月にかけて、大阪、仙台、名古屋、上田を回る。

 では、初日までのひと月半、どうぞよろしくお付き合いください。

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『クリエ・ミュージカル・コレクションⅢ』千穐楽

3月5日(日)

 シアタークリエで上演されていた『クリエ・ミュージカル・コレクションⅢ』が千穐楽を迎えた。

 ご観劇くださった皆さん、ありがとうございました。キャスト、オーケストラ、スタッフ、関係者の皆さん、お疲れ様でした。

 千穐楽につき、カーテン・コールではキャストの皆さんがひとりずつご挨拶。東宝演劇部のTwitterによると、その映像は後ほど公開される模様である(追記/UPされました。こちらからどうぞ。)。
 ご挨拶で、キャストの大半が『クリコレⅣ』が“あるもの”として話されていたのが何だかおかしかった。私でさえ“あるような”気がしなくもないのだが、間違いの無いように記しておくと、現時点で決まっていることは何もない。

 が、キャストの皆さんの“あって欲しい”と願う気持ちに嘘はないだろう。

 ……構成考えるか?

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『アニー』通信

2月14日(火)

 ブロードウェイ・ミュージカルアニーの上演準備が進行している。

 先週末には“サンディ”の打ち合わせがあった。

 “サンディ”は『アニー』に登場する野良犬の名前である。野犬刈りで捕まりそうになったところをアニーの機転に救われ、アニーとの間に友情(?)が芽生える(のだと思う)。
 そのサンディを、今回の『アニー』では“どのように”していくか。サンディを担当してくださる方と意見交換(ちょっと“ぼかして”記しているが、具体的に書いてしまうと何だか夢が無くなる様な気がするので……)。

 昨日は衣裳デザインの打ち合わせ。

 振付の広崎うらんさんにも参加してもらって、衣裳デザイナーの朝月真次郎さんと、衣裳全体をどう考え、どう組み立てるか、意見交換。
 1933年と言う『アニー』の時代設定と、キャラクターの背景と変化(つまりストーリー)を大切にした衣裳になりたい。そのためには……?
 朝月さんは既に実作業に入っており、生地を集めたり、染めたり、パターンを起こしたり……されているらしい。今度の『アニー』は衣裳も見どころのひとつになるだろう。

 そして今日は舞台美術の打ち合わせ。

 美術デザイナーの二村周作さん、照明デザイナーの高見和義さん、舞台監督の小林清隆さん・やまだてるおさんと、場面毎のデザイン、使い勝手、転換の手法などなど、稽古に入るために必要となる部分を詰める。

 新生『アニー』では、ドラマも舞台転換もスピード感あふれる物にしたい。

 そうなりますように。

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大千穐楽 『シスター・アクト』通信

2月11日(土)

 全国ツアーを行っていたミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が、まつもと市民芸術館 主ホールで、遂に千穐楽を迎えた。

 キャスト、オーケストラ、スタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。そして、ご観劇くださった皆さん、ツアーを支えてくださった皆さん、本当にありがとうございました。
 残念ながら私は東京だったので千穐楽には立ち会っていない。と言うより、1月8日に博多座で観たのが最後である。なので、誰よりも私自身が重度の“『シスアク』ロス”である。

 『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』は“観る者に希望と勇気を与えてくれるミュージカル”だと私は思っている。そしてそれは、“劇場の役割”の中で最も大切なことだと私は考える。その1点だけでも、『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が繰り返し上演されるべき理由となるだろう。

 果たして次があるのかどうか……今は何もわからない。が、「あって欲しい」と切実に、心から、神掛けて、願っている。(それまでは『クリエ・ミュージカル・コレクションⅢ』へどうぞ。瀬奈デロリスに会えます)

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初日 『クリコレⅢ』通信

2月9日(木)

 『クリエ・ミュージカル・コレクションⅢ』の初日が無事に幕を下ろした。感慨無量である。

 『クリコレ』シリーズ初日の劇場は他のどの公演の初日とも違っていて、毎回とても落ち着いている。キャストもスタッフも丹念に準備を重ねてきた証しだと思う。
 今日も全体での返し稽古や各セクションの修正作業は行われたが、誰かがバタバタしている、と言うようなことはなかった。

 初日恒例の「お祓(はら)い」を開演の2時間前に済ませると、演出家にはもうすることが何もない。お弁当を頂いたら、後はただ“その時”を待つだけである。

 『クリコレ』初日の「開演前の客席」の雰囲気は独特である。
 “高揚感”と“緊張感”が半分半分……とでも言おうか、「これから見たり聞いたりする“もの”」へのお客様の期待と不安が、同じくらいでせめぎ合っているのだと思う。

 私自身は、高揚感よりも緊張感の方がはるかに強い。果たしてお客様は私たちのショーを気に入ってくださるだろうか。その緊張感は、カーテン・コールが終わり、緞帳が降ろされ、お客様が客席を去られる時まで続く。
 どの初日でもそうである。『クリコレⅠ』の時も『Ⅱ』の時もそうだった。が、今日のそれは“いつも以上”であった。

 終演後、楽屋を出る時にすれ違った山口祐一郎さんは、ニヤリとされて「台本に書いてある通りになりましたね」とおっしゃった。

 そうであったのならば本当に嬉しい。

 これで『クリコレⅢ』通信はおしまいである。ご愛読ありがとうございました。次は『アニー』通信。程なく始まります。

 『クリエ・ミュージカル・コレクションⅢ』は3月5日まで。どうぞ、お見逃しのありませんように!

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『クリコレⅢ』通信

2月8日(水)

 舞台稽古2日目。

 今日も稽古前に若干の修正作業。舞台稽古は午後イチから、昨日の続き。メニューを順調に消化し、大休憩の後、ゲネプロ。“日直”からカーテン・コールまで、ミュージカル好きの私にとっては“ため息の出るような場面ばかりが続く”2時間30分(くらい)であった。

 ゲネプロ終了後は全体で確認。とても良い仕上がりのゲネプロではあったのだが、更なる完成度を目指して、明日の開演前に舞台で何曲か当たることに。

 さて。

 明日の東京地方、予報では雨やミゾレになるらしい。お出かけのご予定のある方はどうぞご注意くださいませ。

 コレクションした人にとって“その曲”は、様々な想いの詰まった“特別な曲”である。ひとりひとりの“特別な曲”を集めたショー『クリエ・ミュージカル・コレクションⅢ』

 開幕は明日。

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『クリコレⅢ』短信

2月7日(火)

 舞台稽古1日目。

 稽古の前に、午前中は照明デザインの続きとオーケストラ&音響チームのサウンド・チェック。午後イチで舞台稽古。幕開きの“日直”さんより2幕の真ん中辺りまで“場当たり”と“オケ付きで”を重ねる。舞台稽古終了後は大道具と電飾の直し。作業にお付き合いくださった皆さんに心より感謝。

 今日のブログは素っ気なくてすみません。

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『クリコレⅢ』通信

2月6日(月)

 稽古は無し。朝から1日、照明のデザイン。

 照明デザイナーの柏倉淳一さんが、様々な照明機材を駆使して36曲分の照明デザインを次々と生み出して行く。
 並行して音響チームのセッティングや調整、オーケストラのシーティング、楽屋周りでは衣裳チームとヘアメイク・チームの準備……など、明日からの舞台稽古に備えた作業が各所で行われている。美術デザイナーの松井るみさんは、明日初日を迎える日生劇場とシアタークリエを行ったり来たりしながら(ご近所で良かった)、大道具スタッフにあれこれ指示を出している。

 ……と言う訳で、明日は舞台稽古。その前に、まだやることが。

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『クリコレⅢ』通信

2月5日(日)

 稽古場最終日。

 2回目のオケ付き通し稽古である。
 日直は瀬奈さん。瀬奈さんは相変わらずトークがお上手である。続く“本編”は、昨日の通し稽古で取りこぼした幾つかのことが首尾よく回収されて、とてもいい仕上がりであった。皆さん“さすが”としか言いようがない。

 稽古後はシアタークリエへ。昨日千穐楽を迎えた『お気に召すまま』と入れかわりに、我々の仕込み作業が始まっている。いつもの様に道具のタッパを決め、照明のフォーカス作業。そして夜少し遅い時刻から照明デザイン、スタート。

 近ごろ夜の作業にはめっきり弱くなった。なので……おやすみなさい。ZZzzzz...

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『クリコレⅢ』通信

2月4日(土)

 オケ合わせ2日目。

 まず、昨日の続き。残っている1/3ほどの楽曲を当たる。全曲を当たり終えたところで大休憩。歌唱指導の山口正義さんが作ってきてくださった“美味しいもの”を全員でご馳走になる。

 満ち足りた気持ちになったところでオケ付き通し稽古。今日の“日直”は大塚千弘さんである。
 そのオープニングから最後の幕が下りるまで、『クリコレ』のすべての瞬間には「ミュージカルを見る喜び」と「幸せ」が満ちている。『クリコレ』に集まった人々は、全員がミュージカルの申し子なのだと思う。

 通し稽古終了後は全体で確認。演出家からのダメ出しは何もない。

 ところで、初日が近づくと、稽古場や劇場の様子などをFacebookに書きこむことがある。思いついた時にしていることなので必ず書き込むとは限らないのだが、ご興味がある方は覗いてみてください(山田のFacebookはこちら)。

 そしてもう一点、『クリコレⅢ』の上演時間であるが、幕間休憩20分を含めて、全体では2時間20分~30分……前後になるものと思われる(不確定要素も無くはないので、終演後のご予定は余裕をもってお組みくださいますように)。

 さて。

 明日は稽古場最終日。シアタークリエでは仕込み作業が始まる。

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『クリコレⅢ』通信

2月3日(金)

 オケ合わせ1日目。

 『クリコレ』で嬉しいのは、オーケストラが稽古場にやって来ても居場所がなくならないことである。
 『クリコレⅢ』のオーケストラは12名編成。メンバー全員がオン・ステージなので、いつもなら場所を明け渡さなければならない我々スタッフも、そうしないで済むのである。昨日までオーケストラのスペースでのびのびと過ごしていたアンサンブルの皆さんが路頭に迷ってはいるが。

 オケ合わせは台本順に1曲ずつ、確認と調整を丁寧に。
 音楽監督の八幡茂さんが、『Ⅰ』『Ⅱ』に続いて今回も素敵な編曲を施してくださった。指揮は『Ⅰ』も振ってくださった若林裕治さんである。今日は全35+1曲のうち、2/3ほどの楽曲を合わせて終了。続きはまた明日である。

 このブログでも何度となく記しているので「またか」とお思いの方も大勢いらっしゃるだろうが、オーケストラと初めて合わせる日が芝居作りの全行程の中で最もワクワクする日である。すなわち、今日である。
 キャストの皆さんも全員が絶好調(当社比)で、明日の“オケ付き通し”が待ちきれない!

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『クリコレⅢ』通信

2月2日(木)

 ピアノ(粗くない)通し。

 昨日“粗かった”色々な部分が整理・消化され、格段に洗練された良い通し稽古であった。
 キャストの皆さんは口々に「緊張する」とおっしゃっているが、昨日よりも遥かに楽しそうに見えた。この顔触れが楽しそうに歌っている(或いは踊っている)姿を見て嬉しくならないミュージカル・ファンはいないだろう。

 明日から3日間はオーケストラとの稽古になる。それが済むといよいよ劇場入り。初日は1週間後である。

 『クリコレⅢ』に登場する25作品にはブロードウェイ・ミュージカルもあればロンドン発の作品もある。ウィーン生まれのミュージカルももちろんあるし、それ以外の物もある。
 そのうち山口祐一郎さんが出演された作品は11本。ただし、それらの作品からのナンバーを山口さんが歌う……とは限らないのだが。

 今回の“ダンス”は“あの”ダンス。

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『クリコレⅢ』通信

2月1日(水)

 粗(あら)通し。

 “粗”と付いているからと言って“粗くやること”を目的にしている訳ではない。「“多少大雑把になってもいいから、とにかく通してみましょうよ。怒らないから”通し」くらいに思っていただければ、まあ当らずとも遠からずだろう。

 それはともかく、全編が繋がってみると、とにかく楽しくて、見応えも聞き応えもあって、時々ウルウルして、ちょっと得した気分にもなるゴージャスなショーになっている。まだまだ粗いことは粗いのだが、それは残りの稽古期間が解消してくれるだろう。
 一番心配していたのは“上演時間がどの程度になるか”だったのだが、どうやら3時間近くになってしまうことは避けられそうである。ただし“日直当番さんの話が異常に盛り上がった場合”はその限りではない。

 粗通し終了後はダメ出し……と言うか確認。そして抜き稽古。明日の“粗くない通し”に備える。

 『クリコレⅢ』で取り上げるミュージカル・ナンバーは、“1963年初演のミュージカル”から“現在上演中のミュージカル”まで、多彩な25作品から選ばれている。

 “地獄”も“天国”もあります。

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訃報 藤村俊二さん

 藤村俊二さんが亡くなった。

 藤村さんとご一緒したのは、ジャン・クロード・カリエール/作のコメディ『ラ・テラス』(2001年、PARCO劇場・他)の時である。このフランス産のシニカルな“コント風”コメディで、藤村さんは“若い夫人を連れた老大佐”という不思議な役を演じてくださった。
 藤村さんの信条は“独特のユーモア”と“軽やかさ”にあったと思うのだが、当時70歳に近かった藤村さんは(我々の心配をよそに)舞台でも跳ねたり転んだり、芸風同様に身体も実に軽やかでいらした。
 若い頃、日劇(=日本劇場。“有楽町マリオン”のある場所に建っていた)ダンシング・チームにいらした経歴を知れば、それも当然と思えるのだが。

 藤村さんのニックネームは「おひょい」と言った。
 「なんで“おひょい”なんですか?」とご本人にお聞きしたことがある。我慢するのが嫌いで、気に入らないことがあると現場から“ひょいっ”といなくなってしまう癖があるからだ、と、おひょいさんは飄々とおっしゃった。

 『ラ・テラス』でご一緒する数年前のことである。私が演出する“ある新作ミュージカル”に藤村さんがキャスティングされたことがあった。が、藤村さんの出演は実現しなかった。

 “ひょいっ”といなくなってしまわれたのである。

 合掌。

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『クリコレⅢ』通信

1月31日(火)

 今まで稽古は大変“おおらかな”ペースで進んで来た。が、ここに来ていきなり「今日・明日で全場面を当たれ」。しかも「明日は粗通しもやれ」と言う。

 でも、それはそのはずである。気が付けば稽古場で過ごせるのもあと僅か。別スタジオではオーケストラ・リハーサルも始まった。なので……。

 幕開きより順番に全曲=全場面を当たる。

 全35曲+1曲=36曲を1曲ずつ順番に、おさらい、思い出し、或いは新規にステージング……しながら整理と確認。まだ1曲ずつで繋げてみたわけではないが、『Ⅰ』『Ⅱ』にも劣らない、充実した楽しいショーになっている、と思う。
 そして、照明デザイナーの柏倉淳一さんが稽古場に登場。いつも記しているように、照明デザイナーが稽古場に現れたら稽古も最終段階である。

 今日はカンパニー一同、大いに頑張った。「今日・明日で」と言われたところを、「今日1日で」全場面当たり終えたのである。
 なので、明日の稽古は「粗通し」ではなくて「粗通しから」になった。開始時刻もちょっぴりゆっくりになった。

 明日は通すぞォ!!

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『クリコレⅢ』通信

1月29日(日)

 「闇が広がる」、「私が踊る時」、「大勢のナンバー」、「デュエット・ナンバー」をステージング。

 稽古中はキリのよいところで短い休憩が入る。と、すかさず誰かがおさらいを始める。
 歌の確認だったり動線や振りの思い出しだったり、単独だったり単独で始まったのがいつの間にか大人数になったり……、その内容は様々であるが、休憩時間が休憩だったためしは殆んどない。
 連日“発表されている稽古メニュー以上に稽古が行われている”みたいなことになっているのだが、稽古終了後は稽古終了後で誰かが自主稽古を始める。稽古の量は更に増える。

 ……まるで部活。

 稽古と並行して今日は衣裳合わせも。どんな衣裳が選ばれた……かな?

 さて。

 博多座の『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が、昨日無事に千穐楽を迎えた。
 ご来場くださった皆さん、本当にありがとうございました。あとは浜松(2月3日、4日)と長野(2月10日、11日)を残すのみとなった。

 『シス・アク』ロスの皆さん……どうぞシアタークリエへ。

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初日 『田茂神家の一族』通信

1月28日(土)

 所沢ミューズ/マーキー・ホールへ。『田茂神家の一族』の初日。

 直し作業の大半は昨日、ゲネプロの後に済ませている。なので、今日は大きな作業などはない。
 開演の2時間前に全体集合。体を動かした後、注意事項の確認と事務連絡。その中で“今日はほぼ満席”であることが報告される。天候にも恵まれ幸先のよい初日である。

 今日の開演時刻は14時。だが『田茂神家の一族』は“なんとなく始まってしまう”芝居なので、私自身には高揚感のようなものはない。その“なんとなく”が上手く行くことを願う緊張感のようなものはなくはないが。
 幸い、芝居は上手く“なんとなく”始まった。そして、始まってしまえばもう止めようがない。『田茂神家の一族』の命運はキャストの皆さんに委ねられた。

 今日のお客様は、この“どう楽しめばよいのか”いささか分かりにくい(かも知れない)芝居を、とても上手に楽しんでくださった。劇団東京ヴォードヴィルショーがここで公演を打つのは5回目なのだそうだが、そのお陰かも知れない。
 所々、初日らしい“ヒヤヒヤ”もなくはなかったが、それでも芝居の終わりにはたくさんの拍手を頂いた。

 カーテン・コールでは劇団を代表して佐藤B作さんがご挨拶。その幕が下りるや否や、キャストもスタッフも一斉に撤収作業にかかる。
 連日自宅から劇場に通っていたので錯覚しそうになるが、今日は紛れもない旅(ツアー)初日なのであった。

 劇団東京ヴォードヴィルショー第71回公演、三谷幸喜/作『田茂神家の一族』の旅が始まった。次の目的地は厚木である。

 皆さん、どうぞ良い旅を!

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『田茂神家の一族』通信

1月27日(金)

 所沢ミューズ/マーキー・ホールへ。

 午前中は照明合わせの続きとテクニカル・リハーサル。午後から後半部分の場当たり。場当たり終了後、ゲネプロ。

 『田茂神家の一族』は寓話である。物語の舞台も登場人物も出来事も架空のものである。だから、その全てが滑稽に思えるし、私たちも心置きなく笑って眺めていることができる。
 だが一方、架空の出来事だからこそ、観客はそれと何かを重ね合わせてみることもできる。同じ“寓話”である『貴婦人の訪問』がそうであったように、ご覧になる方、上演されるタイミングによって“見えてくるもの”も“感じられること”も違ってくるだろう。

 2017年の『田茂神家の一族』。いよいよ明日、その幕が上がる。

 「これはもう新作である」……と言えるほどには一新されてはいないのだが(1月15日のブログを参照のこと)、ヴァージョン・アップは確実にしています。

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『田茂神家の一族』通信

1月26日(木)

 今日から3日間は『田茂神家の一族』通である。

 『田茂神家の一族』カンパニーは既に稽古場での作業を終え、昨日から劇場入りして仕込みや道具調べ、照明合わせなどを進めてきた。会場は所沢市民文化センター・ミューズのマーキー・ホールである。

 三谷幸喜/作『田茂神家の一族』の舞台設定は「村長選挙を前にしたある村の、候補者合同演説会の会場」である。
 台本に“有権者数=105名”とあるから何とも小さな村なのであるが、その村の、恐らくは公民館とか小学校の体育館とか、そういった場所が演説会の会場なのだと思われる。

 そういうワケで『田茂神家の一族』の舞台美術は、一見“何も無いような”舞台美術になっている。
 大道具として美術デザイナーの石井強司さんが用意してくださったのは、“村の公民館(或いは体育館)に元々あったであろう幕”だけである。そこに、公民館の備品と思しき“候補者用の椅子”や“小テーブル”“司会者用演壇”など、僅かな小道具が持ち出される。
 以上が『田茂神家の一族』の舞台美術の全貌である。

 で、今日と明日とで舞台稽古。今日のメニューは前半部分の場当たり。
 “ワン・シチュエーション”物の舞台稽古では、ひとたび芝居が始まってしまえば、誰かが止めない限りラスト・シーンまで止まらない。が、『田茂神家の一族』は照明のデザインが“ワン・シチュエーション”ではないので、要所要所で止めながら芝居と照明とを合わせて行く。

 場当たりを終えた後は“開演前の段取り”の確認。
 『田茂神家の一族』では、開演前の舞台上やロビーで「合同演説会の会場設営」や「投票に行くことを促す広報活動」などが散発的に行われている。その段取りの確認である。
 開演前の「会場設営」や「広報活動」を見逃しても『田茂神家の一族』鑑賞には何の支障もないのだが、少し早目にご来場いただければ物語をより深く楽しんでいただける……かも知れない。

 ご来場をお待ちしています。
 

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