『ローマの休日』通信 ダブル・キャスト初日

10月5日(月)

 ダブル・キャストの朝夏さん、平方さん、藤森さんの初日。

 開演前の客席が昨日ほど緊張感をみなぎらせていないように感じたのは、お客様が昨日よりもくつろいでいらしたからなのか。それとも私自身の緊張が昨日ほどではなかっただけなのか?
 それはともかく、今日が初日の3人はきっと大変な重圧の中にいたであろうはずなのに、そんなことを全く感じさせない堂々としたパフォーマンスを見せてくれた。そして今日も“昨日に勝るとも劣らない”素敵な初日であった。観劇中の私の「ヒヤヒヤ」度も格段に低かったし。

 明日からキャストのシャッフルが始まる。ご来場くださった皆さんにはぜひ“異なる組み合わせ”でもご覧いただきたいと思う。違う楽しさ、違う感動に出会えるはずである。

 これで『ローマの休日』通信は終了である。ご愛読ありがとうございました。
 今の心境を告白すれば「20年前に出された宿題をようやく提出し終えたみたいな感じ」である。ただし、提出しただけで採点はこれからであるが。(いい点数がつくといいなぁ…)

 ミュージカル『ローマの休日』東京公演は10月28日まで。12月には愛知/御園座、1月には福岡/博多座に参ります。

 皆さん、どうぞ劇場へ!

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『ローマの休日』通信 初日

10月4日(日)

 初日である。

 昨日のうちにGPの確認・修正は済ませているので、今日の公式メニューは「初日のお祓い(おはらい)」からとなる。が、昨日のGPで上手くいかなかったシーン・チェンジがあるので、お祓いの前にスタッフのみで該当個所を再度テクリハ。
 お祓いの後も、小道具の直しが出た個所をキャストとあたったり、オーケストラの音を確認したり……と、開幕に向けての最終調整は続く。

 初日の今日は17時開演である。

 開演前の場内は、“会話を控えるよう”に劇場からお客様にお願いが出されていることもあって静かである。1ベルが鳴り、皆さんが着席されてもその静けさは続く。場内の緊張感も私の緊張感もいやがうえにも高まる。
 チューニングと共に場内が暗くなる。スポットライトが指揮の若林さんを照らし出す。と、客席から思いのほか力強い拍手が。私の緊張は安堵に変わった。

 今日は脚本の堀越眞さん、作詞の斉藤由貴さんと並ぶ席で観た。初日の演出家につきものの「ヒヤヒヤしながら」の観劇ではあったのだが、終わってみれば素敵な初日であったと思う。

 終演後には乾杯も無く楽屋を訪問するお客様もいない。まだ稽古が続いているように錯覚しそうになるが、幕は開いたのである。
 明日はダブル・キャストのもうひと組、朝夏さん、平方さん、藤森さんの初日である。

 明日も素敵な初日になりますように。

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『ローマの休日』通信

10月3日(土)

 GP。

 グランプリ(仏語/Grand Prix)ではない。ゲネラルプローベ(独語/Generalprobe)である。日本の演劇界では「ゲネプロ」「ゲネ」などと称することが多いのだが、ほぼすべてを本番と同様に行う“初日前の最後の通し舞台稽古”のことである。

 稽古場での“ピアノ通し”もそうであったが、ダブル・キャストのため今日のGPも2回である。シングル・キャストの皆さんやオーケストラ、公演スタッフの皆さんにはちょっと過酷なスケジュールである。
 が、「鉄は熱いうちに打て」という言葉もあるように、“1回目の感触が残っている状態での2回目”というのは、稽古としてはかなり有益である。スタッフ・サイドのテクニカル面も含めて、1回目と比べてあらゆる部分が洗練された2回目であった。

 1回目、2回目ともにGP終了後、キャストと演出チーム、歌唱指導チーム、振付チーム、そしてアクションの渥美さんは稽古場に集合して確認と修正。舞台ではテクニカル面の修正と調整が重ねられる。

 さて。

 明日は初日。ダブル・キャストは土屋さん、加藤さん、太田さんの登板である。幕間の休憩は30分で、カーテン・コールを含めて全体では3時間弱の上演時間を想定している。

 今回の『ローマの休日』の上演が決まったのは何年も前のことである。その時点で「世の中がこんな風になっている」とは誰ひとり想像しなかった。が、こんな風になってみて改めて思うのは、『ローマの休日』は今の私たちに必要な作品なのだ、ということである。

 帝劇をはじめ、劇場街では何か月にも渡って予定されていた公演がキャンセルとなった。『ローマの休日』は図らずも帝劇の通常公演再開の第1弾となる。

 千穐楽まで何が何でも無事でありますように。

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『ローマの休日』通信

10月2日(金)

 午前中は道具調べ・照明合わせの続き。その後、テクニカル・リハーサルの続き。そしてその後、舞台稽古の続き。

 4日間にわたる舞台稽古を無事に終了。明日はゲネプロ。

【「全ての道はローマに通ず」第11回】
 ミュージカル『ローマの休日』は海を越えた。韓国のソウルで、2000年の10月28日から11月5日まで“シンシ・ミュージカル・カンパニー(Musical Company,Seensee)”により韓国語に翻訳されて上演されたのである。
 手元にその時のチラシがあるのだが、当然ながらハングルで記されていて、ハングルにまったく馴染みのない私には残念ながら解読不能である。理解可能なのは「Based on The Paramount Pictures Film"Roman Holiday"」と「Book by MAKOTO HORIKOSHI」「Music by MICHIRU OHSHIMA」「Lyrics by YUKI SAITO」「Original Production TOHO MUSIC co.LTD」のみである。
 著作権者ではない私の名前は当然ながら無い。(第2部終わり/あるのか第3部!?)

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『ローマの休日』通信

10月1日(木)

 午前中はスタッフのみでテクニカル・リハーサル。午後から舞台稽古、昨日の続き。

 『ローマの休日』は劇場入りしてからでないと試せないこと、決められないことが膨大にある。なのでテク・リハも舞台稽古も一筋縄では行かない。

【「全ての道はローマに通ず」第10回】
 『ローマの休日』初演の製作発表が行われたのは1997年10月29日であった。会場に選ばれたのは高輪プリンスホテルの貴賓館で、冒頭で“劇中のワン・シーンを再現する”など、なかなか力の入った製作発表であった。
 再現されたのはラスト・シーンである。
 式武官に扮したキャストのひとりが製作発表に集まってくださった取材陣の前に進み出る。式武官がアン王女のお出ましを告げると、アン王女役の大地真央さんが(本番さながらの扮装で)音楽とともにらせん階段を下りてくる。階下で待ち受ける取材陣の中にジョー・ブラッドレー役の山口祐一郎さんが(やはり扮装で)紛れていて、アン王女に質問をすると……という趣向であった。
 今回は時節柄製作発表が行われなかったのでちょっと寂しい。

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『ローマの休日』通信

9月30日(水)

 午前中はオーケストラと音響チームのサウンド・チェック。午後からスタッフだけでテクニカル・リハーサル。そののち舞台稽古。

【「全ての道はローマに通ず」第9回】
 『ローマの休日』のミュージカル・ナンバーは曲先行で(歌詞が後から)作られて行った。
 大島さんから届いた候補曲についてのミーティングが1997年の10月18日にあった。この時には確か3~4曲の候補があり、その中から2曲が採用となった。後に幕開きの「謁見の歌」になる曲(今回は不使用)と、後に「ローマの休日」になる2曲である。
 「ローマの休日」になった曲は、この時点では今とは異なるAメロ(最初の部分のメロディ)を持っていた。が、Bメロ(中間部分のメロディ)とCメロ(最後の部分のメロディ)は現在皆さんが知っている「ローマの休日」である。Bメロ、Cメロがことのほか素敵だったので、Aをやり直していただくことでこの曲も採用となった。翌年10月に迎える初日のほぼ1年前のことである。

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『ローマの休日』通信

9月29日(火)

 朝から道具調べ・照明合わせ、昨日の続き。その後、スタッフのみでテクニカル・リハーサル。更にその後、キャストも入ってテクニカル中心の舞台稽古。

【「全ての道はローマに通ず」第8回】
 大島さんとの顔合わせの2日後、1997年の6月12日に(私が参加してから初の)脚本打ち合わせが行われた。その時点で既に堀越眞さんの手になる“第1稿”が印刷されていた。
 その後“第2稿”、“準備稿”、準備稿に演出プランやセット・デザインなどを記入した“スタッフ用準備稿”、“決定稿(歌詞なし)”、“決定稿(歌詞入り)”が開幕までに印刷されることになる。
 最終稿となった“決定稿(歌詞入り)”であるが、王女が2幕で歌う「誓い」の歌詞は未掲載であった(まだ曲が仕上がっていなかったので)。

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『ローマの休日』通信

9月28日(月)

 終日道具調べ・照明合わせ。

 美術デザイナーの松井さん、照明デザイナーの高見さん、音響デザイナーの山本さんとは『ヘアスプレー』でもご一緒するはずであった。映像デザイナーの栗山さんには『巌流島』でもお世話になることになっていた。

 今回は皆さんとご一緒することができて本当に嬉しい。

【「全ての道はローマに通ず」第7回】
 大島ミチルさんに初めてお会いしたのは映画『ローマの休日』のビデオを鑑賞した翌日、1997年の6月10日であった。大島さんに会うので慌てて映画を見た、と言うこともできるのだが。
 お目にかかったのは帝劇の地下にあった日本料理店である。話がお互いの年齢のことになり大島さんと私が同年齢だということが判明すると、大島さんはしきりに「同世代の演出家とはやり難いんだよなぁ……」とおっしゃった。

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『オトコ・フタリ』 大阪公演・愛知公演決定

 『オリ』の大阪公演と愛知公演が決定した。日程はこちらからどうぞ。

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『ローマの休日』通信

9月27日(日)

 稽古場最終日。“オケ選抜メンバー”で2回目の通し稽古。

 昨日とキャストが異なるので、昨日とはまた“ひと味違う”『ローマの休日』であった。が、『ローマの休日』の楽しさ、華やかさは何ひとつ変わらない。
 通しの後はいつものように全体でノート。6週間に及んだ稽古場での作業を打ち上げた。

 稽古を終えて劇場のチームと合流。道具調べ・照明合わせに入る。

 今回の『ローマの休日』は舞台美術、その転換と照明・映像、そして音楽が密接に絡み合っている。道具調べ・照明合わせも、いつも以上に神経を使いながら。

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『ローマの休日』通信

9月26日(土)

 オケ合わせの翌日は本来ならば“オケ付き通し稽古”である。が、感染症対策のために今回はオーケストラの“選抜メンバー”で通し稽古。

 ここ何日かの(昨日のオケ合わせも含む)稽古の成果が表れた、収穫の多い通し稽古であったと思う。新鮮で、自然で、スピード感があって、笑いと感動に満ちた『ローマの休日』だった。
 通し稽古後はいつものように全体でノート、明日に向けての課題を共有する。その後、更にいくつかの場面をあたる。

 劇場では昨日に引き続き仕込み作業、そして照明のフォーカス合わせなどが行われている。

 劇場でのスタッフの作業もコロナ以前とは様相が異なっている。本来の今月公演が無くなっていることが大きいのだが、コロナ以前よりも仕込みの日程が前倒しされているのである。
 初日までの“延べ日数”が増えているのだが、その代わりに深夜に及ぶことが少なくなった作業時間帯を見直している。このやり方がニュー・ノーマルとなって行くのか否か、それはまだ分からない。

 さて。

 明日は2回目の“オケ選抜メンバーで”通し稽古。稽古場最終日である。

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『ローマの休日』通信

9月25日(金)

 オケ合わせ。

 生のオーケストラに接するのはいつ以来だろう? 緊急事態宣言の前なのは間違いない。『アニー』も『ヘアスプレー』も中止となってしまったので、今日は待ちに待った日であった。

 音楽担当の演出部・石川さんの手際のよい仕切りでオケ合わせは順調に進行。幕開きからエグズィット・ミュージックまで、全曲を今日1日で無事に合わせ終える。
 今日は「稽古場にスタンド・マイクを複数立て、キャストはマイクの前で(踊ったり動いたりせずに)“歌うこと”と“演奏を聴くこと”に専念する」というスタイルのオケ合わせであった。“音楽に特化して稽古する”ということでもあるし“密を避ける”ためでもある。

 20年ぶりに生のオーケストラで聞く『ローマの休日』の音楽は、大島ミチルさんの才能と愛情が隅々にまで行き渡ったそれはそれは素晴らしいものであった。音楽には人の心を直接動かす力がある。今日も動かされっぱなしであった。

 今回の再演で唯一心残りなのは、今日のオケ合わせに大島ミチルさんがいらっしゃらないことである。ニューヨーク在住の大島さんはギリギリまで来日の可能性を探ってくださったのだが、状況が好転せず来日を断念された。

 さて。

 稽古場も残すところ2日。10月も目の前である。

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『ローマの休日』通信

9月24日(木)

 ピアノ通し。

 ダブル・キャストが3名×2組なので、ピアノ通しも2回。2回公演である。
 今回は稽古がやや駆け足であったにもかかわらず、皆さんきっちりと仕上げてきてくれた印象である。と同時に新たな課題も見つかったので、通し後のノート(いわゆる“ダメ出し”)でそれらを共有する。

 上演時間は今日のところは1幕、2幕ともに1時間08分前後。最終的な仕上がり時間もそれほど大きくは変わらないだろう。これにカーテン・コールの時間がプラスされることになる。

 ダブル・キャストになっているアン王女、ジョー・ブラッドレー、アーヴィング・ラドヴィッチはキャストによって印象が結構異なる。そのことは稽古の初期にも記したが、仕上げの段階になって“違い”がよりはっきりしてきたように思う。
 相手役が変わると芝居の運び方も変わるので、できることなら“異なる組み合わせ”も楽しんでいただけると嬉しい。

 2回公演終了後、稽古場の一画が片付けられ楽器が運び込まれる。明日は待ちに待ったオケ合わせである。

 劇場では井上芳雄さんと中川晃教さんのコンサート『僕らこそミュージック』のバラシ作業が終わり、『ローマの休日』の仕込み作業が始まった。

 開幕の時が刻一刻と近づいてくる。

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『ローマの休日』通信

9月23日(水)

 稽古前に衣裳合わせ。
 まだ済んでいなかった何点かを合わせる。

 続いて“劇中で流れる声”の録音。
 あんな声やこんな声を録る。

 そして抜き稽古。
 昨日、一昨日で1幕、2幕をひと通りおさらいしたので、今日は幾つかの場面を抜き出して重点的に稽古。

 そののちカーテン・コールを作る。
 これは鈴木ひがしさんと桜木涼介さんの担当。私はニコニコ見ている役。

 3日間に及んだオケ・リハは無事に終了した模様。
 リハに立ち会っていた演出部の石川さんが、不安げな私を見かねて近寄ってきて「大丈夫です。楽しみにしていてください」とささやいてくれる。
 石川さんも20年前を知る数少ない“生き残り”のおひとりである。

 明日はピアノ通し×2回。台風の先行きが気がかりであるが……。

 どうぞ被害が出ませんように。

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『ローマの休日』通信

9月22日(火)

 ひと月ぶりに“あること”のレッスン。

 最初のレッスンに立ち会った時には何を聞いてもチンプンカンプンだった私も、多少のことなら聞き分けられるようになってきた。マルコ・ズバラグリ先生、ありがとうございました。

 そして1幕のおさらい。

 久しぶりの1幕である。とても上手に消化された場面もあれば、久しぶりだからねぇ……という場面もあった。が、稽古とはそもそもそう言うものである。明日もっと良くなればいいのである。

 稽古後は照明打ち合わせ。
 照明デザイナーの高見和義さん、舞台監督の佐藤博さん、演出助手の鈴木ひがしさん、演出部の永井誠さんと。

 高見さんが稽古場に現れると「いよいよだな」と思う。身が引き締まる。

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『ローマの休日』通信

9月21日(月)

 稽古前に東京ミッドタウン日比谷へ。

 地下1階の日比谷アーケードで『ローマの休日』の特別ビジュアルが公開されているので、遅れ馳せながらそれを見学に。公開は9月27日までなので未見の方はどうぞお早めに。

 稽古は2幕のおさらい。

 1幕をおさらいした時と同様に、2幕を4つのブロックに分けて稽古。
 ただし、2幕は今までの稽古の中で“複数の場面を繋げること”をやっているので、1幕の時とは異なり最初から3~4場面を繋げて(通して)みる。

 『ローマの休日』で語られるのは“わずか1日半”の間に起こったことである。なので、私たちのミュージカル版でも大半の場面が“直前の場面”と繋がっている。
 どんな作品でも“前後の繋がり”は大切なものであるが、『ローマの休日』では(上記の理由で)“特に”大切だと思う。なので、どんどん繋げてみるのである。

 別稽古場ではオーケストラのリハーサルも始まった。そちらも順調でありますように。

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藤木孝さん

 藤木孝さんの訃報に接した。

 藤木さんは現在稽古中の『ローマの休日』が1999年に名古屋と博多で上演された時に、アン王女の髪を切る美容師のマリオ・デラーニを演じてくださった。

 藤木さんはミュージカル『マイ・フェア・レディ』の初代フレディである。以後、数々のミュージカルになくてはならない方であった。私が演出助手時代にご一緒したミュージカル『シー・ラブズ・ミー』で演じたカフェ・インペリアルのウェイター役も忘れ難い。
 ミュージカルだけでなく数々のストレート・プレイでも存在感を発揮されていた。時に“怪演”とも言うべき濃厚な演技を見せたかと思うと、冷静でリアルなお芝居もきっちりとなさった。ご本人は知的で上品で奥ゆかしい方でいらした。

 近年ではミュージカル『パレード』を拝見した。その時にお話しさせていただいたのが最後となった。『パレード』は来年1月の再演が決まっていた。

 ご冥福をお祈りいたします。

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『ローマの休日』通信

9月19日(土)

 2幕8場、2幕9場、2幕10場を作る。そしてミュージカル・ナンバーの固め。

 これでラスト・シーンまで行き着いた。まずは胸を撫で下ろす。
 2幕の後半は物語が急速に展開する。陽気で軽やかだった休日も、切なく、胸を締めつけられるような趣きに変わる。登場人物の少ない場面が続くので、稽古場の空気もしっとりとしたものになる。

 かつて手掛けた作品を、20年の時を経て再び演出するのはとても不思議な感覚である。

 当時のこと――台本や音楽を作るプロセス、稽古の過程など――はつい昨日のことのように覚えている。その20年前にやったことを、20年分の経験を重ねた現在の私が添削しているような感覚である。
 或いは、まったく記憶から欠落していたような出来事を稽古中に突然思い出す、と言うようなことも時々起こる。

 どちらにせよ、そのたびに私の感情は大きく揺さぶられる。が、揺さぶられていては演出はできないので稽古場では平静を装っている。

 明日は稽古OFF。連日長時間の稽古が続いているので、ちょっと嬉しい。

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『My Story -素敵な仲間たち-』千秋楽 そして『ローマの休日』通信

9月18日(金)

 スペシャル・トークショー『My Story -素敵な仲間たち-』2日目にして千穐楽。素敵な仲間は昼・夜ともに中川晃教さんであった。
 
 今回のトークショーを演出するにあたって心を砕いたのは“帝劇を存分に生かすこと”、そして“希望に満ちたショーにすること”であった。
 前者の実現については、美術の野村真紀さん、照明の古澤英紀さん、音響の碓氷健司さんら、帝劇を熟知したクリエイティブ・チームの皆さんと、舞台監督の廣田進さん、そして劇場スタッフの皆さんが果たしてくださった役割が大きい。
 そして後者は、同じ場所・同じ時間を共有してくださったお客様の存在が、何よりも“希望そのもの”であるように私には思われた。

 この企画が実現したのには“コロナ禍で本来の公演が開催されなかった”ことが大きく作用している。そう考えると“今後2度と観ることのできないトークショー”であったのかも知れない。

 『ローマの休日』は2幕5場B、2幕6場、2幕7場を作る。その後2幕5場Aをブラッシュ・アップ。

 ラスト・シーンが見えてきた。

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『My Story -素敵な仲間たち-』初日 そして『ローマの休日』通信

9月17日(木)

 “ミュージカルの帝王と仲間たちが繰り広げる、予測不能なスペシャル・トークショー”という触れ込みの『My Story -素敵な仲間たち-』が初日を迎えた。

 今日と明日で計4回行われるトークショーのホストは“帝王”山口祐一郎さんで、山口さんは全ての回にご出演。そして本日の素敵な仲間たち。昼の部は浦井健治さんと保坂知寿さんで、夜の部は加藤和樹さんと平方元基さんであった。

 ご来場くださった皆さん、配信でご覧くださった皆さん、ありがとうございました。そして……楽しんでいただけただろうか? ご感想をTwitterでつぶやいていただけると嬉しい。(こちらを見てね)

 さて『ローマの休日』は2幕4場ABのおさらいから。
 今日も少人数の稽古場なので、“その場面で起こっていること”をいつも以上に丁寧に掘り起こす。

 そののち抜き稽古。
 今までに手を着けた場面の中で、稽古が足りていないと思われる場面を“抜き出して”稽古。

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『オトコ・フタリ』公式サイト リニューアル

 シアタークリエで12月12日に初日を迎える『オリ』の公式サイトがリニューアル。扮装したキャストの写真、公演日程やチケット情報など詳細が発表された。

 公式サイトへはこちらからどうぞ。

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『ローマの休日』通信

9月16日(水)

 アクションの渥美博さんが登場。存分に腕を振るってもらう。

 渥美さんの生み出すアクションや殺陣が“シリアスなもの”から“ユーモア溢れるもの”まで実に幅広いことは9月5日のブログでも触れた。今回は、どちらかと言えば後者である。
 アクション自体は至って真剣なものなのだが、真剣なアクションを絶妙のタイミングで組み合わせて行くと、そこはかとないユーモアが生まれる。渥美マジックである。加えてアクションを組み立てて行く過程が(すなわち稽古自体が)前向きで陽気である。なので今日も稽古場では笑いが絶えることが無かった。

 願わくば稽古場は楽しい場所でありたい。劇場入りした後の舞台裏も同様でありたい。私はそう思っている。クリエイティブ・チームを編成する時に真っ先に考えるのはそのことである。

 アクションを整理した後は2幕2場と2幕3場のおさらい。ドラマが少しずつ立体的になってくる。

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『My Story -素敵な仲間たち-』通信

9月16日(水)

 帝劇で朝から仕込み作業。

 『My Story -素敵な仲間たち-』は2日間だけのトークショーなので、大きなセットも無いし演奏者もいない(もちろん稽古もない)。
 が、予定されている90分間“何も変化が無いのも如何なものか”と思うので、ささやかながら今日はその準備。

 今回のトークショーはLiveで映像が配信されるのだが、アーカイブや見逃し配信などは行われない。平日なのでお仕事などの方には大変申しわけないのだが、どうかご了承くださいますように。

 私自身がその時間に仕事をしているので4回公演の全てを観ることができない。稽古中にこっそりLive配信観るか?

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『ローマの休日』通信

9月15日(火)

 今日は3つの作業が同時進行していた。

 ひとつ目は帝劇の舞台を借用しての作業。
 帝劇の休館日を利用して『ローマの休日』で使用する舞台機構を稼働させてチェック。そして稽古場で確認することが困難な幾つかの場面を稽古。

 ふたつ目は大道具発注の最終確認。
 こちらは美術デザイナーの松井るみさんと舞台監督の佐藤博さん、そして大道具を製作する東宝舞台の担当者さんで。大道具製作の細部を詰める。

 そして稽古場である。私は稽古場の担当である。
 稽古では2幕3場、2幕4場AB、そして2幕5場Aを作る。

 2幕3場は「事故現場」。つまり……事故ったのである。
 ここは“脚本に書かれていること”を実現するのは難易度が高いな、と感じていた場面なのであるが、キャストの皆さんの創意工夫のお陰でとても印象深い場面になったと思う。私的にはこの場面だけでも「再演になってよかった」と感じられる場面である。

 2幕4場Aは「サンタ・マリア・コスメディン教会へ続く道~真実の口」(長いな)。Bは「祈りの壁」である。
 ここにはアン王女、ジョー、アーヴィングの3人しか登場しない。広大な帝劇の稽古場で“キャスト3人だけ”の場面を稽古するのはちょっとした贅沢感がある。実際には稽古場内のキャストの数は(3役ともWキャストなので)3人ではないのだが。

 2幕5場Aは「船上の舞踏場」。
 ローマ市内を流れるテヴェレ川に艀(はしけ)を浮かべて、そこが舞踏場(ダンス・ホール?)になっている。川の向こう側にサンタンジェロ城を望むロマンティックな場所である。
 ここではあんなことやこんなことが起こるのだか、もう物語も終盤なので内容には触れない。

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『ローマの休日』通信

9月14日(月)

 午前中から衣裳の仮縫い。アン王女、ジョー、アーヴィング、伯爵夫人、そして将軍。

 稽古場は2幕に突入。まず2幕1場を作る。

 2幕1場は大使館の「伯爵夫人の部屋」。
 アン王女の姿が見えなくなりヴィアバーグ伯爵夫人は気が気でない。将軍が手にする今日の新聞には「アン王女急病」の見出しが躍っている。そこに現れた大使が連れて来たのは……。

 続いて2幕2場を作る。ここは3つのセクションに分かれている。

 2幕2場Aは「ロッカズ・カフェ」。ローマの街角にある“テラス席のあるカフェ”である。
 ジョーの案内でやって来た王女は念願のテラス席に座る。そこにアーヴィングも登場。アーヴィングは電話でジョーに呼び出されたのだが……。

 ここにはミュージカル・ナンバー「ローマ最新観光案内」がある。まずナンバー前の芝居部分を整理し、そののちステージングに進む。

 2幕2場Bは「スクーター・シークェンス・パート1」。ジョーが後ろにアン王女を乗せてヴェスパでローマ市内を回る、映画でも有名なシークェンスである。
 このシークェンスは「ローマ最新観光案内」の一部になっている。王女、ジョー、アーヴィングが市内の名所をスクーターで(アーヴィングは自分の車で)巡っていると、ホイッスルがけたたましく吹き鳴らされ……。

 そして、2幕2場Cは「スクーター・シークェンス・パート2」である。が、残念ながら今日は時間切れ。宿題となる。

 稽古場にヴェスパがやって来た。想像していた以上にいい感じ。嬉しい。

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『ローマの休日』通信

9月12日(土)

 1幕のおさらい。1幕を4つのブロックに分けて稽古を進める。

 3~4場面で1つのブロックにし、まずは個々の場面で確認・修正を行う。その後、ブロック内の3~4場面を繋げて(通して)みる。それが終われば次のブロックに移り、同様のことを繰り返す。この方法で1幕の全場面のおさらいを何とかやり終える。

 ブロックごとの稽古の最後に“通す”ことで作品の“流れ”を(ある程度は)体感できるわけであるが、今日の経験は将来の稽古で効いてくるはずである。
 それはキャストの皆さんだけでなく、稽古場を回す演出部の皆さんの手順にも言えることである。通し稽古が近づいてきた暁には少なくない恩恵を感じられることだろう。

 さて。

 明日は稽古OFF。皆さん、どうぞ良い休日を。

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『ローマの休日』通信

9月11日(金)

 今日は女性アンサンブルの皆さんの、ドレスの仮縫いから。
 冒頭の“アン王女歓迎の舞踏会”場面で着用されることになるドレスである。上品でシックな色遣いが素晴らしい。衣裳デザイナーの前田文子さんもご満悦。(もちろん私も!)

 稽古では1幕10場B、そして1幕11場を作る。

 1幕10場はアン王女が訪れる「美容院」の場面。10場Aは店の表で、10場Bは店内である。
 10場Bにはステージング済みのミュージカル・ナンバー「カット!」があり、今日はそのブラッシュ・アップを入念に。更にナンバー前後の芝居部分を作る。

 そして1幕11場。「スペイン広場」である。

 スペイン広場はローマの名所の中でも最も有名な場所のひとつである。スペイン広場で思わぬ再会を果たしたアン王女とジョー。ジョーは王女に「今日1日、好きなことをやって過ごす」ことを勧める。王女の表情がひときわ輝いて……。ここで歌われるナンバーは「ローマの休日」である。

 更にその後、昨日手を着けたミュージカル・ナンバー「ショッピング」をブラッシュ・アップ。今日も長い1日であった。

 さて。

 駆け足ではあるが、これで1幕をひと通り当たり終えた。しかし当たり終えただけなので、明日は1幕のおさらい。

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『ローマの休日』通信

9月10日(木)

 まず1幕4場をおさらい。続いて「船上のダンス・パーティ」の振り付けの続き。そして1幕9場を作る。

 1幕9場は「オープン・マーケット」。
 ここにはミュージカル・ナンバー「ショッピング」があり、アン王女が大使館へ帰る途中に通った“青空市場”での情景が描かれる。その振り付けから手を着ける。

 時間にすればわずか1分30秒ほどのナンバーなのだが、大勢の登場人物が別々の振りを踊ることになるので「今日は時間かかりますよ」と振付の桜木涼介さんが最初に宣言。
 が、一旦振り付けが始まると、桜木さんはものすごいエネルギーとスピードでこの複雑なナンバーをどんどん形にして行く。この人の頭の中は一体どうなっているのだろう……?

 ひと通り振りを付け終わるのには5時間ほどを費やした。それでもまだ“ざっくりと”付けたに過ぎないのだが。

 今日は全てのシーンに王女様とジョーが登場していた。長丁場の稽古で、覚えることも膨大で、歌って、踊って、演じて……本当にお疲れさまでした。

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『ローマの休日』通信

9月9日(水)

 稽古前に舞台美術と映像・照明の現状を確認・共有するための打ち合わせ。
 稽古もある程度進み、大道具や映像機材などの様子も見えてきたので、このタイミングでいま一度ミーティング。我々稽古場チームと各デザイナー・チームの意思疎通を図る。

 稽古は昨日の続き、ミュージカル・ナンバー「自由」のブラッシュ・アップから。
 昨日は“ゆっくりとしたテンポ”で“ブロックごとに止めて確認しながら”稽古していたのだが、今日は“本来のテンポ”で“全体を止めずに”やれるレベルにまで進歩。

 続いて1幕5場、そして1幕8場を作る。
 1幕5場、そして8場はどちらも「ジョーのアパート」。5場にはミュージカル・ナンバー「素敵な夢」と「悪い夢」がある。「素敵な夢」は既にステージングを済ませてある。

 映画の『ローマの休日』をジャンル分けするとすれば“コメディ要素のある恋愛映画”または“ロマンティック・コメディ”に分類されると思っているのだが、ミュージカル版はさしずめ“ロマンティック・ミュージカル・コメディ”だろう。
 1幕5場も8場も“ロマンティック・コメディ”と呼ぶのにふさわしい楽しい場面。稽古を見ている私もつい頬が緩んでしまう。

 別稽古場では並行して2幕のミュージカル・ナンバー「船上のダンス・パーティ」の振り付けに着手。進められる部分からどんどん進行。

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『ローマの休日』通信

9月8日(火)

 立ち稽古。1幕3場を作る。

 1幕3場はスペイン広場近くにある「ホテルの一室」である。今日はまず前半の芝居部分を作り、その後、既にステージングされている「それが人生」に繋げる。
 煙草の煙が立ち込める部屋でポーカーに熱中しているのはアメリカ記者クラブの面々。メンバーの中にはジョーとアーヴィングの顔もある。今夜独り勝ちしているのは……。

 続いて1幕1場をおさらい。
 一昨日より“舞台の実寸が取れる稽古場”に移ったので、立ち位置や動線などを実寸で調整。

 更に1幕2場Aをおさらい。その後、この場面にあるミュージカル・ナンバー「自由」をステージング。
 「自由」は物語前半のハイライトとなるナンバーである。ナンバーの中では“アン王女が大使館を抜け出す行程”が描かれる。

 表現手法は至ってシンプルなナンバーなのだが、シンプルなりに様々な要素を同期させる必要はある。なので、ステージングにはけっこう時間がかかる。が、時間がかかることは織り込み済み。で、今日はざっくりと全体を作るにとどめ、明日の稽古でブラッシュ・アップ、という作戦。

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