『ジキル&ハイド』通信 そして『ラ・カージュ・オ・フォール』千穐楽

1月29日(日)

  立ち稽古。婚約披露パーティの場面をおさらい。

  ミュージカル『ジキルハイド』は、ジキル博士の友人、弁護士のアターソンのモノローグで幕を開ける。モノローグの中でアターソンは「(この悲劇が起こったのは)1888年の秋のことでした」と言っている。
  原作小説の中にも日付に触れる部分があるのだが、そこには「18××年」としか書かれていない。原作の出版が1886年であることは以前記したが、この小説は(出版当時の)現代劇として書かれているので、舞台が19世紀の終わり近くであることはことは間違いないだろう。
  では、ミュージカルではなぜ1888年と特定されているのだろうか?

  1888年の秋にロンドンでは、「切り裂きジャック」で有名な連続殺人事件起こっている。この事件は現在に至るまで未解決で、犯人もどこの誰だったのか分からない。それで「切り裂きジャック」と呼ばれている訳だが、その「連続殺人」や「犯人が不明」と言う部分が、 『ジキルハイド』のストーリーと見事にオーバーラップする。
  ミュージカルの作者たちが1888年を舞台に設定した意図も、それで理解できないだろうか。

  さて。

  1月7日に幕を開けた『ラ・カージュ・オ・フォール』東京公演も本日千穐楽。ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。キャスト&スタッフの皆さん、お疲れさまでした。
  引き続き『ラ・カージュ・オ・フォール』は旅に出る。
  会場は大阪/梅田芸術劇場と名古屋/愛知芸術劇場で、大阪公演は2月3日~5日、名古屋は2月12日、13日である。お見逃しなく。

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『ジキル&ハイド』通信

1月28日(土)

  立ち稽古。ヘンリーとエマの婚約披露パーティーの場面を作る。その後、プロローグ~病棟、そして理事会の場面をおさらい。

  『ジキル博士とハイド氏』は、映画やテレビドラマだけでなく、文学、漫画……と、様々な媒体で作品化されている。舞台を現代に置き換えたり、変身後の姿が女性だったり、変身が悲劇ではなく笑いを生み出したり、原作の設定を離れた作品も少なくない。
  そもそも、原作小説の主人公はジキルではなく、ジキル博士の友人で弁護士のアターソンである。原作では、アターソンの身の回りで起こった血も凍るような恐ろしい出来事がアターソンの視点で綴られている。ジキルは、アターソンがジキルの元へ出かけて行った時にしか登場しない。しかも原作のジキルは青年医師ではなく50代の初老の男である。そしてヒロインがひとりも登場しないことは一昨日記した通り。

  その原作から、ジキルを主人公にした脚色を誰かが思いつき、誰かが2人のヒロインを登場させ、それらの集積の中から、ミュージカル『ジキルハイド』も生まれたのである。

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『ジキル&ハイド』通信

1月27日(金)

  立ち稽古。プロローグとそれに続く病棟の場面、そして理事会の場面を作る。

  小説『ジキル博士とハイド氏』の映像化は、サイレント映画の時代から数多く行われている。「ジキル」「ハイド」と言ったキー・ワードで検索をかければ、現在でも様々な作品がヒットする筈である。
  映画作品の代表作のひとつは、フレデリック・マーチがヘンリー・ジキルを演じた1932年製作のルーベン・マムーリアン監督版だろう。マーチはこの演技でアカデミー主演男優賞を受賞している。
  もうひとつ挙げるとすれば、名優スペンサー・トレイシーが主人公を演じ、イングリッド・バーグマンとラナ・ターナーが主人公を取り巻く2人の女性に扮した1941年製作のビクター・フレミング監督版がある。
  この2本を1枚に収めたDVDが以前発売されていたのだが、現在ではやや入手困難かもしれない。

  新しいところではジョン・マルコピッチがジキルを演じ、ジュリア・ロバーツがジキル邸の奉公人を演じる1996年製作のスティーブン・フリアーズ監督作品『ジキル&ハイド』を挙げておく。
  これは厳密にはスティーブンソンの小説が原作ではなく、その物語をジキル邸の奉公人の視点から描いたヴァレリー・マーティンの小説が原作である。が、当時の風俗や物語展開、美術、演技など、見るべきものが少なくない。
  ミュージカル・ファンにとってはクリストファー・ハンプトンが脚本を担当していることも見逃せないだろう。ハンプトンは、ミュージカル『サンセット大通り』(音楽/アンドリュー・ロイド・ウェーバー)や、ミュージカル『ドラキュラ』(音楽/フランク・ワイルドホーン)の脚本、そしてミュージカル『レベッカ』(作/クンツェ&リーヴァイ)のウェストエンド/ブロードウェイ上演のための英語台本などを担当している。
  但し、この映画はミュージカルではない。それに血生臭い描写も登場するので、念のため。

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『ジキル&ハイド』通信

1月26日(木)

  立ち稽古スタート。「嘘の仮面」をステージング。

  ミュージカル『ジキルハイド』の原作は、『宝島』で有名な19世紀のイギリスの小説家、ロバート・ルイス・スティーブンソンの書いた小説『ジキル博士とハイド氏』である。日本でも今までに色々な翻訳で出版されているが、現在入手し易いのは新潮文庫版『ジーキル博士とハイド氏』と創元推理文庫版の『ジキル博士とハイド氏』であろう。
  1886年に出版された小説のストーリーは、ミュージカル版とは大きく異なっている。これから読まれる方の為に詳細は伏せるが、小説にはエマやルーシーと言ったヒロインは登場しない。つまり、ヘンリー・ジキルのラブ・ストーリーという側面は、この小説を原作とした夥しい脚色の中で生まれて来たものなのである。

  新潮文庫版でも創元推理文庫版でも100ページをちょっと超える程度の短い小説なので、未読の方はこの機会に是非。

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『ジキル&ハイド』通信

1月25日(水)

  今日も読み合わせ。

  昨日の読み合わせで意見交換したこと、気付いたこと、上手く行かなかったこと、などなどを再確認するために、2度目の読み合わせ。
  色々なことがキャストの皆さんの腑に落ちて、表現が具体的になったり、流れが良くなったり、メリハリが付いたり……、密度の濃い、充実した2度目であった。
  明日からは、いよいよ立ち稽古に入る。まずは「嘘の仮面」をステージングする予定。

  現在使用している稽古場は、芝居の稽古場には珍しく新築である。
  稽古場と言う物は、大抵は、以前は倉庫であったり、事務所であったり、本来は他の用途向けであった建物を改装して稽古場にしているケースが多い。
  なので、新築の、真新しい、初めから芝居の稽古場として建てられた稽古場、と言うのは結構新鮮である。
  この稽古場が益々発展して行くことを祈念したいと思う。

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『ジキル&ハイド』通信

1月24日(火)

  顔寄せ、そして読み合わせ。

  キャスト、スタッフの他、東京公演を主催する東宝・ホリプロ・フジテレビジョンの関係各位、そして大阪公演主催の梅田芸術劇場・関西テレビ放送、名古屋公演主催のキョードー東海などの関係各位がご参集くださった。
  各人のご紹介に続いて東宝の増田専務がご挨拶。いままでの日本版が「人間を描いた芝居として優れていた」と作者たちから絶賛されたことを披露された。そして、いままでの上演は一切忘れて新しい『ジキルハイド』を創って欲しい、とも述べられた。
  私も「ご覧になったお客さまの人生を変える様なミュージカルにしたい」と、珍しく気負った風な抱負を述べる。

  顔寄せ後は読み合わせ。上演台本・訳詞の髙平哲郎さんが付き合ってくださった。
  稽古初めの読み合わせは、何はともあれ「通して読んでしまう」ことが多いのだが、今日はそうせずに、幾つかの場面で区切って、その場面で起きていることの意味や狙い、人物像やその心理、時代背景などを説明しつつ、キャストとの質疑応答もありつつ、少し時間をかけて読み合わせを行った。
  カンパニー全体で「『ジキルハイド』をどう捉えるのか」を共有しておきたかったからである。

  読み合わせ終了後は、振付の広崎うらんさんによるフィジカル・ワークショップ。
  2人ずつペアになって体をほぐすことから始め、「身体を使って表現すること」や「表現のスタイルを共有すること」などの実験(或いは遊び)を行った。ひとりひとりが今日体験した感覚が、この先の稽古で生きて来る筈である。
  ワークショップの過程で、他人行儀な所が少なくなかった稽古場も見違える様に打ち解けた。むしろそれがワークショップを設定した広崎さんの本当の目的だったのかもしれないが。

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『ジキル&ハイド』通信

1月23日(月)

  歌稽古。

  今日で歌だけの稽古は終了となる。明日からは稽古場が代わり、本格的な稽古がスタートする。
  以前に『ジキルハイド』をご覧になった方にはお分かり頂けると思うが、「嘘の仮面」や「事件、事件」など、歌だけの稽古では「いま舞台上で何がどうなっているのか」よく分からないナンバーも多い。
  特に2幕冒頭の「事件、事件」は、私も頭の中には構想があるのだが、所詮は頭の中なので、実際に音楽の中で各キャラクターがそれぞれの動機で動いてみた時に、その構想通りの物が見えてくるのかどうかは甚だ心許無い。
  だが、そんなモヤモヤとも今日でおさらばである。これからは嫌でもナンバーが立体化されて行くからである。別に嫌じゃないけど。

  東京地方は、冷たい雨が夜には雪に変わった。明朝の交通が混乱しないと良いのだが。幸先が悪いし。

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『王様と私』 そして『ジキル&ハイド』通信

1月17日(火)

  午前中は『王様と私』の舞台美術打ち合わせ、午後は『ジキルハイド』の稽古場へ。

  『王様と私』の美術デザイナーは土岐研一さんである。
  土岐さんとは以前『メモリーズ~かつて過ごし日々を愛でるということ~』でご一緒した。その他にも、松井るみさんのアシスタントとして『パイレート・クイーン』『風と共に去りぬ』などでもお世話になっている。
  『王様と私』はブロードウェイの黄金時代の作品である。これまでの上演では、大勢のキャストと共に豪華絢爛なセットが舞台狭しと贅沢に飾られて来た。昨日も記した様に、それを今回は大胆に軽量化しなければならない。
  今日は具体的なデザインの話に入る以前の段階、どのような方針で今回の舞台美術を考えるのか、という段階の打合せであった。幸いなことに、土岐さんと私の考えは同じ方向を向いていた。デザインの話をするのが楽しみになって来た。

  『ジキルハイド』は今日も歌稽古。
  コーラス物は順調に仕上がって来た。が、「理事会」の様な、とても歌い辛く、音を取り難いナンバーもあり、キャスト一同結構苦労している。
  楽曲の難しさに日本語で歌うことの困難が加わるので、日本語でミュージカルを上演すると言うことは、原語での上演に比べるととてもハードルの高い作業となる。その困難に敢然と立ち向かう俳優たちの姿勢にはつくづく頭が下がる。

  稽古後は広崎うらんさんとステージング、振付の打ち合わせ。
  『ジキルハイド』は、ダンス・ナンバーがふんだんに登場する様な作品ではないが、音楽の中で何かを象徴的に表現したり、群像を様式化してスタイリッシュに見せたり、など、広崎さん(と呼ばれるのをご本人は嫌がるのだが)の才能が必要となるシーンは少なくない。
  「リアル」と「アンリアル」の、緊張感のある共存を目指したい。

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『王様と私』 アンサンブル・オーディション

1月16日(月)

  ブロードウェイ・ミュージカル『王様と私』 のアンサンブル・オーディション。

  一般社団法人映画演劇文化協会が運営する「ハロー・ミュージカル! プロジェクト」。その活動のひとつである「ミュージカル・ツアー」の第1弾として取り上げられるのが今回の『王様と私』である。
  今日のオーディションにも大勢の方が参加してくださり、熱の籠ったダンスや歌を見せて(聞かせて)くださった。皆さん、ありがとうございました。

  今回のツアーでは、東京を皮切りに千穐楽の大阪まで、18か所での公演が予定されている。
  以前にもこのブログで触れたが、この規模のミュージカルをこのスケジュールで公演する為には、色々と解決しなければならない課題が多い。プロダクション全体の物量も、今までの『王様と私』より相当コンパクトにしておく必要がある。

  それは当然キャストの人数にも跳ね返ってくる。過去の帝劇などでの上演では、大人のキャストだけで50人ほどが出演していたのだが、今回のツアーでは、その半分くらいの人数で賄わなければならない。
  その結果、今日のオーディションはかなり狭き門となった。本当はご一緒したい方が何人もいたのだが、涙を飲んで人数を絞らせてもらった。

  苦労は少なくないが、それでも今回のツアーには大変な意義があると思う。特に、宮城県や岩手県で公演されることには。
  その実現の為にお力をお貸しくださった全ての皆さんに、改めて感謝と敬意を表したい。

 

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『ジキル&ハイド』通信

1月13日(金)

  稽古は無し。衣裳チーム、ヘアメイク・チームと、香盤(キャストがどの場面に何の役で登場するかを記した一覧表)の打ち合わせ。

  『ジキルハイド』のキャストは22名。大劇場のミュージカルとしては、決して多い人数ではない。むしろ少ないと言った方が良い数である。
  この人数は前回までのヴァージョンと変わらない。カーテン・コールで全キャストがラインナップしたのを見たお客様の、「この人数でやっていたとは思えない」という感想をよく聞いたが、そう感じていただけたのなら、それは私たちの誇りである。
  それは、裏返せば「キャストがどの場面に何の役で登場するか」が、緻密に、且つ周到に計算されていたから可能だったことなので、今日の打ち合わせも、その辺りに目を配りつつ行われた。

  一部のキャストは、前回までのヴァージョンより忙しくなるかもしれない。

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『ジキル&ハイド』通信

1月12日(木)

  『ダンス オブ ヴァンパイア』の大千穐楽である。が、既に東京に戻っている。木曜日定例の日大芸術学部演劇学科の授業が今日から再開されるからである。

  短い大阪滞在の間に、西村雅彦さん、近藤芳正さんと再会した。
  『ダンス オブ ヴァンパイア』を上演中の梅田芸術劇場メインホールの階下がシアタードラマシティで、そちらでは西村さんと近藤さんの2人芝居『90ミニッツ』がちょうど大阪初日を迎える所なのであった。
  2人が出演して私が演出した三谷幸喜/作『笑の大学』から早15年。こうして、それぞれに仕事を続けていられる幸運に感謝したい。

   『ジキルハイド』は今日も歌稽古。
  この作品には大きなナンバーが次から次へと登場する。「時が来た」を始め、「その眼に」や「あんな人が」「新たな生活」などであるが、大勢のコーラスで歌い継ぐ「嘘の仮面」や「事件、事件」も鳥肌が立つ程格好良い。
  この「官能的な」音楽を、さて、今回はどの様に視覚化するか。

  稽古後は、『ジキルハイド』で振付を担当してくれる広崎うらんさんと打ち合わせ。
  うらんさんには昨年、『風と共に去りぬ』のバザー・シークェンスのダンスでもお世話になった。今度はいよいよミュージカルである。楽しみ。

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大阪へ 『TDV』前楽

1月11日(水)

  大阪に来ている。梅田芸術劇場メインホールで公演中の『ダンス オブ ヴァンパイア』を観るためである。

  大阪公演は1月7日から始まったが、早いもので、明日(12日)がもう千穐楽である。
  かつて大都市の大劇場での公演は1カ月単位で行われることが普通であった。残念なことだが現在では、大阪に限らず名古屋などでも、大劇場での1カ月の興行は成立し辛くなっている。それでこの『ダンス オブ ヴァンパイア』も1週間弱の公演期間なのである。
  だが、嬉しい誤算……と言うか、大阪の『ダンス オブ ヴァンパイア』は、チケットが完売するほどの大人気であった。こんなことならもう少し長い上演期間でも良かった、と、誰よりも劇場関係者が感じていることだろう。

   客席の方は、東京に劣らず大変な盛り上がりであった。前楽だからなのか、連日そうなのか、私には分からないが、関係者のひとりとしてこれほど嬉しいことはない。
  そして、今日はダブルキャストの3人、アルフレートの山崎育三郎さん、サラの高橋愛さん、ヴァンパイア・ダンサーの森山開次さんが一足早く千穐楽。カーテン・コールではそれぞれにご挨拶を述べられた(森山さんは言葉でではなく、ダンスで)。

  3度目の『ダンス オブ ヴァンパイア』もいよいよフィナーレを迎える。どうか良い千穐楽になります様に!

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『ジキル&ハイド』通信

1月10日(火)

  今日も歌稽古。

  このブログの以前に、私は「Show Goes On!」と言うタイトルでブログを書いていた。
  このブログとの違いは「!」マークがひとつかふたつかと言うだけで、やっていることは現在と何も変わらないのだが、そちらにはジキルハイド再々演(2005年)時の記事が残っている。

  当時は作品毎のカテゴリーなどを設定していなかったので、日付が飛んでいる記事などはちょっと探し難いのだが、ジキルハイド』通信がほぼ連日綴られている部分の第1日目にリンクを張っておく(こちらからどうぞ)。

  興味とお時間のある方は覗いてみてください。

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『ジキル&ハイド』通信

1月9日(月)

  『ジキルハイド』の歌稽古が始まっている。

  『ジキルハイド』は、1990年の5月にアメリカ、テキサス州ヒューストンのアリ―劇場で初演されたミュージカルである。様々な改定が施され、ブロードウェイのプリマス劇場に登場したのは1997年4月である。
  日本での初演は2001年の11月。以後、2003年、2005年、2007年と再演が繰り返された。今回の上演は再演ではなく新製作(ニュー・プロダクション)である。キャストも一新され、舞台美術やステージングなど、演出も一からやり直している。

  このブログに、前回(2007年)の『ジキルハイド』通信が残されている。
  稽古中のほぼひと月に渡って、初演時の裏話などが綴られている。初演時に来日された脚本・作詞のレスリー・ブリカッスさんご夫妻と会食した時のエピソードなど、貴重な記録も残されているので、興味のある方はご覧ください。
  『ジキルハイド』関係の記事は「2007年3月」から「5月」の間にまとまっている。ここから「2007年3月」の記事に飛ぶことができるが、このページ右にある「バックナンバー」からも行くことができる。

  新生『ジキルハイド』は、2012年3月6日から日生劇場で。その後、大阪と名古屋でも上演される。

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ミュージカル『シラノ』 再演決定!

   『ジキルハイド』を創り出したレスリー・ブリカッスさん(脚本・作詞)とフランク・ワイルドホーンさん(音楽)によるミュージカル『シラノ』の再演が決定した(こちらから)。

  タイトル・ロールの、剣豪にして詩人、巨大な鼻を持つロマンティスト、シラノ・ド・ベルジュラックを演じるのは、もちろん鹿賀丈史さんである。
  2013年1月の日生劇場にて上演。その他の詳細は続報をお待ちいただきたい。

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初日 『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

1月7日(土)

  大変素敵な初日であった。

  前回公演(2008年~2009年)のカーテン・コールでは、初日から千穐楽まで、途切れることなくスタンディング・オペ―ションであった。その記録を(昨日のゲネプロを含め)今日現在更新中である。
  終演後の舞台裏は誰もが幸福そうだった。
  初日の終演後と言うものは大抵興奮に包まれているものだが、『ラ・カージュ・オ・フォール』のそれは特別である。それは、『ラ・カージュ・オ・フォール』が、携わる者ひとりひとりに誇りを抱かせてくれる作品だからだと思う。ショー・ビジネスに携わることの誇りをこれほど感じさせてくれる作品を、私は他に知らない。

  大阪の梅田芸術劇場では『ダンス オブ ヴァンパイア』も本日初日。とてもタイトな持ち時間で幕を開けているので、キャスト&スタッフの皆さんは相当大変だったろうと思われる。皆さん、ご苦労様でした。

  これで『ラ・カージュ・オ・フォール』通信はお終いである。ご愛読ありがとうございました。次は『ジキルハイド』通信。すぐ始まります。

  最後にひとつ残念なお知らせが。
  カジェルのクロクロを演じる佐々木誠さん(『ウェディング・シンガー』の偽レーガン大統領は秀逸だった)が怪我のため休演。佐々木さんが1日も早く復帰できます様に。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

1月6日(金)

  午後から舞台稽古、昨日の続き。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』では、田中直樹さんの舞台美術と沢田祐二さんの照明が、素晴らしく美しい瞬間を幾つも作ってくださっている。
  特に私が好きなのは「ムッシュ・ルノーのカフェ」のシーン。港町サントロぺの風景が、1幕では月の美しい夜、そして2幕では爽やかな朝日の中、ロマンティックに浮かび上がるのである。

  舞台稽古終了後、休憩を挟んで、ゲネプロ(通し舞台稽古)。

  今日のゲネプロには取材のカメラが多数入った。なので、その様子は芸能ニュースなどで流されるだろう。そして、沢山のギャラリーも集まってくださった。もちろん皆さん関係者であるが。
  舞台は、映画やTVドラマなどとは異なり、客席が観客で埋まって初めて完成する。特に『ラ・カージュ・オ・フォール』の様な種類の作品は、無人の劇場で上演しても虚しいばかりで、有意義なことは何ひとつない。なので、ゲネプロでは、できるだけ多くの関係者に集まってもらうことにしているのである。
  その甲斐あって、今日の日生劇場はオーヴァーチュアから大いに盛り上がった。カーテン・コールではスタンディング・オペ―ションまで頂いた。ゲネプロでスタンディングは、私も初めての経験であった。

  明日は初日。皆さん、しっかりと目を開けて。いよいよ開幕、『ラ・カージュ・オ・フォール』

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

1月5日(木)

  舞台稽古1日目。

  昼過ぎから、まずは舞台監督・二瓶剛雄さんによる舞台上、舞台裏の説明(オリエンテーション)。舞台袖の様子や袖中の導線など、客席から見えない部分の条件をキャスト一同も共有することで日々の安全が保たれる。舞台を何事もなく進行させるための大切な時間なのである。
  オリエンテーション後は早速舞台稽古を開始。幕開きより場面毎に、出入りや着替え、音響のバランスなどを確認しつつ、2幕2場に入った所まで、快調なペースで当たり終える。

  キャストの殆どが前回(2008~2009年)から続投しているし、公演スタッフにも劇場スタッフにも前回の経験者が大勢残っている。これは理想的な再演の在り方である。
  そのお陰で、前回積み残した様な細部を練り上げたり、より洗練させたりと言ったことが可能となり、作品のあらゆる部分がクォリティ・アップされるのである。
  前回(2008年~2009年)は『ラ・カージュ・オ・フォール』の集大成を作る決意で取り組んだのだが、今回はそれを凌ぐ、名実共に『ラ・カージュ・オ・フォール』の集大成である。自信を持ってそう断言できる仕上がりだと思う。

  明日は今日の続き。その後、ゲネプロ。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

1月4日(水)

  劇場での作業は昨年末、12月30日から始まっている。大晦日と元旦はお休みして、新年は2日が仕事はじめであった。

  既に大道具、照明、音響の仕込みも終わり、今日は昼からテクニカル・リハーサル。舞台転換のCueを、幕開きから順番に、照明にも付き合って貰って、音楽を流しながらひと通り確認。
  その後、夕方からはオーケストラのサウンド・チェック。様々な楽器の単音チェックから始まり、オーケストラ・ピットのモニター類を調整しつつ、何曲かを演奏。やはり生のオーケストラは素晴らしい。
  更にその後、1幕の大きなダンス・ナンバー2つを場当たり。本格的な舞台稽古は明日からなのだが、明日以降を効率良く進めるために、先取りして2つのナンバーを当たったのである。
  こう言う時間が捻出できるのが再演のありがたい所である。お陰で、明日からの舞台稽古は一気呵成に進めることができる。

   と言う訳で、明日はいよいよ舞台稽古。

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2012年の予定(山田和也演出作品)

謹賀新年。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

ラ・カージュ・オ・フォール
  1月7日~29日/日生劇場
  2月3日~5日/梅田芸術劇場 メインホール
  2月12日、13日/愛知県芸術劇場 大ホール

ジキル&ハイド
  3月6日~28日/日生劇場
  4月6日~8日/梅田芸術劇場 メインホール
  4月14日、15日/愛知県芸術劇場 大ホール

王様と私
  7月3日~7日/ゆうぽうとホール
  7~8月/地方公演

劇団東京ヴォードヴィルショー公演竜馬の妻とその夫と愛人
  10月/下北沢 ザ・スズナリ

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月28日(水)

  2回目のオケ付き通し稽古。

  私にとっては今までで最も満足度の高い『ラ・カージュ・オ・フォール』であった。
  ミスが無かった訳ではない。が、キャストもオーケストラもスタッフも、カンパニー全体が「どこに向かえばいいか」をしっかりと自覚して、それぞれの持ち場で確実に仕事をした。そのことが私を満足させたのである。『ラ・カージュ・オ・フォール』が前回で「ファイナル」にならくて良かった、と心から思ったオケ付き通し稽古であった。

  これで年内の稽古は全て終了した。『ラ・カージュ・オ・フォール』通信も、年内は今日が最後である。ご愛読くださった皆さん、ありがとうございました。来年は1月4日からお送りする予定。

  どうぞ良いお年をお迎えください。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月27日(火)

  オケ合わせ2日目。そして1回目のオケ付き通し稽古。

  残された2幕後半のオケ合わせを終えた後、通し稽古に突入。オーヴァーチュアからいきなり手拍子が沸き起こる。
  今までスタッフ、キャストが長テーブルを並べていたエリアにオーケストラが鎮座しているので、私の席は一段と舞台に近づいた。真島さん扮するハンブルクのハンナが鞭を振り回すシーンでは命の危険を感じる程である。

  始まってしまえば「あっ」という間の3時間である。オープニングでジョルジュが観客に向かって喋る台詞にある様に、『ラ・カージュ・オ・フォール』は「フィナーレに至るまで、どの場面をとっても極上のシャンパンの味わい」である。退屈な場面や無駄な台詞は一切ない。

  明日は2回目のオケ付き通し稽古。そして、稽古場最終日、仕事納めである。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月26日(月)

  オケ合わせ1日目。

  17名編成のオーケストラである。日本初演時は更に大きな編成だったのだが、現在はキーボード類が飛躍的に発達したので、この人数でも遜色のないサウンドを奏でることができる。それでも、この17名は今日では大変な贅沢だと思う。
  『ラ・カージュ・オ・フォール』には、ブロードウェイ・ミュージカルの最良の部分が隅々にまで詰まっている。脚本、演出、振付、音楽、舞台美術、衣裳、照明……。こうしてオーケストラの演奏する『ラ・カージュ・オ・フォール』のナンバーを改めて聞いてみると、編曲やオーケストレーションに凝らされた工夫やそのためのエネルギーなど、改めてブロードウェイの伝統や人材の層の厚さを思い知らされる。

  今日はオーヴァーチュアから2幕2場のダンドン一家の登場まで、順調にメニューを消化してオケ合わせを終えた。明日は今日の続き。その後、オケ付き通し稽古である。

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『ダンス オブ ヴァンパイア』東京千穐楽

12月24日(土)

  帝国劇場開場100周年記念公演『ダンス オブ ヴァンパイア』千穐楽。

  ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。キャスト&スタッフの皆さん、お疲れ様でした。
  今年は帝劇の100年の中でも特に記憶に残る1年だったと思う。
  本来であれば、今年1年は劇場と劇場を愛する人々を祝福する1年になる筈であった。が、実際は、劇場と劇場で働く者たちの使命を再確認する年になった。

  記念すべき年に、帝劇で4作品を演出する機会をいただいた事は、東宝で27年間芝居作りに携わって来た者として大変光栄なことであった。
  芝居作りは子供を生みだすことと似ていると思う。健やかで逞しく、皆に愛される子になって欲しいと念じて励むのだが、期待通りの子はそう簡単には生まれない。親の心子知らず、である。
  しかし、どんな子が生まれても愛情を尽くして生んだ子に違いはない。大勢に愛されることになった作品もそれ程でもなかった物も、私にとっては掛け替えのない大切な1本1本である。

  今年は、私自身も芝居を作ることを通して力を貰った1年だった。

  身の回りの繁栄が未来永劫続くものだと無邪気に信じていたスカーレット・オハラは、震災前の私たち自身の姿だったろう。その繁栄は南北戦争によって跡形もなく崩れ去る。一面焼け野原となったタラの地に立って「私は負けない」と誓うスカーレットの決意表明が、今年ほど私たちの胸に響いたことは無かっただろうと思う。
  「ひとりは皆のために、皆はひとりのために」という三銃士のモットーに、稽古場に集まる一同が(演じている本人たちでさえ)どれほど元気をもらったか。ダルタニアンの父がダルタニアンに繰り返し語って聞かせた「勇気、誇り、そして分かち合う心が、人生を生きるに値するものにする」と言うメッセージにもまた同様である。
  そして『ニューヨークに行きたい!!』のラスト・シーン。世代や価値観の異なる人々が、それまでのわだかまりを乗り越えて互いの存在を認め合う。そこで歌われる「未来は今、始まる」。未来は「そこ」からこそ始められるべきであろう。

  そして『ダンス オブ ヴァンパイア』である。今年の『ダンス オブ ヴァンパイア』も熱く熱く盛り上がった。劇場が果たさなければならない使命を、関係者ひとりひとりがきっちりと果たした成果だったろうと思う。

  さて『ダンス オブ ヴァンパイア』は引き続き大阪へと向かう。年が明けて2012年の1月7日開幕である(詳細はこちら)。チケットの残りは僅少であるが、スタッフ&キャスト一同、牙を研いでお待ちしています。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月23日(金)

  2回目の通し稽古。

  カジェルのひとり、「金の喉仏を持つ」シャンタルを演じるのは新納慎也さんである。
  新納さんと言えば、『ウェディング・シンガー』の「ボーイ・ジョージに憧れるキーボーディスト」のジョージなど、個性的でアクの強い役を演じることが多い。そして、そう言った役を、新納さんは誰にも真似できない演じ方で演じ、更に個性的にしてくれる。
 シャンタルも、「心優しいのに毒舌」で、新納さんの持ち味の生きた素敵なキャラクターになっている。が、『ラ・カージュ・オ・フォール』で注目していただきたいのは、新納さんがシャンタルではないキャラクターで登場する2幕1場である。

  この場面には、アルバンが男らしい振舞いを練習するナンバー「男のレッスン」があるのだが、このナンバーでは、カジェル達も別キャラ「逞しい港の男たち」として登場する。その中に、とても普通な男性として、実に新納さんらしくない役で新納さんも登場している。
  新納さんのファンの方は、普通の役でも案外すてきな新納さんを、「ウォーリーを探せ」の様に探してみてください。

  さて、別稽古場では本日よりオーケストラのリハーサルがスタート。次はいよいよオケ合わせである。が、その前に明日、明後日は稽古OFF。

  皆さん良いクリスマスを!

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月22日(木)

  1回目の通し稽古。

  改めて『ラ・カージュ・オ・フォール』の持つポテンシャルの高さを再認識した通し稽古であった。極めて順調、と言って差し支えない仕上がりであったと思う。

  通し稽古後、カジェルたちのダンス・ナンバー「カン・カン・シークェンス」を衣裳付きで当たる。
  「カン・カン」(フレンチ・カンカンと呼ばれることも多い)は、19世紀後半から20世紀にかけてパリで大いに評判を呼んだ、陽気で激しくセクシーなダンスである。踊り子たちが大きく足を上げたり、走り回ったり、股を割ったり、スカートをたくし上げてお尻を見せたり……と、それこそ『ラ・カージュ・オ・フォール』に相応しい。
  「カン・カン・シークェンス」の振りは、衣裳を巧みに捌くことで成り立っている。その衣裳がかさ張る上に重い。加えて、その衣装でアクロバットもこなさなければならない。なので、安全に、美しく、楽々と演じてる様に見えるために、入念に確認をしながらの稽古であった。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』の稽古後は王様と私の打合わせへ。

  今回の『王様と私』は、「ハロー・ミュージカル!  プロジェクト」の「ミュージカル・ツアー」第1弾である。
  「ハロー・ミュージカル!  プロジェクト」は、一般社団法人映画演劇文化協会が運営する、「ミュージカルを手軽に多くの人に楽しんでもらいたい」と言うプロジェクトで、「ミュージカル・ツアー」は、本格的なミュージカルを全国各地で上演しようとする試みなのである。

  今まで本格的なミュージカルが上演されることの少なかった場所に出掛けて行く、と言うことはとても意味のあることだと思う。ミュージカルや演劇などのパフォーミング・アーツは、生(ライヴ)で、その場にいて鑑賞することが最大の価値だと思うからである。
  が、それぞれ条件が異なる各地の会場を効率よく巡業して回るのは、その理念とは裏腹に数々の困難が伴うのも現実である。
  その困難をどう乗り越えて行くか。そのために各セクションがどう知恵を絞るか、と言うのが今日の打合せの趣旨であった。

  このプロジェクトが軌道に乗り、全国の様々な都市で、毎年の様に素晴らしいミュージカルが上演される様になることを願って止まない。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月21日(水)  

  立ち稽古。今日こそ全幕、全場面である。

  マエストロは、今日は極めて事務的に登場した。昨日の一件で、もしかするとマエストロのモチベーションが大幅に下がっているのかもしれない。演出助手の落石君も、そう言って心配顔になった。
  こう言う時は、マエストロに少しでも多く活躍して貰うに限る。で、今日は、昨日までは割愛してきたオーヴァーチュアから稽古をスタートすることにした。
  もちろん、我々の悪い想像は杞憂であった。ひとたびタクトを握れば、いつもと同じ熱い熱いマエストロであった。今「タクトを握れば」と書いたが、筆が滑った。稽古場ではマエストロは素手で指揮をしていて、指揮棒は握っていないのであった。

  それはともかく、今回の『ラ・カージュ・オ・フォール』は、芝居部分の密度が更に濃くなっている。ファニーな部分は更にファニーに、切ない部分は更に切なく。こうして再演の機会が与えられたことに心から感謝したい。

  明日はいよいよ通し稽古。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月20日(火)

  2幕をおさらい。

  今日は音楽監督・指揮の塩田さんの意気込みが違っていた。朝、家を出る時から既に気持ちが高ぶっていたらしい。恐らく昨夜からそうだっただろう。そう思わせる様な高揚感で、マエストロは稽古場に登場した。
  塩田さんの『ラ・カージュ・オ・フォール』に対する思い入れの強さは、誰よりも良く知っているつもりであった。この日記でも、幾度となくそのことに触れて来た(こちら)。が、今日のマエストロは、私の知るマエストロ以上に熱く熱く燃えていた。

  高揚したマエストロは、ミュージシャンの何人かにも声をかけ、稽古場に誘って来て下さった。キーボードの村松さんは、わざわざ楽器まで持ち込んでくださった。
   稽古も終盤に入り、まもなく通し稽古を迎える、と言う時期である。マエストロの心意気が何よりも嬉しく、そして心強く感じられた。
  が、マエストロが今日ハイ・テンションで登場したのは、「今日は全場面を稽古する日」だと勘違いしていたからなのであった。ミュージシャンの皆さんも、「今日は全場面が見られる」と意気込んで稽古場にやって来たのであった。

  明日は全場面を稽古。

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『ラ・カージュ・オ・フォール』通信

12月19日(月)

  衣裳合わせデー。稽古は無し。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』が世界初演された劇場は、ブロードウェイのパレス・シアターである。
  パレス・シアターは1913年3月24日にヴォードヴィルの殿堂として開場した。アル・ジョルソン、エディ・キャンター、ボブ・ホープ、ファニー・プライスと言った、錚々たるスターたちが当時のパレスに立っている。
  やがてミュージカルの時代が訪れると、パレスでも数々のミュージカルが上演されるようになった。『スィート・チャリティ』『アプローズ』『ウーマン・オブ・ジ・イヤー』『ウィル・ロジャース・フォーリーズ』『美女と野獣』『アイーダ』『オール・シュック・アップ』『リーガリー・ブロンド』等である。
  同時に、パレスはスーパースターのライヴ会場としても歴史を刻んで来た。ジョセフイン・ベーカー、シャーリー・マクレーン、ダイアナ・ロス、ベット・ミドラーなどがその名を留めている。
  ジュディ・ガーランドもパレスでライヴを行ったひとりである。そして、その娘ライザ・ミネリも。共に“At the Palace”と言うアルバムを残しているが、ライザのそれは、2人の足跡がだぶって一際感動的である。

  『ラ・カージュ・オ・フォール』も、そんなパレスの1ページである。以前、「パレス・シアターは、日本で言えば帝劇みたいな所だよ」と教わったことがある。
  『ラ・カージュ・オ・フォール』が日本では帝劇で初演されたのは、あながち偶然ではなかっただろう、と思う。

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『ジキル&ハイド』通信

12月18日(日)

  『ラ・カージュ・オ・フォール』はお休み。『ジキルハイド』の舞台美術打ち合わせ。

  基本的な美術プランはほぼ出来上がっている。今日は照明デザインと大道具製作の観点からのミーティングであった。
  美術デザイナーの大田創さん、照明デザイナーの高見和義さん、舞台監督の小林清隆さん、演出助手の郷田拓実さん、それに大道具製作の俳優座劇場舞台美術部の皆さんが集まってくださった。

  出席者に演出プランをひと通り説明している途中で、初演(2001年)時の打ち合わせのことに話が及んだ。

  山田「10年前も同じ様な話してたけど」
  高見「あれは、もう10年前ですか!?」

  その通り。あれからもう10年も経ったのである。帝劇の地下稽古場で、厚紙で舞台模型を作りながら(私も作った)、毎回毎回、何時間も何時間も、ああでもない、こうでもないと知恵を絞った、あれからもう10年が過ぎたのだ。
  あの時あの場所にいた人は(大田さんも郷田さんも)、みんな同じような感想を抱いただろうと思う。私もとても10年前とは思えない。

  高見「どうりで頭も白くなる訳だ」

  と、私と生年月日が同じ高見さんは言った。私の場合は頭よりも髭が白くなったけど。

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